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審決分類 審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) 111
管理番号 1157566 
審判番号 取消2005-30436 
総通号数 90 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2007-06-29 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2005-04-15 
確定日 2007-05-07 
事件の表示 上記当事者間の登録第2708138号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 登録第2708138号商標の指定商品中、「電子応用機械器具(医療機械器具に属するものを除く)」については、その登録を取り消す。 審判費用は、被請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第2708138号商標(以下「本件商標」という。)は、「ラボソフト」の片仮名文字と「LABOSOFT」の欧文字とを二段に書してなり、昭和62年3月13日に登録出願、第11類「電気機械器具 電気通信機械器具 電子応用機械器具(医療機械器具に属するものを除く。)電気材料」を指定商品として、平成7年6月30日に設定登録されたものである。

第2 請求人の主張
請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第4号証を提出した。1 請求の理由
本件商標は、商標権者により継続して3年以上、日本国内において、商品「電子応用機械器具(医療機械器具に属するものを除く。)」について何ら使用されていない。また、本件商標権には専用使用権は設定されていないし、加えて通常使用権も登録されていないことから、通常使用権者も存在しないことが推認し得る。したがって、本件商標は、商標法第50条第1項の規定により、その指定商品中「電子応用機械器具(医療機械器具に属するものを除く。)」についての登録を取り消されるべきである。
2 答弁に対する弁駁
(1)被請求人は、「本件商標をトキシノメーターのアプリケーションソフトウェア(以下「本件使用商品」という。)について使用し、また、本件使用商品の生産は中止されているが、複数の顧客により継続使用されているため、被請求人において定期的にメンテナンスを行うとともに、在庫分については現在も販促活動を行っている。」と述べている。
しかしながら、メンテナンス業務についての使用は、商品商標である本件商標の使用ではあり得ず、また、生産を中止したような旧式・旧型のソフトウェアの在庫品の販促活動を現在も行っているというようなことは、この種の電子測定装置の進歩ないし陳腐化の速さからみて、到底あり得ない。
したがって、この主張自体、まったく信憑性のないものである。
(2)被請求人は、上記の主張に係る証拠として、乙第1号証ないし乙第5号証を提出しているので、以下これらを検討する。
ア まず、乙第1号証は、「本件使用商品販促用リーフレット」とのことであるが、見るからに古色蒼然としているのみならず、裏側には、被請求人本社の電話番号として「06-203-3741(大代表)」、東京支社の電話番号として「03-270-8571(大代表)」 と記載されている。しかしながら、東京の局番が4桁化されたのは1988年(昭和63年)2月であり(甲第3号証)、大阪の市内局番が4桁化されたのも1999年(平成11年)1月のことである(甲第4号証)。
つまり、このリーフレットは1988年(昭和63年)2月以前のものであり、このような既に18年以上前のリーフレットを使用して、現在も、当時の電子測定機器のソフトウェアの販促を行っているというようなことは、到底あり得ない。
以上のとおり、乙第1証は、本件商標が、本件審判の請求の登録前3年以内に使用されたことを証明するものではない。
イ 次に、乙第2号証は、「本件使用商品販促用リーフレット」とのことであるが、その表紙には「’96?’97」と記載してあり、すでに8年以上前のものであって、前記同様、陳腐化の速いこの種の電子測定装置のソフトウェアを、このリーフレットを使用して販促を行っているなどということは考えられない。
さらに、乙第1号証と同様、このリーフレットに記載された本社電話番号も3桁であるから、この6年以上前の古い電話番号を使用して現在も販促を行っているということも、ビジネスとしてあり得ない。
したがって、乙第2号証も、本件商標が、本件審判の請求の登録前3年以内に使用されたことを証明するものではない。
ウ 乙第3号証は、「本件使用商品販促用カタログ」とのことであるが、これに記載された本社電話番号も3桁である。さらに、最終頁右下の「95」の数字は「1995年」と推測される。
