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審決分類 審判 査定不服 商4条1項14号 種苗法による登録名称と同一又は類似 登録しない Z0217194041
管理番号 1121559 
審判番号 不服2002-17741 
総通号数 69 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2005-09-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2002-09-13 
確定日 2005-07-28 
事件の表示 商願2001- 12941拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 第1 本願商標
本願商標は、別掲のとおりの構成よりなり、第2類「塗料,染料,顔料,印刷インキ(「謄写版用インキ」を除く。),塗装用・装飾用・印刷用又は美術用の非鉄金属はく及び粉,塗装用・装飾用・印刷用又は美術用の貴金属はく及び粉,防錆グリース,カナダバルサム,壁紙剥離剤,コパール,サンダラック,シェラック,松根油,ダンマール,媒染剤,マスチック,松脂,木材保存剤」、第17類「ゴム,糸ゴム及び被覆ゴム糸(織物用のものを除く。),化学繊維糸(織物用のものを除く。),化学繊維(織物用のものを除く。),ゴム製又はバルカンファイバー製の座金及びワッシャー,蹄鉄(金属製のものを除く。),ゴム製又はバルカンファイバー製のバルブ(機械要素に当たるものを除く。),ゴムひも,石綿ひも,ゴム製包装用容器,ゴム製栓,ゴム製ふた,プラスチック基礎製品,雲母,石綿,岩石繊維,鉱さい綿,石綿網,石綿糸,石綿織物,石綿製フェルト,岩石繊維製防音材(建築用のものを除く。),石綿の板,石綿の粉,電気絶縁材料,オイルフェンス,ガスケット,管継ぎ手(金属製のものを除く。),パッキング,消防用ホース,石綿製防火幕,農業用プラスチックフィルム」、第19類「建築用又は構築用の非金属鉱物,陶磁製建築専用材料・れんが及び耐火物,リノリューム製建築専用材料,プラスチック製建築専用材料,合成建築専用材料,アスファルト及びアスファルト製の建築用又は構築用の専用材料,ゴム製の建築用又は構築用の専用材料,しっくい,石灰製の建築用又は構築用の専用材料,石こう製の建築用又は構築用の専用材料,繊維製の落石防止網,建造物組立てセット(金属製のものを除く。),セメント及びその製品,木材,石材,建築用ガラス,建具(金属製のものを除く。),無機繊維の板及び粉(石綿製のものを除く。),石こうの板,鉱さい,タール類及びピッチ類,可搬式家庭用温室(金属製のものを除く。),人工魚礁(金属製のものを除く。),セメント製品製造用型枠(金属製のものを除く。),吹付け塗装用ブース(金属製のものを除く。),養鶏用かご(金属製のものを除く。),区画表示帯,土砂崩壊防止用植生板,窓口風防通話板,航路標識(金属製又は発光式のものを除く。),道路標識(金属製又は発光式のものを除く。),石製液体貯蔵槽,石製工業用水槽,石製家庭用水槽,送水管用バルブ(金属製又はプラスチック製のものを除く。),ビット及びボラード(金属製のものを除く。),石製彫刻,コンクリート製彫刻,大理石製彫刻,石製郵便受け,灯ろう,飛び込み台(金属製のものを除く。),墓標及び墓碑用銘板(金属製のものを除く。)」、第40類「布地・被服又は毛皮の加工処理(乾燥処理を含む。),裁縫,ししゅう,紙の加工,ゴムの加工,プラスチックの加工,食料品の加工,石材の加工,セラミックの加工,電気めっき,フライス削り,焼きなまし,焼き戻し,溶融めっき,剥製,木材の加工,映画用フィルムの現像,写真の引き伸ばし,写真の焼付け,写真用フィルムの現像,製本,一般廃棄物の処分,産業廃棄物の処分,廃棄物の再生,グラビア製版,化学機械器具の貸与,ガラス器製造機械の貸与,金属加工機械器具の貸与,靴製造機械の貸与,写真の現像用・焼付け用・引き伸ばし用又は仕上げ用の機械器具の貸与,食料加工用又は飲料加工用の機械器具の貸与,製材用・木工用又は合板用の機械器具の貸与,製本機械の貸与,繊維機械器具の貸与,たばこ製造機械の貸与,廃棄物圧縮装置の貸与,廃棄物破砕装置の貸与,パルプ製造用・製紙用又は紙工用の機械器具の貸与,金属表面防錆被覆及び塗装,自動車車体の防錆被覆及び塗装,金属表面の加工処理,自動車車体の加工処理,塗料の調合・調色・加工受託,化学品の調合・加工受託,金属表面防錆被覆及び塗装に関する情報の提供,自動車車体の防錆被覆及び塗装に関する情報の提供,金属表面の加工処理に関する情報の提供,自動車車体の加工処理に関する情報の提供,塗料の調合・調色・加工受託に関する情報の提供,化学品の調合・加工受託に関する情報の提供」及び第41類「技芸・スポーツ又は知識の教授(「塗料・塗装技術の教授」を除く。),塗料・塗装技術の教授,動物の調教,植物の供覧,動物の供覧,図書及び記録の供覧,美術品の展示,庭園の供覧,洞窟の供覧,映画・演芸・演劇又は音楽の演奏の興行の企画又は運営,映画の上映・制作又は配給,演芸の上演,演劇の演出又は上演,音楽の演奏,放送番組の制作,ゴルフの興行の企画・運営又は開催,相撲の興行の企画・運営又は開催,ボクシングの興行の企画・運営又は開催,野球の興行の企画・運営又は開催,サッカーの興行の企画・運営又は開催,競馬の企画・運営又は開催,競輪の企画・運営又は開催,競艇の企画・