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審決分類 |
審判 一部無効 商4条1項11号一般他人の登録商標 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) Z29 |
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管理番号 | 1121621 |
審判番号 | 無効2004-89115 |
総通号数 | 69 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2005-09-30 |
種別 | 無効の審決 |
審判請求日 | 2004-12-14 |
確定日 | 2005-08-03 |
事件の表示 | 上記当事者間の登録第4345039号商標の商標登録無効審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 登録第4345039号の指定商品中「食用油脂,乳製品」についての登録を無効とする。 審判費用は、被請求人の負担とする。 |
理由 |
第1 本件商標 本件登録第4345039号商標(以下「本件商標」という。)は、「MARS」の文字と「マース」の文字を二段に表してなり、平成10年11月2日に登録出願、第29類「食用油脂,乳製品,食肉,食用魚介類(生きているものを除く。),肉製品,加工水産物,豆,加工野菜及び加工果実,冷凍果実,冷凍野菜,卵,加工卵,カレー・シチュー又はスープのもと,なめ物,お茶漬けのり,ふりかけ,油揚げ,凍り豆腐,こんにゃく,豆乳,豆腐,納豆,食用たんぱく」を指定商品として、同11年12月17日に設定登録されたものである。 第2 請求人の引用する商標 請求人が本件商標の登録の無効の理由として引用する登録第2721995号商標(以下「引用商標」という。)は、「マルス」の文字と「MARS」の文字を二段に表してなり、昭和63年7月6日に登録出願、第31類「調味料,香辛料,食用油脂,乳製品」を指定商品として、平成9年6月6日に設定登録されたものであるが、その後、錯誤発見により、指定商品を「砂糖、氷砂糖、角砂糖、ぶどう糖、果糖、はち蜜、乳糖、麦芽糖、水あめ、人工甘味料、粉末あめ、食用油脂、乳製品」に職権更正する旨の登録が、同16年12月13日になされているものである。 第3 請求人の主張 請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし同第13号証を提出した。 1 外観上の類似性 本件商標は、欧文字「MARS」と片仮名文字「マース」とを上下二段に横書きした構成であり、引用商標は、片仮名文字「マルス」と欧文字「MARS」とを上下二段に横書きした構成からなるところ、両商標は、欧文字「MARS」を共通の構成要素とする商標であり、そこに付された片仮名も、欧文字部分から自然に発生する二つの称呼「マース」と「マルス」をそれぞれ付加したにすぎない。 この片仮名3文字も、中間に位置する「ー」と「ル」とが異なるのみであるから、本件商標と引用商標とを、外観上、一見して即座に区別することは困難であり、両者は極めて紛らわしいというべきである。 さらに、本件商標及び引用商標が使用される商品は、一般消費者であって、子どもからお年寄りまで様々な人々が含まれる。したがって、商品に付された両商標に払われる注意力は、極めて低いものといわざるを得ない。 ましてや、商取引の現場においては、欧文字部分又は片仮名文字部分のみが単独で使用されている例が少なくない。よって、仮に、本件商標の欧文字部分が単独で使用された場合には、引用商標との間で、商品の出所につき、混同を生ずるおそれがあることは明かである。 2 称呼上の類似性 本件商標は、その構成中の片仮名文字に相応して「マース」の称呼が生じること明かであるが、「MARS」の欧文字から「マルス」の称呼をも生じる。 一方、引用商標からもその構成中の片仮名文字に相応して「マルス」の称呼が生じるが、「MARS」の欧文字から「マース」の称呼をも生じる。 英和辞典で「MARS」と引けば、第一議として「マルス:古代ローマの軍神」、第二議として「火星」の説明がなされ、片仮名語辞典で「マース」を引くと、「[Mars]→マルス」であり、続けて「マルス」を引くと「ローマ神話の軍神」「火星」の語義が表されている。 このように、欧文字で「MARS」と表記した場合には、一般に「マルス」とも「マース」とも自然に称呼されるものであり、たとえ片仮名が併記されていたとしても、打ち消されるものではない。 