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審判番号(事件番号) データベース 権利
無効200689125 審決 商標
取消2007300061 審決 商標
取消200631602 審決 商標
取消200631043 審決 商標
取消200630931 審決 商標

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審決分類 審判 一部無効 商4条1項11号一般他人の登録商標 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) Z25
管理番号 1165709 
審判番号 無効2006-89124 
総通号数 95 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2007-11-30 
種別 無効の審決 
審判請求日 2006-08-29 
確定日 2007-09-13 
事件の表示 上記当事者間の登録第4771237号商標の商標登録無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 登録第4771237号の指定商品中「洋服,コート,セーター類,ワイシャツ類,寝巻き類,下着,水泳着,水泳帽,和服,エプロン,えり巻き,靴下,ゲートル,毛皮製ストール,ショール,スカーフ,足袋,足袋カバー,手袋,布製幼児用おしめ,ネクタイ,ネッカチーフ,バンダナ,保温用サポーター,マフラー,耳覆い,ずきん,すげがさ,ナイトキャップ,ヘルメット,帽子」についての登録を無効とする。 審判費用は、被請求人の負担とする。
理由 1 本件商標
本件登録第4771237号商標(以下「本件商標」という。)は、「BISU」の文字を横書きしてなり、平成13年11月15日に登録出願され、第25類「洋服,コート,セーター類,ワイシャツ類,寝巻き類,下着,水泳着,水泳帽,和服,エプロン,えり巻き,靴下,ゲートル,毛皮製ストール,ショール,スカーフ,足袋,足袋カバー,手袋,布製幼児用おしめ,ネクタイ,ネッカチーフ,バンダナ,保温用サポーター,マフラー,耳覆い,ずきん,すげがさ,ナイトキャップ,ヘルメット,帽子,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト」を指定商品として平成16年5月14日に設定登録されたものである。

2 引用商標
請求人が引用する登録第2710884号商標(以下「引用商標」という。)は、「VIS」及び「ビース」の文字を上下二段に横書きしてなり、昭和59年3月19日に登録出願、第17類「被服、布製身回品、寝具類」を指定商品として平成7年10月31日に設定登録され、その後、平成17年6月21日に商標権の存続期間の更新登録がされ、さらに、平成17年7月13日に指定商品を第5類「失禁用おしめ」、第9類「事故防護用手袋,防じんマスク,防毒マスク,溶接マスク,防火被服」、第10類「医療用手袋」、第16類「紙製幼児用おしめ」、第17類「絶縁手袋」、第20類「まくら,マットレス,座布団,クッション」、第21類「家事用手袋」、第22類「布団袋,ハンモック,布団綿,衣服綿」、第24類「布製身の回り品,布団,布団カバー,まくらカバー,敷布,毛布,かや,布団側」及び第25類「被服」とする書換登録がされているものである。

3 請求人の主張の要点
請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由及び被請求人の答弁に対する弁駁の理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1ないし第5号証(枝番を含む。なお、請求人は弁駁書において昭和36年(行ナ)144号判決写しを「甲第1号証」としているが、これは「甲第5号証」の誤記と認められる。)を提出している。
(1)無効理由
本件商標はその指定商品中、「洋服,コート,セーター類,ワイシャツ類,寝巻き類,下着,水泳着,水泳帽,和服,エプロン,えり巻き,靴下,ゲートル,毛皮製ストール,ショール,スカーフ,足袋,足袋カバー,手袋,布製幼児用おしめ,ネクタイ,ネッカチーフ,バンダナ,保温用サポーター,マフラー,耳覆い,ずきん,すげがさ,ナイトキャップ,ヘルメット,帽子」については商標法第4条第1項第11号の規定に違反して登録されたものであるから、同法第46条第1項第1号の規定により、無効にすべきものである。
(2)無効原因
(ア)商標の類似について
本件商標は、その構成中の「BISU」の欧文字から「ビス」の自然的称呼が生ずるものである。これに対し請求人の引用商標は、その構成中の「VIS」の欧文字が、角川書店外来語辞典に「ビス=[フランスVis]、スクリュー、碓ねじ、ビスの相手になる碓ねじのナットと対になるものでビスナットというように対語として用いられるすなわち、先のとがっていないねじで、金属接合用また電気のヒューズなどのつけ根に使う。『クレーンとアームをとめる4つのビス』『毎日』1954.4.15」と記載され、また、梧桐書院、外来語辞典(平成9年)にも「ビス=[仏Vis]ねじくぎ、螺旋(らせん)」と記載されていることからも分かるように既に我が国では「ビス」が外来語として取引会社に親しまれて使用されているところから、「ビス=Vis」として容易に認識される。
したがって、引用商標は、その構成中の「VIS」の欧文字から「ビス(ねじくぎ)」の観念とともに「ビス」の自然的称呼が生ずるものというべきである。
よって、本件商標は、引用商標と「ビス」の称呼を同一にする商標である。
さらに、また引用商標は、その構成中「ビース」の片仮名文字を従え、これから「ビース」の称呼によって取引される場合があるとしても、本件商標の「ビス」と引用商標から生ずる「ビース」の称呼とでは「ビ」の長音の有無に徴差があるに過ぎず、電話口頭等による取引では称呼上相紛れるおそれが十分にある。
してみれば、本件商標は引用商標と称呼上同一又は類似するものであるから、類似の商標であるといわざるを得ない。
(イ)商品の類似について
本件商標及び引用商標の指定商品についてみると、引用商標の指定商品中第25類被服は、商標法施行規則別表に示されているように、本件商標の指定商品中無効にすべきものとして上記(1)無効理由中に表示した商品のすべての商品を含む上位概念による表示であり、互に同一又は類似する関係にあることが明らかである。
(ウ)以上のとおり、本件商標は、これより先願に係る引用商標と同ー又は類似の称呼を生ずる類似の商標であると共に、その指定商品も同一又は類似であることが明らかなものであって、本件商標の登録はその指定商品中上記(1)に表示した商品については商標法第4条第1項第11号の規定に違反して登録されたものであるから、同法第46条第1項第1号の規定により無効にすべきものである。
(3)弁駁の理由
被請求人は、答弁書において、請求人は本件審判請求において利害関係を有しない旨主張している。
しかし、既に述べたとおり、本件商標は、請求人の所有に係る引用商標と類似の商標であって、同一又は類似の商品を含む商品を指定商品として登録されているものである(商標法第4条第1項第11号違反)。
商標法第4条第1項第11号は私益保護規定であることから、請求人は、自己の所有する引用商標と類似の商標が登録され、私権である商標権が稀釈化されるおそれがある場合に、これを排除する利益を有することは当然であって、本件審判請求について請求人に審判請求の利益があることは明らかである。このような場合に請求人の利害関係を否定するなら、如何なる者が利害関係を有する者とするのか理解できない。
さらに、この正当性を裏付けるため昭和36年(行ナ)144号判決の写し(甲第5号証)を提出する。
この判決は、「原告の商標が被告の商標と類似で商品も類似するかどうかにかかるものは利害関係が存在すること明らかである。」とするもので、請求人が本件審判を請求する利害関係を有することを裏付ける充分なものである。
したがって、請求人に本件審判請求の利益があることは明らかである。