運営又は開催,小型自動車競走の企画・運営又は開催,当せん金付証票の発売,音響用又は映像用のスタジオの提供,運動施設の提供,娯楽施設の提供,興行場の座席の手配,映写機及びその附属品の貸与,映写フィルムの貸与,楽器の貸与,スキー用具の貸与,スキンダイビング用具の貸与,テレビジョン受信機の貸与,ラジオ受信機の貸与,図書の貸与,レコード又は録音済み磁気テープの貸与,録画済み磁気テープの貸与,おもちゃの貸与,遊園地用機械器具の貸与,遊戯用器具の貸与,レーシングカーの展示会の企画・運営又は開催,小型自動車競走の企画・運営又は開催に関する情報の提供,塗料・塗装技術の教授に関する情報の提供,レーシングカーの展示会の企画・運営又は開催に関する情報の提供」を指定商品及び指定役務として、平成13年2月16日に登録出願され、その後、上記指定役務中第40類に属する役務については、平成14年2月15日付け手続補正書をもって、「布地・被服又は毛皮の加工処理(乾燥処理を含む。),裁縫,ししゅう,紙の加工,ゴムの加工,プラスチックの加工,食料品の加工,石材の加工,セラミックの加工,電気めっき,フライス削り,焼きなまし,焼き戻し,溶融めっき,剥製,木材の加工,映画用フィルムの現像,写真の引き伸ばし,写真の焼付け,写真用フィルムの現像,製本,一般廃棄物の処分,産業廃棄物の処分,廃棄物の再生,グラビア製版,化学機械器具の貸与,ガラス器製造機械の貸与,金属加工機械器具の貸与,靴製造機械の貸与,写真の現像用・焼付け用・引き伸ばし用又は仕上げ用の機械器具の貸与,食料加工用又は飲料加工用の機械器具の貸与,製材用・木工用又は合板用の機械器具の貸与,製本機械の貸与,繊維機械器具の貸与,たばこ製造機械の貸与,廃棄物圧縮装置の貸与,廃棄物破砕装置の貸与,パルプ製造用・製紙用又は紙工用の機械器具の貸与,金属表面防錆被覆及び塗装,自動車車体の防錆被覆及び塗装加工,金属表面の加工処理,塗料の調合・調色・加工受託,化学品の調合・加工受託,金属表面防錆被覆及び塗装に関する情報の提供,自動車車体の防錆被覆及び塗装加工に関する情報の提供,金属表面の加工処理に関する情報の提供,塗料の調合・調色・加工受託に関する情報の提供,化学品の調合・加工受託に関する情報の提供」と補正されたものである。

第2 原査定の拒絶の理由の要点
本願商標は、環境省が1996年より、中小事業者等の幅広い事業者に対して環境マネジメントの簡易な手段を提供する目的で策定し、社団法人全国環境保全推進連合会と共にその普及を図っている環境活動評価プログラムを表す「エコアクション21」に類似するものと認める。
したがって、本願商標は、商標法第4条第1項第6号に該当する。

第3 当審の判断
1 我が国の環境保全施策(事業者の環境保全活動を中心とした施策)
(1)近時、地球環境の保全に関する取組が世界的規模をもって行われているところ、我が国においても、1993年(平成5年)11月に「環境基本法」(平成5年法律第91号)が制定され、この環境基本法を軸として、環境保全施策の総合的かつ計画的な推進を図るため、施策の基本的方向等を定めた環境基本計画が平成6年12月に閣議決定(平成6年総理府告示第34号)され、さらに、第2次環境基本計画(環境の世紀への道しるべ)が平成12年12月に閣議決定(平成12年総理府告示第70号)されたところである。
(2)(ア)上記環境基本計画(平成6年総理府告示第34号)の第2部(環境政策の基本方針)には、「循環(環境への負荷をできる限り少なくし、環境を基調とする社会経済システムの実現)」、「共生(健全な生態系を維持・回復し、自然と人間との共生の確保)」、「参加(あらゆる主体が環境保全に関する行動に自主的に参加する社会の実現)」、「国際的取組(国際的取組の推進)」を掲げている。
(イ)さらに、第2次環境基本計画(平成12年総理府告示第70号)においては、上記環境基本計画(平成6年総理府告示第34号)における「環境政策の基本方針」の「循環」、「共生」、「参加」、「国際的取組」を21世紀初頭における環境政策の展開の長期的目標として、より具体的な施策を打ち出し、例えば、「あらゆる主体の参加」(第2部第2節(持続可能な社会の構築に向けた環境政策)の「4」)の項目では、「(2)事業者」の環境への取組として「事業者の行動への環境配慮の織り込みをより普遍的なものにしていくため、事業者が環境管理システムなどの適切な環境管理のための仕組みを導入して環境に配慮した事業活動を行うことが期待されます。」と記載され、第3部第8節(社会経済の環境配慮のための仕組みの構築に向けた取組)の「3 重点的取組事項 (5)手続的手法の開発と普及」には、「ア 環境管理システム」として、「環境管理システムの導入を幅広い事業者に広げていくため、ISO14001について、引き続き情報提供、研修などの支援を行い、取得の促進に努めます。また、中小規模の事業者などが環境管理システムの導入に向けた取組を始めることを促す手段として、低利融資、研修をはじめとする取得促進のための支援、簡易な手法である環境活動評価プログラムの普及などの取組を進めます。」と記載されている。
(3)これらの環境基本計画を受けた環境白書(環境省又は環境庁編)には、以下の記載がある。
