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審決分類 審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) 042
管理番号 1136561 
審判番号 取消2005-30647 
総通号数 78 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2006-06-30 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2005-06-02 
確定日 2006-05-08 
事件の表示 上記当事者間の登録第3249613号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 登録第3249613号商標の指定役務中「飲食物の提供及びそれに類似する役務」については、その登録を取り消す。 審判費用は、被請求人の負担とする。
理由 1 本件商標
本件登録第3249613号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲のとおりの構成よりなり、平成4年9月22日に登録出願、第42類「宿泊施設の提供,飲食物の提供,入浴施設の提供,電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守,医薬品・化粧品又は食品の試験・検査又は研究,宿泊施設の提供の契約の媒介又は取次ぎ,美容,理容,オフセット印刷,グラビア印刷,スクリーン印刷,石版印刷,凸版印刷,気象情報の提供,建築物の設計,測量,デザインの考案,農業・畜産又は水産に関する試験・検査又は研究」を指定役務として、同9年1月31日に設定登録されたものである。

2 請求人の主張
請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由を要旨次のように述べた。
本件商標は、本件商標権者、専用使用権者、通常使用権者のいずれもが日本国内において3年以上継続してその指定役務中、「飲食物の提供及びそれに類似する役務」について使用をしていないものであるから、商標法第50条の規定により、取り消されるべきである。

3 被請求人の答弁
被請求人は、本件審判請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とするとの審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証の1ないし同第12号証の2(枝番を含む。)を提出した。
被請求人は、過去においてはもちろん現在においても、指定役務「飲食物の提供」について本件商標を使用している。その使用している事実を以下の証拠に基づき順次証明する。
(1)乙第1号証の1ないし5
乙第1号証の1は、被請求人である敷島製パン株式会社が出店者や出店希望者に配布する「現代はフレッシュサンドイッチの時代」の表題を付した「55オープンマニュアル」であり、店舗内の一部のスペースを利用して、サンドイッチを食べさせるサンドイッチコーナーを設ける方法を勧める際に使用するものである。その表紙には本件商標の表示がされており、また、2頁にも本件商標が表示されている。
このオープンマニュアルに記載されている「販売システム図」で分かるように、敷島製パン株式会社が原材料業者から原材料を調達し、敷島製パン株式会社と取り引きする出店者(シキシマパン特約店)から、販売員が受注し、各商品の使用原材料を出荷するシステムとなっている。
また、各サンドイッチの作り方から、材料・消耗品の斡旋価格及び斡旋単位、調理器具斡旋価格表、厨房の管理、調理器具の取扱い、原材料の取扱い、調理する人の注意点、食中毒の予防、健康診断・検便の実施等々の出店についての説明が詳細に示されている。
