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審決分類 審判 査定不服 商4条1項16号品質の誤認 登録しない Y09
審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 登録しない Y09
管理番号 1123195 
審判番号 不服2003-12868 
総通号数 70 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2005-10-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2003-07-08 
確定日 2005-09-01 
事件の表示 商願2002-57797拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は、「話速変換」の文字を標準文字で書してなり、第9類「電子計算機用プログラムを記憶させた電子回路・磁気ディスク・磁気テープその他の記憶媒体(願書には「その多」の文字を記載しているが軽微な誤記と認め「その他」の文字に置き換えた。以下同じ。),電子計算機用プログラム,その他の電子応用機械器具及びその部品,理化学機械器具,測定機械器具,配電用又は制御用の機械器具,電池,電気磁気測定器,電線及びケーブル,写真機械器具,映画機械器具,光学機械器具,眼鏡,加工ガラス(建築用のものを除く。),救命用具,電気通信機械器具,録音済み磁気カード・磁気シート及び磁気テープ,録音済みのコンパクトディスク,EPレコード,LPレコード,その他レコード,電子楽器用自動演奏プログラムを記憶させた電子回路及びCD-ROM,電子出版物,オゾン発生器,電解糟,ロケット,スロットマシン,回転変流機,調相機,運動技能訓練用シミュレーター,乗物運転技能訓練用シミュレーター,電気アイロン,電気式ヘアカーラー,電気ブザー,鉄道用信号機,乗物の故障の警告用の三角標識,発光式又は機械式の道路標識,火災報知機,ガス漏れ警報器,事故防護用手袋,消火器,消火栓,消火ホース用ノズル,消防車,スプリンクラー消火装置,消防艇,盗難警報器,保安用ヘルメット,防火被服,防じんマスク,防毒マスク,磁心,自動車用シガーライター,抵抗線,電極,溶接マスク,映写フイルム,スライドフイルム,スライドフイルム用マウント,録画済みビデオディスク及びビデオテープ,ガソリンステーション用装置,自動販売機,駐車場用硬貨作動式ゲート,金銭登録機,計算尺,硬貨の計数用又は選別用の機械,作業記録機,写真複写機,手動計算機,製図用又は図案用の機械器具,タイムスタンプ,タイムレコーダー,電気計算機,パンチカードシステム機械,票数計算機,ビリングマシン,郵便切手のはり付けチェック装置,ウエイトベルト,ウエットスーツ,浮袋,エアタンク,水泳用浮き板,潜水用機械器具,レギュレーター,アーク溶接機,犬笛,家庭用テレビゲームおもちゃ,携帯用液晶画面おもちゃ用のプログラムを記憶させた電子回路及びCD-ROM,金属溶断機,検卵器,電気溶接装置,電動式扉自動開閉装置,メトロノーム,耳栓」を指定商品として、平成14年7月10日に登録出願されたものである。

2 原査定の拒絶理由
原査定は、「本願商標は、『話速変換』の文字を普通に用いられる方法で書してなるところ、近年高齢者対策等により『音質を変えずに音声をゆっくりした速さにできる装置(話速変換装置)』の開発が進められており、その技術が電気通信機械器具などに応用されていることから、本願商標をその指定商品中、話速変換装置、話速変換機能を搭載したしたした電気通信機械器具、話速変換装置に用いる電子計算機・電子計算機用プログラムなどに使用するときは、単に商品の品質を表示するにすぎないものと認める。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記商品以外の商品に使用するときは、商品の品質の誤認を生じさせるおそれがあるので、商標法第4条第1項第16号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

3 審判請求の理由
請求人(出願人)は、「話速変換という熟語は、辞書に記載のない造語である。特定の同じ共通の意味を表すと取引者・需要者に認識されるものではない。原審説示のように、『音質を変えずに音声をゆっくりした速さにできる装置』を『話速変換装置』という例があるのかもしれないが、『話速変換』から『音質を変えずに音声をゆっくりした速さにできる』という意味に解する取引者・需要者は殆どいない筈である。
インターネットで調べると、『話速変換』は、『早聞き』、『遅聞き』等の意味で使用されている。したがって、『話速変換』といっても、種々の意味に理解されるものであり、特定の同じ意味に理解されるものではない。
商標が商品について内容等を表示する商標は、需要者において、その商品が何人かの業務にかかるものであるかを認識できないので登録されないわけであるが、この場合の内容等は、需要者の社会通念上その商品について特定した共通の意味にとれる内容等をいうものと解すべきである。種々の意味にとれる場合のように、その意味が特定されない場合は、何人かの業務にかかるものであるかを認識することができるからである。