(ア)平成8年版の各論、第3章(公平な役割分担の下でのすべての主体の参加の実現)第1節(各主体の自主的積極的行動の促進)「2」(環境保全の具体的行動の促進)、「(1)事業者による具体的な環境保全活動の促進」には、「事業者による自主的な環境保全活動を促進するため、環境庁では、平成5年に『環境にやさしい企業行動指針』を公表し、また、平成3年度以降、毎年、企業における環境保全活動の状況を調査し、関連する情報の普及を行ってきた。平成7年度は、あらゆる業種、規模の幅広い事業者による環境保全活動をさらに促進するため、事業者が環境への負荷や環境保全活動の状況を自己評価して取組を進めていく手法として、国民の意見を聴きながら、『環境活動評価プログラム』について検討を行い、平成8年度からの実施に向けてパイロット事業を行った。」と記載されている。
(イ)平成9年版の、平成8年版と同項目には、「平成8年度は、あらゆる業種、規模の幅広い事業者による環境保全活動をさらに推進するため、事業者が環境への負荷や環境保全活動の状況を自己評価して取組を進めることを目的とする『環境活動評価プログラム』を全国的に実施した。」と記載されている。
(ウ)平成10年版ないし平成12年版の、平成8年版と同項目には、「平成8年度から、中小企業を含む幅広い事業者の取組を促進するため、環境への負荷の自己評価等の取組を進める『環境活動評価プログラム』を実施するとともに、平成9年度から、地方公共団体と協力して、各地で環境マネジメントに関する講習会を開催している。」旨記載され、さらに、平成12年版の同項目には、「また、事業者による自主的な環境保全活動を促進するため、平成3年度以降、毎年、企業における環境保全活動の状況を調査し、関連する情報の普及を行ってきた。さらに、中小企業を含む幅広い事業者を対象とした『環境活動評価プログラム』についてISO14031(環境パフォーマンス評価)との整合性を確保する等の観点から改訂を行い、引き続き普及を進めるとともに、地方公共団体と協力して、各地で環境マネジメントに関する講習会を開催している。」と記載されている。
(エ)平成13年版の「平成13年度において講じようとする環境の保全に関する施策」及び平成14年版の「平成14年度において講じようとする環境の保全に関する施策」の第2章(各種施策の基盤及び各主体の参加に係る施策)第2節(社会経済のグリーン化メカニズムの構築に向けた取組)「5」(手続的手法の開発と普及)の「環境マネジメントシステム」には、「環境マネジメントシステムの導入を幅広い事業者に広げていくため、ISO14001について、引き続き情報提供、研修等の支援を行い、取得の促進に努めます。また、中小規模の事業者などが環境マネジメントシステムの導入に向けた取組を始めることを促す手段として、低利融資、研修をはじめとする取得促進のための支援、簡易な手法である環境活動評価プログラム(エコアクション21)の普及を引き続き進めます。」と記載されている。
(オ)平成15年版の「平成15年度において講じようとする環境の保全に関する施策」の、平成13年版及び平成14年版と同項目には、上記(エ)と同趣旨の記載に加え、「環境活動評価プログラム(エコアクション21)の普及と第三者認証の実施に向けた検討を引き続き進めます。」と記載されている。
(カ)平成16年版の「平成16年度において講じようとする環境の保全に関する施策」の第7章(各種施策の基盤、各主体の参加及び国際協力に係る施策)第3節(社会経済のグリーン化の推進に向けた取組)「3」(事業活動への環境配慮の組み込みの推進)、「(5)中小企業の取組の促進」には、「中小規模の事業者などが環境マネジメントシステムの導入に向けた取組を始めることを促す手段として、低利融資、研修をはじめとする取得促進のための支援、中小企業向けの環境配慮ツールである環境活動評価プログラム(エコアクション21)の普及促進を図ります。また、運輸関係企業のグリーン経営の普及に努め、従来のトラック事業に加え、バス・ハイヤー・タクシー事業を対象とした『グリーン経営認証制度』を開始します。」と記載されている。
(4)このように、1993年(平成5年)11月に制定された「環境基本法」を軸に、我が国において、環境保全に関する様々な施策が環境省を中心にして進められている中で、その一環として、事業者の環境への配慮を促す施策の一つに、中小事業者を対象とした環境活動評価プログラム、すなわち、エコアクション21の普及促進が図られているところである。
2 「エコアクション21」について、当審で行った職権による証拠調べによれば、以下のとおりである。
(1)「エコアクション21」の語の意味、認定・登録制度等
(ア)「環境活動評価プログラム(エコアクション21)認証制度」(環境省総合環境政策局環境経済課、平成15年6月)によれば、「パイロット事業の目的」には、「環境省では平成8年(1996年)より、中小事業者等の幅広い事業者に対して、自主的に『環境への関わりに気づき、目標を持ち、行動する』ことができる簡易な方法を提供する目的で、環境活動評価プログラム(エコアクション21)を策定し、その普及を進めてきたが、近年の環境経営の急速な進展、特にグリーン購入や環境報告書の進展・普及、廃棄物や化学物質等に対する法制度の整備、ISO14001認証取得の広がり等新たな動きが拡大しつつある中で、中小事業者でも比較的容易に取組むことができる一方で、ISO14001と同様に認証を受けることのできる全国的な認証制度の仕組みを望む声が高くなってきたため・・地方公共団体における新たな認証制度の取組、大手企業における自社サプライチェーンでのエコアクション21活用の動き等を踏まえつつ、エコアクション21の内容を全面的に見直すとともに、その認証・登録の仕組みのあり方を検討して、『エコアクション21・2003年度試行版』を取りまとめました。」とある。