上記より、被請求人である敷島製パン株式会社は、出店するサンドイッチコーナーに、本件商標を使用することを許諾し、店舗営業者又は出店者は、上記55オープンマニュアルに従い、サンドイッチコーナーを開設し、敷島製パン株式会社からサンドイッチコーナーで必要とする原材料等の仕入れを行う。そして、サンドイッチコーナーには、本件商標を表示して、サンドイッチ等の飲食の提供をするものである。この事業は、昭和50年代中頃から始めているものである。
乙第1号証の2ないし5は、「フレッシュサンドイッチ55」のマニュアル書であり、サンドイッチコーナーを開設した出店者に、新製品、調理法を指導し、また、調理技術の向上を図るために開く講習会等に使用したものであって、乙第1号証の2は昭和63年11月に、乙第1号証の3は平成元年年1月に、乙第1号証の4は平成2年5月に、そして、乙第1号証の5は平成3年2月に作成したものの抜粋である。
なお、平成4年頃から、この事業の積極的な推進は徐々に抑えられ、現在は、本件商標を表示してサンドイッチコーナーを開設している店舗は、下記の5店舗の外1店舗である。
(2)乙第2号証の1ないし3及び乙第3号証
乙第2号証の1ないし3は、「三勝屋」(SHIKISHIMA NEW JOYS)の店舗の写真で、敷島製パン株式会社から本件商標の使用を許諾され、該商標を表示してサンドイッチとその他の簡単な食事を提供していることを証明するものである。
乙第2号証の1は、「三勝屋」の店舗の外観の写真で、当店は、敷島製パン株式会社のチェーン店となっており、正面入り口上部の看板に、「SHIKISHIMA NEW JOYS」と表示されている。この「SHIKISHIMA NEW JOYS+図形」は、敷島製パン株式会社の登録商標である(登録第3140092号)。
乙第2号証の2は、店舗内の写真で、店舗内の一角に飲食ができるコーナーが設けられ、そのコーナーの調理室の正面窓ガラスに、本件商標が表示されている。提供されているメニューは、調理室の正面窓ガラスに手作りサンドイッチのメニューがあり、また、壁(写真左側)に貼り付けられているメニューからサンドイッチの外、おはぎ、オムライス、コロッケ、おにぎりが提供されていることが証明できる。
乙第2号証の3は、簡単な食事ができるコーナーの写真で、カウンターと腰掛けがあり、飲食できるようになっている。正面窓ガラスには、本件商標が表示されている。
乙第3号証は、「三勝屋」の営業者である勝野えみ子が平成12年6月16日に、愛知県江南保健所長から飲食店営業の許可を受けていることを証明する食品営業許可証で、営業所の名称が三勝屋で、営業所の所在地と許可年月日及び許可番号が記載され、有効期限として平成18年7月31日までと記載されている。
(3)乙第4号証の1ないし6及び乙第5号証
乙第4号証の1ないし5は、「マコトヤ」の店舗の写真で、敷島製パン株式会社から本件商標の使用を認められ、飲食物の提供に使用していることを証明するものである。
乙第4号証の1は、「マコトヤ」の店舗の外観の写真である。
乙第4号証の2は、店舗の外から飲食コーナーを写した写真で、飲食コーナーの窓ガラスに本件商標が表示されている。
なお、スポーツ報知の新聞を掲げて撮影しているが、乙第4号証の6として提出する上記スポーツ報知の新聞の拡大写真により、この写真が平成17年7月14日に撮影したことを証明するもので、以下同様である。
乙第4号証の3は、飲食コーナーの写真で、壁面上部にメニューが掲げられている。
乙第4号証の4は、メニューを拡大して撮影した写真で、みそかつサンド、チキンカツサンド、照り焼きチキンサンド、海老フライサンド、からあげサンド、メンチカツサンド等の表示があり、色々なサンドイッチが提供されていることを証明するものである。
乙第4号証の5は、飲食コーナーのカウンター越しに撮影した写真で、窓ガラスに、本件商標が表示されている。
乙第5号証は、営業許可指令書で、「マコトヤ」の営業者である渡辺玉恵が平成12年9月1日に調理パンの飲食店営業の許可を岐阜県中濃地域保健所長から受けていることを証明するもので、有効期限は平成12年9月1日から平成17年8月31日までとなっている。
(4)乙第6号証の1ないし3及び乙第7号証
