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審決分類 審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) 117
管理番号 1148323 
審判番号 取消2005-30863 
総通号数 85 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2007-01-26 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2005-07-19 
確定日 2006-11-13 
事件の表示 上記当事者間の登録第2137506号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 登録第2137506号商標の指定商品中「被服(運動用特殊被服を除く)」については、その登録は取り消す。 審判費用は、被請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第2137506号商標(以下「本件商標」という。)は、「ZOLDER」の欧文字と「ゾルダー」の片仮名文字を2段に横書きしてなり、昭和62年1月31日に登録出願、第17類「被服(運動用特殊被服を除く)布製身回品(他の類に属するものを除く)寝具類(寝台を除く)」を指定商品として、平成1年5月30日に設定登録され、その後、同11年6月22日に商標権の存続期間の更新登録がなされているものである。

第2 請求人の主張の要点
請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第3号証(枝番を含む。)を提出した。
1 請求の理由
本件商標は、その指定商品中「被服(運動用特殊被服を除く)」について、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれによっても使用された事実が存しないことから、その登録は商標法第50条第1項の規定により、取り消されるべきである。
2 答弁に対する弁駁
(1)被請求人は、請求人が本件審判請求につき利害関係の主張立証がないから、請求人適格を有しないと主張するが、商標法第50条第1項は、「何人も」当該条項に基づく審判を請求することができると明示しており、同項の審判を請求することについて、請求人が利害関係を有することを主張立証することが必要とされていないことは明らかである。
したがって、請求人が本件審判請求について利害関係の主張立証をしていないことを理由として、本件審判請求が不適法な請求であるとして却下されるべきであるとの被請求人の主張は、失当である。
(2)被請求人が、本件商標を本件審判請求に係る指定商品のうちTシャツについて使用していると主張し、その証拠として提出した乙各号証は、本件審判請求の登録前3年以内における本件商標の本件審判請求に係る指定商品についての使用とは何ら関係を有しないもの及び被請求人自身又は本件審判について被請求人と共通の利害関係を有するものが自ら作成したにすぎないものに終始し、いずれも、本件審判請求の登録前3年以内に、日本国内において、本件商標が、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかによって、本件審判請求に係る指定商品について使用されていることを立証するものではない。以下、乙各号証につき検討する。
(ア)乙第1号証及び乙第2号証は、本件商標を付した商品の写真(以下「本件商品写真」という。)であり、いずれも本件審判請求の予告登録日である平成17年8月8日の後である同年9月28日に撮影された写真であって、それ自体、本件審判請求の登録前3年以内における本件商標の使用の事実を証明するものではない。
(イ)乙第3号証は、被請求人が本件商標についての通常使用権を許諾したと主張する株式会社ワイズインターナショナル(以下「ワイズ社」という。)の商業登記簿謄本の写しにすぎず、本件商標が商品「被服(運動用特殊被服を除く)」に使用された事実を証明するものではない。
(ウ)乙第4号証は、被請求人がワイズ社との間で締結したと主張する「商標権についての通常使用権許諾契約書」の写しであるが、それ自体、ワイズ社が現実に本件審判請求の登録前3年以内に本件商標を商品「被服(運動用特殊被服を除く)」に使用した事実を証明するものではない。
(エ)乙第5号証は、「浙江東方集団服装服飾進出口公司(GARMTEX IMPORT EXPORT CO.,LTD. )」なる中国法人(以下「浙江東方社」という。)のディレクターの名刺の写しにすぎず、何ら本件商標の使用を証明するものではない。