(イ)「エコアクション21 2004年版/環境経営システム・環境活動レポートガイドライン」(環境省総合環境政策局環境経済課)によれば、「エコアクション21・2004年版の特徴」(3頁)には、「エコアクション21は、中小事業者における環境への取組を促進するため、平成8年に環境省が策定し、その後何度か改定しながら、その普及を進めてきたものですが、環境問題に関するグリーン購入の進展等の様々な新たな動きを踏まえて、その内容を全面的に改定しました。」との記載があり、「エコアクション21の認証・登録制度」(4頁)には、「・・審査において適合していると認められた場合には、エコアクション21認証・登録事業者として認証を受け、環境への取組を積極的に行っている事業者としてエコアクション21中央事務局(仮称)に登録することができます。・・認証・登録された事業者には、今後検討するロゴマークの使用を認める予定です。」との記載がある。
なお、「平成16年度 エコアクション21審査人試験募集要領」(財団法人地球環境戦略研究機関 持続性センター(エコアクション21事務局)、平成16年11月)には、「今般、この新しいガイドラインに沿って環境に取組む事業者を認証・登録する『エコアクション21 認証・登録制度』を、財団法人地球環境戦略研究機関 持続性センターが実施することになりました。」との記載がある。
(2)上記「エコアクション21」に関する解説記事
(ア)「環境情報科学 32ー4 2003」(社団法人環境情報科学センター発行)には、「エコアクション21――事業者の環境経営の促進のために」(19頁、東方東北大学大学院法学研究科教授 三好信俊著)の表題のもと、「エコアクション21」の改定とその必要性等についての解説記事の掲載があり、記事中には、例えば、「直接エコアクション21に参加・登録する事業者数が最近になって急速に増加する傾向にあるだけでなく(「注」として、2003年1月末時点で492社だったものが、2003年8月末時点で813社に増加した。)、地方公共団体が地域の環境保全対策の一環として、また、大手企業が取引先等のグリーン化を進める手段の1つ、いわゆるグリーン調達としてこれを参照する事例が増大するなど、この分野における需要に応える役割を果たしてきたと言えよう。」との記載がある。
(イ)「月刊アイソス」2003年9月、10月及び12月の各号(株式会社システム規格社発行)には、それぞれ「KES、エコアクション21、エコステージ/EMS簡易認証制度の三つどもえ現象」、「環境省の簡易EMS認証制度『エコアクション21』/全国230事業所が9月から取組開始」、「MONTHLY SPECIAL/国の制度とISOマネジメントシステム/環境省エコアクション21」の表題のもと「エコアクション21」に関する記事の掲載があり、10月号には、「このエコアクション21による認証制度はISO 14001よりも簡易な基準と安価な認証コストを設定し、中小事業者でも比較的容易に取り組め、かつ登録による社会的評価も享受できることを狙ったもの。」(20頁)との記載があり、また、12月号の「来年4月に改訂版EA21がスタート すでに民間では関心の高まりが」の記事(43頁)には、「今夏、環境省が公表した『平成14年度環境にやさしい企業行動調査』でもEA21はとりあげられている。大企業から中小企業まで、約3,000社が回答を寄せている大がかりな調査であるが、この中で、7割の企業がEA21の存在を知っていると答えている。・・来年4月から正式にスタートする改訂版EA21について、今夏、パイロットの参加組織を募ったところ、環境省が当初見込んでいた100社程度の数を大きく上回る300社からの応募があり、急きょ、選定を行い、中小企業を中心に230社に絞ったという。」との記載がある。
(ウ)「環境技術」2004年5月号(環境技術学会発行)には、「特集1・環境マネジメントシステムの最新の動向/エコアクション21の概要とねらい」(334頁、環境省総合環境政策局 川野光一著)の表題のもと、「エコアクション21」に関する記事の掲載がある。その記事中には、「エコアクション21は平成8年、ISO14001が規格化された同じ年に生まれた。・・それから8年が経過し今年ISO14001は改訂のときを迎え、同じようにエコアクション21も認証制度へと変革のときを迎える。平成15年度240社の参加を得てパイロット事業を行い、その成果を反映し平成16年4月から新プログラムを発行した。そのための説明会を日本全国で開催した。」(334頁)との記載があり、また、「3.エコアクション21の歴史」(335頁)には、「エコアクション21参加登録企業数」の推移が図-2として示されており、これによれば、平成14年で約600社、平成15年では1000社を遙かに越えていることが見て取れる。
(エ)「日経エコロジー」2004年12月号(日経BP社発行)には、「台頭するEMS/数年内に取得企業『1万社』突破も/ここ2〜3年で中小企業向けEMSを取得する企業が急増している。規格の内容がわかりやすく、日常的に取り組める仕組みが魅力だ」の見出しのもと、「エコアクション21」等環境マネジメントシステムについての解説記事の掲載がある。
