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審決分類 審判 査定不服 商4条1項16号品質の誤認 登録しない Y0712
審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 登録しない Y0712
管理番号 1180941 
審判番号 不服2005-13531 
総通号数 104 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2008-08-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2005-07-14 
確定日 2008-06-09 
事件の表示 商願2004-83166拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は、「スライドデッキ」の文字を標準文字で表してなり、第7類「荷役機械器具」及び第12類「自動車並びにその部品及び附属品」を指定商品として、平成16年9月9日に登録出願されたものである。

2 原査定の拒絶の理由の要点
原査定は、「本願商標は、『なめらかに動く』等の意を有する英語『slide』に通じる『スライド』と、指定商品との関係において『トラックの荷台』等の意を有する英語『deck』に通じる『デッキ』とを結合して、標準文字で書してなるところ、これをその指定商品中、『トラック』に使用するときは、『その荷台がなめらかに動く』ことを認識するのみで、結局、商品の品質を普通に用いられる方法で書してなるにすぎないものと認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記商品以外の商品に使用するときは、商品の品質の誤認を生じさせるおそれがあるので、同法第4条第1項第16号に該当する。」旨認定、判断して本願を拒絶したものである。

3 当審の判断
(1)本願商標は、前記1のとおり「スライドデッキ」の文字よりなるところ、本願の指定商品との関係により、その構成中「スライド」の文字は、「滑ること。滑り落ちる。」の意味合いを有し、一般的に、「1つの面が別の面に接触したままやや短い距離を移動する」(株式会社小学館 ランダムハウス英和大辞典)ことを表わすものであり、また、同じく本願商標構成中の「デッキ」の文字は、「床」程の意味を有し、指定商品との関係においては「荷台」(山海堂 自動車用語中辞典〔第2版〕普及版、株式会社小学館 ランダムハウス英和大辞典)を表わすものとして用いられている。
(2)ところで、「スライド」、「デッキ」の各文字が指定商品との関係から、前記のような意味合いを表わすものとして用いられていることが、以下にあげるインターネット及び新聞記事情報から窺い知ることができる。
(ア)「株式会社花見台自動車」のホームページの「トラクタ・トレーラ」中「18ton スライド エアサスペンション トレーラ」の見出しのもと、「荷台部がスライドすることにより、重機・建機を安全に搭載することが出来ます。」との記載がある。(http://www.hanamidai.co.jp/safetylineup/safetyloader/18tonslideairsustr.html)
(イ)「有限会社ジャパンオ-トテック」のホームページの「製品・技術紹介」中「ファインデュアルS」の見出しのもと、「業界初のスライド積み積載車です。スーパーカーも2台運べます。」との記載がある。(http://www.our-think.or.jp/virtual/public_html/company/01kikai/1218.htm)
(ウ)「いすゞ自動車株式会社」のホームページの「エルフコレクション」中「上下スライド可能なパレットで架装」の見出しのもと、「通常、板ガラスは、トラックの荷台にガラス運搬専用のパレットを載せ運ぶ。10年前には、専用パレットを直接固定した架装車をつくった。それでも荷役の大変さは変わらない。問題は荷台の高さだった。かといって、荷台が低ければ走れない。それなら上下にスライドする可動式のパレットにすればうまくいく。(http://www.isuzu.co.jp/cv/jirei/elf_collection/09_3.htm)」との記載がある。
(エ)「トラックエックス トラックの明日が見える専門情報サイト」のホームページの「新製品ニュース」中「古河ユニック、2台積みキャリア発売(2007/5/30)」の見出しのもと、「この他、クラストップの広いデッキサイズと緩やかなデッキ乗込部(後席)傾斜角度に加え、・・・〈主な特長〉(同社発表による)・・・〈2〉上段デッキを下段デッキ上に降ろした際、上段デッキは“ほぼ水平”。これにより、抜群の積載性と共に、1台積載時の高い走行安定性を実現した。」との記載がある。(http://www.truck-x.com/news/news.php?column_id=4150)
(オ)「JU富山中古車情報」のホームページには、「タウンエース トラック DX ロングデッキ 幌」の見出しのもと、「グレード:DX ロングデッキ 幌」との記載が、写真と共に掲載されている。(http://www.jutoyama.com/rwdetail3161621000193.htm)
(カ)2008年2月13日付け日刊工業新聞の4頁には、「ちょっと訪問/城山工業-パネル軽量化で提案」の見出しの下に「城山工業は、自動車の車体部品やOA機器部品の製造を主力にしている。・・・従来、トラックのデッキパネルなどに用いられている「ハニカム構造のパネルの代替品」を目指している。同パネルの使用で、トラックのデッキパネル全体の重量が、「約160キロ-110キログラム程度」に抑えられる。」との記載がある。