(オ)乙第6号証及び乙第7号証は、2通の生産依頼書(以下、あわせて「本件生産依頼書」という。)の写しであり、被請求人は、ワイズ社が浙江東方社に対して本件生産依頼書をもって、本件商品写真に撮影されたイ号Tシャツ及びロ号Tシャツの製造委託を開始したと主張するが、以下の理由により、本件商標の使用を証明するものではない。
(a)本件生産依頼書には、以下のような不備及び不自然な点が存在する。
(i)審判において、書証の申し出として文書を提出する場合は原本を提出することが必要とされるところ、被請求人は本件生産依頼書の写ししか提出していない。
(ii)本件生産依頼書は、担当者の欄に「佐藤」の捺印があるだけで、その作成者は不明である。
(iii)本件生産依頼書は、その文書の趣旨から合理的に考えて、通常同一人が一時に記載作成するべきものと考えられるところ、乙第6号証の各記載欄のうち、「メーカー Maker」、「品番 Style No.」及びその他の欄に記載された文字の筆跡がそれぞれ全く異なるし、また、「メーカー Maker」の欄の「浙江東方」と「様」の文字は筆跡も、記載するのに使用した筆記具も異なるものと見られ、「浙江東方」と「様」の文字の間に不自然な間隔がある。
(iv)乙第7号証も同様に、各記載欄のうち、「品番 Style No.」とその他の欄に記載された文字の筆跡が全く異なり、使用された筆記具も異なる。
(b)本件生産依頼書は、ワイズ社が作成したものであるところ、被請求人が主張するところによれば、ワイズ社は被請求人の通常使用権者であって、本件審判において被請求人と共通の利害関係を有するものであるから、そのようなものが自ら作成した本件生産依頼書に客観性はなく、証拠力はないか、あるとしても極めて乏しいものである。
(c)本件生産依頼書の成立及びその証拠力についてはひとまずおくとして、そもそも本件生産依頼書は本件商標の使用とは何ら関係がない。なぜならば、商品について商標の使用とは、ア.商標を商品または商品の包装に付する行為(商標法第2条第3項第1号)、イ.商標を商品または商品の包装に商標を付したものを譲渡等する行為(同第2号)、ウ.商品に関する広告、価格表もしくは取引書類に標章を付して展示、頒布する行為(同第8号)をいうところ、本件生産依頼書を作成し、浙江東方社に送付する行為は、上記のいずれの行為にも該当しないからである。
なお、本件生産依頼書の右肩には、「Brand」と記載された欄に手書きで「ZOLDER」と記入されているが、以下の理由により、商標法第2条第3項第8号に該当する商標の使用行為があったということはできない。
(i)商標法第2条第3項第8号にいう「取引書類」とは、注文書、納品書、送り状、出荷案内書、物品領収書、カタログ等をいい、生産依頼書は「取引書類」には含まれない。
(ii)商標法第2条第3項の要件を形式的に満足する場合でも、それが出所を識別する表示として使用されていなければ、商標として使用されているとは認められない。そこで、本件生産依頼書を検討すると、右肩の「Brand」と記載された欄に「ZOLDER」と手書きで記入されているのは、その他の各記載欄に記載された事項と同様に、本件生産依頼書によって生産を依頼する相手方及び依頼の内容を特定するための情報として記載されているものにすぎず、商品の出所を識別する表示として使用されているものではないから、商標の使用には当たらない。
(iii)本件生産依頼書は中華人民共和国に所在する浙江東方社に送付された物であり、日本国内で頒布されたものではないから、日本国内における本件商標の使用とは何ら関係のないものである。
(iv)以上のとおり、本件生産依頼書は、そもそも証拠力が認められず、仮に証拠力が認められるとしても極めて乏しいものである。
(カ)乙第8号証は、被請求人が、ワイズ社がイ号商品及びロ号商品を納入したと主張する株式会社しまむら(以下「しまむら」という。)の商業登記簿謄本の写しにすぎず、本件商標が商品「被服(運動用特殊被服を除く)」に使用された事実を証明するものではない。
(キ)乙第9号証及び乙第10号証は、2通の納品伝票(以下、あわせて「本件納品伝票」という。)の写しであり、被請求人は、本件納品伝票をもって、ワイズ社がしまむらの発注を受け、平成17年2月19日にイ号Tシャツ及びロ号Tシャツを納品したと主張するが、以下の理由により、本件商標の使用を証明するものではない。
(a)本件納品伝票には、以下のような不備及び不自然な点が存在する。
(i)審判において、書証の申し出として文書を提出する場合は原本を提出することが必要とされるところ、被請求人は本件納品伝票の写ししか提出していない。
(ii)本件納品伝票は、その作成者が全く不明である。
(iii)被請求人は、本件納品伝票を納品伝票と主張するが、「発注書A」と記載されており、これを納品伝票と解することができない。
