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審決分類 |
審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) 112 |
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管理番号 | 1175810 |
審判番号 | 取消2006-31562 |
総通号数 | 101 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2008-05-30 |
種別 | 商標取消の審決 |
審判請求日 | 2006-12-20 |
確定日 | 2008-03-13 |
事件の表示 | 上記当事者間の登録第2724316号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 登録第2724316号商標の指定商品中、第12類「航空機並びにその部品及び附属品,鉄道車両並びにその部品及び附属品,自動車並びにその部品及び附属品,二輪自動車・自転車並びにそれらの部品及び附属品,乳母車,人力車,そり,手押し車,荷車,馬車,リヤカー」については、その登録を取り消す。 審判費用は、被請求人の負担とする。 |
理由 |
1 本件商標 本件登録第2724316号商標(以下「本件商標」という。)は、「ALTEC」の文字を横書きしてなり、平成2年6月20日に登録出願、第12類「輸送機械器具、その他本類に属する商品」を指定商品として、同11年4月9日に設定登録されたものである。 2 請求人の主張 請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証及び甲第2号証を提出した。 (1)請求の理由 本件商標は、その指定商品中「航空機並びにその部品及び附属品,鉄道車両並びにその部品及び附属品,自動車並びにその部品及び附属品,二輪自動車・自転車並びにそれらの部品及び附属品,乳母車,人力車,そり,手押し車,荷車,馬車,リヤカー」について継続して3年以上日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれによっても使用された事実がないから、その登録は、商標法第50条第1項により取り消されるべきである。 (2)被請求人の答弁に対する弁駁 被請求人の主張する本件商標の使用は、以下のとおり、商標法第50条第2項でいう「その指定商品又は指定役務のいずれかについての登録商標の使用」に当たらない。 (ア)被請求人が本件商標を使用していると主張する商品「ステアリングロック」(以下「使用商品」という。)は、本件商標の指定商品に含まれず、昭和34年法の商品区分の第13類に属する「金具」(類似群コード:13C01)である(特許庁商標課編「類似商品審査基準(改訂版):甲第1号証)。 (イ)被請求人は、乙第5号証の1(IPC特許・実用新案国際特許分類表)及び2(特許公報)を提出し、使用商品は、自動車の部品又は附属品であることが明らかであると主張する。 しかしながら、特許・実用新案に関する国際分類は、商標法上の商品又は役務の類似範囲を定めるものではないから、使用商品が本件商標の指定商品に含まれるかどうかには全く関係がない。専ら昭和34年法による類似商品審査基準によって決定すべきである。 「商品・サービスの国際分類表〔第9版〕アルファベット順一覧表」によると、「連続番号(英)/L0317/Locks of metal for vehicle」(日本語訳/乗物用金属製錠)は、第6類に属し、その類似群コードは、「13C01」である。 また、「自動車の部品又は附属品」のすべてが国際分類の第12類に分類されるものでないことは、上記「乗物用金属製錠」の例からも明らかであり、「商品・サービスの国際分類表〔第9版〕アルファベット順一覧表」によれば、日本語訳で「乗物用ラジオ受信機」及び「乗物用のナビゲーション装置(コンピュータ内蔵のもの)」は第9類に、「乗物用ヘッドライト」、「乗物用照明器具」、「乗物用反射器」、「乗物用エアコンディショナー」及び「乗物用除霜装置」は第11類に分類される。 以上のとおり、現行の「商品及び役務の区分」に従って分類すれば、使用商品は、第6類「金属製金具」に分類されることは明らかである。 (ウ)したがって、本件商標の指定商品中、取消請求に係る指定商品についての登録は、取り消されるべきである。 3 被請求人の答弁 被請求人は、本件審判請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求める旨答弁し、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第15号証(枝番を含む。)