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審決分類 |
審判 全部申立て 登録を取消(申立全部取消) Y05 審判 全部申立て 登録を取消(申立全部取消) Y05 |
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管理番号 | 1161061 |
異議申立番号 | 異議2006-90100 |
総通号数 | 92 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標決定公報 |
発行日 | 2007-08-31 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2006-03-17 |
確定日 | 2007-06-13 |
異議申立件数 | 1 |
事件の表示 | 登録第4913581号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 登録第4913581号商標の商標登録を取り消す。 |
理由 |
1 本件商標 本件登録第4913581号商標(以下「本件商標」という。)は、「サイリズム」の片仮名文字を横書きしてなり、平成17年2月24日に登録出願され、第5類「薬剤」を指定商品として、同年12月9日に設定登録されたものである。 2 引用商標 登録異議申立人(以下「申立人」という。)の引用する登録第1899737号商標(以下「引用商標」という。)は、「サンリズム」の片仮名文字を横書きしてなり、昭和58年11月30日に登録出願され、第1類「化学品、薬剤、医療補助品」を指定商品として、同61年10月28日に設定登録され、その後、平成9年3月11日及び同18年10月24日の2回にわたり存続期間の更新登録がされ、さらに、指定商品について、同19年3月14日付けで、第1類「化学品,のり及び接着剤(事務用又は家庭用のものを除く。),植物成長調整剤類」及び第5類「薬剤,医療用油紙,衛生マスク,オブラート,ガーゼ,カプセル,眼帯,耳帯,生理帯,生理用タンポン,生理用ナプキン,生理用パンティ,脱脂綿,ばんそうこう,包帯,包帯液,胸当てパッド,歯科用材料」に、指定商品の書換登録がされているものである。 3 登録異議の申立ての理由の要旨 申立人は、申立ての理由を、要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第37号証(枝番号を含む。)を提出している。 (1)商標法第4条第1項第11号該当性について 本件商標は、片仮名文字「サイリズム」により構成されるものであり、引用商標は、片仮名文字「サンリズム」より構成されるものである。両商標は、わずか音節数5音中4音が共通し、唯一の差異音となる「イ」及び「ン」は、それぞれがもとより弱い音として聴取されるとともに、第1アクセントを有する語頭の「サ」と第2アクセントを有する「リ」との間に配され吸収されることにより、著しく弱音として聴取される。また、わずか5文字のうち4文字が完全に一致し、唯一相違する1文字は、いずれもわずか二筆の極めて簡単かつ特徴のない片仮名文字を通常の書体で表したに過ぎず、外観上両商標の差異を特段印象付ける要素もない。さらに、甲第10号証ないし甲第37号証からも明らかなように、引用商標がサントリー株式会社及びその承継人である申立人の業務に係る不整脈治療剤を示すものとして需要者等の間に広く認識されている取引実情を総合的に勘案すれば、本件商標に接した需要者等は、直ちに「サントリー株式会社及びその承継人の製造・販売に係る不整脈治療剤」との観念を抱く。以上より、本件商標と引用商標は、称呼、外観及び観念のいずれにおいても極めて類似する商標であって、指定商品も同一である。よって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。 (2)商標法第4条第1項第10号該当性について 引用商標は、申立人の前身であるサントリー株式会社医薬事業部当時より現在に至るまで、サントリー株式会社及びその承継人の不整脈治療剤を示すものとして需要者に広く認識されているものである。 また、本件商標と引用商標とは、称呼・外観・観念において極めて類似するものであって、本件商標の指定商品は、引用商標の指定商品中「薬剤」と同一であるとともに、申立人の業務に係る商品「不整脈治療剤」を含むもの である。よって、本件商標は、商標法第4条第1項第10号に該当する。 (3)商標法第4条第1項第15号該当性について 引用商標は、サントリー株式会社及びその承継人の不整脈治療剤を示すものとして需要者に広く認識されていること、本件商標と引用商標とが類似性の度合いが極めて高いこと、その他、医薬品に関する取引実情からすれば、本件商標が不整脈治療剤を含む薬剤に使用された場合に、あるいは不整脈治療剤以外の薬剤に使用された場合においても、その取引者、需要者において、これを申立人あるいは申立人と資本関係ないしは業務提携関係にある会社の業務に係る商品と混同するおそれがあることが明らかである。よって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。 4 本件商標に対する取消理由の要旨 商標権者に対して通知した取消理由は、要旨次のとおりである。 