(iv)本件納品伝票の右上方には「しまむらグループ」の表示があるが、法人名も住所の表示もなく、被請求人がイ号シャツ等を納品したと主張するしまむらとの同一性を確認することができない。
(v)本件納品伝票には、「発注者名」の欄に発注者の記載もなく、検印もない。
(vi)通常Tシャツのような衣料品は、消費者の需要に応じるとともに、商品に対する市場の反応(売行き)を判断するために、異なるサイズの商品をそれぞれ相当数量納入し販売するものであるが、本件納品伝票は、店番0901から店番0983まで、83件の店舗に対して、「サイズ140-1L」の「A-ハッピー-3ラグラン」あるいは「A-ハッピー-3レイヤードT」という商品をそれぞれ各1着ずつ納品したという内容になっており、取引として不自然である。
(b)被請求人の主張によれば、本件納品伝票はワイズ社が作成したものであるところ、同社は被請求人通常使用権者であって、本件審判において被請求人と共通の利害関係を有するものであるから、そのようなものが自ら作成した本件納品伝票に客観性はなく、証拠力はないか、あるとしても極めて乏しいものである。
(c)本件納品伝票の成立及びその証拠力についてはひとまずおくとして、本件納品伝票には本件商標はどこにも付されていないから、本件納品伝票自体、本件商標の使用の事実を立証するものではない。
(3)被請求人は、本件納品伝票に記載された商品記号「1145」及び「1146」が、本件商品写真に撮影されたイ号Tシャツ及びロ号Tシャツに付された下げ札(以下「本件下げ札」という。)に印刷されたStyle No.及び本件生産依頼書に記載された品番と外見上一致することをもって、本件審判請求の登録日前3年間における本件商標の使用を立証したと主張するようであるが、そもそも本件納品伝票その真正な成立に疑問があり、証拠力がないか、あるとしても極めて乏しいものである。一方で、ア.本件商品写真は、本件審判請求の日の後である平成17年9月28日に撮影されたものであり、本件下げ札が本件審判請求の予告登録日である同年8月8日以前に作成され、イ号Tシャツ及びロ号Tシャツに付されていたという証明がないこと、イ.本件生産依頼書は、被請求人と共通の利害関係を有するものが作成したもので客観性がない上、「品番 Style No.」の欄に記載された数字は、本件生産依頼書の他の記載欄の記載事項とは筆跡も使用された筆記具も明らかに異なることから、後日、作成者とは別人によって記入されたものであると推認せざるを得ないこと、ウ.本件納品伝票の「品名」欄には「A-ハッピー-3ラグラン」あるいは「A-ハッピー-3レイヤードT」と記載されており、「ZOLDER」の商標の表示はどこにもなく、2004年11月22日に本件生産依頼書が作成された時点で「ZOLDER」というブランド名が決まっていたのに、2005年2月に発行されたしまむらへの本件納品伝票で全く異なる「ハッピー」という品名で商品が特定されるということは極めて不自然であること、エ.本件商品写真に撮影されたイ号Tシャツ及びロ号Tシャツを仔細に検討すると、それぞれの胸部には、「The special Darkeness which Heats in the hell」(地獄で熱する特別な暗闇)という、本件納品伝票に記載された品名「ハッピー」(幸せな)とは正反対の観念を生じる文字が記載されていることが認められ、このような文字が記載されたTシャツが「ハッピー」(幸せな)というような品名で特定されるとは考えられないことから、本件納品伝票に記載された商品は、イ号Tシャツ及びロ号Tシャツとは全く異なる商品であると推断せざるを得ないこと、以上の事実を考慮すると、本件審判請求があった後に、本件納品伝票に記載された商品記号との整合性を持たせるために、事後的に本件生産依頼書にこれらの品番が記入され、本件下げ札が作成された可能性は極めて高いといわざるを得ない。
したがって、本件商品写真、本件生産依頼書、本件納品伝票、その他の乙各号証を総合して考慮しても、「ワイズ社が、イ号Tシャツ及びロ号Tシャツをしまむらに対して平成17年2月19日に納品を開始し、それ以来販売、納品を継続して現在に至っている」という被請求人主張の事実が立証されたということはできない。
商標法第50条第1項に基づく審判において、被請求人が使用の事実を立証すべき挙証責任を果たしていないと判断された審決例として、審決平成13年10月23日(取消2000-30526;甲第3号証)がある。
そして、商標法第50条第2項においては、不使用取消審判においては被請求人が登録商標の使用の事実を立証する責任を負うことが明示されており、上記の審決に照らせば、本件審判における被請求人の主張及び乙各号証によっては、被請求人がかかる挙証責任を果たしたと認めることは到底できない。