乙第6号証1ないし3は、同様に、敷島製パン株式会社から本件商標の使用を認められ表示していることを証明する「サンドイッチショップ美原家」の店舗の写真である。
乙第6号証の1は、「サンドイッチショップ美原家」の店舗の外観の写真で、正面出入り口の脇に「手作りサンドイッチの赤い看板が立てられている。
乙第6号証の2は、カウンター越しに調理室を撮影した写真で、窓ガラスに本件商標が表示されている。
乙第6号証の3は、店舗の中から店舗の正面出入り口の左側のガラス戸を撮影した写真で、そのガラス戸に本件商標が表示されている。
乙第7号証は、営業許可書で、「サンドイッチショップ美原家」の営業者である岩原義正が平成13年3月7日に飲食店営業の許可を名古屋市瑞穂保健所長から受けていることを証明するもので、有効期間は平成13年3月21日から平成19年3月20日までとなっている。
(5)乙第8号証の1ないし3及び乙第9号証
乙第8号証の1ないし3は、同様に、敷島製パン株式会社から本件商標の使用を認められ使用していることを証明する「砂糖松」の店舗の写真である。
乙第8号証の1は、「砂糖松」の店舗内の写真で、店舗内の一角に飲食コーナーが設けられ、天井に設けた表示装置に本件商標が表示され、また、調理室の窓ガラスにも同様に本件商標が表示されている。
乙第8号証の2は、乙第8号証の1の拡大写真で、天井の表示装置と窓ガラスに本件商標が表示され、天井の表示装置には提供する複数のメニューの写真が表示されている。
乙第8号証の3は、カウンターが見えるように、商品陳列棚を移動して撮影した写真で、このカウンターで簡単な食事をすることができるようになっている。
乙第9号証は、食品営業許可証で、「砂糖松」の営業者である吉野裕二が平成13年10月24日に飲食店営業の許可を愛知県江南保健所長から受けていることを証明するもので、有効期限は平成20年3月31日までとなっている。
(6)乙第10号証の1ないし3及び乙第11号証
乙第10号証の1ないし3は、同様に、敷島製パン株式会社から本件商標の使用を認められ表示していることを証明する「ASAHIYA(朝日屋)」の店舗の写真である。
乙第10号証の1は、「ASAHIYA(朝日屋)」の店舗の外観の写真である。店舗の出入り口の脇に手作りサンドイッチの立て看板が立てられている。なお、店舗の写真右上に、被請求人である敷島製パン株式会社の登録商標「Pasco」の看板も取り付けられ、「ASAHIYA(朝日屋)」が敷島製パン株式会社の製品及びサンドイッチの原材料等の取引関係にあることが分かる。
乙第10号証の2は、店舗の一角に設けた調理室であり、窓ガラスに本件商標の表示がされている。
乙第10号証の3は、奥に調理室を望む店舗内の写真である。
乙第11号証は、営業許可指令書で、「朝日屋」の営業者である渡辺况一が平成15年9月1日に調理パンの飲食店営業の許可を岐阜県中濃地域保健所長から受けていることを証明するもので、有効期間は平成15年9月1日から平成20年8月31日までとなっている。
(7)乙第12号証の1及び2
乙第12号証の1及び2は、「三勝屋」が敷島製パン株式会社からサンドイッチの原材料の仕入れをしていることを証明する納品書である。
乙第12号証の1の上段の納品書は、2005年3月3日付けのもので、品名の欄に「FSフワフワハム」と記載されているが、「FS」は「フレッシュサンドイッチ55」の頭文字の「FS」であり、また、「フワフワハム」はサンドイッチ用に使用するハムで、乙第1号証の3の「フレッシュサンドイッチ55講習会」マニュアル書に「ハムサンド(ふわふわハムサンド)」の説明がされ、ふわふわハムを使用することが記載されている。また、「ハムタマゴサンド」にも使用されるものである。
乙第12号証の1の下段の納品書は、同じく、2005年3月3日付けのもので、品名の欄に「チョウジュクWSO-2」と記載されているが、これはサンドイッチ用の超熟(登録商標)食パンのことである。
