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審決分類 |
審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 登録しない Y30 審判 査定不服 商3条2項 使用による自他商品の識別力 登録しない Y30 |
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管理番号 | 1179380 |
審判番号 | 不服2005-24348 |
総通号数 | 103 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2008-07-25 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2005-12-15 |
確定日 | 2008-06-04 |
事件の表示 | 商願2004- 32171拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1 本願商標 本願商標は、「DARJEELING」の欧文字を標準文字で書してなり、第30類「茶」を指定商品とし、平成16年4月5日に団体商標として登録出願されたものである。その後、指定商品については、原審における同17年6月22日付け提出の手続補正書により、第30類「インド国ダージリン産の茶」に補正されたものである。 2 原査定の拒絶の理由の要点 原査定は、「本願商標は、『DARJEELING』の欧文字を横書きしてなるところ、該文字は、『インド国東部、西ベンガル州北部の観光・保養都市』で、同都市の近郊では、製茶工業が活発でダージリン茶を産することで世界的に有名である。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。さらに、出願人は、本願商標は同法第3条第2項に該当する旨主張し、甲第1号証ないし甲第13号証を提出しているが、提出に係る甲各号証によっては、使用に係る商標の具体的な構成又は態様を把握することが困難であり、出願に係る商標との同一性を判断することができず、また、出願に係る商標と同一の商標が具体的にどの程度、製造・販売され、どの程度、宣伝・広告されていたのかを示す証拠は提出されていないから、本願商標それ自体が自他商品の識別標識としての機能を有するものとは認められない。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。 3 当審において通知した審尋 平成19年7月24日付け審尋書をもって、期間を指定して通知した審尋の理由の要旨は、次のとおりである。 請求人は、平成17年6月22日付け意見書において、本願商標は商標法第3条第2項の適用を主張し、その証拠として甲第1号証ないし同第13号証を提出している。 商標法第3条第2項でいう「需要者が何人かの業務に係る商品又は役務であることを認識することができるもの」とは、特定の者の出所表示として、その商品又は役務の需要者の間で全国的に認識されているものであって、本項を適用して登録が認められるのは、出願された商標及び指定商品又は指定役務と、使用されている商標及び商品又は役務とが同一の場合のみである。 この点については、平成17年9月15日付け拒絶査定において指摘しているが、本件審判の請求の理由においても、実際に使用している商標を基とする証拠の提出がない。 したがって、提出された書証からは、本願商標がその指定商品について使用された結果、需要者をして審判請求人(出願人)の業務に係る商品であることを認識するに至ったものと認めることはできない。 以上のとおり、なお需要者が請求人の業務に係る商品であることを認識させるに足りる証拠の提出がないときは、本願商標は商標法第3条第1項第3号に該当するものと判断せざるを得ない。 ところで、請求人は、同人が商標法第7条第1項に規定する法人であることを証明する書面として、公証人アショック バードワジ氏(氏名が不鮮明につき請求人和訳をそのまま引用する)による公証証書とともに、「THE TEA ACT, 1953 No. 29 of 1953( 28th May, 1953 )」の「4.Establishment and constitution of Tea Board」及び「INDIA TEA」のホームページ(http://www.teaindia.org/teaBoardProfile.html.)を提出しているが、これらによれば、請求人である「THE TEA BOARD」は、茶園の所有者、生産者、メーカー、ディーラー、消費者、国会議員、州政府などの委員で構成され、インド政府商務省下の政府機関の一つと認められるものであるから、同人は、団体商標の請求人(出願人)適格を有するものとは認められない。 