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審決分類 審判 全部無効 商4条1項15号出所の混同 無効としない Y14
審判 全部無効 商4条1項11号一般他人の登録商標 無効としない Y14
管理番号 1143375 
審判番号 無効2005-89090 
総通号数 82 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2006-10-27 
種別 無効の審決 
審判請求日 2005-07-15 
確定日 2006-08-21 
事件の表示 上記当事者間の登録第4777934号商標の商標登録無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第4777934号商標(以下「本件商標」という。)は、「EGERIE DIVINE」の欧文字と「エジェリディヴィーヌ」の片仮名文字とを二段に書してなり、第14類「キーホルダー,貴金属製食器類,貴金属製宝石箱,身飾品,貴金属製のがま口及び財布,宝玉及びその模造品,貴金属製コンパクト,時計」を指定商品として、平成15年10月16日に登録出願、同16年6月11日に設定登録されたものである。

第2 引用商標
請求人が、本件商標の登録無効の理由に引用する国際登録第803932号商標(以下「引用商標」という。)は、「EGERIE」の欧文字を書してなり、2003年2月13日にスイス国においてした商標登録出願に基づきパリ条約第4条による優先権を主張して、第14類「Cuff links,rings,bracelets,earrings,necklaces,brooches;watches,chronometers,pendulum clocks.」を指定商品として、2003年5月15日に国際登録され、平成16年1月9日に我が国において設定登録されたものである。

第3 請求人の主張
請求人は、「本件商標の登録を無効とする。審判費用は被請求人の負担とする。」との審決を求めると申し立て、その理由を次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第18号証(枝番号を含む。)を提出した。
1 請求の理由
(1)商標法第4条第1項第11号について
本件商標は、その構成文字に相応して、「エジェリディヴィーヌ」の称呼を生じるが、7音と比較的冗長であること、また、商標中の上段の欧文字部分において、「EGERIE」と「DIVINE」に間隔があることから、視覚上分離して看取されるばかりでなく、特定の意味合いを有する熟語ともいい難いから、これらを一体のものとして把握しなければならない理由はない。
さらに、本件商標構成中の「EGERIE」の欧文字部分は、「政治家・芸術家などの女性助言者」という意味を表すフランス語の単語であり(甲第5号証)、また、後述するように、請求人傘下のヴァシュロン・コンスタンタン(以下「ヴァシュロン社」という。)の業務に係る「腕時計」の商標として周知となっている(甲第10号証及び甲第11号証の1ないし15)のに対し、該構成中の「DIVINE」欧文字部分は、フランス語で「神の,素晴らしい」といった意味を表す形容詞にすぎない(甲第6号証)から、識別力は弱く、本件商標の要部は、「EGERIE」の欧文字部分であると考えられる。
以上の事実よりすれば、本件商標をその指定商品中、引用商標の指定商品と類似する「身飾品,宝玉及びその模造品,時計」について使用するときは、取引者及び需要者が、本件商標中の「EGERIE」の欧文字部分に着目し、これより生ずる「エジェリ」の称呼をもって、取引に資する場合が少なからずあるものと見るのが相当である。
他方、引用商標は、その構成文字に相応して「エジェリ」の称呼を生ずるものである。
したがって、本件商標と引用商標は、「エジェリ」の称呼及び「政治家・芸術家などの女性助言者」の観念を共通にする類似の商標といえる。
このことは、過去の審決例(甲第7号証ないし甲第9号証)からも、妥当であると考えられる。
また、本件商標の指定商品のうち「身飾品,宝玉及びその模造品,時計」は、引用商標の指定商品「rings,bracelets,earrings,necklace,brooches,watches,chronometers,pendulum clocks」に類似する。
したがって、本件商標の登録は、指定商品「身飾品,宝玉及びその模造品,時計」について、商標法第4条第1項第11号に違反してされたものである。
(2)商標法第4条第1項第15号について