4 被請求人の答弁の要点
被請求人は、本件審判の請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求め、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として乙第1及び第2号証を提出している。
(1)請求人は、本件商標はその指定商品中、「洋服,コート,セーター類,ワイシャツ類,寝巻き類,下着,水泳着,水泳帽,和服,エプロン,えリ巻き,靴下,ゲートル,毛皮製ストール,ショール,スカーフ,足袋,足袋カバー,手袋,布製幼児用おしめ,ネクタイ,ネッカチーフ,バンダナ,保温用サポーター,マフラー,耳覆い,ずきん,すげがさ,ナイトキャップ,ヘルメット,帽子」については商標法第4条第1項第11号の規定に違反して登録されたものであるから、同法第46条第1項第1号の規定により、無効にすべきものである、と主張している。
しかしながら、本件商標は、欧文字の「BISU」のみをそれぞれ等間隔を開けて左横書きしてなる構成態様のものであるのに対し、引用商標は「VIS」の欧文字と「ビース」の片仮名文字を上下二段に併記してなる構成態様のものであるから、外観的にはそれぞれ識別し得る程度に相反しており、誤認混同するおそれはなく、外観上明らかに非類似のものである。
また、本件商標からは、「ビーアイエスユー」の称呼が生じ、引用商標から生ずる「ブイアイエス」あるいは「ビース」の称呼とは明らかに聴別することができ、両者は発音的にも明らかに非類似である。なお、本件商標から仮に「ビス」の称呼を生ずることがあるとしても、引用商標から生ずる「ブイアイエス」あるいは「ビース」の称呼とは、長音符の相違等により相異なった印象を消費者、取引者に与えるもので、称呼的にも両商標は明らかに非類似のものである。
そして、本件商標は、何らの意味・観念を有しない単なる造語よりなるもので、引用商標は、フランス語で「螺子、螺旋」を意味するのが明らかであるから、意味・観念的に両者が誤認・混同を起こすおそれはなく、両商標は観念的にも明らかに非類似である。
したがって、両商標は、外観、称呼及び観念のいずれの類似要素においても非類似であり、本件商標は、同一又は類似商標の重複登録を禁じた商標法第4条第1項第11号の規定に違背して登録されたものではなく、同法第46条第1項第1号の規定をもって無効とされる理由は何ら存在しない。
(2)なお、商標法第46条第1項の無効審判請求にあっては、同法第50条第1項不使用による取消審判と異なり、登録を無効とすることについての利害関係の存在が不可欠であるところ、請求人は、本件商標登録を無効とすることについて利害関係を有することの証明を何ら行っていない。
したがって、本件商標の登録が商標法第4条第1項第11号に該当しない理由(答弁理由)についての詳細は、請求人側から本件審判請求についての利害関係の証明がなされた後に行う。
(3)被請求人は、平成14年9月5日に元の商標登録出願人である株式会社ファイブアイより、本件商標の登録出願により生じた権利を譲り受け、同年9月17日付けで出願人名義変更届を提出して、本件商標登録出願を継承し、審査段階での拒絶理由回避のため、引用された登録商標に対して商標法第50条第1項の規定による取消審判を請求する等して平成16年5月14日付けで設定の登録を受けたものである。
(4)被請求人は、出願人名義変更届を提出した平成14年頃より本件商標を商品「婦人服」関係で使用を開始し、これまで継続して使用してきた結果、一般の消費者、取引者等にブランドイメージが浸透し、自他商品識別標識として商標本来の機能を充分に奏してきているものであり、市場において請求人の取り扱い商品、特に引用商標である「VIS/ビース」を表示した商品と誤認・混同を惹起していることは一切ない。
また、被請求人側から本件請求人宛に本件商標に基づく権利を行使したことも一切ない。
なお、本件商標の使用状態を示す証拠を乙第1及び第2号証として提出する。
(5)以上のとおり、本件審判請求は利害関係を有しない者によってなされたものであるから、本件審判の請求は成り立たない。