(4)以上のとおり、被請求人は、本件審判請求の登録日前3年以内に日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者が本件取消審判の請求に係る指定商品についての本件商標の使用をしたことを何ら立証していない。

第3 被請求人の答弁の要点
被請求人は、「本件審判の請求は成り立たない。審判費用は請求人の負担とする。」との審決を求めると答弁し、その理由及び弁駁に対する答弁を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第10号証、及び検乙第1号証及び検乙第2号証を提出した。
1 答弁の理由
(1)請求人は、本件審判請求につき利害関係の主張立証がなく、請求人適格を有しない。
不使用取消審判の請求人適格について、現行商標法は制限規定を設けてはいないが、利益がなければ訴権なしとの民事訴訟法上の原則は当然に適用されると解すべきであり、通説及び審決例も同様に解している。
したがって、この点からして、本件審判請求は不適法な請求であるから、却下されるべきものである。
(2)被請求人は、本件審判請求に係る指定商品「被服」について通常使用権を許諾しており、当該通常使用権者によって品番/商品記号/Style No.を「1145」(以下「イ号Tシャツ」という。)及び同「1146」(以下「ロ号Tシャツ」という。)の2種のTシャツについて各々に本件商標を付して「現在使用中」である(乙第1号証及び乙第2号証、検乙第1号証及び検乙第2号証)。
(3)被請求人は、件外ワイズ社(乙第3号証)との間に、平成16年9月6日付けで本件商標についての通常使用権の許諾契約を締結(乙第4号証)して現在に至っているものである。
(4)通常使用権者であるワイズ社は、本件商標についての通常使用権の許諾契約締結以後の平成16年11月22日に、件外浙江東方社(乙第5号証)に対し、イ号Tシャツ及びロ号Tシャツについて、製品仕様を指示する生産依頼書(乙第6号証及び乙第7号証)をもって製造委託を開始した。
(5)ワイズ社は、上記の委託製造による同社製品のイ号Tシャツ及びロ号Tシャツを、しまむら(乙第8号証)からの平成17年2月15日の発注を受けて、同年2月19日に納品を開始(乙第9号証及び乙第10号証)し、それ以来、販売、納品を継続して現在に至っている。
(6)乙第9号証及び乙第10号証は、ワイズ社作成に係るイ号Tシャツ及びロ号Tシャツについての本件納品伝票であり、しまむらからの指定様式に拠って作成してなるものであって、該本件納品伝票中の「取引先コード 5809」はワイズ社を指すものである。
2 弁駁に対する答弁
(1)本件審判請求に係る指定商品に属する商品Tシャツについて、本件商標を表示、使用している事実は、イ号Tシャツ(検乙第1号証)及びロ号Tシャツ(検乙第2号証)をもって明らかであり、そして、イ号Tシャツ及びロ号Tシャツが、本件審判請求の登録前3年以内に、日本国内において、通常使用権者によって製造され、かつ、販売された経緯並びにその製造及び販売の事実は、乙各号証によって明らかである。
(2)請求人は、乙各号証は本件審判請求の登録前3年以内における本件商標の本件審判請求に係る指定商品についての使用とは何ら関係を有しないものと主張するが、イ号Tシャツ(検乙第1号証)及びロ号Tシャツ(検乙第2号証)には、本件商標が表示されているし、Tシャツは、本件審判請求に係る指定商品に属するものである。したがって、イ号Tシャツ及びロ号Tシャツは、本件審判請求に係る指定商品についての本件商標の使用の事実を示すものである。
(3)請求人は、乙各号証は被請求人自身又は本件審判について被請求人と共通の利害関係を有する者が自ら作成したものと主張するが、イ号Tシャツ(検乙第1号証)及びロ号Tシャツ(検乙第2号証)について、その製造及び販売の事実は、専らその製造及び販売に関わった者によって証明されるべきものである。
(4)イ号Tシャツ(検乙第1号証)及びロ号Tシャツ(検乙第2号証)のそれ自体の製造、販売に係る経緯並びにその製造及び販売の事実は、乙各号証によって本件審判請求の登録前3年以内に、日本国内において、通常使用権者によって行われたことは明らかである。
(5)よって、本件審判請求に係る指定商品について本件商標は、本件審判請求の登録前3年以内に、日本国内において、通常使用権者によって使用されたことは明らかである。

第4 当審の判断
1 取消審判請求の利害関係について
本件審判は、当事者間に利害関係について争いがあるので、この点について判断するに、商標法第50条による審判請求における請求人適格については、商標法の一部を改正する法律(平成8年法律第68号)により、「利害関係人」に限定されることなく、「何人」にも認められることになったものであるから、商標法第50条による本件審判請求は、何人によってもなし得るところであり、請求人が何ら利害関係を疎明する必要はないと解される。
