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審決分類 審判 判定 その他 属さない(申立て成立) Z42
管理番号 1166197 
判定請求番号 判定2007-600046 
総通号数 95 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標判定公報 
発行日 2007-11-30 
種別 判定 
2007-05-30 
確定日 2007-10-09 
事件の表示 上記当事者間の登録第4293313号商標の判定請求事件について、次のとおり判定する。 
結論 役務「脱毛美容」に使用するイ号標章及びロ号標章は、登録第4293313号商標の商標権の効力の範囲に属しない。
理由 第1 本件商標
本件登録第4293313号商標(以下「本件商標」という。)は、「EPI」の欧文字と「エピ」の片仮名文字を上下二段に書してなり、平成10年4月22日に登録出願、第42類「美容,理容」を指定役務として、同11年7月9日に設定登録されたものである。

第2 イ号標章及びロ号標章
本件判定請求人(以下「請求人」という。)が役務「脱毛美容」に使用するイ号標章は、「EpiSalon」の欧文字を書してなるものである。 同じく、請求人が役務「脱毛美容」に使用するロ号標章は、「エピサロン」の片仮名文字を書してなるものである。

第3 請求人の主張
請求人は、結論同旨の判定を求め、その理由を次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし同第8号証を提出した。
1 理由の要点
(1)本件商標は、「EPI」の欧文字と「エピ」の片仮名文字とを二段に横書き表示してなるものであるから、「エピ」の称呼を生ずる。これに対し、イ号標章は「EpiSalon」の欧文字からなり、前半の「Epi」の文字と後半の「Salon」の文字とは外見上まとまりよく一体に構成され、観念上も、特に、軽重の差を見い出すことができないものであるから、「エビサロン」の称呼を生ずるものである。よって、両標章は、その称呼を異にするので、一般的な出所混同を生じないばかりでなく、実際の使用態様においても具体的な出所混同を生じない標章である。
(2)本件商標は、「EPI」の欧文字と「エピ」の片仮名文字とを二段に横書き表示してなるものであるから、「エピ」の称呼を生ずる。これに対し、ロ号標章は「エピサロン」の片仮名文字からなり、前半の「エピ」の文字と後半の「サロン」の文字とは外見上まとまりよく一体に構成され、観念上も、特に、軽重の差を見い出すことができないものであるから、「エビサロン」の称呼を生ずるものである。よって、両標章は、その称呼を異にするので、一般的な出所混同を生じないばかりでなく、実際の使用態様においても具体的な出所混同を生じない標章である。
2 判定請求の必要性
請求人は平成11年10月項からイ号標章「EpiSalon」及びロ号標章「エピサロン」を女性用脱毛美容店の名称、店舗看板、インターネットのウェブ広告、電車の車内広告及び雑誌広告に使用しており、イ号標章及びロ号標章に関する商標「EpiSalon/エピサロン」を二段に横書きに表示して、平成16年3月15日に登録出願をし、第44類「脱毛美容」を指定役務として、平成19年1月19日こ設定登録されたものである。
一方、被請求人は登録商標「EPI/エピ」の商標権者であり、請求人に対して平成16年4月15日に、本件商標の商標権を侵害するものである旨を通知した(甲第5号証)。
これに対して、請求人は、被請求人に対して同年5月14日に、本件商標の商標権を侵害するものではない旨を回答し(甲第6号証)、その後両者の間で数回に亘り文書による交渉が行われた。
そのため、高度な専門的技術的知識を有する特許庁による厳正中立的な立場からの判定を求めたい所存である。
3 イ号標章の説明
甲第3号証の1は、イ号標章「EpiSalon」を女性用脱毛美容店の名称として使用しているものである。甲第3号証の2は、イ号標章「EpiSalon」を下から上に向けて縦書きに表示して女性用脱毛美容店の店舗看板として使用しているものである。甲第3号証の3は、イ号標章「EpiSalon」をインターネット上のウェブ広告として使用しているものである。甲第3号証の4は、イ号標章「EpiSalon」を電車の車内広告として使用しているものである。甲第3号証の5は、イ号標章「EpiSalon」を雑誌に広告として使用しているものである。