(オ)「環境新聞」(平成16年8月25日、環境新聞社発行)には、「環境省/中小向け環境経営支援制度 10月にも本格スタート/各地の制度と相互承認も」(2頁)との見出しのもと、「エコアクション21」に関する記事の掲載がある。
(カ)「日刊工業新聞」(2004年9月2日、日刊工業新聞社発行)には、「環境省、中小向け環境経営支援制度を年度内にも本格実施」(1頁)の見出しのもと、「エコアクション21」に関する記事の掲載がある。
(3)「エコアクション21」の広報活動、参加企業等について
(ア)「日刊工業新聞」(2000年5月23日)には、「プレハブ建築協、『エコアクション21』を策定。CO2排出量15%削減へ」(22頁)の見出しのもと、「プレハブ建築協会は具体的な数値目標・行動を定めた環境行動計画『エコアクション21』を策定し『新規供給プレハブ住宅の生産・居住段階における二酸化炭素排出量を99年比15%削減する』など、明確な目標を盛り込んだ。」との記事の掲載がある。
(イ)「日本経済新聞 地方経済面/長野」(2001年2月20日、日本経済新聞社)には、「松本市の来年度予算案、一般会計は7.6%増。」(3頁)の見出しのもと、「松本市は・・環境対策として二十一項目の新規施策からなる『エコアクション21』に取り組む。」との記事の掲載がある。
(ウ)「朝日新聞、東京地方版/群馬」(2001年10月13日、朝日新聞社発行)には、「地球市民の日、イベント様々 環境問題で学習会 高崎市/群馬」(34頁)の見出しのもと、「高崎市は、姉妹・友好都市4市との間で宣言した『地球市民の日』のイベントを27日、市庁舎と市庁舎前広場で開く。・・企業や団体が環境問題を分かりやすく訴える『地球市民広場』、エコアクション21学習会などがある。」との記事の掲載がある。
(エ)「日経産業新聞」(2001年12月19日、日本経済新聞社発行)には、「第5回環境経営度調査から――経済・生活が変わる、さあ本番、先行企業の優位性増す。」(14頁)の見出しのもと、「環境問題の構造変化に対応し、持続可能な社会への転換を図るために、循環型社会を目指す自主的な環境保全のための行動が求められている。企業の自主的取り組みは経営方針に環境保全を織り込み、環境報告書や環境会計の形で公表し、広く消費者などとの環境コミュニケーションを図るものだ。・・この自主的取り組み、公表をサポートする仕組みとして環境省は『事業者の環境パフォーマンス指標ガイドライン』、『環境会計ガイドライン』、中堅・中小企業、個人事業者向けの『環境活動評価プログラム(エコアクション21)』、『環境報告書ガイドライン』、合わせて四つのガイドラインを発行してきた。」との記事の掲載がある。
(オ)「日刊工業新聞」(2002年9月25日)には、「東京都武蔵野市、事業者向け環境講座を開催」(31頁)の見出しのもと、「東京都武蔵野市は、・・同市役所で『事業者のための環境講座』を開く。中小企業者を対象に、オフィスや工場などでの事業活動に伴う環境負荷を減らす環境活動評価プログラム『エコアクション21』について解説する。」との記事の掲載がある。
(カ)「日経産業新聞」(2002年11月8日)には、「エスペック、環境保全規格、全調達先に取得支援、一括申請で認証へ。」(11頁)の見出しのもと、「環境試験装置最大手のエスペックは部材などの調達先約八十社を対象に環境省が認定する中小企業向けの環境保全規格の認証取得を支援する。・・認証取得を支援する『環境活動評価プログラム(エコアクション21)』は、環境管理の国際規格「ISO14001」の簡易版。・・エスペックは・・エコアクション21についての説明会や業種別のグループ演習を開くほか、個別に申請書類である環境行動計画などの作成を指導する。」との記事の掲載がある。
(キ)「朝日新聞、東京地方版/福島」(2003年3月5日)には、「屋上の風受け、発電機で照明 郡山女子大/福島」(30頁)の見出しのもと、「郡山女子大の屋上にこのほど、小型の風力発電機がついた・・大学側は『学生に見上げてもらい、省エネの啓蒙に役立てたい』と話している。・・同大と付属の高校、幼稚園は今年度から環境省の『エコアクション21』に参加。04年度までに二酸化炭素排出量などを減らす取り組みを続けており、風力発電はそのシンボルという。」との記事の掲載がある。
(ク)「日刊工業新聞」(2003年5月1日)には、「中小向け環境管理規格、自治体など主導の認証制度普及」(23頁)の見出しのもと、「環境管理・監査に関する国際規格『ISO14001』に代わって、自治体などが取り組む中小企業向けの簡便な環境管理規格による認証が広がり始めた。・・すべての事業者が環境保全に取り込むことが求められていることに対応して、環境省が策定したのが『環境活動評価プログラム-エコアクション21』であり、長野県環境保全協会は、これをベースに独自の審査認証制度を盛り込んで『エコアクションながの』を策定、昨年7月から10事業所が参加研修・・」との記事の掲載がある。
(ケ)「日本食糧新聞」(2003年7月21日、日本食糧新聞社発行)には、「食品品質・環境マネジメント研究会『エコアクション21を解説』7月30日開催」の見出しのもと、「環境省が一九九六年から普及を進めてきた環境活動評価プログラム(エコアクション二一)が大きく変わろうとしています。・・今回の研究会は、エコアクション二一についての説明、・・」との記事の掲載がある。
