ポートフォリオを新規に作成して保存 |
|
|
既存のポートフォリオに追加保存 |
|
PDFをダウンロード |
審決分類 |
審判 全部申立て 登録を取消(申立全部取消) Y25 |
---|---|
管理番号 | 1145261 |
異議申立番号 | 異議2005-90039 |
総通号数 | 83 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標決定公報 |
発行日 | 2006-11-24 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2005-01-21 |
確定日 | 2006-09-14 |
異議申立件数 | 1 |
事件の表示 | 登録第4819697号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 登録第4819697号商標の商標登録を取り消す。 |
理由 |
第1 本件商標 本件登録第4819697号商標(以下「本件商標」という。)は、「Jim Dunlop」の文字を標準文字としてなり、平成16年5月11日に登録出願、第25類「ティーシャツ,その他の被服」を指定商品として、同年11月19日に設定登録されたものである 第2 申立人の主張する取消理由(要旨) 登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、本件商標は、商標法第4条第1項第11号及び同第15号に該当すると主張し、その理由を要旨以下のとおり述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし同第26号証を提出している。 (1)商標法第4条第1項第11号について 本件商標は、「DUNLOP」の欧文字からなる登録第1886423号商標及び同第1992543号商標と称呼を同じくする類似する商標であり、指定商品も抵触する。 (2)商標法第4条第1項第15号について 申立人は、被服、テニス・ゴルフ等のスポーツ用品、タイヤ等について世界的な著名な商標「DUNLOP」(以下「引用商標」という。)の日本における所有者であり、引用商標をハウスマークとして使用しており、2004年の連結売上高は、4,705億6,200万円となっている(甲第26号証)。 引用商標は、商品「タイヤ」については、1909年より、商品「スポーツ用品」については1930年より、商品「被服」については遅くても1986年より日本で申立人により使用されている(甲第10号証ないし同第12号証、同第26号証)。また、引用商標は、ハウスマークのため、申立人の扱う商品全てに使用されている。 引用商標は、ゴルフボール、ゴフフクラブ、被服に関する新聞広告に頻繁に使用されている。例えば、1999年1月から2003年11月に至る77回、日本経済新聞(発行部数296万部)に引用商標に関する広告が掲載された(甲第13号証)。同じく2001年5月から2004年4月に至る15回、雑誌「テニスマガジン」(株式会社ベースボールマガジン社発行、発行部数約25万部」)に「被服」、「テニスラケット」等に関する広告が掲載された(甲第14号証及び同第15号証)。同じく2003年1月から2004年4月に至る6回、雑誌「月刊ゴルフダイジェスト」(株式会社ゴルフダイジェスト、発行部数約13万冊)に「ゴルフ用品」に関する広告が掲載された(甲第15号証及び同第16号証)。 引用商標の商品「スポーツ用品(スポーツ用被服を含む)」の1986年から2004年までの合計売上高は、約9,320億であり、年間約400億円から500億円である(甲第17号証)。また、引用商標の商品「スポーツ用品(スポーツ用被服を含む)」の1988年から2004年までの販売経費使用実績(広告費)は、合計約798億円であり、年間約30億円から40億円となっている(甲第18号証)。 引用商標は、日本有名商標集(AIPPI日本部会発行)に掲載される(甲第19号証及び同第20号証)と共に、英和商品名辞典(研究社発行)、日本語になった外国語辞典(集英社発行)、リーダーズ・プラス(研究社発行)及びコンサイスカタカナ語辞典(三省堂発行)等にも商標として紹介されている(甲第21号証ないし同第24号証)。 よって、これらの証拠方法により、申立人の引用商標「DUNLOP」が申立人の取扱に係る商品、被服、テニス・ゴルフ等のスポーツ用品、タイヤ等の出所を表示する商標として、本件商標出願日(2004年5月11日)前より既に日本国の当業者及び需要者間に於いて周知・著名であったことは明らかである。 