4 ロ号標章の説明
甲第4号証の1は、ロ号標章「エピサロン」を女性用脱毛美容店(青山店)の名称として雑誌記事で使用しているものである。甲第4号証の2は、口号標章「エピサロン」を女性用脱毛美容店(六本木店)の名称として雑誌記事で使用しているものである。甲第4号証の3は、ロ号標章「エピサロン」を女性用脱毛美容店(吉祥寺店)の名称として雑誌記事で使用しているものである。甲第4号証の4は、ロ号標章「エピサロン」を女性用脱毛美容店(横浜店)の名称として雑誌記事で使用しているものである。甲第4号証の5は、ロ号標章「エピサロン」を女性用脱毛美容店(銀座店)の名称として雑誌記事で使用しているものである。
5 イ号標章及びロ号標章が商標権の効力の範囲に属しないとの説明
イ号標章は、「EpiSalon」の欧文字からなり、またロ号標章は「エピサロン」の片仮名文字からなり、イ号標章及びロ号標章に関する商標は、「EpiSalon」欧文字と「エピサロン」の片仮名文字とを二段に横書きしてなり、第44類「脱毛美容」を指定役務として商願2004-24168拒絶査定不服審判事件における審理の結果、登録すべき旨の審決がなされた。
そして、審決では、本願商標は「EpiSalon」の欧文字と「エピサロン」の片仮名文字とを二段に横書きしてなるところ、前半の「Epi」「エピ」の文字と後半の「Salon」「サロン」の文字とは外見上まとまりよく一体に構成され、観念上も、特に、軽重の差を見い出すことはできないものである。
また、これより生ずると認められる「エピサロン」の称呼も格別冗長とい
うべきものではなく、よどみなく一連に称呼できるものであり、他の構成中
の「Epi」「エピ」の文字部分のみが独立して認識されるとみるべき特段の事情は見い出せないと判断した。これにより、イ号標章及びロ号標章は「エピサロン」の称呼を生ずるものである。
他方、本件商標は、「EPI」の欧文字と「エピ」の片仮名文字とを二段に横書きしてなり、これにより「エピ」の称呼を生ずるものである。よって、イ号標章及びロ号標章と本件商標とは、その称呼を異にし、役務の出所について誤認混同を生じさせる恐れがないから、類似しない標章というべきである。
また、イ号標章及びロ号標章と本件商標とは、実際の商取引においても具
体的に誤認混同を生じさせる余地のないものである。
したがって、請求人が役務「女性用脱毛美容」に使用するイ号標章及びロ号標章は、登録第4293313号商標の商標権の効力の範囲に属しないものである。

第4 被請求人の答弁(要旨)
被請求人は、「イ号標章及びロ号標章は、本件商標の商標権の効力の範囲に属する」旨の判定を求めると答弁し、その理由を概略次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし同第39号証(枝番を含む。)を提出した。
1 イ号標章、ロ号標章について
イ号標章の文字態様に関して述べれば、イ号標章について請求人は判定請求書の本文中においては、「EpiSalon」と記載し、あたかも「Epi」の文字と「Sa1on」の文字との間に全くスペースが存在しないかのような書き方をしているが、イ号標章を表示するものとして請求人が提出した甲第3号証の1?5においては、「Epi」の文字と「Sa1on」の文字との間に、半角スペース程度のスペースが開けられていることは明白である。このように甲第3号証の1?5において示されているイ号標章について、請求人が判定請求書の本文ではそれとは異なる態様で記載していることは、判定結果を誤った方向へ導こうとする欺瞞的なものであると言わざるを得ない。
2 イ号標章、ロ号標章と本件商標との対比
(1)イ号標章は、「Epi」の文字と「Salon」の文字とを、半角スペース程度の間隔を置いて横に並べたものであり、またロ号標章は、「エピ」の文字と「サロン」の文字とを横に結合してなるものであるが、「Salon」、「サロン」の文字は、美容、特に脱毛美容を含むエステティックの役務を提供する店舗を示すものとして広く知られており、さらに実際に女性用脱毛美容を含む脱毛美容の店舗に広く使用されている。
