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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 Y01
審判 全部申立て  登録を維持 Y01
審判 全部申立て  登録を維持 Y01
管理番号 1154037 
異議申立番号 異議2006-90380 
総通号数 88 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2007-04-27 
種別 異議の決定 
異議申立日 2006-08-14 
確定日 2007-03-10 
異議申立件数
事件の表示 登録第4951325号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第4951325号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件登録第4951325号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲のとおりの構成からなり、平成17年6月6日に登録出願、第1類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同18年3月27日に登録査定、同年5月12日に設定登録されたものである。

2 登録異議の申立ての理由(要点)
(1)引用商標
登録異議申立人メルク コマンデイトゲゼルシャフト アウフアクチェン(以下「申立人」という。)が本件商標についての取消理由として引用する国際登録第862317号商標は、「SIOSOL」の欧文字を横書してなり、DE(ドイツ連邦共和国 統一ドイツ)においてした商標登録出願に基づき、第1類に属する国際商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、2005年7月18日に国際登録されたものであり(2005年6月8日に先願権発生)、我が国を指定する通知は、2005年10月13日になされ、現在、審査に係属しているものである。
(2)引用商標の周知・著名性について
申立人は、1668年、ドイツにおいて創業以来、現在では世界28カ国、62地域に自社工場を展開するまでの世界最大級の医薬・化学企業であり、1827年にはモルヒネの製造に成功し、1904年には申立人が最初に液晶の販売を手がけたものであり、世界に先駆けてビタミンC、B1、E、Kの工業生産に成功、1960年代のパール顔料の開発も世界に類を見ない画期的なものである(甲第3号証)。
我が国においては、申立人の日本法人としてメルク株式会社が1968年に創立され、メルクグループ各社の製品の販売を主に行い、液晶、顔料、試薬や化学品・医薬品を中心に事業展開を進めている(甲第4号証及び第5号証)。
引用商標である「SIOSOL」の商標が付された化学品は、上記のような世界的ネットワークを有する申立人及びその日本法人メルク株式会社によって積極的に製造・販売がなされているものである。
以上より、引用商標は、本件商標の出願時には、申立人及びその日本法人メルク株式会社の業務に係る商品を表示するものとして、日本国内において周知・著名なものであった。
(3)本件商標と引用商標との類否について
本件商標からは、「シイソール」、「シイゾール」、「シイソル」、「シイゾル」の称呼を、引用商標からは、「シオソール」、「シオゾール」、「シオソル」、「シオゾル」の称呼を生ずる。
それぞれの対応する称呼は、いずれも、中間音である第2音において、「イ」と「オ」の差異があるにすぎず、一連に称呼したときには、称呼上彼此紛れるおそれが高いものであり、また、外観においても、6文字というやや長い文字構成における中間部の「ea」と「IO」の差異のみであるから、隔離観察を行った場合には、彼此混同する場合も少なくないものである。
そして、本件商標の指定商品である化学品類に関連する商品と引用商標が主に使用される商品「植物成長調整剤」類とは、用途が異なるとしても、広く化学物質の分野に属する商品であって、製造・販売部門を共通にするものであり、密接な関連性があるものである。
(4)商標法第4条第1項第10号及び同第15号について
以上の事情を総合勘案すれば、申立人及びその日本法人メルク株式会社の商品を表示するものとして周知・著名な引用商標と類似する本件商標がその指定商品に使用された場合、取引者・需要者をして、その商品が申立人及びその日本法人メルク株式会社の提供に係るものであるかの如く、或いは、同人と何等かの経済的・組織的関連がある者に提供に係る商品であるかの如く認識され、出所混同を生ぜしめる蓋然性が極めて高いといわざるを得ない。
よって、本件商標は、商標法第4条第1項第10号及び同第15号に違反して登録されたものであるから、取り消されるべきである。