したがって、この点についての被請求人の主張は採用できない。
2 本件商標の使用事実について
被請求人の提出した乙第1号証ないし乙第10号証、及び検乙第1号証及び検乙第2号証によれば、次の事実が認められる。
(1)乙第1号証及び検乙第1号証、並びに乙第2号証及び検乙第2号証は、図柄の異なった2種の長袖Tシャツの商品写真とその実物見本であり、各商品写真には、「撮影年月日 平成17年9月28日」、「撮影者 住所 愛知県名古屋市昭和区御器所通り1丁目12番地 翠明ビル201号 氏名 松波 秀樹」の表示がなされ、該商品写真は、全体写真と拡大写真(襟部)の2枚から構成されており、拡大写真には、前記実物見本と同様の下げ札とネームタグ(織ネーム)が撮影されており、それらには「ZOLDER」と表示又は記載されている。そして、下げ札には、商品説明中に、「Style no 1145」(乙第1号証及び検乙第1号証)或いは「Style no1146」(乙第2号証及び検乙第2号証)と記載されている。
(2)乙第3号証は、履歴事項全部証明書と題する登記簿謄本の写しであり、履歴事項中に、「商号 株式会社ワイズインターナショナル」、「本店 名古屋市中区丸の内三丁目16番8号LIVRE久屋2階」と記載されている。
(3)乙第4号証は、商標権についての通常使用権許諾契約書の写しであり、契約内容中に、通常使用権の許諾の対象の商標権として「商標登録番号 第2137506号 指定商品及び商品の区分 第17類 被服(運動用特殊被服を除く)、布製見回品(他の類に属するものを除く)、寝具類(寝台を除く)」と、通常使用権の範囲として「(1)地域 日本全域 (2)期間 本契約締結の日から平成18年12月31日迄 (3)内容 商品被服に関する本件商標権に係る登録商標の使用」と、契約日及び当事者として「平成16年9月6日」、「名古屋市中区錦二丁目9番29号 鬼頭株式会社(代表者の記載押印)」、「名古屋市中区丸の内三丁目16-8 LIVRE久屋2F 株式会社ワイズインターナショナル(代表者の記載押印)」と、それぞれ記載されている。
(4)乙第5号証は、名刺(表裏)の写しであり、名刺中には、 会社名として「GARMTEX IMPORT EXPORT CO.,LTD.」及びその中国語表示「浙江東方集団服装服飾進出口公司(一部漢字に置き換えて表示)」の記載がされている。
(5)乙第6号証及び乙第7号証は、生産依頼書の写しであり、いずれも「Y'Z INTERNATIONAL CO.,LTD.」が「浙江東方」に発行したと思しきものであって、各生産依頼書中には、「DATE 2004.11.22」、「メーカー 浙江東方 様」(乙第6号証)又は「メーカー 浙江東方 GONG様」(乙第7号証)、「品名 ラグランTシャツ」(乙第6号証)又は「品名 フェイクレイヤードTシャツ」(乙第7号証)、「Brand ZOLDER」、「品番 style No. 1145」(乙第6号証)又は「品番 style No. 1146」(乙第7号証)、「製品納期 1回目 Date 2005.1.10 7600PCE.」と記載されている。
(6)乙第8号証は、履歴事項全部証明書と題する登記簿謄本の写しであり、履歴事項中に、「商号 株式会社しまむら」と記載されている。
(7)乙第9号証及び乙第10号証は、発注書の写しであり、いずれも「しまむら グループ」が「ワイズ」に発行したと思しきものであって、各発注書中には、「お取引先名 ワイズ」、「発注日 2005年02月15日」、「納品日 2005年02月19日」、「商品記号 1145」(乙第9号証)又は「商品記号 1146」(乙第10号証)、「品名 A-ハッピー3ラグランT」(乙第9号証)及び「品名 A-ハッピー3レイヤードT」(乙第10号証)、「発注総数量 83」、「実納品数 83」と記載されている。
(8)以上の事実によれば、被請求人と株式会社ワイズインターナショナルは、平成16年9月6日付けで本件商標をその指定商品中「被服」につき、契約日から平成18年12月31日までの間において使用することを主な内容とする通常使用権許諾契約書を締結していること、また、Y'Z INTERNATIONAL CO.,LTD.は、2004年11月22日に、浙江東方と略称(略記)されるメーカーに対し、ブランドを「ZOLDER」とする「ラグランTシャツ(品番 1145)」及び「フェイクレイヤードTシャツ(品番 1146)」を、「2005年1月10日」を納期として、数量を各7600枚とする生産依頼書を作成したこと、さらに、しまむらグループは、ワイズと略称(略記)される取引先に対し、発注日が「2005年02月15日」で、商品記号を「1145」及び「1146」、品名を「A-ハッピー3ラグランT」及び「A-ハッピー3レイヤードT」、発注総数量を各83枚とする発注を行い、その納品は「実納品数 83」で「 2005年02月19日」を納品の日とすることが認められる。そして、「長袖Tシャツ」の商品写真は、平成17年9月28日に撮影されたものであって、該商品写真中の下げ札とネームタグには、その実物見本と同様に、「ZOLDER」と表示又は記載されており、さらに、下げ札には「Style no 1145」及び「Style no1146」と記載されていることを確認できるものである。
