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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 Y26
審判 全部申立て  登録を維持 Y26
審判 全部申立て  登録を維持 Y26
審判 全部申立て  登録を維持 Y26
管理番号 1126333 
異議申立番号 異議2004-90538 
総通号数 72 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2005-12-22 
種別 異議の決定 
異議申立日 2004-08-30 
確定日 2005-11-16 
異議申立件数
事件の表示 登録第4774951号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第4774951号商標の商標登録を維持する。
理由 第1 本件商標
本件登録第4774951号商標(以下「本件商標」という。)は、平成15年7月4日に登録出願、「コンマー」の片仮名文字と「CONMAR」の欧文字とを二段に併記してなり、第26類「ボタン類」を指定商品として、同16年5月28日に設定登録されたものである。

第2 登録異議の申立ての理由
登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、本件商標は商標法第4条第1項第7号、同第10号、同第15号及び同第19号に違反して登録されたものであるから、同法第43条の2第1号の規定により取り消されるべきものであると主張し、その理由を以下のとおり述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第62号証を提出した。
1 商標法第4条第1項第7号について
本件商標は、申立人の商標「CONMAR」と実質的に同一の商標で、商標権者は申立人がこの商標の真の所有者であることを認識しながら剽窃して商標登録を受けたもので、信義則に反して登録されたものである。
申立人が使用する「CONMAR」商標(以下「使用標章」という。)は、第2次世界大戦時、使用標章を軍用ファスナーをフライトジャケットに広く使用し、その後、1950年代及び60年代のフライトジャケット等に使用標章を付したファスナーを多用して70%のシェアを有し(甲第7号証及び甲第8号証)、米国内で周知著名となり、現在においても同様の製品や復刻したフライトジャケット等が取引されている。
そして、本件商標は、商標権者によって商標登録されたが、申立人使用標章と同一の称呼を生じ、極めて近似する商標であり、また、商標権者と申立人は、商品「スライドファスナー」の取引があった。
してみれば、本件商標は、商標権者によって剽窃して出願し登録されたものであり、社会の一般的道徳観念に反するものである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に違反して登録されたものである。
2 商標法第4条第1項第10号について
本件商標は、使用標章と称呼を同じくし、申立人が使用標章を使用する商品は、「スライドファスナー」であるのに対して、本件商標の指定商品はこれと同一又は類似のものである。
使用標章は、本件商標の出願前から周知であったことは明らかであり、現在においてもその周知性を失っていない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第10号に違反して登録されたものである。
3 商標法第4条第1項第15号について
本件商標は、使用標章と称呼を同じくし、指定商品も同一のものを含んでいる。
このような商標を指定商品に使用した場合には、申立人に係る商品と誤認混同を生ずるおそれがある。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものである。
4 商標法第4条第1項第19号について
商標権者は、本件商標と使用標章が類似し、使用標章とこれに関連する商標が申立人の商標であるとの認識がある。そして、申立人に商品の製造依頼を行っていたにもかかわらず、これが我が国で商標登録されていなかったことを奇貨として、商標登録し、申立人の国内参入を阻止しているから、本件商標の登録出願は、不正の利益を得る目的といえるものである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に違反して登録されたものである。
5 以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第7号、同第10号、同第15号及び同第19号に違反して登録されたものであるから、同法第43条の2第1号により、その登録は取り消されるべきである。

