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審判番号(事件番号) | データベース | 権利 |
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取消2012300362 | 審決 | 商標 |
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審決分類 |
審判 全部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない Z06 |
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管理番号 | 1137951 |
審判番号 | 取消2005-30405 |
総通号数 | 79 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2006-07-28 |
種別 | 商標取消の審決 |
審判請求日 | 2005-04-12 |
確定日 | 2006-05-26 |
事件の表示 | 上記当事者間の登録第4539989号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。 |
理由 |
第1 本件商標 本件登録第4539989号商標(以下「本件商標」という。)は、「ダイマ」の文字と「DYMA」の文字を二段に横書きしてなり、平成12年11月20日に登録出願、第6類「とい,とい台その他の建築用又は構築用の金属製専用材料」を指定商品として、同14年2月1日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。 第2 請求人の主張 請求人は、「本件商標の登録を取り消す。審判費用は被請求人の負担とする。」との審決を求めると申し立て、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第4号証を提出した。 1 請求の理由 本件商標は、その指定商品について、継続して3年以上日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれによっても使用された事実がないから、その登録は、商標法第50条第1項の規定により、取り消されるべきものである。 2 答弁に対する弁駁 被請求人は、本件商標を商品「鼻かくし取付金具」(以下「使用商品」という。)について、本件審判請求の登録前3年以内に使用した事実がある旨主張し、乙第1号証ないし乙第4号証を提出しているが、以下のとおり、これらの証拠は、いずれも本件審判請求の登録前3年以内の使用を証明するものでなく、かつ、信憑性に乏しいものである。 (1)乙第1号証(カタログ)について 乙第1号証には、本件商標は表示されていないから、これを本件商標の使用証拠とすることはできない。 (2)乙第2号証(証明書)について (ア)乙第2号証には、本件商標は表示されていないから、これを本件商標の使用証拠とすることはできない。 被請求人が、使用商品に使用しているとする商標「スーパーダイマ」(以下「使用商標」という。)は、商標法第50条にいう本件商標と「社会通念上同一と認められる商標」に該当するものではないから、使用商標の使用立証により、本件商標の使用が立証されるものではない。 (イ)乙第2号証には、被請求人が大星紙工業株式会社(以下「大星紙工業」という。)に商品梱包用段ボール箱(以下「段ボール箱」という。)を製作させたことが記載されているとしても、これを使用商品の包装として使用して、実際に市場に流通させなければ、使用商標が識別標識として機能し得ないので、使用商標が使用された事実は、立証されていない。 (ウ)証明書に添付の「校正刷・原稿」は、その下欄に記載されている相互製版株式会社(以下「相互製版」という。)が発行したものであり、これによれば、証明者である大星紙工業は、相互製版の営業担当であることが認められるが、被請求人と大星紙工業、相互製版の関係が不明確であり、さらに、同証明書には、証明者として大星紙工業の社判が押されているのみであって、同社のいかなる権限を有する何人の証明であるのかが、明らかでないから、乙第2号証の証明力を客観的に判断することはできない。 また、上記「校正刷・原稿」には、品名欄に「0-266鼻かくしA(300mm)」とタイプされており、その下に「(品番 SS8300Y)」と手書きで記入されているが、乙第2号証中には、当該箇所以外に上記品番が表示されていない。添付のゲラ刷りにも表示されていない品番をなぜ大星紙工業あるいは相互製版が記入したのか、また、記入するのであれば、なぜ上段の品名と同じようにタイプしなかったのか、この点について合理的な理由は、見当たらず、請求人は、上記品番は、被請求人が本件において証拠とする目的をもって、乙第1号証ないし乙第4号証との整合性をとるために、後から記入したものではないかとの疑念を抱かざるを得ない。 (エ)乙第2号証中の段ボール箱の写真は、その撮影場所、撮影者、撮影年月日等が不明であるから、何らの証明力もないと断ぜざるを得ない。 (3)乙第3号証(チラシ)について 被請求人は、乙第3号証は乙第1号証に掲載した使用商品の材料を変更した新製品の販売開始を告知するために作成されたチラシであり、これを2003年(平成15年)2月15日付けで、全国の取引先に配布した旨主張するが、乙第3号証の配布先等が明らかにされておらず、実際に配布されたかどうか不明であるから、客観的証明力に欠けるものといわざるを得ない。 なお、上記配布日は、土曜日であり、土曜日を休日とする昨今の就業状況に鑑みれば、土曜日に広告を配布することは避けるはずであり、この点についても、被請求人の主張は信憑性に欠ける。 (4)乙第4号証(証明願)について 乙第4号証の物品受領証中に記載されている「SS8300Y」の表示は、乙第1号証に掲載された使用商品の品番と一致しているが、該物品受領書中の品名には「鼻隠し取付金具 300」と記載され、商品の一般名が記載されているのみであって、本件商標は記載されておらず、被請求人が本件商標を使用しているとする使用商品は、被請求人及び取引業者において「品番『SS8300Y』の鼻隠し取付金具」といった認識であったにすぎないことが明らかであり、むしろ本件商標や使用商標、あるいは「スーパーダイマカラー」は、使用商品の商標としては機能していない事実を立証するものといえる。 加えて、乙第4号証の証明者であり、被請求人が取引先と主張する株式会社奈良ハウテックス(以下「奈良ハウテックス」という。)は、被請求人のグループ会社であり、かつ、同社の代表取締役と被請求人の代表取締役は同一である。また、取締役の一部も同一である(甲第2号証及び甲第3号証)から、上記証明願は客観的証明力に欠ける。 (5)その他乙各号証が信憑性に欠けることについて (ア)被請求人は、本件商標は、使用商品に実際に使用している使用商標や「スーパーダイマカラー」の総称的な標章であって、本件商標を使用した商品は存在しない旨主張するが、そもそも商標(標章)の使用とは、商標法第2条第3項各号で定義しているように、「商品又は商品の包装に標章を付する行為(第1号)」、「商品又は商品の包装に標章を付したものを譲渡し、引き渡し、譲渡若しくは引渡しのために展示し、輸入し、又は電気通信回線を通じて提供する行為(第2号)」等をいい、商品の存在を前提として定義されていることは論をまたないところであり、商品が存在しない状況において、自他商品の識別標識たる商標を使用することが不可能なことは、自明である。 よって、本件商標が実際に使用されていない事実は、被請求人の主張から明白なところであり、仮に、使用商標や「スーパーダイマカラー」の使用立証により、本件商標の使用が立証されるとしても、被請求人の主張及び立証証拠では、未だ、使用商標等の使用の事実を導き出すことはできない。 (イ)被請求人は、平成15年2月から、本件商標や使用商標、あるいは「スーパーダイマカラー」を使用して、使用商品の製造・販売を行っていたと主張するが、それから2年5ヶ月以上経過している答弁書提出時の平成17年7月に至っても、乙第1号証(カタログ)について、何らの訂正もせず、商慣習上不自然である。 よって、被請求人は、本件商標や使用商標、あるいは「スーパーダイマカラー」を使用していないか、仮に、使用していたとしても、それは形式的な使用にすぎず、乙第4号証の物品受領証のように使用商品の品番により取引がなされているのではないかと考えられる。 (ウ)被請求人は、乙第1号証(カタログ)に掲載された使用商品の材料を変更したものについて、本件商標や使用商標、あるいは「スーパーダイマカラー」を使用していたと主張する。 つまり、使用商品の材料を変更したにもかかわらず、乙第2号証及び乙第4号証中に記載されている品番「SS8300Y」は変更がされていない。他方、被請求人は、乙第3号証で、ISO9001の認定を取得していることを表示している。このような品番管理は、被請求人が認証を取得しているISOの通常の考え方からすると、不自然であるといわざるを得ない。 このことは、同じ「鼻隠し取付金具」であって、使用商品と同じくサビに強い材質である「ZAM材」を使用した商品(甲第4号証)には、乙第1号証の33頁右上の使用商品の品番欄の最下段にあるとおり、「SS8300ST」という品番が付与されていることからも首肯されるところである。 よって、乙第3号証(チラシ)は、本件において証拠とする目的をもって作成されたものといわざるを得ない。 (エ)仮に、乙第2号証ないし乙第4号証が実在したとしても、被請求人が主張するように、本件商標や使用商標、あるいは「スーパーダイマカラー」が自他商品識別標識として使用され、かつ、使用商品が市場を流通していた事実を認めることはできない。少なくとも、被請求人は、乙第3号証を実際に配布した事実、その際の配布先、時期、方法や、本件商標や使用商標、あるいは「スーパーダイマカラー」が表記された取引書類を提出することにより、使用商品が市場を流通していた事実を立証すべきである。 (6)結び 以上のとおり、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において商標権者等のいずれかが指定商品についての登録商標の使用をしていることを証明していないのであるから、本件商標の登録は、取消しを免れることはできない。 第3 被請求人の答弁 被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由及び弁駁に対する答弁を要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第6号証(枝番号を含む。)を提出した。 1 答弁の理由 (1)使用の事実 商標権者(被請求人)は、平成15年2月から現在に至るまで、建築用又は構築用の金属製専用材料に含まれる「鼻かくし取付金具」(使用商品)について、本件商標を使用し、製造及び販売を継続して行っている。 (ア)被請求人は、平成14年8月より、カタログ「ファスニング/折版屋根部材」(乙第1号証)を日本全国の取引先に対して配布している。同カタログの33頁には、使用商品が記載されている。 (イ)本件商標は、前記(1)のカタログ配布後、亜鉛鉄板材を素材として製造、販売していた使用商品の材料を変更して製造された新製品「スーパーダイマ」、「スーパーダイマカラー」を総称する一種のブランド商標として使用しており、本件商標を直接付した商品は存在しない。 乙第2号証は、被請求人が上記新商品「スーパーダイマ」を梱包するためのダンボール箱を印刷会社に発注し、平成15年1月に納品されたことを証明する印刷会社の証明書(写し)であり、該証明書には、新商品「スーパーダイマ」が記載されたダンボール箱の写真とゲラ刷版が添付されている。 (ウ)乙第3号証は、被請求人が前記新商品「スーパーダイマ」の販売開始を、取引先に告知するため作成したチラシであり、平成15年2月15日付けで、全国の取引先に配布したものである。該チラシには、本件商標が登録商標であることを表す記号と共に、新製品「スーパーダイマ」、「スーパーダイマカラー」の商品群を総称する標章として明確に記載されている。 (エ)乙第4号証は、前記チラシを配布後、日本国内の取引先より注文を受け、販売した事実を示すため、取引先の協力によって作成された証明願である。これによれば、新商品「スーパーダイマ」は、乙第1号証、乙第3号証に示されている品番「SS8300Y」の商品として発注を受け、平成16年4月9日付けで、納品(受領)した事実が証明されている。 したがって、乙第4号証は、第三者が本件商標を付したチラシを見て、使用商品がダンボール箱に梱包された通常の取引形態で販売され、納品(受領)したことを裏付けるものである。 (2)結び 以上、乙第1号証ないし乙第4号証から明らかなように、商標権者は、本件審判の請求の登録日前3年以内において、本件商標を指定商品中の「鼻隠し取付金具」について、日本国内において使用していた。 したがって、本件商標の登録は、取り消されるべきものではない。 2 弁駁に対する答弁 (1)商標権者は、本件商標のうちの仮名文字の商標「ダイマ」を乙第3号証の案内チラシに使用している。このような使用態様は、社会通念上同一と認められる態様である。 (2)請求人は、前記案内チラシの配布日が土曜日であるため、乙第3号証の信憑性に欠けると主張しているが、当該配布日である2003年3月15日(土)は、営業日である。2002年度の被請求人の就業カレンダーを提出する(乙第6号証)。 第4 当審の判断 1 乙第1号証ないし乙第4号証及び答弁の理由によれば、以下の事実が認められる。 (1)被請求人の取扱いに係る商品を掲載したカタログ「ファスニング/折版屋根部材」(記載内容は2002年(平成14年)8月現在のもの:乙第1号証)には、「品番/SS 8300 Y」、「材種/1.6」、「タイプ/300」、「梱包数/30本入」とする使用商品「鼻隠し取付金具」(使用商品が請求に係る指定商品に含まれる商品であることについては、争いのない事実。)が掲載されていること(同カタログ33頁。)。 (2)使用商品の材料を変更した新製品を梱包する段ボール箱は、2003年(平成15年)1月22日ころに相互製版により製作され、平成15年1月30日に営業担当である大星紙工業により被請求人に納品されたと推認されること。そして、該段ボール箱の側面には、「スーパーダイマ」、「鼻かくし取付金具 300」、「タイプ 300」、「入数 30」等の文字及び使用商品の新製品の図が表示されていること(答弁の理由及び乙第2号証)。 (3)使用商品の新製品の広告のためのチラシ(乙第3号証)には、その上段部に「オーティスの“ダイマ”商品群」、「スーパーダイマ/鼻隠し取付金具バラ品」、「新発売/平成15年2月」などと記載され、また、中程にある表には、「品番/SS8300Y」、「タイプ/300」、「材種/t1.6」、「梱包/30」などと記載されていること。さらに、下段部には、「スーパーダイマカラー/鼻隠し取付金具」について、その特長が記載されていること。 (4)前記(3)のチラシは、平成15年3月頃、奈良ハウテックスに配布され、同社は、該チラシにより、「品番/SS8300Y」の「鼻隠し取付金具 300」を「梱包数/2」、「数量/60」を被請求人に注文し、被請求人は、2004年(平成16年)4月9日に奈良ハウテックスに納品したと推認されること(答弁の理由及び乙第4号証)。 2 前記1で認定した事実によれば、被請求人は、本件審判の請求の登録日(平成17年5月11日)前3年以内である平成15年2月頃、「スーパーダイマ」なる商標を使用した使用商品の新製品(品番/SS8300Y)及び「スーパーダイマカラー」なる商標を使用した使用商品の新製品についての広告をし、これら新製品の総称的なマークとして、「ダイマ」の文字を表示したこと、さらに、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内である平成16年4月に、「品番/SS8300Y」とする「鼻隠し取付金具 300」を、市場において取引に資したことが推認されるところである。 3 使用商品の新製品に使用される「スーパーダイマ」が本件商標と社会通念上同一と認められる商標であるか否かについて (1)本件商標は、前記のとおり、「ダイマ」の文字と「DYMA」の文字を二段に横書きしてなるものであるところ、その構成中の「ダイマ」の文字部分は、「DYMA」の文字部分の読みを特定したものと理解されるから、構成文字全体から「ダイマ」の称呼を生ずるものであって、特定の語義を有しない造語を表したと理解されると見るのが相当である。 (2)一方、使用商標「スーパーダイマ」は、構成文字全体をもって親しまれた熟語的意味合いが生ずるものではないのみならず、その構成中の「スーパー」は、従来の商品に比べ、商品の品質等が優れていることなどを表示するためのものとして、各種商品分野において普通に使用されている語である。 そうすると、使用商標に接する需要者は、「スーパー」の文字部分を商品の品質誇称表示であると理解し、造語である「ダイマ」の文字部分に着目し、これより生ずる称呼のみをもって、商品の取引に当たる場合も少なくないというのが相当である。 してみると、使用商標は、その「ダイマ」の文字部分より、「ダイマ」の称呼をも生ずるものであって、造語よりなるものといわなければならない。 (3)したがって、本件商標と使用商標は、「ダイマ」の称呼を同じくするものであり、いずれも造語よりなるものであるから、観念上相違するということもできない。 以上によれば、使用商標は、本件商標と社会通念上同一と認められる商標といわざるを得ない。 4 請求人の主張について (1)請求人は、乙第1号証及び乙第2号証には、本件商標が表示がないから、本件商標の使用証拠とすることはできない旨主張し、さらに、本件商標を使用した商品が存在しない事実は、登録商標の使用とは認められない旨主張する。 しかしながら、乙第1号証に本件商標が表示されていないとしても、これにより被請求人が、本件審判の請求の登録前3年以内である2002年(平成14年)8月頃に、本件請求に係る指定商品に含まれる使用商品の製造、販売をしていた事実が推認されるばかりでなく、乙第1号証に掲載された使用商品の品番、タイプ、梱包数などと使用商品の新製品の段ボール箱やチラシに記載された品番、タイプ、梱包数などが一致することや、チラシに記載された「オーティスの“ダイマ”商品群」、「新発売/平成15年2月」などから、乙第2号証及び乙第3号証に表示された「スーパーダイマ」なる商標を使用した商品は、使用商品と密接な関連性のある商品と理解されるものである。加えて、前記認定のとおり、「スーパーダイマ」(使用商標)は、本件商標と社会通念上同一と認められる商標というべきであり、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に配布したと推認される乙第3号証(チラシ)に使用商標を表示して広告をしたと推認し得るから、乙第1号証及び乙第2号証に本件商標が表示されていないことをもって、本件商標の使用事実を証明し得ないとすることはできない。 (2)請求人は、乙第2号証に関し、(a)段ボール箱の写真は、その撮影場所、撮影者、撮影年月日等が不明であるから、何らの証明力もなく、また、段ボール箱を使用商品の包装として使用しても、実際に市場に流通させなければ、使用商標が使用された事実は立証されていない、(b)証明書に添付の「校正刷・原稿」に記載された相互製版と大星紙工業は、被請求人との関係が不明確である、(c)証明書には、証明者として大星紙工業の社判が押されているのみであって、同社のいかなる権限を有する何人の証明であるのかが明らかでないから、乙第2号証の証明力を客観的に判断することはできない、(d)「校正刷・原稿」には、品番のみが手書きにされ、不自然であるなどと主張する。 しかしながら、(a)段ボール箱の写真の撮影場所、撮影者、撮影年月日等が不明であるとしても、「校正刷・原稿」に「2003.1.22変更済み」の文字が記載されていること、並びに該段ボール箱に表示された品番等とチラシ及び物品受領書に表示された品番等が一致することからすれば、段ボール箱は、平成15年2月の使用商品の新製品の「新発売」前に製作され、撮影されたものであり、これが実際に市場に流通されたことは、上記物品受領書から推認されるところである。