称呼類似とされた過去の審決例 (ア)カロルド=カロード (イ)マルシャル=マーシャル (ウ)コルペックス=コーペックス これらの例においては、対比されている商標の称呼上の差異は、いずれも本件と同様、「ル」と「ー(長音)」にすぎず、明瞭に聴取されにくく、称呼全体に及ぼす影響は極めて少ないと認定され、当該各商標は称呼上類似すると判断されている。 本件もこれらと事例を同じくするものであり、それらと異なる判断をすべき合理的な根拠はない。 3 観念上の類似性 本件商標と引用商標とは、欧文字「MARS」を共通の構成要素とする商標であるが、「MARS」には、「古代ローマの神話に登場する軍神」という意味と、惑星のひとつである「火星」の意味がある。 また、片仮名文字の「マース」や「マルス」にも同様の意味があることから、本件商標と引用商標とは、全体として観念を共通にする類似の商標である。 引用商標の出願段階において、本件商標の商標権者から起こされた商標登録異議の申立ての決定から、本件商標と引用商標とが、観念上類似することはあきらかである。 4 結語 以上のとおり、本件商標と引用商標とは、外観、称呼、観念のいずれにおいても全体として類似する商標であり、相互に混同する可能性が非常に高い。また、両者の指定商品も「食用油脂,乳製品」について相互に抵触している。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当し、その登録は「食用油脂,乳製品」について、商標法第46条第1項の規定により無効とされるべきである。 第4 被請求人の答弁 被請求人は、請求人の上記主張に対し、答弁していない。 第5 当審の判断 本件商標は、「MARS」の文字と、「マース」の文字を二段に表したものであるところ、「MARS」の欧文字は、「マルス」とも読まれ「古代ローマの軍神、火星」等の意味合いを有する英語であり(甲第7号証)、また、甲第8号証によれば、「マース」の片仮名文字は「マルス」と同義語であって、「マルス[Mars]」あるいは「マース」は、いずれも「ローマ神話の軍神、火星」等の意味合いを有するものである。 そうとすれば、本願商標は、構成各文字に相応して、「マース」の称呼を生ずるほか、上段の「MARS」の欧文字部分より「マルス」の称呼をも生ずるといえるものであり、「ローマ神話の軍神、火星」の観念を生ずるものである。 他方、引用商標は、「マルス」の文字と「MARS」の文字を二段に表してなるところ、構成各文字の有する意味合いは、上記のとおりであり、構成各文字に相応して、「マルス」の称呼を生ずるほか、下段の「MARS」の欧文字部分より「マース」の称呼をも生ずるといえるものであり、「ローマ神話の軍神、火星」の観念を生ずるものである。 してみれば、本件商標と引用商標とは、その観念及び称呼を共通にするものであり、かつ、その構成は、共に「MARS」の欧文字とその読みを表した片仮名文字とを二段に表したものであることから、かかる外観上の相違点は、離隔的にみれば微差というべきものであり、両商標を同一又は類似の商品に使用すれば、商品の出所について混同を生じさせるおそれがあるというべきである。 したがって、本願商標は引用商標に類似する商標と判断される。 そして、本件商標の指定商品「食用油脂,乳製品」は、引用商標の指定商品に含まれているものである。 してみれば、本件商標は、指定商品「食用油脂,乳製品」について、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものである。 したがって、本件指定商品中「食用油脂,乳製品」についての登録は、同法第46条第1項の規定により、無効とすべきである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2005-05-31 |
結審通知日 | 2005-06-06 |
審決日 | 2005-06-21 |
出願番号 | 商願平10-94396 |
審決分類 |
T
1
12・
26-
Z
(Z29)
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最終処分 | 成立 |
特許庁審判長 |
涌井 幸一 |
特許庁審判官 |
田中 亨子 富田 領一郎 |
登録日 | 1999-12-17 |
登録番号 | 商標登録第4345039号(T4345039) |
商標の称呼 | マース、マルス |
代理人 | 松尾 和子 |
代理人 | 大島 厚 |
代理人 | 熊倉 禎男 |
代理人 | 中村 稔 |
代理人 | 加藤 ちあき |
代理人 | 井滝 裕敬 |