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審決分類 審判 一部無効 商品(役務)の類否 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) Y42
管理番号 1137911 
審判番号 無効2005-89082 
総通号数 79 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2006-07-28 
種別 無効の審決 
審判請求日 2005-06-17 
確定日 2006-05-18 
事件の表示 上記当事者間の登録第4789702号商標の商標登録無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 登録第4789702号の指定商品中「インターネットにおけるインデックスを伴う宿泊施設情報に関する検索エンジンの提供」についての登録を無効とする。 審判費用は、被請求人の負担とする。
理由 1 本件商標
本件登録第4789702号商標(以下「本件商標」という。)は、平成16年1月15日に登録出願、「ほてなび」の平仮名文字を標準文字で書してなり、第42類「インターネットにおけるインデックスを伴う検索エンジンの提供,インターネットにおけるインデックスを伴う宿泊施設情報に関する検索エンジンの提供,インターネットにおけるインデックスを伴う書籍に関する検索エンジンの提供,インターネットにおけるインデックスを伴う貸与に関する検索エンジンの提供,気象情報の提供,デザインの考案に関する情報の提供,工業所有権に関する手続の代理又は鑑定その他の事務に関する情報の提供,訴訟事件その他に関する法律事務に関する情報の提供,登記又は供託に関する手続の代理に関する情報の提供,著作権の利用に関する契約の代理又は媒介に関する情報の提供」を指定役務として、同16年7月23日に設定登録されたものである。

2 請求人の引用商標
請求人が本件商標の登録無効の理由に引用する登録第4523936号商標(以下「引用商標」という。)は、平成12年6月29日に登録出願、「ホテナビ」の片仮名文字を標準文字で書してなり、第9類「ホテルの空室等情報端末機」、第35類「商品の販売に関する情報の提供,インターネットを介しての顧客情報の提供,広告」、第38類「インターネット通信における通信ネットワークへの加入の取次ぎ,通信ネットワークへの接続の提供」、第41類「通信を介したゲームの提供,通信を介したカラオケのための楽曲・映像・歌詞の提供,衛星放送受信用チューナーの貸与,DVDの貸与,録画済み磁気テープ及び録画済み磁気ディスクの貸与,ゲームプログラムを記憶させた記録媒体の貸与,レクリエーション施設情報の提供,運動施設情報の提供」及び第42類「飲食物の提供に関する情報の提供,宿泊施設の提供の契約の媒介又は取次ぎ,宿泊施設の提供,宿泊施設情報の提供」を指定商品又は指定役務として、同13年11月22日に設定登録たものである。