5 当審の判断
(1)請求人適格について
請求人が本件審判の請求をする利害関係を有するか否かにつき、当事者間に争いがあるので、先ず、この点について検討する。
請求人は、引用商標の商標権者であるところ、一般に、商標権者が自己の商標権を防護するために、自己の商標と同一又は類似すると考えられる他人の商標を排除する利益を有することは当然といわなければならない。そして、請求人は、本件商標と引用商標とが類似するものであって、両商標の指定商品も抵触する旨主張しているのである。
したがって、請求人は、本件審判の請求をする法律上の利害関係を有することが明らかである。
(2)無効理由について
(ア)次に本案に入り、本件商標と引用商標との類否について検討するに、本件商標は、上記1のとおりの構成からなるところ、全体として親しまれた既成の観念を有する成語を表したものとは認められず、その構成文字に相応して「ビス」の称呼を生ずるものといえる。
他方、引用商標は、上記2のとおりの構成からなるところ、その構成中の「VIS」の文字は「ねじくぎ、ビス」を意味するフランス語であって、その表音である「ビス」は同義の外来語として親しまれているものであるから、上記「VIS」の文字部分から「ビス」の称呼を生ずるものといえる。
そうすると、本件商標と引用商標とは、外観において相違し、観念上比較すべくもないものであるとしても、「ビス」の称呼を共通にする類似の商標といわなければならない。
また、引用商標は、その構成中の「ビース」の文字部分より「ビース」の称呼も生ずるものといえるが、この「ビース」の称呼と本件商標から生ずる「ビス」の称呼にしても、「ビ」の音が長音を伴っているか否かの微差を有するにすぎず、それぞれを一連に称呼するときは、全体の音感音調が近似し彼此相紛らわしいものである。
いずれにしても、本件商標と引用商標とは、称呼上類似するものである。
(イ)そして、本件商標の指定商品中の「洋服,コート,セーター類,ワイシャツ類,寝巻き類,下着,水泳着,水泳帽,和服,エプロン,えリ巻き,靴下,ゲートル,毛皮製ストール,ショール,スカーフ,足袋,足袋カバー,手袋,布製幼児用おしめ,ネクタイ,ネッカチーフ,バンダナ,保温用サポーター,マフラー,耳覆い,ずきん,すげがさ,ナイトキャップ,ヘルメット,帽子」は、引用商標の指定商品中の第5類「失禁用おしめ」、第9類「事故防護用手袋」、第10類「医療用手袋」、第16類「紙製幼児用おしめ」、第17類「絶縁手袋」、第21類「家事用手袋」及び第25類「被服」とは、同一又は類似の商品といえるものである。
(ウ)そうすると、本件商標は、その指定商品中上記(イ)に掲げる商品については、商標法第4条第1項第11号の規定に違反して登録されたものといわなければならない。
(エ)なお、被請求人は、平成14年頃より本件商標を商品「婦人服」について使用してきた結果、一般の消費者、取引者等にブランドイメージが浸透しており、市場において引用商標に係る商品と誤認・混同を惹起したことはない旨主張し、証拠を提出している。
しかしながら、提出された証拠を徴しても、本件商標が被請求人の業務に係る商品を表示するブランドとして取引者、需要者間に浸透しているとは到底認められないし、商標法第4条第1項第11号にいう商標の類似は現実の誤認混同が生じていることを前提とするものでもないから、被請求人の主張は採用することができない。
(3)まとめ
以上のとおり、本件商標は、その指定商品中の上記(2)(イ)に掲げる商品については、商標法第4条第1項第11号の規定に違反して登録されたものであるから、同法第46条第1項第1号の規定に基づき、その登録を無効にすべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2007-07-10 
結審通知日 2007-07-17 
審決日 2007-08-02 
出願番号 商願2001-102471(T2001-102471) 
審決分類 T 1 12・ 26- Z (Z25)
最終処分 成立  
前審関与審査官 門倉 武則 
特許庁審判長 小林 和男
特許庁審判官 小川きみえ
石田 清
登録日 2004-05-14 
登録番号 商標登録第4771237号(T4771237) 
商標の称呼 ビス 
代理人 八鍬 昇 
代理人 門奈 清 

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