すなわち先ず乙第1号証?乙第4号証は、いずれも辞書・辞典の類であって周知のものであり、これらのうち先ず乙第1号証は株式会社三省堂発行の「大辞林」、乙第2号証は株式会社小学館発行の「大辞泉」、乙第3号証は株式会社三省堂発行の「官公庁のカタカナ語辞典」、さらに乙第4号証はインターネット上のフリー百科事典「ウイキペディア(Wikipedia)」である。そしてこれらの「サロン」の項には、「サロン」の文字が美容(さらにはエステティック)の役務を提供する店舗を意味することが示されており、例えば乙第1号証の「サロン」の項には、「美容や飲食などの接客を主とする業種、店舗につける語」と記載されている。なおこれらの辞書、辞典における「エステティック」の項、「脱毛」の項の記載から、「脱毛」(脱毛美容)の役務が、「エステティック」の役務分野に含まれ、かつ「エステティック」の役務が「美容」の役務分野に含まれることが明らかである。
(2)さらに、特許庁においても、「サロン」、「Salon」の文字が美容の店舗を表わすものとして認められている。すなわち、乙第5号証は、不服2000-13859号審決公報(平成10年商標登録願第78028号拒絶査定に対する審判)であるが、その審決理由の「当審の判断」の項には、「サロン」の片仮名文字が「salon(服飾・美容の店)」の英語の表音と認められる旨、示されている。すなわち、「サロン」、「salon」の文字が美容の役務を提供する場所(店舗)を表わすものと認定されているのである。
してみれば、脱毛美容の役務を提供する店舗として、「サロン」、「s alon」の文字を使用することは、極めて当り前のことであって、かつ広く知られていることに過ぎないのは明白である。
(3)実際、脱毛美容を含むエステティックの役務を提供する店舗、あるいは脱毛美容の役務のみを提供する店舗を示す文字として、「サロン」、「脱毛サロン」、「脱毛専門サロン」の文字を使用することは、インターネット上の検索サイト、雑誌広告、その他の各種の媒体において、広く慣用的に使用されているのである。例えば乙第6号証?乙第9号証は、いずれも脱毛を含むエステティックの店舗、あるいは脱毛美容専門の店舗を検索するためのインターネット上の検索サイトであるが、これらにおいては「脱毛サロン」、「サロン」の文字が、当り前のように使用されている。これらの検索サイトは、脱毛美容の役務の一般需要者が、その提供店舗を検索する際に使用するものであり、したがって一般需要者層にとっても、脱毛美容の店舗に「脱毛サロン」、「サロン」の文字が慣用的に使用されていることは、広く周知の事実に過ぎず、「サロン」の文字がその店舗、したがって役務の技術提供場所を示すものであることは広く認識されているのである。
また乙第10号証?乙第26号証は、いずれも脱毛美容を含むエステティックの店舗、あるいは脱毛美容専門の店舗の広告であるが、これらの広告においても、「サロン」、あるいは「脱毛サロン」、「脱毛専門サロン」の文字が日常的に使用されているのである。ここで、店舗の広告としては、同様な例が乙第10号証?乙第26号証以外にも多数あることを付言しておく。
さらに、広告のみならず、単行本においても同様な事例があることは、乙第27号証、乙第28号証からも明らかである。
以上のように、イ号標章、ロ号標章の構成文字中の「Salon」、「サロン」の文字は、エステティックの役務、特に脱毛美容の役務を提供する店舗、すなわちその役務の提供場所を示す文字として慣用的に使用されていることは明らかである。したがってこれらの「Sa1on」、「サロン」の文字部分には、商標としての出所識別機能が存在しないことは明白である。
(4)ところで、特許庁編の「商標審査基準」の第4条第1項第11号の項の(5)には、「指定商品又は指定役務について慣用される文字と他の文字とを結合した商標は、慣用される文字を除いた部分からなる商標と類似する。」と明記され、かつその具体例として、興行場の手配について「プレイガイドシャトル」と「シャトル」の例、および宿泊場所の提供について「黒潮観光ホテル」と「黒潮」の例が示されている。
してみれば、まさに本件商標は、上記の審査基準に該当するものであって、識別力のない「Sa1on」、「サロン」の文字を除いた部分で商標の類否が判断されるべきである。そうであるならば、イ号標章、ロ号標章は、いずれも本件商標と類似する、と言わざるを得ない。
