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審決分類 審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 登録しない Y05
審判 査定不服 商4条1項16号品質の誤認 登録しない Y05
管理番号 1168991 
審判番号 不服2006-6142 
総通号数 97 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2008-01-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2006-04-03 
確定日 2007-11-21 
事件の表示 商願2004- 60821拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1 本件商標
本件商標は、「ベビー」の文字を標準文字で表してなり、第5類に属する願書記載のとおりの商品を指定商品として、平成16年6月30日に登録出願されたものであり、その後、指定商品については、同17年4月6日付け手続補正書において、第5類「薬剤,歯科用材料,医療用腕環,失禁用おしめ,乳糖,乳児用粉乳,人工受精用精液」に補正されたものである。

2 原査定の拒絶の理由
原査定は、「本願商標は、『ベビー』の文字を書してなるところ、これは、『赤ちゃん,赤ん坊,乳児,赤ん坊(用)の,小型の』を意味する外来語として一般に親しまれた語であるから、これをその指定商品中、『乳児用の(乳児に適した)商品』について使用するときは、単に商品の品質、用途を表示するにすぎないものと認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記商品以外の商品に使用するときは、商品の品質の誤認を生じさせるおそれがあるので、同法第4条第1項第16号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

3 当審の判断
本願商標は、前記1のとおり「ベビー」の文字からなるところ、「ベビー」(baby)の文字は、「赤ん坊。嬰児。」(株式会社岩波書店 広辞苑第五版)を表す極めて親しまれた外来語である。
ところで、薬剤、医療補助品等は、商品の需要者の層が広範であることから、それらの商品を取り扱う業界においては、年齢別、世代別、あるいは、疾患・症状別等ごとに、商品を製造し、若しくは、服用量を制限する表示をする等、需要者の選択を容易にするとともに、安全性、利便性を図っているところであり、これらの商品においては、特に、乳児に(も)使用ができる商品であることや、乳児用の商品であることを謳い、または、商品の適用年齢の範囲を明示して商品を販売している実情にある。
さらに、これらの商品について、例えば、「マルツエキス(赤ちゃんの便秘薬)」(http://www.wakodo.co.jp/product/medicines/m2.html)、「小児薬樋屋奇応丸(銀粒)・・・赤ちゃんにも飲みやすくなっています。」(http://www.hiyakiogan.co.jp/sozai/seihinannai.htm)、
「「ムヒ・ベビー 15g」は、赤ちゃんのかゆみ・虫さされ・あせもなどの症状にお肌にやさしいしみないかゆみ止め。」(http://www.kenko.com/product/item/itm_7731034072.html)、「ポリベビーは・・・赤ちゃんにおすすめの軟膏です。」(http://search.sato-seiyaku.co.jp/pdf/polibaby.pdf)、「3カ月の赤ちゃんから服用できるかぜ薬です。」(http://www.zeria.co.jp/healthcare/product/detail_ref/data.php?id=63)等の記載がなされ、宣伝広告されていることが認められる。
また、医薬品等、健康に関する商品を取り扱うインターネットのショッピングサイトにおいて、赤ちゃん用、乳幼児用の商品を取り扱うことを表示するものとして「ベビー」の見出し項目が使用され、赤ちゃん用、あるいは、乳幼児用の商品が掲載されている(例えば、http://www.kenko.com/sei_all_baby.html、http://www.soukai.com/C25345/cl.html)。
上記の実情よりすれば、薬剤、医療や健康に関する商品等の取引に際しては、商品の適用年齢、適応疾患・症状等を表す表示は、商品を流通過程に置く場合に必要な表示として何人もその使用を必要とするものであって、その使用の機会を当該用途の商品を生産、販売する多くの事業者に開放しておくことが適当であるというべきである。
してみれば、「赤ちゃん」の意味を容易に理解する本願商標は、その指定商品中、例えば、赤ちゃん向けの薬剤に使用した場合には、これに接する需要者をして、自他商品を識別する標識として理解されるとみるよりは、その商品の用途を表示しているものと認識されるに止まるものというのが相当であり、また、上記商品以外の商品について使用する場合は、商品の品質について誤認を生じさせるおそれがあるといわざるを得ない。
なお、請求人は、他の登録例を挙げるとともに、「本願商標は、『赤ちゃん』の意味のみを有する語ではなく、また、『赤ん坊用の』『ごく小型の』の意味は、『ベビー』の後ろに商品や物を表す名詞が結合して複合語を構成した時点ではじめてなされるものであり、単に『ベビー』と表した本願商標を、例えば乳児用の(乳児に適した)商品に使用したからといって、ただちに品質を表示するにすぎないということはできない。」旨を述べている。
しかしながら、本願商標を構成する「ベビー」の文字は、「小形の意。」(株式会社岩波書店 広辞苑第五版)の意味をも有する語であること、及び、用途、品質を理解させるものとして、他の語と結合して使用される語であることは、認め得るものであるが、我が国における一般的な需要者をして、該文字のみで、容易に「赤ん坊。嬰児。」の意味を理解させる語であって、指定商品との関係において、現実の商取引で、赤ちゃん向けの商品であることを、特に謳った商品が各種販売されている実情のもと、需要者が商品の用途を表示したものと認識するというべきであり、このような標章を特定人に独占使用させることは公益上望ましくないと判断するのが相当である。
また、商標登録出願に係る商標が上記条項に該当するか否かは、当該商標の査定時又は審決時において、その商標が使用される商品等の取引の実情等を考慮し、個別具体的に判断されるものであるから、請求人の挙げた商標登録例の存在によって、その認定は左右されないというべきである。
したがって、上記、請求人の主張は採用することができない。
以上のとおり、本願商標は、これをその指定商品について使用しても、単に商品の品質、用途を表示するにすぎないものと認められるから、本願商標を商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当する旨認定、判断した原査定は、妥当であって、取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2007-09-05 
結審通知日 2007-09-14 
審決日 2007-09-26 
出願番号 商願2004-60821(T2004-60821) 
審決分類 T 1 8・ 13- Z (Y05)
T 1 8・ 272- Z (Y05)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 杉山 和江 
特許庁審判長 山田 清治
特許庁審判官 堀内 仁子
関根 文昭
商標の称呼 ベビー 

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