したがって、このようにほぼ10年も前の古いカタログを使用して現在も販促を行っているという被請求人の主張には信を措くことができない。
エ 乙第4号証も、「本件使用商品販促用カタログ」 とのことであるが、上記乙第3号証と同様である。
すなわち、これに記載された本社電話番号も1999年以前の3桁であり、最終ページ右下の数字からは、このカタログが「1995年」のものと推測される。
したがって、このように古いカタログを使用して現在も販促を行っているという被請求人の主張は、信憑性を欠く。
よって、乙第3証及び乙第4号証も、本件商標が、本件審判の請求の登録前3年以内に使用されたことを証明していない。
オ なお、乙第5号証の論文は、本件商標の使用に係るものではない。
(3)以上のとおり、被請求人提出の証拠は、いずれも、本件商標が、平成17年5月13日前3年間に使用された事実を立証するものではなく、むしろ、少なくとも大阪の市内局番が4桁化された1999年以前に本件商標の使用は中止されていたと解するのが合理的である。
(4)以上詳述したとおり、本件商標が請求に係る指定商品について請求の登録日前3年間に使用されたことを立証する証拠はない。

第3 被請求人の答弁
被請求人は、「本件審判の請求は成り立たない。審判費用は請求人の負担とする。」との審決を求めると答弁し、その理由を平成18年1月12日付け答弁書(以下「第1答弁書」という。)及び平成19年2月26日付け答弁書(以下「第2答弁書」という。)で要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第5号証を提出した。
1 第1答弁書
(1)被請求人は、本件審判の請求に係る指定商品中の「電子応用機械器具(医療機械器具に属するものを除く。)」の一つである電子計算機用プログラムについて、本件商標を本件審判の請求の登録前3年の間に日本国内において使用しているから、本件商標は、請求に係る指定商品である「電子応用機械器具(医療機械器具に属するものを除く。)」についての登録を取り消されるべきでない。
(2)以下、本件商標の使用事実を証明する。
使用に係る商標の構成は次のとおりである。
「ラボソフト\LABOSOFT-ET(以下「使用商標1」という。)、「ラボソフト-ET(以下「使用商標2」という。)、「LABOSOFT-ET(以下「使用商標3」という。)(以下「使用商標1」ないし「使用商標3」をまとめていうときは、「登録使用商標」という。)
(3)被請求人である和光純薬工業株式会社は、昭和62年(1987年)2月28日より日本国内において登録使用商標を本件使用商品であるトキシノメーターのアプリケーションソフトウェアに使用している。本件使用商品は日本電気株式会社のパーソナルコンピュータPC-9801上で作動するものである。現在、本件使用商品の生産は中止されているが、複数の顧客により継続使用されているため、被請求人において定期的にメインテナンスを行うとともに、在庫分については現在も販促活動を行っている。
(ア)乙第1号証は、被請求人が使用商標1を付して顧客に配布した、本件使用商品に関するリーフレットである。登録使用商標がカタカナと欧文字で大きく二段併記されている。当該リーフレットは、昭和62年(1987年)2月28日以降、現在まで本件使用商品の説明および販促用に顧客に配布されているものである。
(イ)乙第2号証は、被請求人が使用商標2を記載して顧客に配布した、本件使用商品に関する機器購入ガイドである。5、6頁にトキシノメーター本体と本件使用商品についての説明がある。使用商標2は6頁の最終行にコードおよび価格とともに記載されている。当該ガイドは、平成8年(1996年)9月以降、現在まで本件使用商品の説明及び販促用に顧客に配布されているものである。
(ウ)乙第3号証及び乙第4号証は、被請求人が使用商標2及び使用商標3を記載して顧客に配布した、本件使用商品を利用するトキシノメーターに関するカタログである。使用商標2は見開き右側のオプションの欄に記載されている。当該カタログは、それぞれ昭和60年(1985年)及び昭和62年(1987年)以降、現在に至るまで当該トキシノメーターおよび本件使用商品の説明・販促用に顧客に配布されているものである。
(エ)なお、使用商標1ないし使用商標3において登録使用商標に付加された「-ET」は商品の品質(エンドトキシン:EndoToxin)を表す付記的記号であり、商標の識別性に何ら影響を与えるものではない。また、「ラボソフト」と「LABOSOFT」は、片仮名およびローマ字の文字の表示を相互に変更するものであって同一の称呼および観念を生ずる商標であるから、登録使用商標はいずれも本件商標と社会通念上同一と認められるものである。