(5)ここで、イ号標章、口号標章から生じる称呼について検討すれば、前述のように「Salon」、「サロン」の文字部分は商標としての識別機能がないから、イ号標章、ロ号標章を見た需要者は、「Salon」、「サロン」の部分を除いた「Epi」、「エピ」の文字部分で各標章を認識、記憶することが多く、したがってイ号標章、ロ号標章からは「エピ」なる称呼も発生すると解すべきであり、したがって称呼上からもイ号標章、ロ号標章は本件商標と類似することは明白である。
なおここで、請求人が提出した甲第4号証の1によれば、請求人は自らの脱毛美容店舗について、「脱毛専門サロン」と称していることに留意されたい。この事実から、請求人自体も、「サロン」の文字が脱毛美容の店舗を示すものと認めているにほかならないのである。
さらに、イ号標章の文字構成に注目すれば、イ号標章は、「E」の文字と「S」の文字を大文字として、その他の文字を小文字とし、かつ「Epi」の文字と「Salon」の文字との間に半角スペース程度の若干の間隔を置いた構成とされており、このような文字構成からすれば、「Epi」の部分と「Salon」の部分とが分離されて認識、記憶される可能性が高く、その意味からもイ号標章からは、「Epi」の部分が独立して認識、記憶されて、「エピ」なる称呼で発声、あるいは聴取される可能性が高いのである。
ここで、「サロン」あるいは「SALON」の文字と他の文字とを結合した商標として、「美容」を指定役務として出願、登録されたものについての特許電子図書館による出願・登録情報における[称呼]の欄に、「サロン」、「SALON」の文字を除いた部分から発生する音のみが記載されている例は、乙第29号証?乙第31号証をはじめとして、多数存在する。ここで、乙第29号証?乙第31号証の出願・登録情報における[称呼]は、もちろん参考的なものに過ぎないが、少なくとも、その情報を作成した特許庁関係者が、「サロン」、「SALON」の文字を省いた文字からの称呼が発生すると解釈していることは事実なのである。
(6)さらに、請求人は、イ号標章、ロ号標章を上下2段に書した商標を、脱毛美容を指定役務として商願平2004-24168号で出願して、商標登録第5018782号として登録に至っている(これに対しては被請求人は登録異議申立を行なっている)が、その登録第5018782号商標掲載公報(乙第32号証)においても、[称呼(参考情報)]として、「エピサロン」、「イイピイアイ」の称呼と並んで、「エピ」の称呼が記載されている。これももちろん参考情報ではあるが、少なくとも商標公報作成担当者が、乙第32号証の商標について、「Sa1on」、「サロン」の部分を省いた文字部分から、「エビ」の称呼が発生すると認識していたことは明白である。
そしてまた、請求人は、「Epi Salon」の文字を飾り文字で構成した商標を、脱毛美容を指定役務として商願2005-4205号で出願して登録第5037950号として登録に至っている(これに対しても被請求人は登録異議申立中である)が、その登録第5037950号商標掲載公報(乙第33号証)にも、[称呼(参考情報)]として、「エピサロン」、「イイピイアイ」の称呼と並んで、「エピ」の称呼が記載されている。
したがってこれらの特許庁発信あるいは特許庁発行の事例からも、本件商標からは「エピ」の称呼が発生すると解するのが妥当であると思料する。
(7)ところで請求人は、前述の乙第32号証の商標の出願についての審決を引用して、『審決では、本願商標は「EpiSalon」の欧文字と「エビサロン」の片仮名文字とを二段に横書きしてなるところ、前半の「Epi 」 「エピ」の文字と後半の「Sa1on」 「サロン」の文字とは外見上まとまりよく一体に構成され、観念上も、特に、軽重の差異を見い出すことはできないものである。また……構成中の「Epi」「エピ」の文字部分のみが独立して認識されるとみるべき特段の事情は見い出せないと判断した。』とし、このような審決理由に基いて、イ号標章およびロ号標章は「エピ」 なる称呼を発生しない旨、主張しているようである。
確かに上記の審決ではそのように認定された(既に述べたように登録異議申立中である)が、既に述べたように、エステティックを主体とする美容の役務、特に脱毛美容を含むエステティックの役務を提供する店舗、あるいは脱毛美容のみの役務を提供する店舗を示す文字として、「Sa1on」、「サロン」の文字が、日常的、慣用的に使用されていることは、まさに上述の審決理由中における 『特段の事情』に該当するものであり、このことから、「Epi」、「エピ」の文字部分のみが独立して認識されるとみるべき特段の事情がある、と言わざるを得ないのである。