3 請求人の主張
請求人は、結論同旨の審決を求める、と申し立て、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第13号証(枝番号含む。)を提出した。
(1)請求の理由
本件商標は「ほてなび」、引用商標は「ホテナビ」の文字よりなるものであるから、両商標は、それぞれの構成文字に相応して生ずる「ホテナビ」の称呼及び観念において類似するものである。
また、本件商標の指定役務中の「インターネットにおけるインデックスを伴う宿泊施設情報に関する検索エンジンの提供」と引用商標の指定役務の一部である「宿泊施設情報の提供」とは、類似するものである。
まず、「検索エンジンの提供」とは、「YAHOO」「goo」「infoseek」及び「excite」に代表されるような、どこにどのような情報が格納されているか不明なインターネット上の情報を、あるキーワードを入力することでインターネット上の該当する情報サイトを瞬時に検索するサービスの一種である。事実、IPDLで「YAHOO」「goo」「infoseek」及び「excite」などの登録商標の指定役務を調べたところ、それぞれ「インターネットにおけるインデックスを伴う検索エンジンの提供」「インターネットにおけるホームページ検索用エンジンの提供」となっている。
これにより、本件商標の指定役務の「インターネットにおけるインデックスを伴う宿泊施設情報に関する検索エンジンの提供」とは、インターネット上で索引データとよばれるインデックス(キーワード)を入力することにより、需要者が欲する情報が格納されているサイトが検索できるサービスであって、その情報サイトが宿泊施設に特化されている検索エンジンを提供する役務と判断される。
他方、引用商標の指定役務である「宿泊施設情報の提供」とは、ホテル等の宿泊施設の場所、設備、利用料金等の「宿泊施設に関する情報」を提供する役務である。また、「情報の提供」が電話によるものであっても、インターネットを利用したものであっても、その媒体手段によって分類されるものではなく、その提供される情報の内容によって各類に分かれていることは、特許庁商標課編「商品及び役務区分解説」からも明らかである。
そして、「宿泊施設の情報」をインターネットを利用して提供しようとする場合、利用者の利便性を考えると、少なくとも目的地による選択が必要である。例えば、京都に旅行を計画する者が、当該サービスを利用する場合、サイト内の略日本地図で近畿地方をクリックすると、登録された近畿各県の宿泊施設名が検出され、利用者は、その内、京都にある施設名をクリックすれば簡単に施設情報をアクセスすることができる。これは、検索エンジンでいえば、キーワードによる絞り込みと同じといえると思われる。他方、同人が検索エンジンを利用してキーワード(例「京都府」)により、宿泊施設情報にアクセスした場合でも、たどり着く方法は異なるかも知れないが、同じ情報サイトであれば、入手できる情報は、同じものである。
したがって、本件商標と引用商標は、類似する商標であり、また、両者の指定役務中の「インターネットにおけるインデックスを伴う宿泊施設情報に関する検索エンジンの提供」と「宿泊施設情報の提供」とは、当該役務の利用者、提供手段、提供されるサービスが同じものであって、両役務は、類似するものと認められるから、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に違反して、登録されたものである。
(2)答弁に対する弁駁
「類似商品・役務審査基準」に基づく類否は、「推定」であり、「商標審査基準」によれば、その類否判断は、提供の手段・目的又は場所が一致する等の6つの基準を総合的に考慮して判断されるべきものとされている。そしてなにより、「類似商品・役務審査基準」の「本審査基準の運用について」によれば、「本審査基準は全審査官の統一的基準であるが、具体的、個別的に商品又は役務の類否を審査する際において、あるいは商取引、経済界等の実情の推移から、本基準で「類似」と推定したものでも「非類似」と認められる場合又はその逆の場合もあり得る。」と明確に記載されている。
そして本件の場合は、上記6つの基準のうち(a)提供の手段・目的又は場所(b)提供に関連する物品(c)需要者の範囲及び(d)業種の4つが一致するものである。
さらに、両者の役務は、インターネットという媒体を介して同様の方法により提供され、その利用目的及び利用者に提供される宿泊施設に関する情報は、実質同じものであり、利用者にとっては、提供される情報が必要なのであって、その情報がホテル自体から提供されているものか、ウェブサイト運営者から提供されているものかは、興味がないことであるから、同じ情報が提供されることにおいて、利用者に混同のおそれが生じることは、明らかである。

4 被請求人の答弁
被請求人は、本件審判請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求めると答弁し、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第3号証を提出した。
答弁の理由
本件商標の指定役務中の「インターネットにおけるインデックスを伴う宿泊施設情報に関する検索エンジンの提供」と、引用商標の指定役務中の「宿泊施設情報の提供」とは、類似群全体で固有の本質を考察され、非類似として商標登録されているものである。
乙第1号証及び乙第2号証に示すとおり、「インターネットにおける検索エンジンの提供」及び「インターネットにおける検索エンジンの提供又はこれに関する情報の提供」と「宿泊施設情報の提供」とは、異なる類似群とされている。
「インターネットにおけるインデックスを伴う検索エンジンの提供」及び「インターネットにおけるインデックスを伴う宿泊施設情報に関する検索エンジンの提供」とは、インターネットの電話帳のようなものであり、「宿泊施設のホームページにたどり着くための手段」を提供するものであって、引用商標役務中の「宿泊施設情報の提供」のように、宿泊施設の情報を直接提供するものとは、全く異なる。
当然のことながら、たどり着いた先のホームページは、宿泊施設がそれぞれ管理、運営を行っており、さらには、それぞれの宿泊施設が情報をインターネット上で提供しているにすぎない。したがって、「インターネットにおけるインデックスを伴う検索エンジンの提供」及び「インターネットにおけるインデックスを伴う宿泊施設情報に関する検索エンジンの提供」と「宿泊施設情報の提供」の持つ意味は、全く異なるものである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当せず、登録適格性を具備した商標であるというべきである。