第3 当審の判断
本件商標は、上記1のとおり「コンマー」の片仮名文字と「CONMAR」の欧文字とを二段に併記してなるものである。
申立人は、本件商標が使用標章に類似する商標であって、商標法第4条第1項第7号、同第10号、同第15号及び同第19号に違反して登録された旨主張するから、以下、検討する。
1 使用標章について
使用標章は、「CONMAR」の欧文字よりなり、商品「ジッパー及びスライドファスナー」に使用されて、米国内で商標登録されていたが、1996年3月4日に、その権利抹消の登録がなされ、その後、申立人によって再度商標登録(2001年12月18日)された事実は認めることができる(甲第3号証及び甲第20号証)。
2 甲各号証について
甲第2号証は、申立人の2003年度版の商品カタログであって、該カタログ中に1936年から2002年までの申立人の活動報告が英文で掲載されているが、その第2頁ないし第3頁中には、「申立人会社は、世界第2位のジッパーメーカーである。…1996年の項に、IDEALは、スコービルジッパーとコンマージッパーの権利をスコービルジッパーから取得した。」等の記述を認めることができ、該カタログ中には、使用標章の掲載も認めることができるが、多数の商品が掲載されているにもかかわらず、使用標章の使用されている例は極めて少なく、これから、使用標章の周知、著名性を認めるには不十分といわざるを得ない。
そして、その最終頁に「2003」の数字が表されているから、該カタログの頒布時期は2003年といえるものである。
そうすると、使用標章は、米国で権利抹消の登録がされ(1996年3月4日)、再度商標登録されている(2001年12月18日)としても、申立人が使用標章を、その権利抹消の登録後、上記パンフレットが頒布される迄の期間、継続して使用していたと認めがたいものである。
したがって、申立人は、甲第2号証によっては、使用標章を1950年代より本件商標の登録出願時(平成15年7月4日)に至るまで継続して使用していたとは直ちに認め難いものである。
甲第3号証は、米国特許商標庁の使用標章の書誌情報であり、甲第4号証ないし甲第5号証は、我が国の「CONMAR」商標の商標公報であり、甲第6号証は、「CONMAR」商標の使用態様を示す写真であるから、これらは、使用標章の著名性を立証するものとはいえない。
甲第8号証ないし甲第16号証は、「CONMAR」商標の付されたファスナーの紹介記事、フライトジャケットに関する雑誌などの記事及びウェブページの検索例等であって、1996年に使用標章の権利抹消の登録される以前のもの(1940年代から1960年代のものがほとんどである。)であるから、申立人は、使用標章を本件商標の登録出願日以前から継続して使用し、使用標章が著名であったことを立証したものということはできない。
甲第17号証は、イズミヤ社が提供するウェブサイト(打ち出し日 2004年10月6日)であって、本件商標の登録出願日以前の使用標章の著名性を立証するものではない。
甲第18号証及び甲第19号証は、書簡であり、甲第20号証は、商願2003-56119号の拒絶理由通知に対する意見書であるから、本件商標の登録出願日以前の使用標章の著名性を直接立証するものではない。
甲第21号証ないし甲第49号証は、使用標章を使用している事実を証するとした請求書、ウェブサイトによる実物写真(甲第29号証 打ち出し日2004年8月20日)であるから、仮に、甲第29号証を除く甲第21号証ないし甲第49号証が、使用標章を付した商品の請求書及びインボイスであるとしても、甲第29号証の写真による商品(ファスナー)に使用されている標章と同一のものを1999年から2000年、さらに2002年に使用していたことを証明したということができない。
甲第50号証及び甲第51号証は、商標権者等の登記簿謄本であり、甲第52号証ないし甲第58号証は、商標権者と申立人の間の書簡又はメールのやりとりであるから、これらは、本件商標の登録出願日以前の使用標章の著名性を立証したものではない。
甲第59号証及び甲第61号証は、商標法第4条第1項第7号の適用を認めた審決例であるが、事案を異にするものであって、使用標章の著名性を立証するものではない。
甲第62号証は、本件商標の拒絶理由通知であり、使用標章の著名性を直接立証するものということはできない。
3 商標法第4条第1項第10号及び同第15号について
上記2よりすると、使用標章が、たとえ、1940年代よりその権利抹消(1996年)される迄の期間、著名であったとしても、1940年代から権利抹消を経て本件商標の登録出願時(平成15年7月4日)及び登録査定時(平成16年5月28日)に至るまで、継続使用されていたとは、甲各号証から直ちに認められないから、その周知、著名性も1940年代より本件商標の登録出願時に至るまで継続していたということはできない。
してみれば、本件商標は、他人の業務に係る商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されている商標に類似する商標ということはできないし、また、申立人使用商標を直ちに連想、想起するようなことはないというべきであって他人の業務に係る商品と混同のおそれがある商標ということもできない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第10号及び同第15号に違反して登録されたものではない。
4 商標法第4条第1項第7号及び同第19号について
上記2及び3を併せ考慮すると、本件商標は、その構成自体が矯激、卑猥、差別的な印象を与えるような文字又は図形からなるものでなく、これをその指定商品について使用することが社会公共の利益、一般道徳観念に反するものということもできず、他人の業務に係る商品又は役務を表示するものとして日本国内又は外国における需要者の間に広く認識されている商標と類似する商標であって、不正の目的をもって使用するものとはいえない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号及び同第19号に違反して登録されたものではない。
5 むすび
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第10号、同第15号、同第7号及び同第19号のいずれにも違反してされたものといえないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、その登録を維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
異議決定日 2005-10-31 
出願番号 商願2003-56119(T2003-56119) 
審決分類 T 1 651・ 22- Y (Y26)
T 1 651・ 271- Y (Y26)
T 1 651・ 222- Y (Y26)
T 1 651・ 25- Y (Y26)
最終処分 維持  
特許庁審判長 小林 薫
特許庁審判官 岩崎 良子
池田 光治
登録日 2004-05-28 
登録番号 商標登録第4774951号(T4774951) 
権利者 有限会社トイズマッコイプロダクト
商標の称呼 コンマー 
代理人 伊藤 克博 
代理人 矢野 公子 
代理人 宮崎 昭夫 
代理人 宮永 栄 
代理人 金田 暢之 
代理人 石橋 政幸 
代理人 長谷川 芳樹 
代理人 佐藤 英二 

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