(ア)「EGERIE」商標(以下「引用標章」という。)の周知性
請求人は、カルティエ、モンブラン、ダンヒル等の有名ブランドを数多く傘下に収めており、高級腕時計ブランド「ヴァシュロン・コンスタンタン」もその1つである。
ヴァシュロン社は、1755年にスイス国ジュネーブにおいて創立されて以来、250年の歴史を誇る最古の時計メーカーであり、高級腕時計のメーカーとして、需要者の間では、よく知られている。
そして、ヴァシュロン社は、2003年10月頃から、我が国において、引用標章を付した女性向け高級腕時計(以下「EGERIE商品」という。)の販売を開始し、EGERIE商品のみを紹介するためのパンフレット(甲第10号証)を作成するなど、EGERIE商品について、積極的に広告・宣伝活動を行った。その結果、EGERIE商品は、高級感のあるエレガントな時計として、ファッションに敏感な女性の注目を集め、数多くの雑誌等においても紹介された(甲第11号証の1ないし15)。また、EGERIE商品は、最も安い商品でも、その価格は95万円もする高額商品であるが、2003年10月の販売開始から現在までに、168本も販売されている(甲第12号証)ことからも、その人気の高さがうかがわれる。
(イ)混同のおそれ
本件商標は、周知・著名な引用標章と、同じ綴り字の「EGERIE」を有するものである。
また、上述のとおり、本件商標の指定商品のうち「身飾品,宝玉及びその模造品,時計」については、商標法第4条第1項第11号に該当するが、それ以外の商品「キーホルダー,貴金属製食器類,貴金属製宝石箱,貴金属製のがま口及び財布,貴金属製コンパクト」についても、高級腕時計と商品の提供者、販売場所、需要者の範囲が共通することが多く、密接な関係が認められることから、これらの商品に本件商標が使用された場合にも、ヴァシュロン社又は同社と組織的・経済的に何らかの関係がある者の業務に係る商品であると混同を生ずるおそれがある。
したがって、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第15号に違反してされたものである。
2 答弁に対する弁駁
(1)商標法第4条第1項第15号について
(ア)引用標章の使用態様について
被請求人主張のとおり、EGERIE商品の文字盤には、引用標章は、表されておらず、該商標は腕時計の裏蓋に刻まれているが、腕時計の文字盤には、そのブランド(製造・販売する者)のみが刻まれ、個々の製品名が文字盤に表されないことは普通に行われているところである。例えば、カルティエ社の「パシャ」「タンクフランセーズ」「サントス」といったモデルは、同社を代表する腕時計であり、カルティエ社の業務に係る腕時計を表す商標として、我が国の需要者に広く知られているが、それらの商品名が、文字盤に表されることはなく、文字盤には「CARTIER」の商標のみが表示されている(甲第13号証)。同様に、パテック・フィリップ社の「カラトラバ」も、同社の代表的な腕時計であるが、その商品名は、腕時計の文字盤には表されていない(甲第14号証)。
そうすると、EGERIE商品に接する需要者が、引用標章をこの腕時計の商品名として認識するのは明らかであり、文字盤の表面に商品名が刻まれていないことは、こうした認識に何ら影響を及ぼすものではない。
したがって、引用標章が文字盤に表されていないことをもって、請求人が引用標章を商標として使用していないという被請求人の主張は、誤りである。
(イ)引用標章の周知性について
被請求人は、2003年9月までに請求人が販売したEGERIE商品の数量はわずか15個であり、これをもって、請求人の商標の周知性を認めることはできない旨主張する。
しかし、EGERIE商品は、高額なものであるから、わずか1ヶ月間で15個という販売数量は、この種の高級時計の販売実績としては、決して少ないものではない。
また、販売実績(甲第12号証)は、請求人の日本における輸入総代理店であるリシュモンジャパン株式会社を通じて、販売された数量のみである。 高級輸入時計は、総代理店以外の並行輸入業者も多数輸入して販売していることが多いため、実際に日本国内で販売された数量は、甲第12号証に示したよりも多いものと推測できる。
さらに、EGERIE商品は、2003年にスイス国ジュネーブで開催された高級時計国際見本市において、ヴァシュロン社の新作として発表され(甲第15号証)、発表と同時に話題となり、我が国の高級腕時計の需要者にも知られることとなったのである。
したがって、引用標章は、請求人によって商標として使用された結果、我が国の需要者に周知となっている。
