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審決分類 審判 判定  属する(申立て不成立) 132
管理番号 1131590 
判定請求番号 判定2005-60055 
総通号数 75 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標判定公報 
発行日 2006-03-31 
種別 判定 
2005-08-03 
確定日 2006-02-09 
事件の表示 上記当事者間の登録第2092022号商標の判定請求事件について、次のとおり判定する。 
結論 商品「うどんめん、そばめん、中華そばめん」に使用するイ号標章は、登録第2092022号商標の商標権の効力の範囲に属しない。
理由 1 本件商標
本件登録第2092022号商標(以下「本件商標」という。)は、「めんこうほ」の文字を書してなり、昭和61年7月17日に登録出願、第32類「食肉、卵、食用水産物、野菜、果実、加工食料品」を指定商品として、同63年11月30日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。

2 イ号標章
請求人が商品「うどんめん,そばめん,中華そばめん」について使用する標章として示したイ号標章は、別掲のとおりの構成よりなるものである。

3 請求人の主張
請求人は、商品「うどんめん,そばめん,中華そばめん」について使用するイ号標章は、本件商標の商標権の効力の範囲に属する、との判定を求め、その理由について次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし同第4号証を提出した。
(1)判定請求の必要性
請求人は、本件商標の商標権者であり、商品「そばめん,うどんめん」の製造販売卸業者であり、主に通信販売を行っており近々インターネット販売を行う予定である。しかも、都内5店舗にて、そば屋も経営している。
イ号標章の使用事実(商品の販売及びテレビ広告)が確認され、被請求人宛て平成17年7月7日付け「警告書」(内容証明郵便物)で、権利侵害でありその使用の中止等を要求したが、同12日付け「ご連絡」で約1週間の猶予の申し出後、同21日付け「回答書」にて「侵害するものではない。」との返事を受け、現在もそのまま使用を継続している。
被請求人の欺かる侵害行為の継続には、善良なる消費者・需要者に請求人が「ファミリーマート」にて取引を開始したかの如き印象を与え、請求人の営業に及ぼす影響が極めて重大で深刻な状態となりつつあるもので、本件判定を求めるものである。
(2)イ号標章が商標権の効力の範囲に属するとの説明
本件商標は、平仮名文字の構成態様であるから、それによる自然的称呼が生ずる。
これに対して、イ号標章は、その外観構成態様から、平仮名文字と漢文字との組み合わせであり、二段に併記された態様より、漢文字部分の「麺工房」に注視されてその部分より、「メンコウボウ」との称呼が生じ、取引に供され得るものと認められる。特に、平仮名文字の「こだわり」の文字部分は、当該商品の原材料・品質・製法等が、いわゆる「こだわり」を有するものである点を明らかに認識看取させ、自他商品を識別する機能は発揮されない部分と認められる。
そうすると、イ号標章「メンコウボウ」と本件商標「メンコウホ」とでは、両者称呼識別上、重要な要素となる語頭音を含め「メンコウ」までを同じくし、異なるのは語尾の「ボウ」と「ホ」の音の相違のみである。
