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審決分類 審判 査定不服 外観類似 登録しない Y03
管理番号 1165988 
審判番号 不服2006-18738 
総通号数 95 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2007-11-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2006-08-28 
確定日 2007-10-01 
事件の表示 商願2005-5337拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は、別掲(1)のとおりの構成よりなり、第3類「家庭用帯電防止剤,家庭用脱脂剤,さび除去剤,染み抜きベンジン,洗濯用柔軟剤,洗濯用漂白剤,かつら装着用接着剤,つけまつ毛用接着剤,洗濯用でん粉のり,洗濯用ふのり,塗料用剥離剤,靴クリーム,靴墨,つや出し剤,せっけん類,歯磨き,化粧品,香料類,研磨紙,研磨布,研磨用砂,人造軽石,つや出し紙,つや出し布,つけづめ,つけまつ毛」を指定商品として、平成17年1月25日に登録出願されたものである。

2 引用商標
原査定において、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして、本願の拒絶の理由に引用した登録第4890510号商標(以下「引用商標」という。)は、別掲(2)のとおりの構成よりなり、平成17年1月11日に登録出願、第3類「家庭用帯電防止剤,家庭用脱脂剤,さび除去剤,染み抜きベンジン,洗濯用柔軟剤,洗濯用漂白剤,かつら装着用接着剤,つけまつ毛用接着剤,洗濯用でん粉のり,洗濯用ふのり,塗料用剥離剤,靴クリーム,靴墨,つや出し剤,せっけん類,歯磨き,化粧品,香料類,研磨紙,研磨布,研磨用砂,人造軽石,つや出し紙,つや出し布,つけづめ,つけまつ毛」を指定商品として、同年8月26日に設定登録されたものである。

3 当審の判断
(1)本願商標は、別掲(1)のとおり、一見して、「人の顔」と思しき図形を表したものと理解されるものであって、これをさらに詳細に観察すれば、オレンジ色の輪郭線(輪郭線の内側近辺は、内部に向かって薄くなるようグラデーションが施されている。)で表された卵形の顔部に、オレンジ色の横長楕円形状の目元部分と口元部分のみが描かれているものである。そして、その目元部分内には、白抜きで、両目とも目を閉じた状態で、かつ、まつげが下方に7本ずつ描かれており、また、口元部分内の中央には、白抜きで、口を閉じてその両端が上がった状態に見受けられる円弧が描かれているものである。
(2)一方、引用商標は、別掲(2)のとおり、これも一見して、「人の顔」と思しき図形を表したものと理解されるものであって、これをさらに詳細に観察すれば、黒塗りされた卵形の顔部に、白抜きで横長楕円的形状による目元部分と口元部分のみが描かれているものである。そして、その目元部分内には、黒色で、両目とも目を閉じた状態で、かつ、まつげが下方に7本ずつ描かれており、また、口元部分内の中央には、黒色で、口を閉じてその両端が上がった状態に見受けられる円弧が描かれているものである。
(3)そこで、本願商標と引用商標を比較するに、外観において、両者は、共に、一見して、「人の顔」と思しき図形を表したものと理解されるものであって、基本的な構成態様については、(ア)卵形の顔部に、横長楕円(的)形状による目元部分と口元部分のみが描かれている点、(イ)目元部分は、両目とも目を閉じた状態で、かつ、まつげが下方に7本ずつ描かれている点、(ウ)口元部分の中央には、口を閉じてその両端が上がった状態に見受けられる円弧が描かれている点において共通するものであるのに対し、両者の大きな相違点は、色彩の付し方を異にすることのみといえる。
もっとも、本願商標と引用商標の各部の具体的態様について仔細にみれば、曲率の相違から目元部分及び口元部分の横長楕円(的)形状に差異を有する等、細部において、差異点が存することは否定できない。
(4)しかしながら、「特定の観念や称呼を生じない商標同士の間に商標法4条1項11号にいう類似に該当する関係があるか否かの判断は、それぞれの商標の構成全体の有する外観上の印象が互いに相紛らわしいか否かによってするほかない。取引者・需要者が、図柄によって構成される商標について、必ずしも、図柄の細部まで正確に観察し、記憶し、想起してこれによって商品の出所を識別するとは限らず、商標全体の主たる印象によって商品の出所を識別する場合が少なくない。これは、我々の日常の経験に照らして明らかである。」(東京高裁 平成12年(行ケ)第147号)と判示されているところ、このことを前提にして考えるに、本願商標と引用商標は、その構成態様からして、いずれも「卵形の輪郭、目元及び口元のみをもって表した人の顔」として強く印象付けられるというのが相当である。
そして、両商標からは、共に特定の称呼が生ずるものとはいえないが、「卵形の顔の輪郭、目元及び口元のみをもって表した人の顔」を認識するという点において、互いの観念を共通にするものといい得る。
そうすると、両商標は、それぞれを特徴付ける主要な部分において、その構成の軌を一にするものというのが相当であるから、観念における共通性とも相まって、それぞれの商標の構成全体の有する外観上の印象が互いに相紛らわしいというべきであり、たとえ、色彩において差異を有し、仔細に観察すれば、目元及び口元の横長楕円(的)形状等の点において差異を有するものであるとしても、これらの差異は、時と所を異にして離隔的に観察した場合には、両者の主要な構成要素の共通性の中に埋没する微差にすぎないというべきであるから、看者の印象に強く影響を与えるものとはいい難い。
してみれば、本願商標と引用商標は、外観及び観念において、互いに相紛らわしい類似の商標であるというのが相当であり、かつ、他に両者を非類似とすべき特段の事情は見いだせない。
また、本願商標の指定商品は、引用商標の指定商品と同一又は類似の商品を含むものである。
したがって、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして本願を拒絶した原査定は妥当であって、取り消すことはできない。
(5)なお、請求人(出願人)は、「本願商標は、目元及び口元が『細長い楕円形状』によって構成されているが、引用商標は、目元及び口元が『非対称の楕円のような形状』によって構成されていることに大きな構成上の相違がある。そして、これらの相違が、顔の表情に大きな影響を与え、本願商標は、無機質な無表情という印象を与えるが、引用商標は、笑っている、フェイスマスクをして気持ちがいいという印象を与える。需要者にしてもこの点は容易に区別をつけることができるものであり、本願商標と引用商標とを離隔観察したとしても、需要者がこれらの商標を混同することはない。また、一般的に顔の表情の違いに対する人間の注意力は、さほど注意をしているつもりはなくても高いものであるから、需要者は、本願商標と引用商標とを区別して認識することができ、混同を生ずることはない。」旨主張している。
しかしながら、かかる構成において、請求人(出願人)が主張するような、明確な印象の相違があるとは、直ちに認め難く、また、これに接する需要者等が、必ずしも、図形の細部まで正確に観察し、記憶し、想起してこれによって商品の出所を識別するとは限らず、商標全体の主たる印象によって商品の出所を識別する場合が少なくないというべきであることは、さきに述べたとおりであるから、請求人(出願人)の主張を採用することはできない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲(1)
本願商標

別掲(2)
引用商標

審理終結日 2007-08-08 
結審通知日 2007-08-10 
審決日 2007-08-21 
出願番号 商願2005-5337(T2005-5337) 
審決分類 T 1 8・ 261- Z (Y03)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 小川 敏 
特許庁審判長 井岡 賢一
特許庁審判官 岡田 美加
田村 正明
代理人 小林 かおる 
代理人 畠山 文夫 

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