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審決分類 |
審判 全部取消 商50条不使用による取り消し 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) 110 |
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管理番号 | 1145013 |
審判番号 | 取消2005-30946 |
総通号数 | 83 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2006-11-24 |
種別 | 商標取消の審決 |
審判請求日 | 2005-08-04 |
確定日 | 2006-09-26 |
事件の表示 | 上記当事者間の登録第1918698号の2商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 登録第1918698号の2商標の商標登録は取り消す。 審判費用は、被請求人の負担とする。 |
理由 |
1 本件商標 本件登録第1918698号の2商標(以下「本件商標」という。)は、昭和59年6月15日に登録出願され、同61年12月24日に設定登録された登録第1918698号商標権について、平成9年2月24日の分割移転登録により分割がされ登録第1918698号の2となった商標権に係る商標であって、「ALLEGRO」の文字を書してなり、第10類「医療機械器具、この部品及び付属品(他の類に属するものを除く)」を指定商品とするものである。 2 請求人の主張 請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証を提出した。 被請求人は、本件商標をその指定商品のいずれについても継続して過去3年以上使用していない。 また、本件商標については、専用使用権、通常使用権の設定登録はなされていない。さらに本件商標について通常使用権者も存せず、これらの者によって本件商標が上記商品について使用された事実はない。 以上のとおり、被請求人は本件商標を使用してこなかったものであり、もとより、被請求人が本件商標を使用していないことについて、正当な理由を有する余地はない。 よって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により取り消されるべきものである。 3 被請求人の答弁 被請求人は、「本件審判の請求は成り立たない。審判費用は請求人の負担とする。」との審決を求め、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし同第4号証(枝番を含む。)を提出した。 なお、被請求人は、提出に係る証拠に甲号証の符号を付しているが、被請求人の提出に係る証拠であるから、これらの甲各号証の符号を乙各号証として扱った。 (1)本件審判請求の(予告)登録の日は、平成17年8月23日である。 被請求人は、本件審判の請求の登録前3年の間に、日本国内において、本件商標をその指定商品である医療機械器具の付属品に使用している。 (ア)被請求人は、アメリカ合衆国カリフォルニア州サンクレメンテに所在する医療機械器具及び医薬品の製造販売会社である。 被請求人は、東京都中央区晴海所在の協和メディックス株式会社(以下「協和メディックス」という。)との間に契約を締結し、商標「ALLEGRO」及び「AllegroLITE」を使用した体外診断用放射性医薬品(以下「医薬品」という。)並びに商標「AllegroLITE」を使用した「全自動化学発光免疫測定システム機」(以下「アナライザー」という。)を販売している。 協和メディックスは、被請求人から購入した医薬品及びアナライザーを販売するほか、その測定に使用するリアクションチューブを独自に調達し、これに被請求人の使用許可の下に商標「アレグロ」及び「アレグロライト」を付して販売している。 (イ)これらの関係は、次のとおりとなる。 協和メディックスが、被請求人から購入した「アナライザー」には、「Allegro LITE」の商標が付されているが、協和メディックスは、被請求人の許可の下に、これに商標「アレグロライト」を使用し、販売している。 さらに、同アナライザー用に被請求人から購入した医薬品を商標「アレグロライト」を付して同アナライザーの購入者に販売し、さらに、アナライザーに使用する「リアクションチューブ」に商標「アレグロライト」を使用して販売している。 乙第1号証の写真が、アナライザーにリアクションチューブを挿入する状況を示しているが、同アナライザーの使用者は、このように医薬品「アレグロライト」を使用し、検体ラックに並べられたリアクションチューブを使用して、同アナライザーにより測定を行う(乙第1号証を参照)。 このように、リアクションチューブは、アナライザーの一部品として使用されるものであり、使い捨てのため、毎回新しいものが必要となり、協和メディックスは、多数のリアクションチューブをアナライザーの使用者に販売している。 (ウ)被請求人は、協和メディックスに医薬品「ALLEGRO」を販売している(乙第2号証の1ないし6を参照)。しかし、医薬品「ALLEGRO」を使用した測定システムは、他社の放射能測定機により測定されるため、被請求人は、これを日本において販売していない。放射能測定機は、他社製のものであるが、医薬品「ALLEGRO」を使用するときに、リアクションチューブが必要となるため、協和メディックスは、被請求人の許可の下に、商標「アレグロ」を付した「リアクションチューブ」を販売している(乙第3号証の1ないし3を参照)。 商標「アレグロ」を付した包装箱に納められたリアクションチューブは、例えば、平成17年4月8日及び平成17年6月17日に納入されている。商標「アレグロ」は、本件登録商標「ALLEGRO」を通常に音読みして表示してなるものであるから、社会通念上、本件商標と同一と認められるものである。 (2)よって、本件商標は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、商標権の通常使用権者により使用されているので、本審判請求は成り立たない。 