そして、該相違音にしても、「ボウ」の音は、「ウ」音が前音「ボ」の母音(O)に続けて発音されるため長母音化して「ボ」の長音の如く聴取されることから「ボ」に近い聴感となり、加えて、一般に語尾部分の音は、必ずしも明瞭に発音、聴取されない場合が多いことからすれば、当該「ボウ」と「ホ」の相違音は、結局、語尾における濁音と清音の差に近い微差にすぎないものとなり、明瞭に聴別し難いものとなる。
したがって、該相違音が両商標の称呼全体に及ぼす影響は認められず、また、両者とも特定の親しまれた観念を有しない点と相まって、彼此一連に発音称呼された場合、全体の語調、語感が近似し、彼此聴き誤るおそれが大であり、商品の出所について混同を生じさせるおそれが認められ、類似の標章である。
また、本件商標に係る指定商品中「加工食料品」には、イ号標章の使用商品「うどんめん,そばめん,中華そばめん」が含まれること明らかである。
上述のとおり、イ号標章は、本件商標に類似する標章であり、その使用する商品も本件商標の指定商品に含まれるから、被請求人が商品「うどんめん,そばめん,中華そばめん」に使用するイ号標章は、本件商標の商標権の効力の範囲に属するものである。
(3)答弁に対する弁駁
イ号標章の外観構成態様は、3語の書体の大きさや配列からして「まとまり」があるものではない。イ号標章は、明らかに意識的に「こだわり」「麺」「工房」を個別分離して印象付ける工夫が読みとられる構成態様である。また、看取できる意味合いにおいても、各語間の密接な関連は、認められない。しからば、その3個のそれぞれの構成文字に注視されるものと認められるから、必ずしも一連一体の全体のみをもって看者に印象付けるものとはいい難い。
構成文字の商標としての意味合いを観るに、「こだわり」の文字は、今日のテレビ等マスメディアを通じて食品業界にあっては、被請求人が言う意味合いをもって、一般に多用されていると認められるから、商標的な識別力が無いか、或いは極めて弱い文字である。乙第1号証は、当時は認められるも、今日では識別力を有する根拠とは認められない。
「麺工房」の登録事実は、商標権の独占排他性からして唯一性が確保されるべきであるから、過誤といわざるを得ない。よって、該文字の登録事実からして識別力が弱いとする根拠とはならない。
次に、その称呼上において、必ずしも一連一体としての自然的称呼が生ずるとは認められない。イ号標章は、その外観からして一連の称呼が生ずるものとは認められず、また、その意味合いからしても「こだわり」の「麺工房」として分離称呼され、必ずしも一連の発音称呼が自然に生ずるとはいい難い。さらに、全体の称呼として一連であれば、9音(或いは10音)構成で冗長感があり、自然と「コダワリ」「メンコウボウ」と分離されて、呼びやすい言いやすい部分に略称されるものと認められる。
イ号標章の商品取引事情を観るに、その商品発売当時から、販促のキャンペーンをテレビ等マスメディアを通じて大々的に宣伝広告を繰り返し、全国にある「ファミリーマート」にて販売を継続しているものであるが、商品「うどんめん、そばめん、中華そばめん」の多種類に「こだわり」の「麺工房」として取引されているものである。よって、「こだわり」の文字部分は、「麺工房」の修飾語的なその意味合いと相まって、「こだわった」「麺工房」、「こだわっている」「麺工房」として、一般取引者、需要者に認識看取されての取引がなされている。
次に、その類否であるが、被請求人は、イ号標章から「麺工房」(メンコウボウ)の称呼、観念が生ずると自認しながら、両者、称呼上、類似しないと答弁する。しかし、その対比論は、極めて薄弱であり、到底首肯し得ない。
乙第2号証及び同第3号証は、過誤であり、非類似であるとされる理由根拠とはならない。
また、本件商標「メンコウホ」とイ号標章「メンコウボウ」とが、「彼此混同される可能性はない」と断言するのは、被請求人の独自の見解であり誤りと言わざるを得ない。