(b)被請求人と大星紙工業、相互製版の関係は、前記認定のとおり、相互製版が段ボールを製作し、営業担当である大星紙工業が被請求人に納品したという関係であると推認される。(c)証明書には、証明者である大星紙工業の社判のみが押されているものであるとしても、一連の書類における使用商品の新製品の品番等が一致することなど、乙各号証を総合すれば、使用商標が、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内に、使用商品に使用されていたものと推認することができる。(d)「校正刷・原稿」に記載された手書きの品番についても、上記(c)と同様に、乙各号証を総合すれば、使用の事実が推認されるところからすれば、ことさら手書きの部分が不自然なものと見ることはできない。 したがって、上記に関する請求人の主張は、理由がない。 (3)請求人は、乙第3号証について、配布先等が明らかにされておらず、実際に配布されたかどうか不明であるから、客観的証明力に欠けるものである旨主張し、さらに、その配布日が土曜日であることは、商取引上不自然である旨主張する。 乙第3号証の配布先は明らかではないが、少なくとも、乙第4号証により、配布があったと推認することはできるのであり、このチラシが、不使用による商標登録の取消しを免れるためにのみ作成されたものと認めるに足る的確な証拠は見いだせない。そして、チラシは、「平成15年2月15日付けで、全国の取引先に配布したものである。」との答弁の理由からすれば、必ずしも平成15年2月15日その日に取引先に届けたものと見ることはできない。 したがって、上記請求人の主張は、理由がない。 (4)請求人は、乙第4号証に関し、添付された物品受領証には、本件商標が記載されていないところから、使用商品は品番等をもって取引され、使用商標等は商取引上機能していない旨主張し、さらに、乙第4号証の証明者である奈良ハウテックスは、被請求人のグループ会社であり、かつ、同社の代表取締役と被請求人の代表取締役は同一であるから、乙第4号証は客観的証明力に欠ける旨主張し、甲第2号証及び甲第3号証を提出する。 しかしながら、一般的な商取引において、その取引書類に当該商品の商標を表示することなく、品番等をもって取引に当たる場合が少なくないといえるところからすれば、乙第4号証に添付された物品受領証に使用商標の記載がないとしても、格別不自然なこととはいえないのみならず、本件においては、乙第3号証等他の証拠と合わせて考慮すれば、使用商標が、商標として機能していないとすることはできない。 また、甲第2号証及び甲第3号証によれば、乙第4号証の証明者である奈良ハウテックスは、被請求人のグループ会社であり、その代表取締役等が被請求人のそれと同一であることが認められる。 しかしながら、被請求人と奈良ハウテックスとは、それぞれ独立した法人であり、その取引においても、両会社がそれぞれ業として、独立した会社間の取引として行っていると推認されるところであり、また、乙第4号証に添付の物品受領証が、単に架空ないし名目的な取引であったと認めるに足る証拠はない。 したがって、被請求人と奈良ハウテックスとがグループ会社であることをもって、証明書の客観性の有無や、取引書類の証拠力の有無を問題とする請求人の主張は、理由がない。 (5)その他、請求人は、乙各号証について、商標登録の取消しを免れるための名目的な使用であるから、証拠力がない旨種々述べるが、いずれの主張も憶測の域を出ないものであり、本件における登録商標の使用の事実は、前記認定のとおりであるから、請求人の主張は、いずれも採用することができない。他に前記認定を覆すに足る証拠の提出はない。 5 結び 以上によれば、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、商標権者が請求に係る指定商品中の「鼻隠し取付金具」について、本件商標と社会通念上同一と認められる商標を使用していたことを証明したと認めることができる。 したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により、取り消すことはできない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2006-03-22 |
結審通知日 | 2006-03-28 |
審決日 | 2006-04-14 |
出願番号 | 商願2000-125076(T2000-125076) |
審決分類 |
T
1
31・
1-
Y
(Z06)
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最終処分 | 不成立 |
特許庁審判長 |
大場 義則 |
特許庁審判官 |
柳原 雪身 内山 進 |
登録日 | 2002-02-01 |
登録番号 | 商標登録第4539989号(T4539989) |
商標の称呼 | ダイマ、ディマ |
代理人 | 中井 宏行 |