因みに、『早聞き』とか『速聴』というのも、この類では登録されているが、これらが内容表示にならないで、『話速変換』が内容表示になる理由はないように思われる。
同様のケースには、同様の判断をすべきものであるから、上記事例から見て、本件の場合も内容表示にはならないと判断すべきである。
以上記述したように、本願商標は、特定の共通の意味に認識されるものではないから、商標法第3条第1項第3号及び第4条第1項第16号に該当しないものと信じる。」旨主張して、本願商標の登録を求めた。

4 当審の判断
(1)本願商標は、前記のとおり「話速変換」の文字よりなるところ、前半の「話速」からは、「話の速さ」あるいは「話の速度」との意味合いを容易に看取させるものであり、また、後半の「変換」の文字は、「かえること。かわること。」(広辞苑より)を意味する平易な語であるといえる。
してみれば、本願商標「話速変換」からは、全体として「話の速さをかえること」程の意味合いを生じるものとみて差し支えなく、これをその指定商品中の音声の送受信に関する商品(電気通信機械器具,電子計算機用プログラムを記憶させた電子回路・磁気ディスク・磁気テープその他の記録媒体,電子計算機用プログラム,その他の電子応用機械器具及びその部品)等に使用した場合、これに接する取引者・需要者は「話の速さをかえる機能又はその機能を搭載した商品」であることを端的に記述したものと認識するというのが相当である。
そうすると、「話速変換」の文字を普通に用いられる方法で書してなるにすぎない本願商標は、これをその指定商品中、「話(音声)の速さをかえる機能又はその機能を搭載した電気通信機械器具・電子計算機用プログラムを記憶させた電子回路・磁気ディスク・磁気テープその他の記録媒体・電子計算機用プログラム・その他の電子応用機械器具及びその部品」に使用しても、商品の品質(機能)を表示したものとして認識するにとどまり、自他商品の識別標識としての機能を果たし得ないものといわなければならない。
また、本願商標を話(音声)の速さをかえる機能又はその機能を搭載した商品以外の電気通信機械器具,電子計算機用プログラムを記憶させた電子回路・磁気ディスク・磁気テープその他の記録媒体,電子計算機用プログラム,その他の電子応用機械器具及びその部品について使用した場合には、商品の品質について誤認を生ずるおそれがあるものと認められる。
(2)しかして、原審で説示した「音質を変えずに音声をゆっくりした速さにできる装置(話速変換装置)」の開発が進められていることは、例えば、NHK放送研究所では、急速に進展する高齢化社会を見据えた技術として、声の質をそのままに、話し手があたかもゆっくりと話したように変換できる技術を話速変換技術と称して技術公開していることからも明らかである(●「NHK技術研究所を一般公開--来月13、14日」の見出しの下「・・・お年寄りのため、アナウンサーの声をゆっくりと聞きやすく変換する『高齢者用話速変換装置』など約五十の技術が公開される。・・・」(1992.05.27毎日新聞東京朝刊)、●「ゆっくり聞く技術(どきゅめんと)」の見出しの下「・・・NHKには・・・そのなかで身近な新技術が目をひいた。高齢者用話速変換装置という、話し言葉をゆっくりと聞きやすくする技術だ。・・・」(1992.06.04朝日新聞東京夕刊)、●「早口の放送の声も『はっきり』 話速変換システムを開発--NHK放送技術研究所」の見出しの下「・・・英語ニュースのヒアリングなどにも有効とされ実用化を目指して改良を進めている。この機械は『高齢者用最適音響再生(話速変換)システム』と呼ばれ、入力された音声を高度なLSI技術で声の高さや質を保ったまま自動的に変換する。スピードも、もとの速さから、その半分まで変えられる。・・・」(1992.06.11毎日新聞東京朝刊)等)。
また、●「高齢者・難聴者用の話速変換装置 ゆっくり、はっきり、聞こえます 日立が開発」の見出しの下「・・・高齢者や難聴者のために相手の話し声の速度を落とす携帯型の話速変換装置を開発した。相手の声を一時的に記憶する半導体と、速度変換装置、イヤホン端子をシステム手帳ほどの大きさにまとめたもので、・・・」(1993.10.03読売新聞東京朝刊)の報道記事、●「“早口”放送時代の味方 声質そのまま、ゆっくり音声」の見出しの下「・・・日本ビクターは、話速変換の技術をいかしたラジオを2002年に発売。音声を常に10秒間記憶する機能を加え、聞き逃した言葉をすぐに再生できるようにもした。昨年からはテレビにもゆっくり聞こえる機能を搭載。口の動きとのずれが気にならないように、遅れの程度はラジオの半分以下に抑えた。お年寄りだけでなく、外国語の学習者にも好評だという。・・・」(2005.04.23読売新聞東京夕刊)の報道記事、●「深層断面/ユニバーサルデザイン、高齢者にもやさしく。新製品相次ぎ投入」の見出しの下「・・・【ゆっくり話す電話】三洋電機が今月1日に発売したコードレス電話機・・・受話器から流れ出る音声をゆっくりと聞き取りやすい速度に変換する機能を搭載した。・・・話速変換技術の開発は・・・」(2001.02.07日刊工業新聞)の報道記事がそれぞれ認められる。
