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審決分類 |
審判 全部申立て 登録を取消(申立全部取消) Y25 |
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管理番号 | 1153981 |
異議申立番号 | 異議2004-90088 |
総通号数 | 88 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標決定公報 |
発行日 | 2007-04-27 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2004-02-09 |
確定日 | 2007-02-16 |
分離された異議申立 | 有 |
異議申立件数 | 2 |
事件の表示 | 登録第4726798号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 登録第4726798号商標の商標登録を取り消す。 |
理由 |
1 本件商標 本件登録第4726798号商標(以下「本件商標」という。)は、「DNKYCLUB」の欧文字を標準文字で表してなり、平成15年4月4日に登録出願、第25類「洋服,コート,セーター類,ワイシャツ類,寝巻き類,下着,水泳着,水泳帽,和服,エプロン,えり巻き,靴下,ゲートル,毛皮製ストール,ショール,スカーフ,足袋,足袋カバー,手袋,布製幼児用おしめ,ネクタイ,ネッカチーフ,バンダナ,保温用サポーター,マフラー,耳覆い,ずきん,すげがさ,ナイトキャップ,ヘルメット,帽子,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,靴類(「靴合わせくぎ・靴くぎ・靴の引き手・靴びょう・靴保護金具」を除く。),靴合わせくぎ,靴くぎ,靴の引き手,靴びょう,靴保護金具,げた,草履類,仮装用衣服,運動用特殊衣服,運動用特殊靴(「乗馬靴」を除く。),乗馬靴」を指定商品として、同年11月14日に設定登録されたものである。 2 登録異議申立ての理由 登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、下記の登録商標を引用し、本件商標は、米国ニューヨークを代表するデザイナーのダナ・キャラン(Donna Karan)が、1988年より、自己のデザインにかかる商品「被服、バック」等のファッション関連商品に使用し、我が国のみならず世界的に知られる引用商標を含むものであって、その指定商品も引用商標の指定商品と抵触するものであり、商標法第4条第1項第15号、同第10号、同第19号、同第7号及び同第11号の規定に違反して登録されたものであるから、同法第43条の2第1号の規定により取り消されるべきである旨申立て、証拠資料として、甲第1号証ないし甲第149号証を提出した。 〈引用商標〉 登録第2399635号商標は、「DKNY」の文字を書してなり、平成元年10月16日に登録出願され、第17類の商標登録原簿に記載の商品を指定商品として同4年4月30日に設定登録され、その後、同14年3月19日に存続期間の更新登録がされ、同15年3月26日に第20類「クッション,座布団,まくら,マットレス 」、第24類「布製身の回り品,かや,敷布,布団,布団カバー,布団側,まくらカバー,毛布」及び第25類「被服」に指定商品の書換登録がされ、現に有効に存続するものである。 登録第2390686号商標は、「DKNY」の文字を書してなり、平成元年10月16日に登録出願され、第22類の商標登録原簿に記載の商品を指定商品として同4年3月31日に設定登録され、その後、同14年3月19日に存続期間の更新登録がされ、同15年3月19日に第18類「傘,ステッキ,つえ,つえ金具,つえの柄」、第25類「履物」に指定商品の書換登録がされ、現に有効に存続するものである。 登録第2367717号商標は、「DKNY」の文字を書してなり、平成元年10月16日に登録出願され、第21類の商標登録原簿に記載の商品を指定商品として同3年12月25日に設定登録され、その後、同13年9月4日に存続期間の更新登録がされ、同年11月7日に第14類「身飾品,貴金属製のがま口及び財布,貴金属製コンパクト,宝玉及びその模造品」、第18類「かばん類,袋物,携帯用化粧道具入れ 」、第21類「化粧用具(「電気式歯ブラシ」を除く。)」、第25類「ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト」及び第26類「ボタン類,衣服用き章(貴金属製のものを除く。),衣服用バッジ(貴金属製のものを除く。),衣服用バックル,衣服用ブローチ,帯留,ボンネットピン(貴金属製のものを除く。),ワッペン,腕章,腕止め,頭飾品,つけあごひげ,つけ口ひげ,ヘアカーラー(電気式のものを除く。),造花(「造花の花輪」を除く。)」