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審決分類 |
審判 全部申立て 登録を維持 Z15 審判 全部申立て 登録を維持 Z15 |
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管理番号 | 1129420 |
異議申立番号 | 異議2004-90020 |
総通号数 | 74 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標決定公報 |
発行日 | 2006-02-24 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2004-01-08 |
確定日 | 2005-12-19 |
異議申立件数 | 1 |
事件の表示 | 登録第4715753号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 登録第4715753号商標の商標登録を維持する。 |
理由 |
第1 本件商標 本件登録第4715753号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲のとおりの構成よりなり、平成10年4月28日に登録出願、第15類「米国カリフォルニア州製のギター」を指定商品として、同15年6月13日に登録査定、同年10月10日に設定登録されたものである。 第2 登録異議の申立ての理由の要旨 登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、本件商標は、米国セミー・モズレー氏の業務に係るギターを表示するものとして広く知られた商標(甲第2号証)と同一の商標であり、かつ、指定商品「米国カリフォルニア州製のギター」に使用するものである。 したがって、本件商標は甲第2号証商標との関係において、商標法第4条第1項第10号若しくは15号に該当するものであり、よって、同法第43条の2第1号により、取り消されるべきものである旨述べ、証拠として甲第1号証ないし甲第7号証(枝番を含む。)を提出した。 第3 取消理由の要旨 本件商標は、申立人提出に係る甲第3号証ないし甲第6号証によれば、申立人が引用する甲第2号証(構成・態様は、本件商標とほぼ同じ)に示す商標は、本件商標の登録出願時及び査定時において、セミー・モズレー氏又は同人の設立したモズライト社製のエレキギターを表示するものとして周知・著名であると認定されている商標と類似のものである。 しかも、本件商標の指定商品は、セミー・モズレー氏又は同人の設立したモズライト社が使用する「エレキギター」とは、取引者・需要者を共通にする類似の商品と認められる「米国カリフォルニア州製のギター」である。 そうとすれば、本件商標は、セミー・モズレー氏又は同人の設立したモズライト社製に係る商品「エレキギター」として、需要者の間に広く認識されている商標と類似する商標であって、当該商品と類似する商品に使用するものであるといわざる得ない。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第10号に違反して登録されたものといわなければならない。 第4 商標権者の意見の要旨 商標権者は、本件商標は取消理由には当たらないと主張し、証拠として乙第1号証ないし乙第37号証を提出した。 米国において1976年は、ビンテージギター(古い1940年代、1950年代、1960年代のギター)の第1期ブームであり、本件商標権者の代表者(以下「A」という。)は、同年8月初渡米し、「Mマーク mosrite of California」のエレキギターを4本買い、これらから「モズライトギター」に関する技術と知識を得て、研究を続けた。 1980年代に入ると、毎月のように全米各地でビンテージギターのショーが開催されたから、毎月のように買い付けのために渡米して輸入した。セミー・モズレー氏に会ったのはこのショーの場所であり、彼はAの「モズライトギター」についての知識と研究に驚いていた、これによって両者の親密度は高まったのである。 1985年(昭和60年)4月、同氏は夫人と共にA経営のフィルモア楽器店に来店し、エレキギターの製造技術を持っているAに「モズライトギター」の製造に協力してくれるよう懇願し、その後も何回か訪問を受けたが、Aは断り続けた。ここに1985年4月3日に来店した時の夫妻の写真を提出する(乙第2号証)。 その後空白期間はあったが、1991年11月中旬頃に、Aはセミー・モズレー氏に宛てて手紙を書いた(乙第3号証)。そして、セミー・モズレー氏から返事があり、ぜひ米国で一緒に仕事がしたいから協力してほしいということであった。 Aは、あくまでも楽器店の経営者でありかつ多くの顧客を持つ需要者であるから、ベンチャーズモデルの良質の「モズライトギター」が輸入されさえすれば、我が国のモズライトファンを満足させることができたから、米国まで出かけその製造に手を貸すことはなかったが、当時すでにセミー・モズレー氏はその製造技術において往年の鋭さを失っていたのである。 その後、Aはセミー・モズレー氏の「モズライトギター」の製造に協力することになり、ここに同氏と1992年5月30日にブーンビルの契約会場において契約締結直後に撮影した写真を提出する(乙第6号証)。 また、契約の翌日の1992年5月31日からは同工場において、セミー・モズレー氏が「モズライトギター」を1952年にカリフォルニアで製造を開始して以来40周年を記念したモデルの製造に入ったが、その第1号完成直後の記念写真を提出する(乙第8号証)。このモデルは我が国に輸出してAの店で販売したが、月産5本位のハンドメイドであったことから、限定40本とした、Aは、その写真を入れた広告を月刊音楽専門誌「PLAYER」の1992年8月号に掲載した(乙第9号証)。 ところが、1992年8月7日にセミー・モズレー氏が急死したので、夫人が経営を引き継ぐこととなり、A自身も引き続きユニファイド社の工場での製作に従事していた(乙第33号証)が、1994年4月に倒産した。