5 当審の判断
本件商標は、「ほてなび」の文字を書してなり、引用商標は、「ホテナビ」の文字を書してなるものであるところ、本件商標と引用商標が類似の商標であることについては、争いはない。
請求人は、本件商標の指定役務中の「インターネットにおけるインデックスを伴う宿泊施設情報に関する検索エンジンの提供」(以下「本件役務」という。)と引用商標の指定役務中の「宿泊施設情報の提供」(以下「引用役務」という。)とが、類似する役務である旨主張している。
そこで、上記の本件役務と引用役務とが類似する役務であるか否かについて検討する。
「検索エンジン」とは、「インターネットのWebページの情報をデータベース化して、ユーザーが入力したキーワードや分類項目などから必要な情報を取り出して表示するシステム。サーチエンジンともいう。」(現代用語の基礎知識・2005年版)ものであり、インターネット上にある膨大なWebサイトを検索するものや特定の種類の情報をデータベースとして、その情報について検索するものなどがある。
そして、これらの検索エンジンは、何らかの情報を得ようとする需要者が、必要な情報を得ることを目的として使用されるものであって、需要者は、必要なジャンルの情報をデータベースとしている検索エンジンにより、検索し、情報を得ることができるものである。
そうすると、本件役務の「インターネットにおけるインデックスを伴う宿泊施設情報に関する検索エンジンの提供」とは、需要者がインターネットを介して宿泊施設情報を得るために使用する検索エンジンを提供する役務であるということができる。
一方、引用役務「宿泊施設情報の提供」は、需要者に宿泊施設に関する情報を提供する役務であり、しかも、商標法上の役務とは、「他人のために行う労務又は便益であって、独立して商取引の目的たりうべきものをいう(特許庁編「工業所有権法逐条解説」第16版第1045頁)ことから、通常は、特定個別の宿泊施設に関するもののみの情報ではなく、複数の宿泊施設の情報を提供することが多いものといえる。そして、その提供の方法も、インターネットの普及が進んでいる現在においては、インターネットを利用した提供も一般化してきているところである。そして、インターネットを利用して、多くの情報から、需要者が必要な情報を得やすいようにするために、検索エンジンを使う方法により、情報を提供することが一般に行われている。
そうすると、引用役務には、インターネットを利用して検索エンジンを使うことにより宿泊施設情報を提供する役務(以下「引用インターネット役務」という。)も含まれているものと解すべきである。
そうとすれば、本件役務と引用インターネット役務とは、需要者がその役務を使用する用途及び効果が「宿泊施設に関する情報を得る」点で共通するものであり、したがって、その役務の需要者も共通にし、また、役務の提供の手段もインターネット上において、検索エンジンを使用する方法により上記情報を提供するものであって、同一の提供者によって行われる場合もあり、パソコンや携帯電話を利用するから、提供に関連する物品も一致するというのが相当であるから、互いに類似の役務といえるものである。
被請求人は、本件役務は、インターネットによる電話帳のようなものであり、宿泊施設のホームページにたどり着くための手段を提供するものであって、たどり着いた先のホームページは、宿泊施設がそれぞれ管理運営を行っており、それぞれの宿泊施設が情報をインターネット上で提供しているにすぎないから、引用役務とは類似しない旨主張している。
しかしながら、前記のとおり、本件役務は、宿泊施設の情報について検索する検索エンジンを提供するものであり、そのため、当該役務の提供者は、システムのデータベースに、提供する宿泊施設情報の登録を行うことにより、その役務の提供ができるのであるから、仮に、たどり着いた先のホームページがそれぞれの宿泊施設によって管理運営されているとしても、本件役務において、その需要者は、当該役務の提供者がデータベースに登録した宿泊施設についての情報を得ることができるものと認められる。
そうとすると、本件役務が宿泊先のホームページにたどり着くための手段であるとしても、本件役務と引用役務が類似することを妨げるものではないから、その主張は、採用することができない。
したがって、本件商標の登録は、その指定役務中、「インターネットにおけるインデックスを伴う宿泊施設情報に関する検索エンジンの提供」について、商標法第4条第1項第11号に違反してされたものといわざるを得ず、同法第46条第1項の規定により、その登録を無効とすべきである。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2006-03-17 
結審通知日 2006-03-23 
審決日 2006-04-06 
出願番号 商願2004-2502(T2004-2502) 
審決分類 T 1 12・ 264- Z (Y42)
最終処分 成立  
前審関与審査官 石田 清 
特許庁審判長 大場 義則
特許庁審判官 柳原 雪身
内山 進
登録日 2004-07-23 
登録番号 商標登録第4789702号(T4789702) 
商標の称呼 ホテナビ 
代理人 大西 育子 
代理人 醍醐 邦弘 
代理人 清水 徹男 

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