に指定商品の書換登録がされ、現に有効に存続するものである。 以下、これらを一括して「引用商標」という。 3 本件商標の取消理由 登録異議の申立てがあった結果、商標権者に対し、期間を指定して意見を述べる機会を与えて通知した本件商標の取消理由は、要旨次のとおりである。 〈取消理由〉 (1)申立人の提出に係る甲各号証によれば、デザイナーのダナ・キャラン(Donna Karan)は、デザイナーズブランドの「アン・クライン」のチーフデザイナーであったが、1985年に独立し、「ダナ・キャラン・インターナショナル社」を設立(以下、ダナ・キャラン・インターナショナル社をはじめ申立人を含むグループ各社をまとめて「ダナ・キャラングループ」という。)。自らの名を冠したコレクションブランド「ダナ キャラン ニューヨーク(Donna Karan NEW YORK)」を発表し、1988年には、その頭文字をとった「DKNY」ブランドを発表。働く女性の多様なニーズに対応した着心地の良さと機能性を追求した被服として、世界中の人々に愛されるに至った。ダナ・キャランは、独立前、既にデザイン界で最も名誉とされる「コティ賞」を受賞しており、独立後においても、ファッション界のアカデミー賞ともいうべき「デザイナー・オブ・ザ・イヤー」等を受賞し、米国ニューヨークを代表するデザイナーとしての地位を確立した(甲第5号証ないし甲第11号証)。 我が国においては、1986年頃から、ダナ・キャランのデザインした被服等が伊勢丹や阪急百貨店等で販売されていたが、1992年に「ダナ・キャラン・インターナショナル社」の100%出資の子会社「ダナ・キャラン・ジャパン株式会社」が設立され、1998年3月26日には、申立人が同社の株式をすべて取得した。これにより、申立人は、福助株式会社等のサブライセンシーとともに、引用商標を付した被服、下着、ネクタイ、マフラー、帽子、靴、かばん類、ベルト、ハンカチ、時計、メガネ、香水等の各種商品を全国の主要百貨店や全国に144店ある「DKNY」関連の専門店等において盛大に販売し、ダナ・キャラン・ジャパン株式会社1社の売上げだけをみても、2002年度には約83億円となっている(甲第89号証)。そして、「DKNY」に関する記事は各種新聞・雑誌等において頻繁に取り上げられ、2003年2月の日本経済新聞社マーケティング調査部による「FASHION BRAND SURVEY 日経マーケティングデータ 繊維二次製品総合調査」によれば、引用商標は、婦人服部門のあなたが知っている銘柄として、29歳以下では約92%、30歳代では約93%もの者が認識している旨記載されている(甲第90号証)。 (2)上記で認定した事実によれば、引用商標は、ダナ・キャラングループの業務に係る「被服」等のファッション関連商品を表示する商標として、本件商標の登録出願日においては既に、我が国における取引者・需要者の間においても広く知られていたものと認めることができ、その著名性は登録査定時においても継続していたものということができる。 (3)本件商標は、前記のとおり、「DNKYCLUB」の欧文字を横書きした構成からなるところ、全体として特定の意味合いを認識し得るものとも認められないばかりでなく、その構成中の「CLUB」の文字は、同好会等を意味する日常語として広く用いられている語であることから、自他商品識別機能の点からみれば、出所表示機能の極めて弱い部分といわなければならない。 そうとすれば、本件商標の要部は「DNKY」の文字部分にあると認められるものであり、この「DNKY」の文字部分と引用商標「DKNY」とは、中間における「N」と「K」の文字が置換しているにすぎないものであるから、両者は、外観において彼此相紛らわしいばかりでなく、それぞれから生ずる「ディーエヌケイワイ」と「ディーケイエヌワイ」の称呼においても相紛らわしいものといわなければならない。そして、本件商標の指定商品は、申立人の業務に係る商品と同一の商品を含む密接な関係にある商品である。 (4)以上を総合してみれば、本件商標は、その構成中にダナ・キャラングループが「被服」等のファッション関連商品について使用する著名な商標「DKNY」と極めて紛らわしい「DNKY」の文字を含むものであるから、商標権者が本件商標をその指定商品について使用するときは、これに接する取引者・需要者は、ダナ・キャラングループの使用に係る著名な引用商標を想起し、該商品がダナ・キャラングループあるいは同人と何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかの如く、商品の出所について混同を生ずるおそれがあるものといわなければならない。 したがって、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第15号に違反してされたものである。 4 商標権者の意見 商標権者は、次のように意見を述べ、証拠資料として乙第1号証ないし乙第4号証(枝番号を含む。)を提出した。 (1)引用商標である「DKNY」は、全国的に著名な商標ではない。 「DKNY」は、デザイナー「ダナ・キャラン」ブランドのセカンドラインである。そのため、その著名性はファーストライン「ダナ・キャラン・ニューヨーク」よりも劣るものであるから、「ダナ・キャラン」の著名性を以て「DKNY」の著名性を認定することは出来ない。 また、「DKNY」が、「ダナ キャラン ニューヨーク(Donna Karan NEW YORK)」の頭文字であるとしても、「DKNY」の文字が「ダナ・キャラン」を直接的に想起させる構成になっていないため、「DKNY」から、「ダナ・キャラン」を想定することは不可能である。 加えて、外国における店舗展開についていえば、甲第110号証をみても、「ラルフローレン」や「カルバンクライン」に比べ遅れが目立つと記載されているように、引用商標は著名の領域には達していないことは明らかである。 確かに、甲第55号証ないし甲第57号証には、「DKNY」系列のショップリストが添付され、日本全国に144店舗も存在しているとあるが、その都道府県別の内訳を見ると、日本全国の約6割の都道府県にしか店舗が存在していないこと、販売実績についても、甲第14号証から明らかなとおり、「DKNY」のみの売り上げ金額とはいえないものであること、かつ、広告の方法、回数、内容からしても、本件商標の出願時における引用商標の全国的な著名性は認められないものである。 (2)本件商標と引用商標は、外観・称呼・観念を総合しても、相紛れることのない非類似商標であり、混同を生じるおそれもないものであるから、商標法第4条第1項第15号に該当しない。 (3)まとめ 以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第15号の規定に違反して登録されたものではなく、さらに申立人が主張している同第10号、同第19号、同第7号及び同第11号の規定にも該当しない。 5 当審の判断 商標権者は、前記4のとおり意見を述べているので、この点について判断する。 (1)引用商標の著名性について 引用商標は、前記3 取消理由に記載のとおり、申立人の提出した甲号証よりすれば、本件商標の出願時及び登録査定時において、我が国及び世界的に知られた著名な商標と認められるものである。 (2)本件商標と引用商標の類否について 本件商標は、前記のとおりの構成よりなるところ、構成中の「CLUB」の文字が広く同好の士の集団を意味するものとして一般に親しまれた語であることから、「DNKY」の文字部分に強い注意力が注がれ、当該文字部分と引用商標とは、文字列の最初の「D」と最後の「Y」を共通にし、中間において「N」と「K」の順番が入れ替わっているにすぎず、かつ、本願商標の構成文字に相応して生ずる「デイケイエヌワイ」の称呼と引用商標の構成文字に相応して生ずる「デイエヌケイワイ」の称呼も彼此聴別し難いものである。 そうとすると、本願商標と引用商標は、外観上及び称呼上相紛らわしいものといわななければならない。 (3)出所の混同について 本件商標は、前記のとおり世界的に著名なデザイナーであるダナ・キャランのデザインに係る被服等のファッションに関連する商品に使用して周知著名性を獲得している引用商標「DKNY」と外観及び称呼において相紛らわしい「DNKY」の文字を含むものであり、また、本件商標の指定商品と引用商標に係る服飾等のファッション関連商品とは、需要者、取引者を共通にするものであり、密接な関連があるといえる。 してみると、本件商標は、これをその指定商品に使用した場合、その前半の「DNKY」の文字部分より需要者が著名な引用商標を連想、想起して、その商品が請求人又は同人と組織的、経済的に何らかの関係を有する者の業務に係る役務であるかの如く、役務の出所について混同を生ずるおそれのあるものといわなければならない。 (4)結語 したがって、本件商標は、前記3の取消理由のとおり、商標法第4条第1項第15号の規定に違反して登録されたものであり、これに対する商標権者の意見は上記のとおり採用することができないから、その登録は、商標法第43条の3第2項の規定により取り消すべきものとする。 よって、結論のとおり決定する。 |
異議決定日 | 2006-12-22 |
出願番号 | 商願2003-26999(T2003-26999) |
審決分類 |
T
1
651・
271-
Z
(Y25)
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最終処分 | 取消 |
前審関与審査官 | 小川 きみえ |
特許庁審判長 |
柴田 昭夫 |
特許庁審判官 |
岩崎 良子 小川 有三 |
登録日 | 2003-11-14 |
登録番号 | 商標登録第4726798号(T4726798) |
権利者 | 株式会社メンズショップ三峰 |
商標の称呼 | ドンキークラブ、デイエヌケイワイクラブ |
代理人 | 羽鳥 亘 |
代理人 | 飯島 紳行 |
代理人 | 小椋 崇吉 |