を提出した。 (1)被請求人(商標権者)は、本件審判請求の登録前3年以内に、取消請求に係る指定商品中の「自動車の部品又は附属品」の範疇に属する使用商品に本件商標を付して輸出行為を行っていた(乙第3号証ないし乙第10号証)。 以下、その事実を立証する。 (ア)乙第3号証の1は、被請求人作成の使用商品の設計図(縮小写)であり、乙第3号証の2は、乙第3号証の1に付された符号「イ」、「ロ」、「ハ」の部分を拡大したものである。 「イ」の符号を付した図面左上には、「本『ステアリングロック』」の記載があり、当該図面が使用商品の設計図面であることは明らかである。 また、「ロ」の符号を付した図面の中央部分には、「アルテックマーク:凸0.3」、「ALTEC」の記載があり、本件商標を刻印するように、使用商品が設計されているのが明らかである。 さらに、「ハ」の符号を付した図面右下には、被請求人の名称である「株式会社アルファ」の記載と、製図及び設計日付「’05.11.18」、調査日付「’05.11.22」、承認日付「’05.11.23」及び「’05.11.22」の日付のあることが確認できる。 (イ)乙第4号証の1ないし4は、使用商品の写真である(撮影者:被請求人の経営企画部法規課主管 黒澤達哉、撮影日:2007年3月1日)。 乙第4号証の1は、乙第3号証(設計図面)に基づいて生産された使用商品を斜めから撮影した写真である。 乙第4号証の2は、乙第4号証の1の矢印部分を拡大した写真である。 乙第4号証の3は、使用商品を正面から撮影した写真である。 乙第4号証の4は、乙第4号証の3の矢印部分を拡大した写真である。 これらの写真は、本件審判請求の登録前のものではないが、乙第3号証(設計図面)に表されたとおり、実際に使用商品に本件商標が刻印されていることが確認できる。 (ウ)乙第5号証の1は、「IPC 特許・実用新案国際特許分類表」の抜粋であり、「ステアリングロック安全装置」は、「車両付属品」に含まれ、「B60R」の国際分類番号が付与されている。 また、乙第5号証の2に示す「ステアリングロック装置」に関する特許公報においても、当該発明を車両付属品に関するものであるとして、「B60R」の国際分類が付されている。 よって、使用商品は、自動車の部品又は附属品であることが明らかである。 (エ)乙第6号証は、本件商標を付した使用商品を、「ALPHA TECHNOLOGY CORPORATION」(アルファテクノロジーコーポレイション:以下「アルファテクノロジー社」という:アメリカ合衆国 48844-0168 ミシガン州 ハウエル メイソン ロード 251 ピーオーボックス168所在)宛てに送った際の被請求人の2006年12月7日付け送り状及びその訳文である。 該送り状に記載された「48700ZQ10A」は、乙第3号証(設計図面)の右下に記載された「得意先部品番号」と一致する。また、該送り状には、被請求人の住所とともに、被請求人の英語名称である「ALPHA CORPORATION」の記載、「COUNTRY OF ORIGIN:JAPAN(原産国:日本)」の記載が確認できる。 該送り状から、使用商品が乙第3号証に記載の承認日である2005年11月23日以降に製造され、2006年12月7日に出荷された事実を確認できる。 (オ)乙第7号証は、被請求人の2006年11月現在の会社案内の表紙及び裏表紙(写)であり、その表紙に、被請求人の英語社名が記載され、裏表紙に日本語の社名が記載されていることから、乙第6号証に示す「ALPHA CORPORATION」が被請求人の英語社名であることが確認できる。 (カ)乙第8号証は、乙第6号証(送り状)に対応する被請求人の「出荷手配依頼書」及び「海外出荷集荷便手配案内」(写)である。双方の書面には、乙第3号証に示す得意先部品番号と同じ「48700-ZQ10A」が記載されており、乙第6号証の日付と同じ2006年12月7日の日付が出荷依頼日欄、出荷日欄に記載されている。また、得意先又は出荷先として、アルファテクノロジー社の略称である「ALTEC」の文字が記載されている。 (キ)乙第9号証は、米国のアルファテクノロジー社の資材計画担当者であるトッド ロジャースから被請求人の小川公史宛てに、2007年1月18日にeメールにて送信された「3 Mounth Forecast(訳:3ヶ月の注文予定)」と、当該eメールに添付された注文書である。 該注文書には、乙第3号証に示す図面に記載された「48700ZQ10A」の部品番号が記載されているのが確認でき、アルファテクノロジー社が本件商標を付した使用商品を2007年1月18日に注文した事実が明らかである。 