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審決分類 |
審判 全部取消 商50条不使用による取り消し 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) Z16 |
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管理番号 | 1180949 |
審判番号 | 取消2007-300924 |
総通号数 | 104 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2008-08-29 |
種別 | 商標取消の審決 |
審判請求日 | 2007-07-20 |
確定日 | 2008-06-09 |
事件の表示 | 上記当事者間の登録第4340545号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 登録第4340545号商標の商標登録は取り消す。 審判費用は、被請求人の負担とする。 |
理由 |
1.本件商標 本件登録第4340545号商標(以下「本件商標」という。)は、平成10年11月2日に登録出願され、「GALA」の文字を標準文字で書してなり、第16類「印刷物」を指定商品として、同11年12月3日に設定登録されたものである。 2.請求人の主張 請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由を次のように述べ、証拠方法として甲第1号証を提出している。 (1)請求の理由 本件商標は、その指定商品について継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれもが使用した事実が存しないから、商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。 (2)弁駁の理由 (2-1)被請求人の主張について 被請求人はその提出に係る答弁書とともに甲第1?6号証(乙第1?6号証の誤記と思われる、以下同じ)を提出し、本件商標「GALA」を請求に係る商品に使用している旨を述べている。 (2-2)証拠(甲第1号証から第6号証)について 被請求人は答弁書の中で業務の性質上種々のセミナーを行っている旨を述べ、開催されたセミナーの参加者に配布されたテキストが「印刷物」についての使用であると主張している。しかし、商標法第50条の適用上、「商品」というためにはテキストが市場において独立して商取引の対象として流通に供される物でなければならない。 そこで証拠を検討するに、甲第1号証?第4号証は、被請求人がセミナーを円滑に進行するために、プレゼンテーション用のソフトウェアを使用して作成した教材(レジュメ)であると思われる。レジュメは、通常、講義内容等を明確に参加者に伝えることを前提とした補足的な資料であるから、提出された証拠のように、決められた日時に、決められた場所で、参加者のみに配布されるようなテキストは、商品ではなく「セミナーの開催」というサービスに付随する物といえる。 また、甲第5、6号証で提出された「事業報告書」及び「株主通信」は、商品ではなく被請求人が株主等に開示した資料であり、これらに商標を付する行為は商標法第2条第3項各号に規定する商標の使用には該当しない。 (2-3)以上の通り、被請求人が提出した証拠は、本件商標をその指定商品に使用しているとはいえず、例えば納品書、請求書等、商品取引の際に通常に用いられるような客観的な証拠も提出されていないことから被請求人の主張は成り立たない。 尚、「講座の教材としてのみ用いられる印刷物」は商標上の商品にはあたらないと判断された本件と類似する事件の審決・判決例を添付する(甲第1号証)。 3.被請求人の主張 被請求人は、本件審判の請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求める、と答弁し、その理由を次のように述べ証拠方法として甲第1号証ないし甲第6号証(乙第1号証ないし乙第6号証の誤記と認める。)を提出している。 〔答弁の理由〕 被請求人は、本件商標を本件審判請求の登録前3年以内に日本国内において、指定商品「印刷物」について使用している。 以下、本件商標の使用事実を立証する。 (1)商標権者について 本件商標の商標権者である株式会社ガーラは、1993年に設立され、主としてオンラインゲームサービスの提供、インターネット上のリスクモニタリングおよび口コミ情報分析サービス、インターネット上のコミュニティに関するASPサービスの提供、並びにマーケティング・リサーチおよびコンサルティング等を主たる業務としている会社である。2000年8月には、大阪証券取引所ナスダック・ジャパン市場(現ニッポン・ニュー・マーケット-「ヘラクレス」/証券コード4777)へ株式の上場を行っている。 (2)本件商標の使用状態 被請求人は、業務の性質上種々のセミナーを行っている。その一例として、平成17年(2005年)7月28日に開催されたセミナーの開催通知(平成17年7月4日付け)の写しを乙第1号証として提出する。このセミナーは、六本木アカデミーヒルズ49 オーディトリアムで開催され、参加費用は30,000円である。 そして、乙第2号証として、その際、製本されて各参加者に配布されたテキスト(印刷物)の写しを提出する。このテキストの右上の各ページに本件商標「GALA」が明確に記載されている。 