3 当審の判断
(1)本件商標と引用商標との類否について
本件商標は、別掲に示したとおり、「Seasol」の欧文字を黄色の文字にして立体感をもたせた態様で表したものであるところ、「Seasol」の語は、特定の意味合いを有する成語とは認められないから、一定の定まった読みがあるものとはいえないが、そのような場合、これに接する取引者・需要者は、我が国において最も親しまれている外国語である英語読みをもって称呼するものとみるのが自然であり、文字の並びからみれば、「シーソル」の称呼を生ずるものとみるのが相当である。
他方、引用商標は、前記したとおりの構成からなるところ、申立人は、引用商標から「シオソール」、「シオゾール」、「シオソル」及び「シオゾル」の称呼が生ずる旨主張している。
そこでまず、本件商標から生ずる「シーソル」の称呼と引用商標から生ずる「シオソル」の称呼とを比較するに、両称呼は、第2音目において「シ(si)」の音の長音(-)と「オ」の音の差異を有するものである。しかして、「シ(si)」の音の長音である「イ(i)-」の音は、唇を平たく開き、舌先を下方に向け、前舌面を高めて口腔蓋に接近させ声帯を振動させて発する母音であって、澄んだ音として明瞭に発音され、聴取されるものである。一方、「オ(o)」の音は、唇の左右端を少し中央に寄せ、舌を少し後方に引き、後舌面を軟口蓋に向かって高め、声帯の振動によって発する音であって、開放音にして比較的明瞭に発せられ、明瞭に聴取し得るものということができる。
そうとすれば、この両音は、調音の方法を異にし、音質を明らかに異にするものであるうえ、いずれも、明瞭に聴取し得る音であるから、この両音の差異は、中間部分における差異とはいえ、いずれも4音という短い音構成からなる両称呼に与える影響は決して小さいものとはいえず、両者は、これをそれぞれ一連に称呼するも、その語調・語感を異にし、互いに聞き誤るおそれはないものというべきである。
また、本件商標から生ずる「シーソル」の称呼と引用商標から生ずるその他の称呼とを比較した場合においても、両者の称呼は、上記した「シ(si)」の音の長音(-)と「オ」の音の差異に加えて、引用商標の各称呼は、「ソ」の音が「ゾ」であったり、「ソ(ゾ)」の音に長音が加わるものであるから、本件商標とは、より一層、その語調・語感を異にすることになり、互いに聞き誤るおそれはないものということができる。
次に、両者の外観を比較するに、色彩の有無は別にしても、本件商標は、全体を立体感をもたせるような態様で表してなるのに対して、引用商標(使用に係る商標)は、通常の活字体で表したものであるから、その全体の構成から受ける印象を明らかに異にするばかりでなく、これを構成する各文字を比較してみても、中間部分とはいえ、明らかに字形の異なる「ea」と「IO(io)」の文字の差異を有するものであるから、通常の注意力をもってすれば、その外観を見誤ることはないものというべきである。
さらに、本件商標と引用商標とは、いずれも特定の意味合いを有しないものであるから、観念においては比較すべくもない。
したがって、本件商標と引用商標とは、外観、称呼及び観念のいずれの点においても紛れるおそれのない非類似の商標といわなければならない。
(2)商標法第4条第1項第10号、同第15号について
上記したとおり、本件商標と引用商標とは、互いに十分に区別し得る非類似の商標と認められるものであるから、他の要件について判断するまでもなく、本件商標は、商標法第4条第1項第10号に該当しない。
また、申立人は、引用商標を化学品について使用して周知・著名になっている旨主張しているが、申立人の提出に係る甲各号証によれば、商品紹介のウェブサイト上に引用商標が表示されている事実は認められるとしても、引用商標に係る商品の販売数量、売上高、広告宣伝の状況等、引用商標の周知・著名性を具体的に裏付ける証拠が何ら提出されていないため、申立人の提出に係る証拠をもってしては、本件商標の登録出願時において、引用商標が申立人の業務に係る商品を表示する商標として、取引者・需要者の間に広く認識されていたものと認めることはできない。
してみれば、商標権者が本件商標をその指定商品に使用しても、これに接する取引者・需要者をして、引用商標を連想又は想起させるものとは認められず、その商品が申立人又は同人と経済的又は組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかの如く、その商品の出所について混同を生じさせるおそれはないものといわなければならない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。
なお、申立人は、「申立の根拠」の項においては、商標法第4条第1項第10号と同第15号について主張しているが、「申立の理由の要約」の項においては、商標法第4条第1項第11号と同第15号を挙げているので、商標法第4条第1項第11号についても言及するに、上記のとおり、本件商標と引用商標とは、非類似の商標と認められるばかりでなく、引用商標の先願権発生日は、平成17(2005)年6月8日であり、これは、本件商標の出願日である平成17年6月6日より後のものであるから、この点からみても、商標法第4条第1項第11号の主張は理由のないものといわなければならない。
(3)むすび
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第10号、同第11号及び同第15号に違反してされたものではないから、同法第43条の3第4項の規定により、維持すべきものとする。
よって、結論のとおり決定する。
別掲 別掲 本件商標

(色彩については原本参照)
異議決定日 2007-02-20 
出願番号 商願2005-50370(T2005-50370) 
審決分類 T 1 651・ 25- Y (Y01)
T 1 651・ 26- Y (Y01)
T 1 651・ 271- Y (Y01)
最終処分 維持  
前審関与審査官 須田 亮一野口 美代子 
特許庁審判長 高野 義三
特許庁審判官 鈴木 新五
山口 烈
登録日 2006-05-12 
登録番号 商標登録第4951325号(T4951325) 
権利者 シーソル インターナショナル プロプライエタリー リミテッド
商標の称呼 シーソル、シーゾル、シー、エスイイエイ 
代理人 小倉 正明 
代理人 稲葉 良幸 
代理人 田中 克郎 

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