(コ)「日経産業新聞」(2003年11月13日)には、「福井市版環境ISO、NPOなどと認証機関――中小向け、来春導入。」(10頁)の見出しのもと、「福井市は中小企業向けに独自の環境評価制度を創設する。・・新制度は『エコアクション21ふくい』で、十一日に認証機関となる福井市環境マネジメントシステム認証協会を設立した。」との記事の掲載がある。
(サ)「読売新聞」(2004年3月9日東京朝刊、読売新聞社発行)には、「県、環境認証制度創設へ 学校や企業対象に2種類=山形」(28頁)の見出しのもと、「環境に配慮した事業活動や環境教育を後押ししようと、県は新年度から二つの認証制度を創設する。企業や学校、民間活動団体(NGO)などをサポートする『環境保全活動・環境教育実践団体』と、中小企業などを対象にした『山形県らしい環境マネジメントシステム』の二つで、環境に対する総合的な意識啓発に役立てようという狙いだ。・・環境マネジメントシステムは、環境省の『エコアクション21』(EA21)を基本に、『地産地消』や『水環境』などのテーマを加えた県独自のシステムを構築。中小企業などの認証取得を促す。」との記事の掲載がある。
(シ)「日経金融新聞」(2004年4月9日、日本経済新聞社発行)には、「三井住友海上、車整備41社と環境保護活動。」(3頁)の見出しのもと、「三井住友海上火災保険の代理店の自動車整備業者四十一社は、工場の使用電力削減など環境保護活動を推進することを決めた。環境省が主催する中小企業向け環境保護プログラム『エコアクション21』に全社が参加する。」との記事の掲載がある。
(ス)「日本食糧新聞」(2004年7月14日)には、「キリンビール、『環境報告書2004年版』発表 CSRを視野に」の見出しのもと、「キリンビール(株)は、『環境報告書2004年版〜自然も人もうれしい明日を〜』を発表した。・・〇四年版での主な環境対策は、・・環境省推進の評価プログラム『エコアクション21』認証や軽量大びん導入の一〇〇%切り替え完了についても掲載している。」との記事の掲載がある。
(セ)「日刊工業新聞」(2004年7月27日)には、「豊中会議所、28日に中小向けEMS講演会」(27頁)の見出しのもと、「豊中商工会議所は、・・中小企業者向け環境マネジメントシステム(EMS)の講演会を開く。手続きが簡単な『エコアクション21』と、企業レベルに合わせて構築・評価する『エコステージ評価』の二つの簡易型EMSを取り上げる。」との記事の掲載がある。
(ソ)「日経流通新聞MJ」(2004年11月8日、日本経済新聞社発行)には、「中堅・中小にも認証取得の動き(日経エコロジー神保重紀編集長の環境マーケティング)」(4頁)の見出しのもと、「環境保全活動を推進するための環境マネジメントシステム(EMS)を採用する中堅・中小企業が増えている。・・今年十月から認証登録を開始したのが、環境省が策定した『エコアクション21』だ。昨年のパイロット事業で既に二百十社が審査に合格している。」との記事の掲載がある。
3 前記1及び2で認定した事実によれば、「エコアクション21」は、平成8年(1996年)に環境庁(現環境省)が策定した「中小事業者における環境への取組を促進するため」の環境マネジメントシステム(EMS)の一つを表す語であって、営利を目的としないものを表示するために使用される標章であることが認められる。
そして、「エコアクション21」の語は、平成15年に行われた認証・登録制度の導入、パイロット事業参加事業者の募集等のために改定された(エコアクション21・2003年度試行版)際に、その説明会を日本全国で開催したこと、地方自治体等において、エコアクション21を基本とした独自のシステムを構築し、中小企業や学校などを対象にエコアクション21を含めた環境マネジメントシステムの説明会等を開催していたこと、近年の環境経営の急速な進展、特にグリーン購入や環境報告書の進展・普及、廃棄物や化学物質等に対する法制度の整備、ISO14001認証取得の広がり等新たな動きが拡大しつつある状況の中で、平成14年以降エコアクション21への参加登録企業が急増したこと、さらに、「エコアクション21 2004年版/環境経営システム・環境活動レポートガイドライン」と新たに改定され、エコアクション21認証・登録制度が中小事業者等により浸透したものと考えられることなどを併せ考慮すると、広範な中小企業、学校、公共施設などにおける環境への取組を促進するため、環境省が策定し、推進する環境マネジメントシステムの一つとして、本願商標の審決時までには、取引者、需要者の間に広く認識されているものとみるのが相当である。
4 本願商標について
本願商標は、別掲のとおりの構成よりなるものであるところ、その構成中の「ECO Actoin 21」の文字部分は、前記1ないし3で認定した「エコアクション21」を表したと直ちに理解されるものであり、「エコアクション21」の語が取引者、需要者の間に広く認識されている実情からすれば、本願商標中の他の構成要素と切り離して、独立して把握され、認識されるというべきであるから、本願商標は、これより「エコアクションニジュウイチ」の称呼及び環境省が策定し、推進する環境マネジメントシステムの一つである「エコアクション21」の観念を生ずるものといわなければならない。
そうすると、本願商標は、環境省が策定し、推進する「エコアクション21」と称呼、観念において類似する商標というべきものである。
5 請求人の意見