(3)そうすると、本願商標の「スライドデッキ」の文字を、その指定商品に使用した場合には、構成文字全体から「荷台がスライドする」程の意味合いを認識し、理解されるものとみるのが相当である。
そして、本願指定商品を取り扱う業界において、「スライドデッキ」の文字が「荷台がスライドする」の意味合いで、商品の機能を表わすためのものとして使用されている実情があることは、以下にあげるインターネット情報及び新聞記事情報からも裏付けられる。
(ア)農業は進化するEooo!みんなの農業商品クチコミサイトのホームページでは、「スライドデッキ(小型クラス)/(株)アイバワークス」の見出しの下に、トラックの荷台をスライドさせて地面に接しさせている状態の写真と伴い、「商品名:スライドデッキ(小型クラス)、商品説明:コンバイン等の農業機械の搬送に適した、4tトラック用のスライドデッキ。重心の高い農業機械を安全に運搬するため、架装部分の素材にスウェーデン鋼(80kgクラス)と超高張力のステンレス鋼(110kgクラス)を使用し、強さと軽さを両立させている。」との記載がある。(http://www.eooo.jp/ctr.php/m/ShowCategoryList/a/Detail/c1/6/c2/2/c3/10/goods_id/31/)
(イ)AIBA WORKSのホームページでは、「トラック架装・スーパーステンレススライドデッキ」の見出しの下に、同じくトラックの荷台をスライドさせて地面に接しさせている状態の写真と伴い、「スライドデッキ:低く抑えた乗込み角度と床面地上高で、安全・確実・スピーディな積み降ろしができます。きめ細かな仕様設定により、使用目的に合わせた1台が選べます。」との記載がある。(http://www.aibaworks.co.jp/cvsld.htm)
(ウ)株式会社前田製作所のホームページでは、「HFseries 垂直昇降型高所作業車」の見出しの下に、高所作業車のデッキ部分が前方にスライドした状態の写真を伴い、「スライドデッキの機能により作業場所までカンタンアクセス!」との記載がある。(http://www.maesei.co.jp/new07/hf/hf_vertical.html)
(エ)西尾レントオール株式会社のホームページでは、「スライドデッキの安全対策」の見出しの下に、同じく高所作業車のデッキ部分が前方にスライドした状態の写真を伴い、「◆スライドデッキ特有のニアミス:スライドで突き出た部分は、真下が死角となります。リフト下降時に人や障害物が無いか十分に確認してください。」との記載がある。(http://www.anzenkun.nishio-rent.co.jp/anzen/360.htm)
(オ)1999年11月2日付け日刊建設工業新聞の4頁には、「アイチコーポレーション/新商品発表・建設フェア開催/新型高所作業車などを試乗」の見出しの下に「参考出品のSH-30手動式移動足場(上下移動はバッテリー駆動)や自走式高所作業車SV-06Aスカイタワースライドデッキ仕様、小型高所作業車SV-041スカイタワー二本レバー仕様なども、人気を集めていた。」との記載がある。
(4)上記事実を総合勘案すれば、、本願商標を構成する「スライドデッキ」の文字を、その指定商品中、「スライド機能を有する荷台からなるトラック」、又は「スライド機能を有する荷台からなる高所作業車」に使用した場合には、これに接する取引者又は需要者は、商品の品質、機能を表示しているものと認識されるに止まるものであって、自他商品の識別標識としての機能を発揮し得ないものといわざるを得ないから、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記商品以外の商品について使用するときには、商品の品質について誤認を生じさせるおそれがあるので、同法第4条第1項第16号に該当するといわなければならない。
なお、請求人は、「スライド」「Slide」あるいは「デッキ」「Deck」の文字を含んでなる過去の登録例を掲げ、本願商標も同様に登録されるべきであると主張しているが、「スライドデッキ」の語を、「荷台がスライドする」ことであると理解することを困難にすべき事情を認めることはできず、かつ、前述のとおり各社によって提供、使用されている事実からして、取引者、需要者は、むしろ自然に「スライド機能を有する荷台からなる機械(自動車、作業車)」を示す語として認識するものというべきであるから、請求人の主張は採用することができない。
したがって、本願商標が商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するとして、本願を拒絶した原査定は妥当であり、取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2008-03-27 
結審通知日 2008-03-28 
審決日 2008-04-24 
出願番号 商願2004-83166(T2004-83166) 
審決分類 T 1 8・ 272- Z (Y0712)
T 1 8・ 13- Z (Y0712)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 金子 尚人 
特許庁審判長 小林 和男
特許庁審判官 津金 純子
日向野 浩志
商標の称呼 スライドデッキ 
代理人 倉内 義朗 

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