乙第12号証の2の上段の納品書は、2005年4月18日付けのもので、品名の欄に「FSポテトサラダ」と記載されているが、「FS」は上記したように頭文字であり、また、「ポテトサラダ」はサンドイッチ用に使用するもので、乙第1号証の3の「フレッシュサンドイッチ55講習会」マニュアル書に「ヘルシーサンド」の説明がされ、ポテトサラザを使用することが記載されている。
乙第12号証の2の下段の納品書は、2005年4月29日付けのもので、品名の欄に「FSギユウコロツケ」とあるのは、「牛肉コロッケ」のことで牛肉コロッケを使用したサンドイッチに使用するもので、乙第1号証の2の「今回使用新製品一覧」の冷凍食品の欄に記載されている。
そして、各納品書の左上には店名として、「NEW-JOYS サンカツヤ」と記載され、また、右上には、「敷島製パン株式会社」と記載されている。
上記より、2005年3月、4月にサンドイッチの原材料が敷島製パン株式会社から「三勝屋(サンカツヤ)」に納品され、本件商標を表示して営業していることが証明できるものである。
(8)以上のとおり、被請求人である敷島製パン株式会社が出店者にマニュアルを提示し、サンドイッチの原材料を供給すると共に、製法などの指導をし、かつ、本件商標の使用を認め、各出店者がサンドイッチその他の飲食物を提供する飲食コーナーに本件商標を使用しているものである。

4 当審の判断
(1)乙各号証について
(ア)乙第1号証の1ないし5について
乙第1号証の1は、「現代はフレッシュサンドイッチの時代」の表題を付した「55オープンマニュアル」であり、乙第1号証の2ないし5は、「フレッシュサンドイッチ55」のマニュアル書と認められるものであるところ、「55オープンマニュアル」及び「各マニュアル書」には、各種サンドイッチの作り方から、材料・消耗品の斡旋価格及び斡旋単位、調理器具斡旋価格表、厨房の管理、調理器具の取扱い、原材料の取扱い、調理する人の注意点、食中毒の予防、健康診断・検便の実施等の説明が詳細に示されていることを認めることができる。
しかしながら、各マニュアル書に記載されていることは、専ら、サンドイッチを作るための調理器具の斡旋やサンドイッチを作ることに関する説明事項ばかりである。飲食物の提供の役務において、サンドイッチを提供するのであれば、通常は、珈琲や紅茶、ジュース等の飲み物も併せ提供されることが多いものと考えられるところ、そのような備品の斡旋や飲食物の提供を行うことに関する注意事項等については全く記載されていない。そして、乙第1号証の1の3頁ないし6頁に記載されている「工程表」や乙第1号証の2ないし5の「工程」の欄には、それぞれ「(商品)を三角袋に入れ、シールを貼る。」旨の文言があり、また、乙第1号証の1の10頁の「販売システム図」には、「原材料仕入→加工指導→販売指導の流れまでを一連のシステムとする。」と記載されている。
そうとすれば、乙第1号各証のマニュアル書は、専ら、被請求人である敷島製パン株式会社からシキシマパン特約店に材料等が供給され、シキシマパン特約店において、その材料を加工してサンドイッチを作り、個別包装してシールを貼り、商品として販売するシステムについて記載されたマニュアル書とみるのが相当であり、「飲食物の提供」という役務を行うためのマニュアル書とはいい難い。
してみれば、乙第1号証の1の表紙及び2頁には別掲のとおりの構成からなる本件商標が表示されており、この乙第1号各証が本件審判の請求の登録(平成17年6月22日)前3年以内においても引き続き使用されていたものであるとしても、乙第1号各証のマニュアル書をもって、直ちに、出店者が「飲食物の提供」を行っていたであろうことを推認するに足る資料とはいえない。
(イ)乙第2号証の1ないし3及び乙第3号証について
乙第2号証の1は、「三勝屋」の店舗の外観の写真であり、正面入り口上部の看板には、図形とともに「SHIKISHIMA NEW JOYS」と表示されている。乙第2号証の2は、店舗内の写真であって、店舗内の一角に調理室があり、調理室の正面窓ガラスには本件商標が表示され、調理室の正面窓ガラスや商品陳列棚等には手作りサンドイッチ等の価格表が貼付されている。そして、その調理室の壁に接して小さなカウンターが設けられており、椅子が1〜2脚置かれており、乙第2号証の3は、その調理室前のカウンター部分を中心に写した写真と認められる。また、乙第3号証は、平成12年5月12日付けの愛知県江南保健所長発行に係る三勝屋の営業者である勝野えみ子に対する食品営業許可証であり、許可年月日が平成12年6月16日、有効期限が平成18年7月31日までとなっている。