また、上記取引は、本件審判請求の登録(平成19年1月22日)前3年以内の取引であることが明らかである。 なお、使用商品の輸出行為が平成18年意匠法等の一部改正前に行われた行為であったとしても、被請求人が本件商標を使用商品に付する行為は、商標法第2条第3項第1号に該当するものであり、「商標の使用」に該当するものである(東京高判昭和57年(行ケ)236号/最判昭和59年10月25日:乙第10号証)。 (2)本件商標と、各乙号証に示す「ALTEC」の商標とは、社会通念上同一の商標であり、上述のとおり、使用商品は、本件審判の取消請求に係る「自動車並びにその部品及び附属品」に包含される商品である。 (3)したがって、本件商標は、取消請求に係る指定商品について、本件審判請求の登録前3年以内に使用されていることが明らかであり、商標法第50条の規定により取り消すことのできないものである。 (4)請求人の弁駁に対する再答弁 請求人は、使用商品が本件商標に係る指定商品のいずれでもないから、本件商標の使用が商標法第50条第2項の「その指定商品又は指定役務のいずれかについての登録商標の使用」に当たらないと主張する。 しかしながら、以下の(ア)ないし(オ)に詳述するとおり、請求人の主張は、いずれも失当である。 (ア)請求人は、甲第1号証を示し、昭和34年法の類似商品審査基準の第12類に、使用商品が含まれていない旨主張する。 しかし、本件商標が出願される前に発行された特許庁商標課編「商品区分解説」(平成2年4月25日社団法人発明協会発行:以下「商品区分解説」という。)によると、「【注意】施行規則別表における商品の列挙は例示であり、網羅されたものではない。したがって、どの類にも表示されていない商品を指定したい場合は、属すべき類を合理的に判断して出願しなければならない。」(乙第11号証2頁)と記載されている。このことから、施行規則別表における商品の列挙は、例示であることが明らかである。 また、甲第1号証に示す類似商品審査基準には、施行規則別表における商品が掲載されているから、類似商品審査基準に記載の商品の列挙も例示であることが明らかである。 よって、昭和34年法の類似商品審査基準の第12類に、使用商品が記載されていないことから、直ちに、当該商品が第12類に含まれないということはできず、本件商標の使用が商標法第50条第2項の「その指定商品又は指定役務のいずれかについての登録商標の使用」に当たらないとする請求人の主張は失当である。 (イ)商品区分解説によると、第13類「手動利器 手動工具 金具(他の類に属するものを除く。)」の区分解説として、「【趣旨】この類は、大体において、通常金物店で販売されるものを集めた類である。この意味で販売店主義に基づく類といえる。」と記載されており(乙第11号証52頁)、昭和34年法の第13類に属する「金具」が他の類に属さない金具であり、かつ、主に金物店で扱われる商品であることは明らかである。 本件商標が出願された当時と現在とでは、金物店で取り扱う商品について、さほど違いはないと推認されることから、Googleで「金物店」をキーワードとしてインターネット上で検索した上位3店につき、使用商品を扱っているかを調べたが、いずれも当該商品を扱っていなかった(乙第12号証)。 また、Googleで「金物屋」と使用商品をキーワードに検索したところ、「スペアキー」に関するサイトが3件ヒットし、使用商品自体のサイトにはヒットしなかった(乙第13号証)。 ところで、使用商品とは、専ら自動車のステアリングホイールの回転に係る装置であり、例えば、乙第3号証の1ないし乙第4号証の4に示す態様からなるものである。 ちなみに、乙第14号証に示す写真は、日産自動車株式会社が製造販売する乗用車「ムラーノ」用の使用商品及びその装着状況を示すものである。かかる写真からも明らかなように、使用商品は、完成品たる自動車に組み込まれて、自動車の消費者に渡る商品であるから、使用商品は、一般に自動車製造販売会社又は自動車修理会社に販売される商品である。 また、自動車製造販売会社等は、使用商品をその製造販売会社から購入するか、自社で製造するものであるから、かかる自動車内部に組み込まれる商品を金物店から購入するとは考え難い。 してみれば、昭和34年法の第13類が販売店主義に基づく類であることと、上述のとおり、「金物屋」や「金物店」で使用商品が通常扱われているとは認められないこと、及び使用商品の取引実情にかんがみれば、使用商品は、昭和34年法の第13類に属しないものであり、請求人の主張は失当である。 (ウ)請求人は、平成18年11月2日付けの特許庁公報として発行された「ニース協定に基づく商品・サービスの国際分類第9版アルファベット順一覧表」に記載の「乗物用金属錠」(日本語訳)が第6類に属し、その類似群コードが13C01であることを理由に、使用商品も国際分類の第6類に分類され、類似群コード13C01の「金属製金具」に分類されると主張する。 しかし、上述のとおり、使用商品は、自動車専用部品又は附属品であり、完成品たる自動車の内部に組み込んで装着する商品である。 そして、使用商品は、金物店で販売される商品でない。 また、特許庁商標課編「商品及び役務の区分解説[国際分類第8版対応]」の第6類の説明には、「【注釈】この類には、主として、未加工及び半加工の一般の金属並びにその単純な製品を含む。」(乙第15号証24頁)、「金属製金具 それ自体単独で使用されるのではなく、何かに取付ける性質の金属製品が、この概念に含まれる。ただし、本類中の他の概念及び他の類に属するものは除外され、例えば、『戸車』『ちょうつがい』等の建築材料、『靴ひも代用金具』『靴保護金具』等のくつ用金具は、この概念には含まれない。」(乙第15号証26頁)と記載されている。 このことにかんがみると、使用商品は、乙第3号証の1ないし乙第4号証の4及び乙第15号証に示す態様からなることは上述のとおりであり、構造の複雑さや自動車内部に装着されるという自動車に専属的な性格を有する商品である。 そのために、使用商品は、汎用品ともいえず、これが「安全錠、鍵、南京錠」のような一般的な金具でもなく、単純な製品でもないことは明らかである。 一方、「乗物用金属錠」は、請求人が主張するとおり、13C01の類似群コードを有するのであれば、単純な構造の錠であることが容易に推認できるものであり、例えば、完成品たる乗物に後から装着が可能な錠等を指すものである。 よって、使用商品と「乗物用金属錠」とは、その性質を異にするものであるから、「乗物用錠」が国際分類の第6類に属し、13C01の類似群が付されているからといって、そのことを理由に、使用商品が昭和34年法の第13類に属する商品であるとの請求人の主張は失当である。 (エ)請求人は、「自動車の部品又は附属品」の全てが国際分類第12類に分類されるわけではなく、使用商品は、現行の「商品及び役務の区分」に従って分類すれば、第6類「金属製金具」に分類されると主張する。 確かに、「自動車の部品又は附属品」の全てが国際分類の第12類に分類されるものではないが、特許庁商標課編「商品及び役務の区分解説[国際分類第8版対応]」の第12類の解説には、「自動車並びにその部品及び附属品<自動車の部品及び附属品>この概念には、“自動車用の測定機械器具”、“エンジン”、“緩衝装置”、“制動装置”等は含まれない」(乙第15号証71頁)と記載されており、使用商品が国際分類の第12類に含まれない旨は記載されていない。 また、使用商品は、「自動車用の測定機械器具」、「エンジン」、「緩衝装置」、「制動装置」のいずれにも該当しない。 よって、「自動車の部品又は附属品」の全てが国際分類の第12類に分類されるわけではないことを理由に、使用商品が国際分類の第12類「自動車の部品又は附属品」、すなわち昭和34年法の第12類「自動車の部品及び附属品」に分類されないとする請求人の主張は失当である。 (オ)請求人は、使用商品が本件商標の指定商品に含まれるか否かについては、専ら昭和34年法による類似商品審査基準によって決定すべきであるところ、昭和34年法の第13類の「金具」に「錠前類」が含まれ、昭和第34年法の第12類の「自動車の部品及び附属品」には、使用商品は含まれない旨主張する。 しかし、上述のとおり、昭和34年法の類似商品審査基準に掲げられた商品は例示であり、全ての商品を網羅したものではないから、例示されていない商品については、属すべき類を合理的に判断しなければならない(乙第11号証2頁)。 そして、商品区分解説によると、第12類の解説として「【解釈】輸送機械器具その部品及び附属品(他の類に属するものを除く。) 各中概念には部品及び附属品が含まれる。」(乙第11号証50頁)、「《4.自動車》 自動車の部品及び附属品の中には、“自動車用の測定機械器具”、“エンジン”、“緩衝装置”、“制動装置”等が含まれない」(乙第11号証51頁)と記載されている。 このことから、使用商品について合理的に判断を行うと、上述のとおり、使用商品は、自動車の部品又は附属品であり、かつ、「自動車用の測定機械器具」、「エンジン」、「緩衝装置」、「制動装置」のいずれでもない。 また、上述のとおり、使用商品は、金物店で販売されるような一般的な金物でも単純な製品でもない。 してみれば、昭和34年法の第12類に属する商品において、他の類に属するものを除いたとしても、使用商品は、請求人が主張するような昭和34年法の第13類に属する商品でもなく、専ら「自動車の部品又は附属品」として扱われる商品であるから、使用商品は、昭和34年法適用当時においては、第12類に属するものである。 