4 当審の判断 被請求人と協和メディックスとの間の契約により、協和メディックスは、被請求人から購入した商標「ALLEGRO」及び「AllegroLITE」を使用した医薬品(「体外診断用放射性医薬品」)並びに商標「AllegroLITE」を使用したアナライザー(「全自動化学発光免疫測定システム機」)を販売するほか、その測定に使用するリアクションチューブを独自に調達し、これに被請求人の使用許可の下に商標「アレグロ」及び「アレグロライト」を付して販売している旨主張するので、以下検討する。 (1)被請求人が、契約により協和メディックスが本件商標を使用していると述べ、かつ、提出した協和メディックスの商品パンフレット(乙第1号証)に被請求人の名称と認められる「Nichols Institute Diagnostics」の文字が表示されていることからすれば、協和メディックスは、両当事者間における口頭等により合意された通常使用権者と推認される。 (2)被請求人の提出に係る「全自動化学発光免疫測定システム アレグロライト」と記載された商品パンフレット(乙第1号証)及び体外診断用放射性医薬品のパンフレット(乙第2号証)によれば、被請求人の述べるアナライザー「全自動化学発光免疫測定システム」は、悪性腫瘍に伴う高カルシウム血症の診断・鑑別、治療効果の判定(乙第2号証の1)や甲状腺の機能低下症、機能亢進症と健常者との鑑別診断(乙第2号証の2)などのために、測定試薬を用いて内分泌系ホルモンを測定する化学発光免疫測定装置であり、また、体外診断用放射性医薬品は、その測定に用いられる試薬であると認められる。 そうすると、乙第1号証の商品「全自動化学発光免疫測定システム」は、主に病院、診療所などの医療現場において臨床検査などに使用される医療用機器であるということができ、本件審判の取消請求に係る指定商品「医療機械器具、この部品及び付属品(他の類に属するものを除く)」に属する商品と認めるのが相当である。しかしながら、乙第2号証の体外診断用放射性医薬品は、上記医療機器に用いられる測定用の試薬であり、取消請求に係る指定商品に包含されるものではない。 そこで、乙第1号証の全自動化学発光免疫測定システムの商品パンフレットに表示されている「アレグロライト」の片仮名文字からなる商標(以下「使用商標」という。)が該商品に使用されている商標と認められるところ、使用商標は、同一書体で一連一体に極めてまとまり良く表されているものであり、これよりは、「アレグロライト」の称呼のみものというのが相当である。 一方、本件商標は、前記1のとおり、「ALLEGRO」の欧文字を書してなるものである。 そうすると、使用商標は、ローマ字の文字の表示を相互に変更するものであって、同一の称呼及び観念を生ずるものとはいえないものであって、本件商標とは別異の識別標識としての機能を果たす標章と看取されるといわざるを得ないものである。 この点について、被請求人は、上記乙第1号証の使用商標は「アレグロ」の文字部分がその主要部を構成するものであるなどの主張、立証をしているものではない。そして、この種商品の取引の実情を考慮してみても、使用商標に接した取引者、需要者がその構成中の「アレグロ」の文字部分を識別力を有するものと認識し得るとすべき格別の事由は見いだせないから、結局、使用商標は、本件商標と社会通念上同一と認められる商標とはいえないものである。 (3)また、被請求人が乙第1号証の商品「全自動化学発光免疫測定システム」に使用される部品であると述べる商品「リアクションチューブ」については、乙第3号証の1ないし3の「アレグロキット用アッセイチューブと記載された包装箱の写真」及び乙第1号証の商品パンフレットを照らし合わせても、「リアクションチューブ」がこの商品のどの部分の部品であるか判然とせず、例えば、検体である採血管から検体を分注する部品については「検体分注ブローブ」と記載され、試薬を分注する部品については「試薬分注ブローブ」と記載されるに止まり、乙第1号証の商品パンフレットには「リアクションチューブ」の記載は見当たらない。さらに、乙第3号証をみても、「リアクションチューブ」の記載も「全自動化学発光免疫測定システム」の記載もなく、他の証拠にもこの点に関する記載はない。 そうすると、被請求人の証拠では、乙第3号証の商品「リアクションチューブ」が、乙第1号証の「全自動化学発光免疫測定システム」の部品であると認めることは困難であるといわなければならない。 (4)次に、乙第4号証の1及び2の「納品書」をみるに、この納品書に記載された品名欄に記載された文字は、その一部が欠けるなどしており、これのみでは判読できるものではないものの、乙第3号証との関係よりみれば、この文字は「アレグロキット用アッセイチューブ」と記載されているものと推認することができる。しかしながら、この納品書は、上記と同様の理由により本件商標の指定商品の取引書類とは認め難いものである。 他に、本件商標をその指定商品に使用していると認め得る証拠はない。 (5)むすび 以上、被請求人の答弁の全趣旨及び乙各号証を総合的に判断しても、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかがその請求に係る指定商品のいずれかについての本件商標の使用をしていたことを証明したものとは認められない。 したがって、商標法第50条の規定により、本件商標の登録を取り消すべきものとする。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2006-04-26 |
結審通知日 | 2006-05-02 |
審決日 | 2006-05-17 |
出願番号 | 商願昭59-62780 |
審決分類 |
T
1
31・
1-
Z
(110)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 小松 英世 |
特許庁審判長 |
野本 登美男 |
特許庁審判官 |
小林 薫 寺光 幸子 |
登録日 | 1986-12-24 |
登録番号 | 商標登録第1918698号の2(T1918698-2) |
商標の称呼 | アレグロ |
代理人 | 高橋 康夫 |
代理人 | 関根 秀太 |