(2)商標法第4条第1項第11号について
(ア)被請求人は、本件商標全体からは、「女神の助言」「女神のような助言者」といった意味合いが生じるため、単なる「女性の助言者」とは、観念において異なると主張する。
しかし、「EGERIE DIVINE」なる語が、慣用句又は熟語として一体不可分に把握されるべき客観的理由は、何ら示されていない。
(イ)被請求人は、本件商標には片仮名が付されていることをもって、一連一体に称呼すべきであると主張する。
しかし、被請求人は、本件商標を実際に使用する際には片仮名を付していないことが多く(甲第16号証及び甲第17号証)、さらに、「EGERIE」を上段に大きく表し、「DIVINE」、「PARIS」を下段に小さく表した態様で使用していた例もあり(甲第18号証)、本件商標に片仮名が付されていることをもって、称呼及び観念上の類似を否定する被請求人の主張は、根拠がない。
なお、被請求人は、請求人が、刊行物提出を行ったにもかかわらず本件商標が登録されたため、本件商標が商標法第4条第1項第11号に該当するという請求人の主張は、理由がない旨述べるが、審判においては、個別の商標の使用状況等、個別具体的な事情を勘案して、当該商標登録を無効にすべきか否かを判断するものであるから、審査と異なる判断がなされることがあるのは、当然であり、審査段階で看過された瑕疵ある商標登録を無効にするという無効審判制度の趣旨からしても、上記被請求人の主張は、失当である。
3 結び
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号及び同第15号に該当し、同法第46条第1項第1号により、無効とされるべきものである。

第4 被請求人の答弁
被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第14号証(枝番号を含む。)を提出した。
1 商標法第4条第1項第15号に対する反論
(1)請求人は、2003年10月に、我が国でEGERIE商品の販売を開始し、現在までに168個販売したと主張するが、甲第12号証によれば、本件商標が登録出願される2003年9月までの販売数は15個である。その販売数をもって、引用標章の著名性を主張することは、無理がある。
(2)また、請求人は、甲第10号証をもって、EGERIE商品を販売したとするが、実際に「時計」の商標として使用されているのは、「VACHERON CONSTANTIN」であり、引用標章ではない。しかも、甲第10号証は、いつ、どこに、どのくらい配布されたものかも、不明である。
また、甲第11号証の1ないし15は、いずれも、本件商標の登録出願後に発行されたものであって、本件審判における著名の立証とは関連がない。
さらに、引用標章は、時計の個別ブランドとしての使用というよりは、その時計について、何らかの特定の雰囲気付けを与えるために用いた形容詞ともいうべきであって、一種のキャッチフレーズ的使用態様である。本来、時計のブランドを表示すべき場所は、時計の文字盤の内側部分であり、需要者は、そこを見てブランドを認識するのである。しかるに、本来、ブランドを表示すべき部分には、請求人の代表的商標である「VACHERON CONSTANTIN」が示されているだけであり、引用標章は、需要者からは見えない時計の裏側に刻まれているにすぎない。
したがって、EGERIE商品に使用している商標は、「VACHERON CONSTANTIN」であり、引用標章ではない。
(3)以上のように、これらの証拠をもって、本件商標の登録出願時において、引用標章が著名であったとすることはできない。
よって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものではない。
(4)本件商標の使用実績
被請求人は、本件商標の登録出願前に、第14類に登録出願(2003年2月14日)し登録を受けた「EGERIE/エジェリ」商標(登録第4771002号、乙第1号証、以下「被請求人商標」という。)を使用していた。被請求人は、被請求人商標の登録出願時において、請求人が被請求人商標と類似する引用商標を1日違いでスイスに出願していた等とは知る由もなかった。被請求人は、フランス人女性デザイナー(ソフィー・ヴィルピーグ)のデザインに係るジュエリーについて、2003年3月頃より、また、時計について同年ll月頃より、被請求人商標の使用を開始し、相当規模の宣伝広告も行い、独自の営業努力で商品展開を開始したのであるが、僅か1日とはいえ、請求人のスイスを第1国とする優先権主張出願のため、指定商品の一部「時計、身飾品」については、後願となってしまった。
