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審決分類 審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 登録しない Y0305
管理番号 1158983 
審判番号 不服2005-13809 
総通号数 91 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2007-07-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2005-07-20 
確定日 2007-05-31 
事件の表示 商願2004- 55955拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は、別掲のとおりの構成よりなり、第3類及び第5類に属する願書に記載のとおりの商品を指定商品として、平成16年6月4日に立体商標として登録出願されたものであるが、その後、指定商品については、原審における同17年3月15日付け及び当審における同年7月20日付け手続補正書により、最終的に、第5類「入浴剤」と補正されたものである。

2 原査定の拒絶の理由の要点
原査定は、「本願商標は、液状や粉末状等の物質を収納する容器であると容易に認められるところ、本願指定商品との関係からすると、その商品の入った収納容器の一形態を表したものと認識させる立体的形状のみからなるものであるから、本願商標を、その指定商品について使用しても、これに接する取引者・需要者は、本願指定商品を収納する容器であることを認識するにとどまり、単に商品の包装(収納容器)の形状を、普通に用いられる方法で表示するにすぎない商標であると認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

3 当審の判断
(1)平成8年法律第68号により改正された商標法は、立体的形状若しくは立体的形状と文字、図形、記号等の結合又はこれらと色彩との結合された標章であって、商品又は役務について使用するものを登録する立体商標制度を導入した。
立体商標は、商品若しくは商品の包装又は役務の提供の用に供する物(以下「商品等」という。)の形状も含むものであるが、商品等の形状は、本来それ自体の持つ機能を効果的に発揮させたり、あるいはその商品等の形状の持つ美感を追求する等の目的で選択されるものであり、本来的(第一義的)には商品・役務の出所を表示し、自他商品・役務を識別する標識として採択されるものではない。
そして、商品等の形状に特徴的な変更、装飾等が施されていても、それは、前示したように、商品等の機能、又は美感をより発揮させるために施されたものであって、本来的には、自他商品を識別するための標識として採択されるのではなく、全体としてみた場合、商品等の機能、美感を発揮させるために必要な形状を有している場合には、これに接する取引者、需要者は当該商品等の形状を表示したものであると認識するに止まり、このような商品等の機能又は美感に関わる形状は、多少特異なものであっても、未だ、商品等の形状を普通に用いられる方法で表示するものの域を出ないと解するのが相当である。
また、商品等の形状は、同種の商品等にあっては、その機能を果たすためには原則的に同様の形状にならざるを得ないものであるから、取引上何人もこれを使用する必要があり、かつ、何人もその使用を欲するものであって、一私人に独占を認めるのは妥当でないというべきである。
そうとすれば、商品等の機能又は美感とは関係のない特異な形状である場合はともかくとして、商品等の形状と認識されるものからなる立体的形状をもって構成される商標については、使用をされた結果、当該形状に係る商標が単に出所を表示するのみならず、取引者、需要者間において当該形状をもって同種の商品等と明らかに識別されていると認識することができるに至っている場合を除き、商品等の形状を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標として商標法第3条第1項第3号に該当し、商標登録を受けることができないものと解すべきである。
(2)これを本願についてみると、本願商標は、別掲のとおりの構成よりなるものであるところ、底部が長円型をした円柱風の形状をし、上部には商品の振出口又は取出口と思しき丸い穴が開けられた容器風の形態からなるが、これからは、液状又は粉末状等の商品を収納する収納容器の一形態を表したものと理解されるものである。
そして、収納容器の左上部に、円形と細長い長方形を円弧様に配してなるものであるが、これらは、液状や粉末状の商品の収納容器あるいはその振出口又は取出口として採択し得る形状であって、商品の機能(持ち易さ、取り出し易さ)、美観を効果的に高める範囲内のものにすぎないというべきである。
(3)請求人は、審判請求書において、「本願商標は、商標見本に示される如く単なる容器の形状ではなく、特に該容器の上面で明らかなように平面視競技場のトラック状の缶であって、更に詳述すると対向する直線部が両側において円弧状部で結合されて成り、従来においてこのような形状の容器は全く採用されていないものであるから、…自他商品の識別機能を有する。…容器上面の蓋に表示された特殊なマークたる…図形部分にも自他商品の識別機能を有する。」及び、「本願商標と同様か若しくはそれよりも簡単な図形であるにもかかわらず登録されている商標がある。」旨主張しているが、上記「直線部が両側において円弧状部で結合されて成り…容器上面の蓋に表示された特殊なマーク」については、特異な形状とは認めがたく、商品の機能(使い易さ)や、美観を効果的に高めるための範囲内のものにすぎないこと上記のとおりであり、また、「従来は、このような形状の容器が採択されていない。」との主張については、単に主張するのみであって、それを裏付ける証左を見い出せず、該主張を直ちに採用できないというべきであるが、いずれにしても本件の認定に影響を与えるものでもなく、さらに、請求人が主張している登録例は、いずれも立体商標としての登録出願ではないので、本願商標と比較することは出来ない。
してみると、本願商標は、これをその補正後の指定商品である「入浴剤」に使用しても、取引者・需要者は、全体として商品「入浴剤」の包装(収納容器)の形状を表示するにすぎないものと理解するに止まり、自他商品の識別標識とは認識し得ないものと判断するのが相当である。
したがって、本願商標は商標法第3条第1項第3号に該当するものであるから、登録することはできない。
よって、結論のとおり審決する。

別掲 本願商標




審理終結日 2007-02-15 
結審通知日 2007-03-09 
審決日 2007-03-26 
出願番号 商願2004-55955(T2004-55955) 
審決分類 T 1 8・ 13- Z (Y0305)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 佐藤 久美枝松浦 裕紀子 
特許庁審判長 澁谷 良雄
特許庁審判官 石田 清
長澤 祥子
代理人 吉原 省三 

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