よって、昭和34年法の第13類の「金具」に「錠前類」が含まれ、同法下の第12類の「自動車の部品及び附属品」には、使用商品が含まれないとの理由で、本件商標の使用が商標法第50条第2項の「その指定商品又は指定役務のいずれかについての登録商標の使用」に当たらないとする請求人の主張は失当である。 (カ)請求人は、「使用商品は、その名の示すとおり『ロック』すなわち『錠前』にほかならない。」と主張する。 しかし、これは単に文字面のみに着目した判断である。 商品区分解説によると、「現行法は商品の区分に際し、用途主義、販売店主義を原則としている」(乙第11号証序)と記載されている。すなわち、ある商品がどの区分に属するかは、その商品の使い途、その商品の販売店を考慮して判断しなければならないことを示している。 この点につき、請求人も弁駁書において、使用商品がどの区分に属するかについては、「専ら昭和34年法による類似商品審査基準によって決定すべきである。」と述べている。 よって、単に商品の文字面のみから、当該商品の属する区分を判断すべきではない。 被請求人は、国際特許分類表(乙第5号証の1)及び特許公報(乙第5号証の2)により、使用商品が一般的にいう「自動車の部品又は附属品」であることを立証し、使用商品が金物店で扱われる商品ではなく、専ら「自動車の部品又は附属品」として使用される商品であることを上記のとおり詳述した。 よって、使用商品が、その文言中に「ロック」の文字を有していたとしても、当該商品が直ちに昭和34年法でいう「錠前」を指すものでないことは明らかであり、単に「ロック」の文字のみに着目し、使用商品が「錠前」であるとする請求人の主張は失当である。 (5)結び 被請求人が提出した乙各号証で明らかなとおり、使用商品は、昭和34年法の第13類に属する商品ではなく、同法下の第12類に属する商品であり、商標法第50条第2項にいう「その請求に係る指定商品又は指定役務」であるから、請求人の弁駁理由は当を得たものでない。 よって、本件商標は、商標法第50条第1項の規定に該当しないことは明らかであるから、速やかに答弁の趣旨のとおりの審決を求める次第である。 4 当審の判断 (1)本件商標は、「ALTEC」の文字を横書きしてなるところ、乙第3号証の1及び2が被請求人作成の本件商標を付した使用商品の設計図(縮小写)及びその部分拡大図(写)であるところ、そこには得意先部品番号「48700 ZQ10A」の記載があり、また、乙第3号証の2には製図及び設計日付「05.11.18」、調査日付「05.11.22」及び承認日付「05.11.23」の日付があり、それは本件審判請求の登録前3年以内に該当する。そして、乙第4号証の1ないし4は、乙第3号証に基づき生産した使用商品の拡大撮影写真であり、そのうちの乙第4号証の2及び4には「ALTEC」の刻印が見られること、さらに、乙第6号証は、被請求人から米国のアルファテクノロジー社に対して使用商品のサンプルを輸出をしたことを示す2006年12月7日付送り状及びその訳文であり、そこには乙第3号証に示す得意先部品番号と一致する「48700ZQ10A」の記載があること、それに加えて、乙第8号証は、乙第6号証に対応した被請求人の「出荷手配依頼書」及び「海外出荷品集荷便手配案内」(写)であり、そこにも「48700-ZQ10A」の記載があることよりして、使用商品には、本件商標と社会通念上同一の「ALTEC」の文字が使用されていたと推認し得るところであり、その点については、当事者間に争いがない。 (2)ところで、被請求人は、本件商標をその指定商品中の「自動車の部品及び附属品」に含まれる使用商品について、本件審判請求の登録前3年以内に日本国内において使用しているとして、乙第3号証の1ないし乙第15号証(枝番を含む。)を提出しているので、以下、当該証拠について検討する。 本件商標は、昭和34年商標法に基づく商標法施行規則別表に定める商品区分(以下「昭和34年法の商品区分」という。)の第12類「輸送機械器具、その他本類に属する商品」を指定商品とするものである。 昭和34年法の商品区分の第12類は、商標法施行規則別表によれば、「輸送機械器具 その部品及び附属品(他の類に属するものを除く。)」と記載されており、「輸送機械器具」と「その部品及び附属品」をまとめた類であり、このうちの「部品及び附属品」は、広汎にわたる商品が存在すると考えられるところ、「(他の類に属するものを除く。)」との表示から明らかなように、「部品及び附属品」の全てのものがこの類に属するものではなく、他の類に属する商品は、たとえ、自動車専用の商品であったとしても、こ の類に属しないものと解される。 