(4)上記のとおり、本件商標は、本件使用商品、即ちトキシノメーターのアプリケーションソフトウェア(DOS版)に使用されている。特許庁商標課編「商品及び役務の区分解説」〔国際分類第8版対応〕によれば、電子計算機用プログラムのソフトウェアは「電子の作用を応用したもので、その機械器具の機能の本質的な要素としているもの」として、「電子応用機械器具及びその部品」に属するのが原則である。乙第1号証に記載されているように、本件使用商品は当該トキシノメーター本体により測定されるデータを電子的に処理し、演算等を行うものであるから、「電子応用機械器具及びその部品」に属することは明らかである。
もっとも、前記解説によれば、電子を応用するものであっても「医院や病院で専ら使用される機械器具」である場合は例外的に「医療用機械器具」に属する旨示されているので、本件使用商品が「医療用機械器具」に属しないことについても明らかにする。上記のとおり、本件使用商品はトキシノメーター専用のアプリケーションソフトウェアであるから、当該トキシノメーターの内容について詳説する資料に基づき以下確認する。
乙第2号証に記載されるように、トキシノメーターとは、日本薬局方におけるエンドトキシン試験を行う比濁時間分析装置のことをいう。ここで、エンドトキシンとはグラム陰性桿菌の細胞膜に存在するリポ多糖体のことであり、エンドトキシン試験とは、エンドトキシンが体内に入ると発熱やショックなどをひき起こすため、注射薬や注射器、輪液、人工臓器、透析膜など医療用具の製造時に製剤中に混入していないことを確認するための試験をいう。比濁時間分析とはエンドトキシンの測定法の一つである(乙第5号証)。すなわち、当該装置が使用されるのは臨床の場面ではなく、主に工場や研究施設等における医薬品等の製造または測定の過程においてであるから、当該装置は「医院又は病院で専ら使用される」に該当せず、「医療用機械器具」に属しないことは明らかである。
このことは、特許電子図書館中の商品・役務名リストにおいて、「薬剤製造機械器具」や「薬製造機械用薬液定量供給機」等の商品が「化学機械器具」(09A06)に、「定量噴霧式吸入器用薬剤残量測定器」等の商品が「測定機械器具」(10C01)に分類されていることからも首肯することができる。
以上により、本件使用商品については、「電子応用のものであっても医療用機械器具のみは電子応用機械器具及びその部品に属しない」とする例外的取り扱いが適用されないことが明らかである。
(5)以上のように、本件審判の請求に係る指定商品である「電子応用機械器具(医療機械器具に属するものを除く。)」について、本件商標を本件審判の請求の登録日前3年の間に日本国内で使用している事実が明らかにされたものである。
2 第2答弁書
(1)被請求人はメンテナンス業務に付随するかたちで当該ソフトウェアの販促活動を実際に行っているのであり、第1答弁書に添付して既に提出した乙第1号証ないし第4号証にみるとおりの本件商標が付されたリーフレットおよびカタログをショウルームに常備し、いつでも顧客の注文に応じて配布できできる状況に置いている。被請求人が販売する商品はゲル化判定およびエンドキシン濃度値換算用に用途が特化された測定装置のソフトウェアであり、現在でも当該測定装置に関連して引き合いが存するものである。すなわち、いまだ潜在的な需要があり、顧客の注文があれば即時に販売することができる在庫ソフトウェアについて販促活動をすることは極めて自然な営業活動である。したがって、被請求人が本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において商標法第2条第3項第8号に規定する「商品に関する広告等に標章を付して展示又は頒布する行為」を本件商標について行っていたことは明らかである。
(2) なお、請求人は東京および大阪の電話番号の局番が4桁化されたのがそれぞれ1988年と1999年であることから、前記リーフレットおよびトキシノメーターのカタログの印刷時期を特定しているが、この点は第1答弁書からも明らかであり、争うものではない。かかる事実は当該リーフレット等が最初に配布された時期を示すに過ぎず、被請求人の主張を覆すものではない。

第4 当審の判断
1 乙各号証によれば、以下の事実が認められる。
(1)乙第1号証は、「商品販促用リーフレット」であるところ、その表紙の上部に「トキシノメ-タ-ET-201 アプリケーションソフトウエア」、「ラボソフト」及び「LABOSOFT-ET」と三段に横書きされ、また、「はじめに」として商品、用法及び用途等、「機能」として各種機能の各説明がされ、「使用例」としてグラフが図示され、さらに、その裏面には、被請求人本社の住所、電話番号「06-203-3741(大代表)」、東京支店の住所、電話番号「03-270-8571(大代表)」が記載されている。