そうすると、(ア)本件商標は、引用商標を包含する点、(イ)本件商標の指定商品と引用商標の使用に係る商品「被服」と同一商品であり、または、スポーツ用品も本件商標の指定商品と製造者、販売者を同じくする近似した商品であり、需要者を共通にする点、(ウ)引用商標または引用商標を含む商標は、日本では申立人及びその関連会社によってのみ使用されており、商標の唯一性がある点、(エ)引用商標が我が国を含め世界的に著名であることを総合勘案すると、本件商標が指定商品に使用された場合、引用商標が日本を含め世界的に著名であることと相俟って、当該商品が申立人の商品に係るものであると誤信させるおそれがある商標のみならず、当該商品が申立人との間にいわゆる親子会社や系列会社等の緊密な営業上の関係又は同一の表示による商品化事業を営むグループに属する関係にある営業主の業務に係る商品等であると誤信されるおそれがあること明らかである。 第3 本件商標に対する取消理由 当審において、商標権者に対して、平成17年12月6日付で下記内容の取消理由を通知した。 記 申立人の提出した証拠によれば、申立人の引用商標「DUNLOP」は、タイヤ、ゴルフ用品、テニス用品等に継続して使用されてきたが、前記商品にやや遅れて1998年頃より、帽子、スポーツに関連したシャツやパンツ等の被服についても使用がなされるようになり、その後、前記商品等について継続して使用された結果、本件商標の登録時はもとより、その出願時において既に、本件商標の指定商品の需要者をはじめとした需要者間に広く認識され、申立人の社標的な商標(ハウスマーク)として、著名なものになっていたということができる。 しかして、本件商標と引用商標についてみると、本件商標は「Jim Dunlop」の文字からなるところ、両文字間には空白があり視覚上で分離していることに加え、「Jim」と「Dunlop」とが常に不可分一体に結合したものとしてのみ看取されるとすべき理由はみいだせない。そして、後半の「Dunlop」の文字は、上記の周知・著名な引用商標「DUNLOP」と大小文字の違いのほかは、文字構成を全く同じにするものであるから、本件商標は引用商標をその一部に含む構成からなるものというのが相当である。 そして、本件商標の指定商品は、引用商標の使用商品である被服とは同一又は類似のものであり、需要者も共通にするものである。また、引用商標の使用商品であるゴルフ用品、テニス用品等と本件商標の指定商品とは、用途などからみて関連性の高い商品ということができる。 してみれば、本件商標は、その指定商品に使用するときには、需要者が本件商標の構成中の「Dunlop」の部分より一見して直ちに引用商標を想起、連想して、当該商品を、申立人又はこれと組織的、経済的に関係のある者の業務に係る商品であるかのごとくに誤認し、その出所について混同するおそれがあるといわざるを得ないものである。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものである。 第4 当審の判断 上記「第3」の取消理由の通知について、期間を指定して意見書を提出する機会を与えたが、商標権者からは何らの応答もない。 そして、上記「第3」の取消理由は妥当なものと認められるので、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものであり、商標法第43条の3第2項の規定により取り消すべきものである。 よって、結論のとおり決定する。 |
異議決定日 | 2006-04-27 |
出願番号 | 商願2004-43008(T2004-43008) |
審決分類 |
T
1
651・
271-
Z
(Y25)
|
最終処分 | 取消 |
前審関与審査官 | 小畑 恵一 |
特許庁審判長 |
山口 烈 |
特許庁審判官 |
伊藤 三男 山本 良廣 |
登録日 | 2004-11-19 |
登録番号 | 商標登録第4819697号(T4819697) |
権利者 | ダンロップ マニュファクチュアリング インコーポレイテッド |
商標の称呼 | ジムダンロップ、ジム、ジェイアイエム、ダンロップ |
代理人 | 柳生 征男 |
代理人 | 足立 泉 |
代理人 | 杉村 興作 |
代理人 | 廣田 米男 |
代理人 | 末野 徳郎 |
代理人 | 中田 和博 |
代理人 | 青木 博通 |