そこで、被請求人は、やむなく、被請求人商標の使用を「時計、アクセサリー」等については、中止することを決定し、これに代わる商標として本件商標を採択したのである。
したがって、たった1日だけ先願となった引用商標をもって、被請求人に対し著名性を主張し、また、本件審判にて提出した程度の僅少の使用事実をもって、本件商標に対し、著名性などを主張するのは、見当違いも甚だしい。
2 商標法第4条第1項第11号に対する反論
(1)請求人は、本件商標は「EGERIE」の欧文字部分が、その要部であり、この部分から「エジェリ」の称呼が生じると主張するが、その主張には合理的理由がない。すなわち、甲第6号証には、「DIVINE」の語は、「神の、神による、崇高な、このうえなくすばらしい」等の意味が記載されており、本件商標全体からは、「女神の助言」、「女神のような助言者」といったような意味合いが生じるのであり、単なる「女性の助言者」とは異なった観念を有するのである。
さらに、本件商標構成中から「EGERIE」の欧文字部分が、分離して称呼されることがないことは、本件商標の審査段階において、請求人が刊行物提出をした(乙第2号証の1及び2)にもかかわらず、本件商標が登録になったことからも明らかである。
したがって、本件商標は、上述の観念を有し、その構成中の「EGERIE」と「DIVINE」とにおいて、そのいずれが顕著性が強く、いずれが弱い、といったような関係にはない。
(2)以上のとおり、本件商標は、引用商標とは、その外観、観念及び称呼のいずれの点においても、非類似の商標であることは、明白である。
なお、請求人は、審決例を挙げるが、本件とは全く事案を異にするものであり、本件商標が分離されるべきことの根拠とはならない。
3 まとめ
以上のように、本件商標は、商標法第4条第1項第15号及び同第11号に該当するものではないから、請求人の主張は、理由がない。

第5 当審の判断
1 商標法第4条第1項第11号について
(1)本件商標は、前記のとおり、「EGERIE DIVINE」の欧文字と「エジェリディヴィーヌ」の片仮名文字とを二段に書してなるところ、上段に書された欧文字部分は、「EGERIE」と「DIVINE」との間にやや間隔があるとしても、同一の書体をもって、外観上バランスよく表されているばかりでなく、該欧文字部分の称呼を特定したと理解される下段の片仮名文字部分は、一連に書されているものであるから、本件商標は、構成全体をもって、一体のものとして看取されるということができる。
そして、本件商標より生ずると認められる「エジェリディヴィーヌ」の称呼も、極めて冗長という程のものでもない。
さらに、後記2で述べるように、「EGERIE」の欧文字よりなる商標が、ヴァシュロン社の取扱いに係る「女性向け高級腕時計」(EGERIE商品)を表示するものとして、我が国において著名なものと認めることはできないから、本件商標は、そのいずれの指定商品について使用しても、その構成中の「EGERIE」の欧文字部分のみが、着目されるということはないといわざるを得ない。
ほかに、本件商標を「EGERIE」と「DIVINE」とに分離して、「EGERIE」の文字部分のみを抽出して、観察しなければならないとする格別の事情も見いだせない。
そうすると、本件商標は、その構成文字に相応して、「エジェリディヴィーヌ」の一連の称呼のみを生ずるものというべきである。また、本件商標は、フランス語の単語及びその片仮名表記より構成されているものであるとしても、いずれの語も、我が国においては馴染みの薄い語であり、需要者をして、その意味を直ちに認識させることは困難であるといえるから、構成全体をもって、特定の観念を想起し得ない造語を表したと理解されるというのが相当である。
(2)引用商標は、前記のとおり、「EGERIE」の欧文字を書してなるところ、該文字は、我が国において親しまれた語とはいえないものであり、本件商標中の「EGERIE」の欧文字部分と、同一の綴り字よりなるものであるから、これに倣い、「エジェリ」の称呼を生ずるほか、これを英語読み風にした「エジェリー」の称呼をも生ずるとみるのが相当である。
そうすると、引用商標は、その構成文字に相応して、「エジェリ」又は「エジェリー」の称呼を生ずるものであり、特定の観念を想起させない造語を表したと理解されると見るのが相当である。