被請求人は、乙第2号証の1ないし3及び乙第3号証により、本件商標が三勝屋において、現在も飲食物の提供に使用されていることを証明するものである旨述べている。
しかしながら、乙第2号証の1の店舗外観を見る限り、飲食物の提供をしていることを窺わせるに足る表示はなく、また、乙第2号証の2及び3の店舗内の写真をみても、大人が2人座れば窮屈な程の小さなカウンターと1〜2脚の椅子が置かれている程度であって、店舗内に一定数の顧客を収容し飲食させるようなスペースを有しているものとは認められない。
また、被請求人は、調理室の正面窓ガラスに手作りサンドイッチのメニューがあり、壁(写真左側)に貼り付けられているメニューからサンドイッチの外、おはぎ、オムライス、コロッケ、おにぎりが提供されていることが証明できる旨主張している。
しかしながら、近年、店舗内の調理室において、弁当や寿司、調理パンをはじめ各種の総菜類を作り、出来たての新鮮な商品を販売する店舗も多く、そのような店舗においては、調理室の窓ガラスや壁面に商品の価格表が貼付されており、注文した商品が出来上がるまで待っているための椅子を置いている店舗もしばしば見受けられるところである。このような実情に照らしてみれば、乙第2号証の2及び3の「三勝屋」の店舗の調理室の正面窓ガラスに貼付されているのは、メニューというよりは、むしろ、手作りサンドイッチやおはぎ等の商品の価格表とみるのが相当であり、このことは、手作りサンドイッチやおはぎの価格表が商品陳列棚付近にも貼られていることからも首肯し得るものである。しかも、上述したように、飲食物の提供の役務においてサンドイッチを提供しているのであれば、通常は、珈琲や紅茶、ジュース等の飲み物も併せ提供されることが多いものと考えられるところ、被請求人が主張しているメニューには、そのような飲み物についての記載は見当たらない。
そうとすれば、「三勝屋」の店舗においては、調理室内で調理され、個別包装されてシールが貼られたサンドイッチを商品陳列棚に陳列して、あるいは注文に応じて作り、販売しているものとみるべきである。そして、カウンターや椅子は、あくまでも、商品として持ち帰るために注文したサンドイッチ等が出来上がるまでの間、座って待っているとか、子供や学生等、店舗内で食したい者の便宜を図って、その場で食べることができる場所を提供している程度のものであって、業として飲食物の提供の役務を行っていたものとは認め難い。
また、乙第3号証により、営業許可を受けていたとしても、そのことが直ちに、現実に飲食店として営業をしていた事実を証明するものとはいえない。
してみれば、乙第2号証の1ないし3及び乙第3号証によっては、本件商標が店内に表示されていたことは認められるにしても、本件商標が「飲食物の提供及びそれに類似する役務」について使用されていたものとは認められない。
(ウ)乙第4号証の1ないし乙第11号証について
乙第4号証の1ないし乙第11号証までの証拠も、乙第2号証の1ないし乙第3号証と同様のものであって、乙第4号証の1ないし乙第5号証は「マコトヤ」についてのもの、乙第6号証の1ないし乙第7号証は「サンドイッチショップ美原家」についてのもの、乙第8号証の1ないし乙第9号証は「砂糖松」についてのもの、乙第10号証の1ないし乙第11号証は「ASAHIYA(朝日屋)」についてのものであり、それぞれの店舗における店舗の外観の写真(砂糖松については添付されていない)、店舗内の写真及び営業許可書が提出されている。