したがって以上から、イ号標章、ロ号標章からは「エピ」の称呼も生じ、本件商標と称呼を同じくするから、イ号標章、ロ号標章は本件商標と類似し、役務の出所について誤認混同を生じさせるから、本件商標の商標権の効力の範囲内にある、と言わざるを得ない。

第5 当審の判断
本件商標は、前記のとおり「EPI」の欧文字と「エピ」片仮名文字を上下二段に書してなるから「エピ」の称呼を生ずるものであり、また、特定の語義を有しない造語である。
一方、イ号標章は、「EpiSalon」の欧文字を書してなるところ、「Epi」の文字と「Sa1on」の文字との間に多少のスペースがあるとも思われるものの、そのスペースは全体からみればほとんど目立たない程である。そして、イ号標章の全体の構成は、外観上まとまりよく一体的に構成されているものであり、イ号標章より生ずる「エピサロン」の称呼も格別冗長ではなく、一息によどみなく称呼し得るものである。
また、後半分の「Sa1on」の文字は、「客間、談話室、美容院などの店」を意味するとしても前記のとおり一体的に構成されたイ号標章に接する取引者、需要者が、イ号標章を殊更、語頭の「Epi」の文字部分のみを抽出して、認識しなければならないとする特段の事情は見いだせないものである。
そうとすれば、イ号標章は、全体をもって一種の名称を表したものと判断するのが相当であるから、該構成文字全体に相応して「エピサロン」の称呼のみを生ずる一体不可分の造語を表したものと認識し把握されるとみるのが自然である。
他方、ロ号標章は、「エピサロン」の片仮名文字を書してなるから、その全体の構成は、外観上まとまりよく一体的に構成されているものであり、ロ号標章より生ずる「エピサロン」の称呼も格別冗長ではなく、一息によどみなく称呼し得るものである。
また、後半分の「サロン」の文字は、「客間、談話室、美容院などの店」を意味し、また「ビューティーサロン」、「エステティックサロン」、「脱毛サロン」の如く、役務の提供場所(美容などの店舗)として一般に採択使用されているとしても前記のとおり、一体的に構成されたロ号標章に接する取引者、需要者が、ロ号標章を殊更、語頭の「エピ」の文字部分のみを抽出して、認識しなければならないとする特段の事情は見いだせないものである。
そうとすれば、ロ号標章は、全体をもって一種の名称を表したものと判断するのが相当であるから、該構成文字全体に相応して「エピサロン」の称呼のみを生ずる一体不可分の造語を表したものと認識し把握されるとみるのが自然である。
そこで、本件商標から生ずる「エピ」の称呼とイ号標章及びロ号標章から生ずる「エピサロン」の称呼を比較すると、各称呼は、その音構成において明らかな差異を有するものであるから、称呼上十分に区別し得るものである。
また、本件商標とイ号標章及びロ号標章は、外観においても明らかな差異があり、観念においては比較できないものである。
したがって、本件商標とイ号標章及びロ号標章とは、外観、称呼及び観念のいずれの点においても紛れるおそれのない非類似の商標といわなければならない。
なお、被請求人は、審決公報及び登録情報の称呼の記載内容(甲第5号証、甲第29号証ないし甲第33号証)を示して、イ号標章及びロ号標章から「エピ」の称呼が生じる旨主張しているが、審決公報は、いずれも本件商標とは商標の構成等を異にする案件であって、本件に適切なものとはいえない。また、登録情報の称呼も参考として利用するものであるから、イ号標章及びロ号標章より生ずる称呼が、前記の審決公報及び登録情報に示されているものにしたがい限定されなければならないものでない。
以上のとおり、役務「脱毛美容」に使用するイ号標章及びロ号標章は、登録第4293313号商標の商標権の効力の範囲に属しないものである。
よって、結論のとおり判定する。
判定日 2007-09-26 
出願番号 商願平10-34035 
審決分類 T 1 2・ 9- ZA (Z42)
最終処分 成立  
前審関与審査官 飯塚 隆白倉 理 
特許庁審判長 中村 謙三
特許庁審判官 津金 純子
小畑 恵一
登録日 1999-07-09 
登録番号 商標登録第4293313号(T4293313) 
商標の称呼 エピ、イイピイアイ 
代理人 豊田 武久 
代理人 竹下 和夫 
代理人 北村 仁 
代理人 水野 清 

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