(1)請求人は、環境省が平成8年からその政策課題として志向した「環境活動評価プログラム」(エコアクション21)の策定作業は、特に法制度を設けるものでなく、当初から事業者等の自主的な環境活動評価を目途とし同省若しくは関連団体はそのガイドライン作りに主眼を置いて始められたものであり、ようやく平成16年時点において全体の方向性が固まりつつあるように未だ緒についたばかりというのが実情であって、「環境活動評価プログラム」(エコアクション21)の今後の趨勢はなお流動的かつ不透明という実情にある。このように、「エコアクション21」に表象される事業の内容・位置づけが未だ確定しないものとすれば、これが果たして「公益に関する事業であって営利を目的としないものを表示する標章」に該当するのかどうか極めて疑わしく、また当該事業の内容及び当該事業主体との具体的関係において広く知られたものであるのかどうかの点も甚だ疑問とせざるを得ない旨主張し、さらに、「エコアクション21」の標章は、上記政策目標である「環境活動評価プログラム」の一方の呼称名のごとくその通称として用いられてきたことは否定し得ないとしても、この標章自体について国又は関連団体が特にその定義を置き、あるいは特定のロゴマークとして定めたというような事情及び法的裏付けはなく、国内の各自治体又は有力企業等が一様に「エコアクション21」又は「エコアクション」のタイトルを用いるなどしてそれぞれに自主的環境活動に参画している状況(甲第6号証の1ないし114)からすれば、単に上記特定の政策目標である環境活動評価プログラムの意義・目的やその認証・登録制度を表すだけでなく、それとは意味合いをやや異にする、いわば社会一般がそれぞれに実施する自主的環境活動全般を表象するもの、すなわち一種の社会的環境標語との性格を併せ持つに至ったものと考えられるから、本願商標は、直ちにその主体の権威を損ね又はその象徴性を希釈化し或いは公共性・公衆性を害するものとはいい難く、商標法第4条第1項第6号の要件を欠くものである旨主張する。
しかしながら、前記認定のとおり、環境保全に対する問題意識は、我が国において、平成5年に環境基本法が制定される以前より世界的規模で広まっていたばかりでなく、そのような状況の中で、我が国は、上記環境基本法を基に策定された環境基本計画に沿った様々な施策や京都議定書の目的達成のための地球温暖化対策推進法等、我が国の国情に適した環境保全に対する政策が国の機関である環境省で検討、立案され、環境省の関連団体や地方自治体等において実行されつつあることは、一般国民の間に広く浸透しているというべきである。
そして、環境基本計画の一つとして、中小事業者等が実行可能な環境保全対策として、環境省が策定した「エコアクション21」は、前記2(1)(ア)で認定したとおり、「平成8年(1996年)より、中小事業者等の幅広い事業者に対して、自主的に『環境への関わりに気づき、目標を持ち、行動する』ことができる簡易な方法を提供する目的で、環境活動評価プログラム(エコアクション21)を策定し、その普及を進めてきたが、近年の環境経営の急速な進展、特にグリーン購入や環境報告書の進展・普及、廃棄物や化学物質等に対する法制度の整備、ISO14001認証取得の広がり等新たな動きが拡大しつつある中で、中小事業者でも比較的容易に取組むことができる一方で、ISO14001と同様に認証を受けることのできる全国的な認証制度の仕組みを望む声が高くなってきたため・・地方公共団体における新たな認証制度の取組、大手企業における自社サプライチェーンでのエコアクション21活用の動き等を踏まえつつ、エコアクション21の内容を全面的に見直すとともに、その認証・登録の仕組みのあり方を検討した。」ものであり、換言すれば、環境保全への取組は、中小事業者に限らず、あらゆる主体が自主的に行動することが最上の方法といえるが、環境保全への取組が急がれる社会的状況においては、あらゆる主体の自主的な行動を待つだけでは足りず、たとえば、環境に配慮した活動をしている事業者に対し、公的な認定等を与えることによって、環境保全への取組が促進されるような方法を講ずることは、環境保全を進める政策上極めて当然のことといえるところ、「エコアクション21」についてみれば、「中小事業者における環境への取組を促進するため」の環境マネジメントシステム(EMS)の一つという環境基本計画に沿った環境保全対策という基本的な考え方においては、平成8年以来一貫して変わることはない。このことは、平成8年版から平成16年版までの環境白書からも明らかであり、たとえば、平成8年版環境白書によれば、「環境活動評価プログラム」について検討を行い、平成8年度からの実施に向けてパイロット事業を行い、その後、平成12年版環境白書によれば、「環境活動評価プログラム」を実施するとともに、平成9年度から、地方公共団体と協力して、各地で環境マネジメントに関する講習会を開催しているとあり、環境省(環境庁)では、事業者による自主的な環境保全活動を促進しつつ、かつ、策定した「エコアクション21」(環境活動評価プログラム)をより実効性のあるものにするために、地方公共団体と協力して、各地で環境マネジメントに関する講習会を開催したり、さらに、平成16年より認定・登録制度を導入したところであり、このような改定により施策の方法において、その時代に適した変更を加えたとしても、これは、上記の「エコアクション21」の目的をより確実に達成するためのものであって、その事業主体、目的等において何ら変わりはないものである。