(3)してみると、本件商標より生ずる「エジェリディヴィーヌ」の称呼と引用商標より生ずる「エジェリ」又は「エジェリー」の称呼とは、後半部分の音構成において、「ディヴィーヌ」の音の有無という顕著な差異を有するものであるから(引用商標より生ずる「エジェリー」の称呼との対比においては、長音の有無の差異も含む。)、それぞれの称呼を一連に称呼した場合においても、十分に聴別し得るものである。
また、本件商標と引用商標は、前記認定のとおり、いずれも造語を表したと理解されるものであるから、観念においては比較することができない。
さらに、本件商標と引用商標は、ぞれぞれ前記した構成より見て、外観上明らかに区別し得るものである。
したがって、本件商標と引用商標は、外観、称呼及び観念のいずれの点においても、相紛れるおそれのない非類似の商標というべきである。
なお、請求人は、請求人のいう本件商標と引用商標との類似性が正当である根拠として、審決例を挙げているが、該審決例は、対比される一方の商標が、一般に馴染みのある語との結合商標、あるいは、著名商標との結合商標であるという点において、本件商標とは、2語の結合の態様が異なるものであるから、本件と事案を異にするものといわなければならない。
2 商標法第4条第1項第15号について
(1)ヴァシュロン社の取扱いに係る「女性向け高級腕時計」(EGERIE商品)について使用される引用標章が、本件商標の登録出願前より我が国において、その需要者の間に広く認識されていたものであるか否かについて検討するに、甲第10号証ないし甲第12号証及び甲第15号証によれば、引用標章がEGERIE商品について使用されていることは認めることができる。
しかしながら、甲第10号証(EGERIE商品のパンフレット)は、いつ発行され、どの程度の部数が、どの地域に頒布されたものであるかは、明らかではない。また、甲第11号証の1ないし15(雑誌による広告)は、いずれも、本件商標の登録出願(平成15年10月16日)後に発行されたものである。
さらに、甲第15号証(傑作腕時計百年図鑑2004年版、2003年12月1日発行)に、EGERIE商品の掲載があったとしても、これも新作腕時計としての紹介にすぎないものである。
加えて、請求人の主張によれば、EGERIE商品の我が国での販売開始が、本件商標の登録出願と同時期の2003年(平成15年)10月からであること、EGERIE商品が、高額な商品であるとしても、本件商標の登録出願前である2003年9月までの販売数が約15個(我が国での販売開始が2003年(平成15年)10月からであるとの請求人の主張からすると、日本における販売数といえるか疑問がある。)であり、その販売数は決して多いものとはいえないこと等を総合すると、引用標章は、ヴァシュロン社の取扱いに係るEGERIE商品を表示するものとして、本件商標の登録出願時に、すでに、我が国の需要者の間に広く認識されていたと認めることは、困難であるといわざるを得ない。
(2)そうすると、前記1で認定したとおり、本件商標と引用商標とが非類似の商標であることも併せ考えれば、本件商標は、これをその指定商品について使用しても、該商品が、ヴァシュロン社又は同社と営業上何らかの関係がある者の業務に係る商品であるかのように、商品の出所について混同を生ずるおそれがある商標ということはできない。
したがって、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第15号に違反してされたものと認めることはできない。
3 結び
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号及び同第15号に違反してされたものではないから、同法第46条第1項の規定により、無効とすることはできない。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2006-03-23 
結審通知日 2006-03-29 
審決日 2006-04-11 
出願番号 商願2003-90887(T2003-90887) 
審決分類 T 1 11・ 271- Y (Y14)
T 1 11・ 26- Y (Y14)
最終処分 不成立  
特許庁審判長 大場 義則
特許庁審判官 柳原 雪身
内山 進
登録日 2004-06-11 
登録番号 商標登録第4777934号(T4777934) 
商標の称呼 エジェリディビーヌ、エジェリ、ディビーヌ、ディバイン 
代理人 小出 俊實 
代理人 石川 義雄 
代理人 アインゼル・フェリックス=ラインハルト 
代理人 加藤 義明 
代理人 鈴江 武彦 

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