この間、Aは「モズライトギター」を我が国に輸出し、Aの店で在庫した。 以上の記述でわかるように商標「Mマーク mosrite of California」の名付け親であるセミー・モズレー氏は、もともとエレキギターの製作者ではあったが、そのモズレー氏がAに「モズライトギター」の製作を懇願したのである。そして、Aはそのギターに「Mマーク mosrite of California」の標章を付して我が国に輸出し、我が国のモズライトギターファンの期待にこたえてきたのである。同氏の死後夫人との関係がよくなかったAは、自店で販売する「モズライトギター」の注文をカリフォルニア州で「Mマーク mosrite of California」の登録商標を有していたスガイ・ミュージカル・インストルメンタル・インクの代表者クニオ・スガイに「モズライトギター」の製造技術を指導して製造を依頼し、これを独占的に輸入販売し、今日に至っている。 商標権者が提供しているモズライトギターは、セミー・モズレー氏の今や伝説的なベンチャーズモデルの単なるレプリカではなく、それを超えようとする技術の改良によるモデルを登場させていることから、その評判は音楽関係者も認めている(乙第31号証)。このような、技術革新はモズライトギターの我が国上陸40周年となる2005年に向けて一層高まっているのであり(乙第32号証)、今や我が国において、モズライトギターといえば商標権者を置いていない。 よって、本件商標は、商標権者自身のものとして周知・著名なものとなっているといえるものであるから、商標法第4条第1項第10号に該当しない。 第5 当審の判断 1 本件商標が、商標法第4条第1項第10号及び第15号に該当するものであると主張し、引用商標の周知・著名性を証する証拠として申立人が提出した甲各号証について検討する。 (1)甲第1号証の1及び2 本件商標の登録原簿謄本及び商標公報と認められる。 (2)甲第2号証 セミー・モズレー氏の使用に係る周知・著名商標(申立人は、本件商標と同一の商標と主張)。 同氏の業務に係るギターを表示するものとして広く知られていること及び本件商標の指定商品に使用するものであるとの、使用の態様及び使用実績等の事実を示す証拠は申立人から具体的に証明されていない。 (3)甲第3号証 本件商標の商標権者を請求人、申立人を被請求人とする登録第1419427号商標の無効審判事件(無効2000-35661)の審決公報。 審決では、同号商標の登録時に、被請求人には、不正競争の目的があったものといわざるを得ないとして、指定商品中の「楽器、演奏補助品、蓄音機、レコード」についての登録を無効とする、その余の指定商品についての請求は成り立たないとするものである。 (4)甲第4号証 申立人を原告、本件商標の商標権者を被告とする行政訴訟事件で、前記(3)の審決のうち「登録第1419427号の指定商品中の『楽器、演奏補助品、蓄音機、レコード』についての登録を無効とする。」とした部分を取り消す。との審決取消請求事件(平成14年(行ケ)283)の判決。 判決では、原告の請求が棄却されている。 (5)甲第5号証 申立人を被請求人とする登録第1419427号商標の取消審判事件(10-30446)の審決公報 審決では、商標法51条の規定により、同号商標の登録は、取り消すとされたものである。 (6)甲第6号証 申立人を原告とする行政訴訟事件で、前記(5)の審決を取り消す。との審決取消請求事件(平成14年(行ケ)497)の判決。 判決では、原告の請求が棄却されている。 (7)甲第7号証 前記登録第1419427号商標の商標公報 2 前記(1)ないし(7)は、本件商標が、商標法第4条第1項第10号及び第15号に該当するものであると主張し、引用商標の周知・著名性を証する証拠として申立人が提出した甲各号証であるところ、これらは、登録第1419427号商標の無効及び取消についての審決及び判決であって、これらの申立人の主張する証拠をもってしては、本件商標が、商標法第4条第1項第10号及び第15号に該当するか否かの証拠としては採用することができない。 3 商標権者の主張及び証拠として提出した乙各号証によれば、商標権者の代表者であるAは、もともとセミー・モズレー氏とは、ギターの製作に関し良好な関係にあり(乙第2号証ないし乙第7号証)、モズライトの名を冠したギターの我が国における輸入販売を行っていたものである。 このような関係にある、商標権者が、我が国において、本件商標を登録出願し登録したことは、モズライトギターの品質の維持や信用を獲得し不正な取引等からの防御等に必要な手段であったと認められ、また、我が国において「モズライトギター」を周知なものとしたのは商標権者と認められるところであり、これに反する証拠はない。 また、他に本件商標が、商標法第4条第1項第10号及び第15号に該当するものとするに足りる証拠はない。 4 むすび 以上のとおり、本件商標の登録は、申立人の提出に係る甲各号証をもってしては、商標法第4条第1項第10号及び第15号に違反してされたものとは認定できないから、同法第43条の3第4項の規定により、維持すべきものである。 よって、結論のとおり決定する。 |
別掲 |
別掲 本件商標 |
異議決定日 | 2005-11-29 |
出願番号 | 商願平10-35356 |
審決分類 |
T
1
651・
271-
Y
(Z15)
T 1 651・ 25- Y (Z15) |
最終処分 | 維持 |
前審関与審査官 | 蛭川 一治 |
特許庁審判長 |
小林 薫 |
特許庁審判官 |
池田 光治 寺光 幸子 |
登録日 | 2003-10-10 |
登録番号 | 商標登録第4715753号(T4715753) |
権利者 | 株式会社フィルモア |
商標の称呼 | モスリートオブカリフォルニア、モスライトオブカリフォルニア、モスリート、モスライト |
代理人 | 牛木 理一 |
代理人 | 近藤 実 |
代理人 | 千田 稔 |