以上の一般紙又は業界紙によれば、「話速変換」の文字は、主として高齢者向けの商品について使用する場合には、一般の取引者・需要者においても「音質を変えずに音声をゆっくりした速さにできる商品(話速変換装置)又はその機能を搭載した商品」を意味する語として把握・認識されるといえるから、高齢者用等を前提とした場合について拒絶の理由を示したものであり、原査定の認定・判断に誤りはないといえる。
してみると、請求人が述べる「話速変換」から「音質を変えずに音声をゆっくりした速さにできる」という意味に解する取引者・需要者は殆どいない筈である。との主張は採用できない。
(3)さらに、請求人は、インターネットで調べると「話速変換」は、「早聞き」、「遅聞き」等の意味で使用されている。したがって、「話速変換」といっても、種々の意味に理解されるものであり、特定の同じ意味に理解されるものではない。と述べている。
しかし、もとより「話速変換」の文字からは、文字通りに「話の速さをかえること」程の意味合いを容易に看取させるものであって、例えば、●「早送り速度選べるビデオ 松下電器(情報ファイル・商品)【大阪】」の見出しの下「・・・映像を目的に応じて早送りしたり引き延ばしたりしながら、音声は独自に開発した話速変換技術により、会話の欠落やずれを抑えて自然に再生できるようにした。スポーツの結果を急いで知りたい場合は2倍速、ドラマなど会話を逃さず聞きたいときには1.3倍速、語学学習なら0.7倍速、といったように選べる。・・・」(1995.09.08朝日新聞大阪朝刊)の報道記事、● 「三洋電機、話速変換用システムLSIを開発」の見出しの下「・・・話速変換用システムLSIの新製品・・・現モデルから5/3、3/2、4/3、3倍速の再生モードを実現、またスロー再生モードでは3/4、2/3、1/2、1/3倍速も可能にした。これら新機能で、VTR機器など、より細かな動画再生倍速に対応した音声出力が可能になる。・・・同製品は、時間差適応型話速変換技術を利用し、早口の音声を聞きやすい速度に変換することを目的にしたLSI。応用製品にはVTR用部品のほか、難聴者の聴覚補助器などがある。」(1997.10.08日刊工業新聞)の報道記事、●前出の見出しを「“早口”放送時代の味方 声質そのまま、ゆっくり音声」(2005.04.23読売新聞東京夕刊)の報道記事の文末において、「〈話速変換〉/ 人の声は声帯と口の形の変化で1秒間に約2000回振動する。NHKのホームページ(http://www.nhk.or.jp/r‐news)では、10分のラジオニュースを無音部分を短縮しないまま12分にした『ゆっくり』版のほか、6分にした『はやい』版も提供。これだと“ななめ聞き”も可能だ。」の解説が記載されているほか、インターネット上の●「話速変換マルチメディアプレイヤー」(http://www.socnb.com/douga/)を見出しとするホームページ情報によれば、「【特徴と使用例】/再生速度を変化させても音程が変わらない機能を実装したマルチメディアプレイヤーです。/ 録っておいたラジオ番組をサッと聞く為にちょっと速く再生する。/PCで録画したテレビ番組を早見する。/英語の聞き取りや楽器の練習のためにお手本をゆっくり再生する。」の掲載、●「読書と試験の達人」(http://www.rakuten.co.jp/siken/622313/)を見出しとするホームページ情報によれば、「速く聴いても、遅く聴いても、きれいに聴き取れる『話速変換』。/話速変換とは 聴く速度が自由に変えられる。それが『話速変換機』です。」等の新聞報道記事及びインターネット上のホームページ情報よりして、使用する言葉の違いはあるが、速く聴くこと、又は遅く聴くことの機能を有する商品が存することが認められる以上に、「話速変換」の文字が「話(音声)の速さをかえること」程の意味合いを越えて別異のものとして認識・把握されて使用されている状況は見出せない。
したがって、請求人の特定の同じ意味に理解されるものではないとの主張は採用できないし、この点についての証左を何ら示すところがなく、その他の請求人述べるところの事情は、本願商標の識別性の有無の判断とは直接関わりのないものであり、本件の判断に影響を及ぼすものではないから、かかる請求人の主張はいずれも採用することができない。
(4)したがって、本願商標を商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するとして拒絶した原査定は、妥当なものであって、取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2005-07-05 
結審通知日 2005-07-05 
審決日 2005-07-22 
出願番号 商願2002-57797(T2002-57797) 
審決分類 T 1 8・ 272- Z (Y09)
T 1 8・ 13- Z (Y09)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 半田 正人 
特許庁審判長 田辺 秀三
特許庁審判官 高野 義三
佐藤 達夫
商標の称呼 ワソクヘンカン 
代理人 稲垣 仁義 

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