そして、昭和34年法の商品区分の第12類の「四 自動車」の「(二)自動車の部品及び附属品」には、「車体 シャシー クラッチ ハンドル 車輪 タイヤ チューブ とって リム ほろ 座席 風よけひさし とびら バックミラー どろよけ 荷物台 スポーク 予備車輪支持具 警報器 ワイパー 方向指示器 空気ポンプ」が例示商品として掲げられているところ、これらの例示商品から明らかなように、昭和34年法の商品区分の第12類「自動車の部品及び附属品」は、主として、自動車そのものの外観を形作るのに必要不可欠な部品及び附属品が含まれるものと解され、例えば、自動車に不可欠な「ガソリン機関」は、昭和34年法の商品区分の第12類「自動車の部品及び附属品」には例示されておらず、昭和34年法の商品区分の第9類「動力機械器具」の範疇に属する商品として例示されている。また、「車輌用通信機械器具」は、昭和34年法の商品区分の第11類「電気通信機械器具」の範疇に、「自動車用時計」は、昭和34年法の商品区分の第23類「時計」の範疇に属する商品として例示されている。 さらに、「商品区分解説」(昭和55年3月31日改訂版)の「4.自動車」の項目(51頁)によれば、「自動車の部品及び附属品」の概念には、「自動車用の測定機械器具」、「エンジン」、「緩衝装置」、「制動装置」等は含まれないと記載されている。 そこで、使用商品が昭和34年法の商品区分の第12類「自動車の部品及び附属品」の範疇に含まれる商品であるか否かについてみるに、使用商品は、自動車のハンドルに取り付けてハンドルを固定し、自動車の盗難を防止する機械器具と認められ、その主目的は、自動車の盗難を防止することにあると解される。 したがって、使用商品は、自動車そのものの外観を形作るのに必ずしもなくてはならないものとはいえない。 一方、昭和34年法の商品区分の第9類には、「その他の機械器具で他の類に属しないもの」として、「三 保安用機械器具」が掲げられ、その中に「盗難警報器」が例示されていた。なお、平成4年に国際分類を主たる体系として採用した後は、上記「三 保安用機械器具」は、第9類「二十四 火災報知器 ・・・盗難警報器・・」と第12類「十三 乗物用盗難警報器」に分類され、いずれも類似群コード「09G04」が付されている。 上記昭和34年法の商品区分の第12類「自動車の部品及び附属品」における商品分類の体系を考慮すれば、使用商品は、昭和34年法の商品区分の第12類「自動車の部品及び附属品」の範疇に属するというより、昭和34 年法の商品区分の第9類「保安用機械器具」の範疇に属する商品とみるのが相当である。 してみれば、使用商品は、昭和34年法の商品区分の第12類「自動車の部品及び附属品」の範疇に属しない商品であったものといわざるを得ない。 他に、本件商標が商標権者等により本件審判請求の登録前3年以内に、取消請求に係る指定商品に使用されていたと認めるに足りる証拠は見いだせない。 (3)以上のとおりであるから、本件審判請求の登録前3年以内に日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれもが本件取消請求に係る指定商品のいずれかについて、本件商標の使用をしていたことを証明したと認めることはできない。 また、被請求人は、本件商標を使用していないことについて正当な理由があることを明らかにしていない。 したがって、本件商標の登録は、その指定商品中「航空機並びにその部品及び附属品,鉄道車両並びにその部品及び附属品,自動車並びにその部品及び附属品,二輪自動車・自転車並びにそれらの部品及び附属品,乳母車,人力車,そり,手押し車,荷車,馬車,リヤカー」について、商標法第50条の規定により、取り消すべきものとする。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2008-01-11 |
結審通知日 | 2008-01-17 |
審決日 | 2008-01-30 |
出願番号 | 商願平2-69525 |
審決分類 |
T
1
32・
1-
Z
(112)
|
最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 岩内 三夫、岩崎 良子 |
特許庁審判長 |
山口 烈 |
特許庁審判官 |
寺光 幸子 鈴木 新五 |
登録日 | 1999-04-09 |
登録番号 | 商標登録第2724316号(T2724316) |
商標の称呼 | アルテック |
代理人 | 今井 貴子 |
代理人 | 瀧野 秀雄 |
代理人 | 瀧野 文雄 |
代理人 | 垣内 勇 |
代理人 | 赤岡 迪夫 |
代理人 | 赤岡 和夫 |