しかしながら、これらの乙各号証についても、上記した「三勝屋」の場合と同様であって、店舗外観を見る限り、飲食物の提供をしている店舗とはいい難く、店舗の内部をみても、乙第4号証の「マコトヤ」の店舗については、大人の腰の高さぐらいの位置に狭いカウンターがあり、しかも、写真が鮮明ではないが、該カウンターの下には段ボール箱状のものが置いてあることが認められる。乙第6号証の「サンドイッチショップ美原家」の店舗については、調理室に接して、狭いカウンターと思しきスペースが写されいるのみであり、乙第8号証の「砂糖松」の店舗については、数多くの食品や飲料が陳列されている状態が写されているのみで、何処が飲食物の提供をする場所であるのかも定かではない。また、乙第10号証の「ASAHIYA(朝日屋)」の店舗については、カウンターのレジが置かれている脇に僅かなスペースがあり、椅子が一脚置かれている程度である。
以上の状況からみれば、いずれの店舗においても、飲食物の提供をしているというには、余りにもそのスペースが狭小なものであり、乙第2号証の「三勝屋」の場合と同様、該カウンターや椅子は、商品として持ち帰るために注文したサンドイッチ等が出来上がるまでの間、座って待っているとか、店舗内で食したい者の便宜を図って、その場で食べることができる場所を提供している程度のものというべきであり、これら乙号証をもって、それぞれの店舗が業として飲食物の提供の役務を行っていたものとは認め難い。
また、乙第5号証、乙第7号証、乙第9号証及び乙第11号証の営業許可書についても、前述したとおり、営業許可を受けていたとしても、そのことが直ちに、現実に飲食店として営業をしていた事実を証明するものとはいえない。
してみれば、乙第4号証の1ないし乙第11号証によっては、本件商標が店内に表示されていたことは認められるにしても、本件商標が「飲食物の提供及びそれに類似する役務」について使用されていたものとは認められない。
(エ)乙第12号証の1及び2について
乙第12号証の1及び2は、敷島製パン株式会社の「NEW-JOYS サンカツヤ(三勝屋)」宛ての納品書であり、乙第12号証の1の上段及び下段の納品書は2005年3月3日付け、乙第12号証の2の上段の納品書は2005年4月18日付け、そして、乙第12号証の2の下段の納品書は2005年4月29日付けのものであり、これら乙号証によれば、三勝屋が敷島製パン株式会社からサンドイッチの原材料の仕入れをしていた事実を認めることができる。
しかしながら、三勝屋が自己の店舗において作ったサンドイッチを商品として販売する場合においても、原材料の仕入れは必要なことであるから、乙第12号証の1及び2の納品書により、敷島製パン株式会社からサンドイッチの原材料の仕入れをしていたからといって、そのことが直ちに、三勝屋が飲食物の提供の役務を行っていたことの証明に結びつくものとはいえない。
(2)むすび
以上、被請求人の答弁の全趣旨及び乙各号証を総合的に判断しても、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかがその請求に係る指定役務のいずれかについての本件商標の使用をしていたことを証明したものとは認められない。
したがって、本件商標は、商標法第50条第1項の規定により、その指定役務中、「飲食物の提供及びそれに類似する役務」についての登録を取り消すべきものとする。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲 本件商標



審理終結日 2006-03-02 
結審通知日 2006-03-09 
審決日 2006-03-23 
出願番号 商願平4-206043 
審決分類 T 1 32・ 1- Z (042)
最終処分 成立  
前審関与審査官 伊藤 実滝沢 智夫 
特許庁審判長 野本 登美男
特許庁審判官 寺光 幸子
小林 薫
登録日 1997-01-31 
登録番号 商標登録第3249613号(T3249613) 
商標の称呼 フレッシュサンドイッチゴゴ、サンドイッチ、ゴゴ 
代理人 向山 正一 
代理人 泉 和人 

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