本件商標は、前記のとおり「サイリズム」の片仮名文字よりなり、申立人の所有に係る引用商標「サンリズム」とは、同じ5音より構成され、5音中の語頭を含む「サ」及び「リズム」の4音を共通にするものであって、その差は、比較的聴別し難い中間に位置する第2音において、「イ」と「ン」の音の差異を有するのみであるから、両称呼をそれぞれ一連に称呼した場合には、語感・語調が近似したものとなり、相紛れるおそれのあるものといわなければならない。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものである。 5 商標権者の意見の要旨 商標権者は、上記4の取消理由通知に対して、要旨次のとおり意見を述べた。 (1)本件商標は、原料として使用しているプランタゴ・オバタの俗称「サイリウム」の「サイリ」と、「リズム」を合わせた造語で、本件商標の商品が整腸剤であることから、自然なリズムのお通じをイメージさせる。引用商標の「サン」は、申立人の前身であるサントリー株式会社を由来をしており、「リズム」は、当該商品が不整脈治療剤であることから、「拍動」をイメージさせる造語と考えられる。よって、引用商標は、本件商標の概念とは全く別異の印象を与え、本件商標の概念を想起させ得るものでない。 (2)両商標を称呼上から比較すると、本件商標は抑揚なく連続して発音されるのに対し、引用商標は「サン」と「サ」を強調しながら韻を踏んで発生されるものと思料する。また、第2音「ン」は鼻音で、第3音「リ」を発音するために若干の間が生じ、「サン」と「リズム」に分かれて発音される。したがって、本件商標と引用商標とは、強調して発音する部位が著しく相違し、連続した発音と間のある発音の違いもあることから、十分に識別することができる。 (3)本件商標は、整腸剤であり一般医薬品又は医薬部外品として販売される商品である。かたや、引用商標は、不整脈治療に用いられる医療用医薬品である。一般医薬品又は医薬部外品と医療用医薬品では、その販売・流通の形態及び在庫管理基準が著しく異なることから取り違えて使用されることはない。 (4)本件商標と引用商標とは、概念、呼称及び外観のいずれの点においても同一ではなく、かつ類似もしない。 6 当審の判断 (1)商標法第4条第1項第11号について 本件商標は、前記1のとおり、「サイリズム」の片仮名文字を書してなるものであり、その構成文字に相応して、「サイリズム」の称呼を生ずることは明らかである。 他方、引用商標は、前記2のとおり、「サンリズム」の片仮名文字を書してなるものであり、その構成文字に相応して、「サンリズム」の称呼を生ずることは明らかである。 そこで、本件商標から生ずる「サイリズム」の称呼と、引用商標から生ずる「サンリズム」の称呼とを対比するに、両称呼は、共に5音より構成され、称呼における識別上重要な要素を占める語頭音を含む「サ」及び「リズム」の4音を共通にするものであって、その差は、第2音において、「イ」と「ン」の音の差異を有するのみである。 しかして、本件商標中の「イ」の音は、その前音「サ」の母音「ア」と二重母音を形成するものであり、この場合、最初の母音「ア」が強く、これに続く母音「イ」は弱く発音され、明確に聴取され難いものである。 他方、引用商標中の「ン」の音は、鼻音で弱い音であり、前音の「サ」に吸収されて明確に聴取され難い音である。 加えて、これらの差異音は、聴者の印象に残り難い中間に位置するものであり、この差異が、両称呼の全体に及ぼす影響は、決して大きいものということはできず、それぞれを一連に称呼するときには、全体の語感、語調が極めて近似したものとなり、彼此聞き誤るおそれがあるものといわなければならない。 してみれば、本件商標と引用商標とは、観念については、共に特定の観念を有しない造語であるから比較できないとしても、外観において近似した文字構成、配列であり、称呼においては聞き誤るおそれのあること上記のとおりであるから、これらを総合して判断すれば、両商標は、類似の商標というべきである。 そして、本件商標の指定商品は、前記1のとおり、第5類「薬剤」であり、また、引用商標の指定商品は、前記2のとおり、第5類「薬剤」を含むものであるから、本件商標の指定商品と引用商標の指定商品とは、商品「薬剤」において、同一又は類似のものである。 請求人は、前記5のとおり、本件商標と引用商標とは類似せず、商品においても著しく異なることから取り違えて使用されることはないと意見を述べているが、上記のとおり判断するのが相当であるから、請求人の主張は、採用することができない。 (2)結び したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものであるから、商標法第43条の3第2項の規定により、その登録を取り消すべきものとする。 よって、結論のとおり決定する。 |
異議決定日 | 2007-04-17 |
出願番号 | 商願2005-21139(T2005-21139) |
審決分類 |
T
1
651・
262-
Z
(Y05)
T 1 651・ 261- Z (Y05) |
最終処分 | 取消 |
前審関与審査官 | 小林 正和 |
特許庁審判長 |
田代 茂夫 |
特許庁審判官 |
伊藤 三男 岩崎 良子 |
登録日 | 2005-12-09 |
登録番号 | 商標登録第4913581号(T4913581) |
権利者 | 備前化成株式会社 |
商標の称呼 | サイリズム |
代理人 | 谷山 尚史 |
代理人 | 大房 孝次 |
代理人 | 白濱 國雄 |