4 審尋に対する応答 請求人(出願人)は、上記3の審尋に対して、所定の期間内に何ら応答するところがない。 5 当審の判断 (1)商標法第3条第1項第3号について 本願商標は、「DARJEELING」の欧文字を標準文字で書してなるところ、該文字は、「新英和中辞典 第7版」(研究社)によると、「ダージリン紅茶(インド東部ダージリン産の高級紅茶)」と記載されている(甲第2号証)。 また、「広辞苑 第5版」(岩波書店)によると、「ダージリン」は、「インド北東部、ヒマラヤ山脈南麓の避暑地。チベットへの門戸で、紅茶の産地。」(甲第3号証)と記載されていることよりすれば、「DARJEELING」は、ダージリン紅茶の産地及びダージリン地方で生産された紅茶の名称として広く知られていることが認められるから、本願商標を本願の指定商品に使用するときは、これに接する一般の取引者、需要者は、「インド北東部のダージリン地方で生産されている紅茶」として理解するというのが相当であって、単に商品の産地を認識させるから、自他商品の識別標識とは認識し得ないものと認められる。 さらに、国内唯一の紅茶関連業者の団体であり、請求人も特別会員の一員である日本紅茶協会のホームページの「紅茶の産地」(http://www.tea-a.gr.jp/knowledge/tea_home/index.html)の「ダージリン紅茶」の項には、「北インド・ヒマラヤ山系の高地に産する紅茶」と記載されていることに徴しても、ダージリン紅茶は日本においては、紅茶の名称として広く認識されているものと認められる。 そうとすれば、日本国内では、一般の取引者、需要者は、本願商標「DARJEELING」に接した場合、紅茶の品質を保証する商標として認識するというよりは、ダージリン産の紅茶であることを認識すると判断するのが相当である。 したがって、本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当するとして本願を拒絶した原査定は妥当なものであって、取り消すことはできない。 (2)商標法第3条第2項について 請求人(出願人)が原審及び当審において提出した証拠及び主張の趣旨を総合勘案しても、使用に係る商標を具体的に把握することができないから、本願商標が請求人(出願人)により永年使用された結果、その業務に係る商品を表示するものとして取引者、需要者に広く認識されるに至ったものとはいえない。 そして、審判請求及び上記3の審尋から相当の期間を経過するも、請求人(出願人)は、他に本願商標が使用された結果、請求人の業務に係るものとして取引者、需要者間に広く認識されるに至ったことを証明する証拠を何ら提出していない。 ところで、請求人(出願人)は、「インド国内で生産されたダージリン紅茶及びインド国外へ輸出される全てのダージリン紅茶を保証する権限をインド政府から授けられた唯一の機関であり、1953年設立以来「DARJEELING」の名前で販売及び輸出される紅茶の真正を確保する努力を行っている。「DARJEELING」の名前で販売及び輸出される紅茶は、請求人(出願人)の輸出許可が与えられていることは、紅茶取引者の間で周知である。」等主張している。 そして、請求人(出願人)が提出した甲第7号証(2001年のインドから日本への紅茶輸出量を掲載したウエブページ(写し))及び同第8号証(本願出願人が証明する日本及び世界各国に輸出された紅茶の輸出量の実績(写し)によれば、請求人(出願人)がダージリン紅茶の品質の維持、向上に努めていること、日本がダージリン紅茶の世界有数の輸入国であることを窺い知ることができる。 しかしながら、請求人(出願人)がダージリン紅茶を保証、証明する唯一の機関であること、日本国がダージリン紅茶の輸入量が多いことのみをもって、本願商標をダージリン紅茶に使用した場合に、自他商品の識別標識として認識されるとは認めることができない。 したがって、本願商標が商標法第3条第2項の要件を具備するものであるとの請求人の主張は採用することはできない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2007-12-13 |
結審通知日 | 2007-12-14 |
審決日 | 2008-01-24 |
出願番号 | 商願2004-32171(T2004-32171) |
審決分類 |
T
1
8・
17-
Z
(Y30)
T 1 8・ 13- Z (Y30) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 大島 護、富田 領一郎 |
特許庁審判長 |
井岡 賢一 |
特許庁審判官 |
岩本 和雄 鈴木 修 |
商標の称呼 | ダージリン、ダージリング |
代理人 | 安村 高明 |
代理人 | 山本 秀策 |
代理人 | 森下 夏樹 |