• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 登録しない Y09
審判 査定不服 商4条1項16号品質の誤認 登録しない Y09
管理番号 1181000 
審判番号 不服2007-5792 
総通号数 104 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2008-08-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2007-02-23 
確定日 2008-06-18 
事件の表示 商願2006- 44344拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は、「森林浴セラピー」の文字を標準文字で表してなり、第9類「家庭用テレビゲームおもちゃ,携帯用液晶画面ゲームおもちゃ用のプログラムを記憶させた電子回路及びCD-ROM,スロットマシン,ウエットスーツ,浮袋,エアタンク,録音済みのコンパクトディスク,レコード,メトロノーム,電子楽器用自動演奏プログラムを記憶させた電子回路及びCD-ROM,計算尺,映写フィルム,スライドフィルム,スライドフィルム用マウント,録画済みビデオディスク及びビデオテープ,電子出版物,耳栓,加工ガラス(建築用のものを除く。),オゾン発生器,製図用又は図案用の機械器具,写真複写機,自動販売機,救命用具,消火器,盗難警報器,保安用ヘルメット,乗物の故障の警告用の三角標識,潜水用機械器具,業務用テレビゲーム機,乗物運転技能訓練用シミュレーター,運動技能訓練用シミュレーター,理化学機械器具,写真機械器具,光学機械器具,映画機械器具,測定機械器具,配電用又は制御用の機械器具,電池,電気磁気測定器,電線及びケーブル,電気ブザー,電気通信機械器具,電子応用機械器具及びその部品,磁心,抵抗線,電極,事故防護用手袋,防じんマスク,防毒マスク,防火被服,眼鏡」を指定商品として、平成18年5月16日に登録出願されたものである。

2 原査定の拒絶の理由の要点
原査定は、「本願商標は、『森林浴セラピー』の文字を横書きしてなるところ、指定商品との関係において、該文字よりは、『森林にて安らぎ等を得て治療することに関する映写フィルム・録画済みビデオディスク及びビデオテープ・電子出版物』の意味合いを理解、認識させるものであり、これを本願の指定商品中、『前記に照応する商品』に使用されたときは、単に、商品の品質、内容を表示するにすぎないものと認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記商品以外の商品に使用するときは、商品の品質の誤認を生じさせるおそれがあるので、同法第4条第1項第16号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