しかしながら、上記乙各号証中には、本件商標の通常使用権者である「株式会社ワイズインターナショナル」(乙第3号証)について、「Y'Z INTERNATIONAL CO.,LTD.」(乙第6号証及び乙第7号証)或いは「ワイズ」(乙第9号証及び乙第10号証)と記載され、その同一性を直ちに認定し難い表示となっており、被請求人の答弁の内容の裏付けとして提出された各書証の整合性に疑問を生ずるものであること、また、生産依頼書(乙第6号証及び乙第7号証)は、仕様等の商品の内容を特定するための記載を主とするものであって、本件商標を商品「長袖Tシャツ」について使用した(具体的な販売事実等)ことを直接的に明らかにしているものとはいえないこと、さらに、発注書(乙第9号証及び乙第10号証)は、請求人によれば納品伝票であるとしているが、納品日、商品番号、品名等の記載は認められるものの、「しまむらグループ」から「ワイズ」を名宛てとするものであって、株式会社しまむらへの納品を裏付ける売上伝票等の販売書類の添付・補足提出もされていないこともあり、具体的事実の立証のための書証と認めるに足りないものであることから、これら証拠によっては、本件商標の取消請求に係る商品についての使用事実を立証するものとはいえない。そして、商品写真(乙第1号証及び乙第2号証)は、本件審判の請求の予告登録日(平成17年8月8日)以後の、平成17年9月28日に撮影されたものであり、その実物見本(検乙第1号証及び検乙第2号証)も含め、これらは要証期間内に本件商標を請求に係る指定商品について使用した事実を立証するための証拠としては採用できない。
3 被請求人の主な主張について
被請求人は、弁駁に対する答弁において、1)本件審判請求に係る指定商品に属する商品Tシャツについて、本件商標を使用している事実は、イ号Tシャツ(検乙第1号証)及びロ号Tシャツ(検乙第2号証)をもって明らかである、2)イ号Tシャツ及びロ号Tシャツの製造、販売に係る経緯、並びにその製造及び販売の事実は、乙各号証によって本件審判請求の登録前3年以内に、日本国内において、通常使用権者によって行われたことは明らかである旨主張している。
しかしながら、乙各号証については、各書証の整合性に疑問を生ずるものであり、また、本件商標を商品について使用した(具体的な販売事実等)ことを明らかにしているとはいえないものである。さらに、具体的事実の立証の書証ということはできないものであって、これら証拠によっては、本件商標の取消請求に係る商品についての使用事実を立証するものとはいえないこと、そして、使用事実を立証するための証拠としては採用することができないものをも含むことは、上記判断のとおりであるから、被請求人の前記主張を認めることはできない。
4 まとめ
以上のとおり、本件商標は、本件審判請求の登録前3年以内に日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれによっても、その請求に係る指定商品について使用されていないものであり、また、使用されていないことについて正当な理由があるものともいえないから、商標法第50条第1項の規定に基づき、本件商標の指定商品中、結論掲記の商品については、その登録を取り消すべきである。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2006-09-14 
結審通知日 2006-09-20 
審決日 2006-10-03 
出願番号 商願昭62-9068 
審決分類 T 1 32・ 1- Z (117)
最終処分 成立  
前審関与審査官 板垣 健輔川崎 義晴 
特許庁審判長 山田 清治
特許庁審判官 澁谷 良雄
久我 敬史
登録日 1989-05-30 
登録番号 商標登録第2137506号(T2137506) 
商標の称呼 ゾルダー 
代理人 山田 信義 
代理人 橋口 泰典 
代理人 廣中 健 
代理人 松波 秀樹 

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