これらの乙第1号証および乙第2号証から、本件商標が、本件審判請求の登録前3年以内に日本国内において、指定商品「印刷物」について使用されていることが明らかである。 次に、乙第3号証および乙第4号証として、他のセミナーで配布されたテキスト(印刷物)の写しを提出する。 乙第3号証は、2006年(平成18年)12月15日に、渋谷のT’sビジネスタワー東宝ビル別館で開催されたセミナーで配布されたテキスト、乙第4号証も同日、同所で開催されたセミナーで配布されたテキストの写しである。乙第3号証では第1ページ中央下段に、乙第4号証では表紙中央下段、第1ページから最終ページ右上部に、および最終ページには中央上段にも本件商標が明確に記載されている。 これらの乙第3号証および乙第4号証からも、本件商標が、本件審判請求の登録前3年以内に日本国内において、指定商品「印刷物」について使用されていることが明らかである。 続いて、乙第5号証として、株式会社ガーラの第13期(2006年3月期)の「事業報告書」の写し、乙第6号証として、株式会社ガーラの第14期(2007年3月期)の「株主通信」の写しを提出する。 いずれの印刷物にも、第1ページ(表紙)と最終ページ(裏表紙)に本件商標「GALA」が明確に記載されている。 (3)結語 以上の通り、本件商標は、被請求人によって、本件審判請求の登録前3年以内に日本国内において、指定商品「印刷物」について使用されている。 4.当審の判断 商標登録の取消の審判において、商標の使用といい得るためには、当該商標の具体的な表示態様、使用方法からみて、それが出所を表示し自他商品を識別するために使用されていることが客観的に認められることが必要である。そして、当該商標が使用と認められるためには、商標法上の商品について使用されていることを要するところ、商標法上商標が付される商品(以下「商標法上の商品」という。)とは、商取引の目的物として流通性のあるもの、即ち、一般市場で流通に供されることを目的として生産され、又は取り引きされる有体物であると解されるものである。 そこで、上記観点にたって被請求人が本件商標の使用の事実を証明するものとして提出した乙第1号証ないし乙第6号証をみるに、乙第1号証は、被請求人が2005年7月28日に開催した「e-マイニング セミナー」を報道関係者各位に知らせるために作成した開催案内と認められるものである。そして、乙第2号証は、表面に「ガーラのBuzzへの取り組み」と表題が付された印刷物と認められるところ、この印刷物の表題の下には被請求人の商号及び「2005年7月28日」と開催日が表示されている。また、右上には本件商標と社会通念上同一と認められる商標が表示されている。 しかしながら、この印刷物は、被請求人も答弁書において「セミナーで配布されたテキストの写しである。」と述べているとおり、被請求人の開催したセミナーの参加者(受講者)のみに配布されたものであり、即ち、本件セミナー(講座)の教材としてのみ用いられることを予定したものであって、本件セミナーを離れ一般市場で独立して取引の対象とされているものではないといわざるを得ない。 また、乙第3号証及び乙第4号証の印刷物も、いずれも2006年12月15日に被請求人が開催した「e-miningセミナー」であり、それぞれ「WEB2.0時代のネットクチコミ・マネジメント」及び「サービスのご紹介と活用事例」と題するセミナーのテキストと認められるものである。そして、これらの印刷物についても、被請求人が答弁書において「セミナーで配布されたテキストの写しである。」と述べており、乙第2号証と同様に、上記各セミナーを離れ一般市場で独立して取引の対象とされているものではないといい得るものである。 さらに、乙第5号証及び同第6号証は、それぞれ第13期(2006年3月期)「事業報告書」及び第14期(2007年3月期)「株主通信」と表題の付された印刷物で、これらの印刷物も被請求人が自社の株主等に開示した資料と認められるものであり、一般市場で流通に供されることを目的として作成された印刷物ではないといわざるを得ない。 結局、被請求人が本件商標を使用しているとする上記の各印刷物は、それ自体商取引の目的物として流通性のある商標法上の商品とはいえないものである。 そうとすると、被請求人の提出に係る乙各号証によっては、本件商標が、その指定商品「印刷物」について、使用されていたことを証明する証拠は見当たらない。また、被請求人が本件商標の使用をしていないことについて、正当な理由があったものとは認めることはできない。 してみれば、被請求人は、本件審判請求の登録前3年以内に日本国内において、本件商標をその指定商品に使用していたものとは認められない。 したがって、本件商標は、商標法第50条第1項の規定により、その登録を取り消すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2008-02-20 |
結審通知日 | 2008-02-22 |
審決日 | 2008-04-24 |
出願番号 | 商願平10-94322 |
審決分類 |
T
1
31・
1-
Z
(Z16)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 熊谷 道夫 |
特許庁審判長 |
小林 和男 |
特許庁審判官 |
石田 清 小川 きみえ |
登録日 | 1999-12-03 |
登録番号 | 商標登録第4340545号(T4340545) |
商標の称呼 | ガーラ、ゲイラ、ガラ、ギャラ |
代理人 | アインゼル・フェリックス=ラインハルト |
代理人 | 仲野 均 |
代理人 | 山崎 和香子 |
代理人 | 加藤 義明 |