しかしながら、大阪の市内局番が4桁化されたのは1999年(平成11年)1月1日からであり(甲第4号証)、東京の電話番号の4桁化されたのは1988年(昭和63年)2月である(甲第3号証)ことからすれば、乙第1号証の「商品販促用リーフレット」は、少なくとも、東京支店においては、本件審判の請求の登録日より18年以上前のリーフレットを使用して電子測定機器のソフトウェアの販促を行っていることとなり、「リーフレット、カタログ」等がその性格からして継続して古い電話番号表記のまま使用される場合があるとしても、あまりにも長期間経過しており、被請求人のその配布、使用についての主張は、不自然であり、実際この「商品販促用リーフレット」が使用されいたとは認め難いといわざるを得ない。
(2)乙第2号証は、「商品等販促用ガイド」であるところ、表紙の中央右側「機器購入ガイド」の表示の下に「’96?’97」の表示、5頁に「トキシノメーターシリーズ」の見出しの下に各商品の説明、さらにその最下部の「コード」、「品名」及び「価格」の欄に各コード、品名、価格が表示され、6頁の最下部のコードの欄に「292-14551」、品名の欄に「ラボソフト-ET Ver3.2」、及び価格の欄に「¥250,000」と表示されている。
そして、被請求人は、「当該ガイドは、平成8年(1996年)9月以降、現在まで本件使用商品の説明及び販促用に顧客に配布されているものである。」旨主張している。
しかし、西暦を表示したものと推認される表紙の「’96?’97」の表示よりすると、本件審判の請求の登録日の前3年である平成14年(2002年)5月13日よりも5年も前であり、本件審判の請求の登録日よりも8年も前の「商品等販促用ガイド」を用いて、今もって取り引きしていることとなり、また、最終頁の被請求人本社の電話番号「06-203-3741(大代表)」も上記(1)と同様であり、これよりすると、被請求人が実際この「商品等販促用ガイド」をもって、取引していたとは上記と同様に認め難いといわざるを得ない。
(3)乙第3号証は、「エンドトキシン測定装置」の表題のある「商品カタログ」と認められるところ、その3枚目中央右のオプションの見出しの下にアプリケーションソフトウェアーとして、「LABOSOFT-ET」と「ラボソフト-ET」の記載が認められるが、本社の電話番号は上記(1)及び(2)と同様で、また、「商品カタログ」発行日等は見当たらない。
(4)乙第4号証も、「エンドトキシン測定装置」の表題のある「商品カタログ」と認められるところ、その3枚目中央右のオプションの見出しの下にアプリケーションソフトウェアーとして、「LABOSOFT-ET」と「ラボソフト-ET」の記載が認められるが、他は上記(3)と同様である。
(5)乙第5号証は、被請求人のエンドトキシン測定法に関する論文であり、直接的には何ら本件商標の使用に係るものではない。
2 上記1で認定した事実、及び被請求人が、他にその請求に係る指定商品「電子応用機械器具(医療機械器具に属するものを除く。)」について、本件商標を具体的に使用していたとする、例えば、取引上一般に用いられている「注文伝票」、「納入伝票」等の取引書類を何ら提出していないことを総合すると、被請求人は、本件商標を本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において請求に係る指定商品「電子応用機械器具(医療機械器具に属するものを除く。)」について使用していたとはいえないものである。
3 以上のとおりであるから、被請求人が、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが取消請求に係る指定商品「電子応用機械器具(医療機械器具に属するものを除く。)」について、本件商標を使用していることを証明したものと認めることはできない。また、被請求人は、本件商標を取消請求に係る指定商品について使用していないことについて、正当な理由があることを明らかにしていない。
したがって、本件商標の指定商品中、「電子応用機械器具(医療機械器具に属するものを除く。)」についての登録は、商標法第50条の規定により、取り消すべきものとする。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2007-03-06 
結審通知日 2007-03-12 
審決日 2007-03-23 
出願番号 商願昭62-27070 
審決分類 T 1 32・ 1- Z (111)
最終処分 成立  
前審関与審査官 鈴木 茂久林 二郎 
特許庁審判長 澁谷 良雄
特許庁審判官 山本 良廣
石田 清
登録日 1995-06-30 
登録番号 商標登録第2708138号(T2708138) 
商標の称呼 ラボソフト、ラボ 
代理人 松本 康伸 
代理人 中川 博司 
代理人 大島 厚 
代理人 岩井 智子 
代理人 松本 尚子 
代理人 山田 威一郎 

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