3 当審の判断
(1)本願商標は、「森林浴セラピー」の文字を書してなるところ、「森林浴セラピー」の語は、代表的な国語辞書にも、「森林浴」につき「(『海水浴』『日光浴』になぞらえた語)森林に入り、樹木の香気を浴び、精神的な安らぎと爽快な気分を得ること。」と、「セラピー」(therapy)につき「治療。療法。薬品や手術を用いないものをいう。」と掲記されているとおり(株式会社岩波書店発行「広辞苑第六版」)、「森林浴」、「セラピー」の各語は、それぞれ上記の意味を有する語としてなじみがあるといえるから 、これらが結合した「森林浴セラピー」の語が「森林浴を手段とする治療、療法」の意味合いを有することは、その語の構成自体によって容易に認識し得るものということができる。
そして、「森林浴セラピー」の語自体の意味するところは、「森林浴を手段とする療法」であると理解されるのが一般であることは、例えば、「薬物療法」「食餌療法」「薬餌療法」「物理療法」「化学療法」「ショック療法」「転地療法」や「アロマセラピー」「アニマルセラピー」などの用語が、いずれも、「療法(セラピー)」の前にある語を手段とする療法(セラピー)を意味するものとして理解されている例に照らしても明らかというべきである。
(2)また、森林浴については、治療や健康増進に効果があることは、新聞記事情報から窺い知ることができると共に、林野庁においても、森林浴で国民のストレス解消や健康増進をめざす「森林セラピー(療法)基地」を認定しているところでもある。
さらに、国民の健康増進への関心の高まりから、各種の療法、治療の方法を解説・録画したビデオテープ、DVD、電子出版物等も販売され、健康増進への普及もされていることは知られている事実といえる。
これらの事実は、以下のことからも認めることができる。
(ア)2006年7月17日付け「産経新聞東京朝刊」の25頁には、「森林浴の効能 最新データ紹介 専門家26人共同執筆」の見出しの下、「森林療法は自然環境の中で病気を回復する自然療法の一つとしてドイツなど欧州で人気が高い。森林浴は樹木が発散する物質を通じ生理機能を活性化する効果があるとの説もあるが、効能については科学的に実証するデータが乏しいとされてきた。このため、専門家らが執筆にあたって森林セラピーに関連する国内外の1100本に上る最新の研究論文を収集、分析。(1)森林の映像には心理的な鎮静効果がある(2)森林の散策が睡眠障害や抑鬱(よくうつ)症状を改善させる-など実験で科学的に証明された研究成果を同書で多数紹介している。」の記載。
(イ)2006年4月19日付け「日本農業新聞」の5頁の社会12版には、「森林療法の地域認定/林野庁 全国10カ所に基地・ロード」の見出しの下、「森林の癒やしの効果を生かした森林セラピー(療法)の拠点づくりを進めている林野庁は18日、山形県小国町など10カ所を『森林セラピー基地』『セラピーロード』に認定したと発表した。実験で森林の癒やし効果を確かめ、施設も整った地域を有識者が選んだ。認定地域は科学的なお墨付きを得たことで、利用客を呼び込みやすくなると関係者はみている。森林セラピーは、森林浴で得られる癒やしの効果を、医療やリハビリ、カウンセリングに利用する療法。林野庁は、山村の新たな産業として打ち出し、地域振興につなげたい考えだ。昨年、森林セラピー基地に27カ所が候補地として挙がっていたが、心身の癒やし効果を生理実験で確かめ、併せて宿泊施設の整備状況や、交通の便、将来構想などを有識者が審査し、森林セラピー基地6カ所と、森林セラピーロード4カ所を決めた。」の記載。
(ウ)2005年12月15日付け「読売新聞東京朝刊」の34頁には、「森林“見て”リラックス 森林総合研究所、効果のメカニズム解明へ=茨城」の見出しの下、「大型スクリーンで森林の映像を流し、森林を“見る”ことによるリラックス効果を調べる試みが、森林総合研究所(つくば市松の里)で行われた。同研究所では、今年5月から10月までに120人の男子学生を対象に、全国10か所で森林浴のセラピー効果を調べる大規模実験を実施してきたが、その際の映像などを使い、今回は視覚による効果に絞って調べた。今後は、音や香りなどを組み合わせて、リラックス効果のメカニズムに迫りたいという。実験には、20?25歳の男子大学生20人が参加。縦3・4メートル、横6・25メートルの大型スクリーンに、高解像度で撮影した森林や都市の映像や静止画を流し、脳の活動状況などを調べた。近赤外線を使って、脳血管内にどれだけ酸素が送られているかを調べたところ、個人差はあるが、森などの映像に反応して脳の活動が沈静化する傾向が見られたという。同研究所の宮崎良文生理活性チーム長は『臨場感あふれる映像により、森林を“見る”ことによるリラックス効果をきちんと確かめ、リラックス効果が高い森の映像開発などに役立てていきたい。視覚は、森林によるリラックス効果の大きな部分を占めている可能性が高い』と、さらなる解析にも意欲を見せていた。」の記載。
(エ)2005年10月17日付け「化学工業日報」の5頁には、「森林総合研、森林浴は抗癌に有効、NK細胞活性化で初の学術的立証」の見出しの下、「森林浴は、もはやただの気休めではない。森林総合研究所を中核とする研究グループがこのほど、森林浴が、がん細胞と戦うNK(ナチュラルキラー)細胞の活性を高めることを、世界で初めて学術的に実証した。被験者は、ストレス状態にある三十-五十代の都内大手企業のサラリーマン。心身の健康のために、森林浴が改めて脚光を浴びそうだ。・・・その結果、NK細胞の活性は、二日目の朝には二六・五%、三日目の朝には五二・六%も増強されていた。またNK細胞とともに、それが放出する三種の抗がんたん白質が、いずれも増加していることも明らかとなり、森林浴によって、生体のがんに対する抵抗力が高まることが確認された。・・・森林浴の治療効果は、ヨーロッパでは古くから知られ、ドイツでは健康保険の適用を受けている。」の記載。
(3)上記事実を総合勘案すれば、「森林浴セラピー」の語は「森林浴を手段とする療法」ないしは「森林浴を用いた療法」の名称として一般に理解・認識されているものと認められ、一般人の間(国民)においても、森林浴を手段とする療法として利用されていることを認めることができる。
してみれば、本願商標は、「森林浴セラピー」の文字を普通に用いられる方法で表示してなるにすぎないものであるから、これをその指定商品中の「森林浴を手段とする療法に関する映写フィルム,録画済みビデオディスク及びビデオテープ,電子出版物,携帯用液晶画面ゲームおもちゃ用のプログラムを記憶させた電子回路及びCD-ROM」について使用しても、これに接する取引者、需要者は、該商品の内容(品質)を表示したものと理解するにとどまり、自他商品の識別標識とは認識し得ないものであり、また、これを上記商品以外の指定商品について使用するときは、その商品の品質について誤認を生じさせるおそれがあるものといわなければならない。
(4)請求人は、本願商標は、漢字3文字と長音を含む片仮名3文字にて「森林浴セラピー」と同書、同大、同間隔にて一連に横書きしてなる文字商標であり、その構成態様から「シンリンヨクセラピー」の称呼を生ずるものであり、特定の意味合いを有する語として辞書に掲載されている語ではなく、具体的に特定の意味合いを有さない一連の造語である旨主張する。
しかしながら、「森林浴セラピー」の語を、「森林浴を手段とする療法」ないしは「森林浴を用いた療法」であると理解することを困難にすべき事情を認めることはできず、かつ、前記の事実からして、取引者、需要者はむしろ自然に「森林浴を手段とする療法」ないしは「森林浴を用いた療法」を示す語として認識することになるものというべきである。
そして、商標法第3条第1項第3号は、取引者、需要者に指定商品の品質等を示すものとして認識され得る表示態様の商標につき、それ故に登録を受けることができないとしたものであって、該表示態様が、商品の品質を表すものとして必ず使用されるものであるとか、現実に使用されている等の事実は、同号の適用において必ずしも要求されないものと解すべきである。
更に、請求人は、既登録例を挙示して、本願商標もこれらと同様に登録されて然るべきものである旨主張するが、それらの登録例は商標の具体的構成において本願商標とは事案を異にするものであり、また、登録出願に係る商標が商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するものであるかどうかの判断は、当該商標の構成態様と指定商品とに基づいて、個別具体的に判断されるべきものであるから、それらの登録例に拘束されるべき理由はない。
したがって、これらの点についての請求人の主張は採用することができない。
(5)以上のとおり、本願商標の登録は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するものであるから、本願を拒絶した原査定は、妥当であって取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2008-03-21 
結審通知日 2008-03-28 
審決日 2008-04-24 
出願番号 商願2006-44344(T2006-44344) 
審決分類 T 1 8・ 13- Z (Y09)
T 1 8・ 272- Z (Y09)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 大島 護 
特許庁審判長 小林 和男
特許庁審判官 安達 輝幸
津金 純子
商標の称呼 シンリンヨクセラピー 
代理人 三浦 光康 

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