4 被請求人の答弁
被請求人は、結論同旨の判定を求め、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし同第7号証を提出した。
(1)イ号標章の一連一体性について
イ号標章は、円形図形の内部に「こだわり」の文字、及び「麺工房」の文字を同一の書体で二段に書してなるが、「麺工房」の「麺」の文字は、大きく書され、これにより生ずる「工房」の上部のスペースを埋めるかの如く、「こだわり」の文字が、右下がりに書されている。このように、「こだわり」、「麺」及び「工房」の三語が、円形図形の中にバランス良く配置されていることにより、全体をもって外観上まとまりの良い印象を看者に与える。
また、イ号標章は、「気にする、気にかける、拘泥、固執、執着」という意味を有する「こだわり」と、食材の「麺」及び「工匠の仕事をする部屋、画家・彫刻家・工芸家などの仕事場、アトリエ」を意味する「工房」を組み合わせてなる語であるが、「こだわり」の語が有するイメージと「麺工房」の語が有する職人的なイメージが合致することにより、「こだわり麺工房」の語からは、「職人が工房で素材や製法にこだわって作った麺」の如き一体的観念が認識される。
なお、請求人は、「こだわり」の語は自他商品識別機能を発揮しない部分であると主張するが、当該語は、商品の品質の高さを暗示的に示す言葉であるものの、何ら具体的に商品の品質等を示すものではないから、単なる記述的な語句として認識されることはない。現に、加工食料品の分野において「こだわり」が自他商品識別力を有する商標として登録されている(乙第1号証)。
また、「麺工房」の語は、複数の第三者により採択・登録されている(乙第2号証ないし同第7号証)ことからも、食品の分野において唯一性の強い語ではない。すなわち、「麺工房」は、格別に強い識別力を発揮する語でもないので、イ号標章中の「麺工房」の部分のみを要部として認識することは不自然であり、適当でない。
以上のように、イ号標章は、全体として強い一体感を取引者・需要者に与える標章であるから、「こだわり麺工房」全体をもって本件商標と対比されるべきであって、本件商標とイ号標章は、その外観、観念、称呼のいずれにおいても類似しない。

4 当審の判断
本件商標とイ号標章との類否について判断するに、本件商標は、前記のとおり「めんこうほ」の文字を書してなるところ、「メンコウホ」の自然的称呼が生ずる。
請求人の提出に係る甲第1号証ないし同第3号証の商品に使用しているイ号標章は、別掲に示すとおり円図形内に「こだわり」及び「麺工房」(「麺」の文字は、「工房」の文字より大きく表されている。)の文字を二段に表してなる。
そして、「こだわり」の文字が、一般に多用されているとしても、商品の原材料・品質・製法等を具体的に表示するものといい難く、これを構成する片仮名文字及び漢字の各構成文字は、円図形内に同じ書体風でまとまりよく一体的に表現されているとするのが相当であり、これより生ずる「コダワリメンコウボウ」の称呼は、よどみなく一連に称呼し得るものであって、他に、構成中の「麺工房」の文字部分のみが独立して認識されるとみるべき特段の事情は見い出せない。
そうとすれば、イ号標章を構成する各構成文字は、それぞれ分離されることなく一体不可分のものとして把握され、一種の造語を表したものと理解・認識されるものとみるのが自然であり、該各構成文字全体に相応して「コダワリメンコウボウ」の称呼のみを生ずるとするのが相当である。
してみれば、イ号標章から単に「メンコウボウ」の称呼をも生ずるものとし、そのうえで、本件商標とイ号標章とが称呼において類似するものとする請求人の主張は採用できない。
その他、本件商標とイ号標章とを類似するものとすべき特段の理由は、見出せない。
したがって、本件商標とイ号標章は、外観、称呼及び観念のいずれにおいても類似するということはできないから、商品「うどんめん,そばめん,中華そばめん」に使用するイ号標章は、本件商標の商標権の効力の範囲に属しないものである。
なお、請求人は、審決例を挙げているが、イ号標章から「コダワリメンコウボウ」の称呼のみが生ずること前記のとおりであって、事案を異にするものというべきであるから、上記認定に影響を及ぼすものとは認められない。
よって、結論のとおり判定する。
別掲 別掲
イ号標章

判定日 2006-01-30 
出願番号 商願昭61-74595 
審決分類 T 1 2・ 262- YB (132)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 小松 英世須藤 昌彦 
特許庁審判長 小林 薫
特許庁審判官 長柄 豊
寺光 幸子
登録日 1988-11-30 
登録番号 商標登録第2092022号(T2092022) 
商標の称呼 メンコーホ 
代理人 下田 憲雅 
代理人 牧野 利秋 
代理人 三嶋 景治 
代理人 足立 泉 
代理人 中田 和博 
代理人 柳生 征男 
代理人 青木 博通 
代理人 土生 真之 

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