そして、「エコアクション21」の語は、前記のとおり、環境省が策定したものであって、その関連団体である財団法人地球環境戦略研究機関 持続性センター(エコアクション21事務局)が、特定の企業をエコアクション21認証・登録事業者として認証・登録する実施機関として使用するものであるから、まさに公益に関する事業であって営利を目的としないものを表示する標章というべきものである。
なお、請求人は、「エコアクション21」の標章自体は、国又は関連団体が特にその定義を置き、あるいは特定のロゴマークとして定めたというような事情及び法的裏付けはない旨主張するが、前記認定のとおり、「エコアクション21」は、平成8年(1996年)に環境省(環境庁)が策定した「中小事業者における環境への取組を促進するための環境マネジメントシステム(EMS)の一つを表す語である。そして、商標法第4条第1項第6号に該当するか否かの判断において、同号に掲げるものを表示する標章が法的に裏付けされたものでなければならないという根拠は見出せないのみならず、「エコアクション21」の語が上記意味をもって使用されている以上、「エコアクション21」の語を一私人に独占使用させること自体に問題があるのであるから、特定のロゴマークとして定めたか否かは法第4条第1項第6号の適用の判断基準とならないことはいうまでもない。
(2)請求人は、商標法第4条第1項第6号でいう「著名なもの」について、登録出願時における当該他人に係る標章の著名性を問えないとすれば(商標法第4条3項)、上記標章自体の著名性の有無の判断はより厳格にされなければならない旨主張する。
しかし、法第4条第1項第6号の立法趣旨は、同号に掲げるものを表示する標章を一私人に独占させることは、同号に掲げるものの権威を尊重することや国際信義の上からみて好ましくないという点にあり(工業所有権法逐条解説〔第16版〕)、公益保護の規定と解される。
そうすると、上記法第4条第1項第6号の立法趣旨、又は同号で規定する標章を一私人に独占させることについて、国民一般に与える影響の大きさをも考慮すれば、同号でいう「著名なもの」について殊更、厳格に解釈しなければならない理由はない。
そして、「エコアクション21」の語が、本願商標の審決時までに、取引者、需要者の間に広く認識されていることは、前記3で認定したとおりである。
(3)請求人は、商標法第4条第1項第6号の趣旨より、同号に規定する「同一又は類似の商標」の解釈は、それらに表象される主体の権威を損ね又はその象徴性を希釈化しあるいは公共性・公衆性を害するおそれが明らかであるような場合は「同一又は類似の商標」とするのが最も合理的と考えるが、「エコアクション21」は、その実体において上記法条の趣旨である「それらに表象される主体の権威を損ね又はその象徴性を希釈化しあるいは公共性・公衆性を害するおそれがあるもの」との要件に合致するものでないことが明らかであって、この点においてすでに本願商標と「エコアクション21」との類否を論ずる余地はないから、本願商標中に「エコアクション21」と同一称呼を有する「ECO Action 21」をもって直ちに法第4条第1項第6号該当とする判断は許されるべきでない旨主張し、さらに、仮に両者の商標又は標章を対比するとしても、「エコアクション21」は、上述のごとく社会一般に用いられる環境標語であってそれ自体に格別特徴を有しないのに対し、本願商標は願書表示のとおり緑色・青色の配色を主に全体として地球環境の保全を訴えるかのごとき図形と文字とにより構成されてなる点で一種固有のシンボルマークとの感を強く抱かせるものであるから、両者はその外観印象及び全体から想起される意味合いを明らかに異にする結果、共通する称呼の対比を意味なからしめるまでに互いに異種・別個のものとして看取されるものであり、法第4条第1項第6号の目的からすれば、その象徴性その他の点で容易に別異のものとして把握されるため、両者を類似とすべき理由は存しない旨主張する。
しかし、請求人は、「『エコアクション21』はその実体において上記法条の趣旨である『それらに表象される主体の権威を損ね又はその象徴性を希釈化しあるいは公共性・公衆性を害するおそれがあるもの』との要件を欠く」旨主張するが、前記のとおり、「エコアクション21」の語は、「中小事業者における環境への取組を促進するため」の環境マネジメントシステム(EMS)の一つを表す語であって、環境省及びその関連団体等が推進する環境保全施策のための語であるから、上記請求人の主張は前提において誤りがあるといわざるを得ないし、また、「エコアクション21」が環境省及びその関連団体等が推進する環境保全施策のための語である以上、該「エコアクション21」中の「エコアクション」の部分を欧文字表記した「ECO Action 21」の文字を含む本願商標は、そのことのみをもって、請求人がいうところの「それらに表象される主体の権威を損ね又はその象徴性を希釈化しあるいは公共性・公衆性を害するおそれが明らかであるような場合」にあたるというべきものである。
そして、本願商標が称呼、観念において「エコアクション21」に類似する商標であることは、前記認定のとおりである。
なお、請求人は、本願商標は、元々請求人の企業コンセプトである多面的な環境活動を表象するため制定した「環境活動シンボルマーク」(2001年1月)であって、以来現在まで一貫して使用する独自のマークであり商標である旨主張し、甲第8号証ないし甲第11号証(いずれも枝番を含む)を提出するが、「エコアクション21」については、前記認定のとおりであり、また、環境省(環境庁)の施策に沿って、本願商標の登録出願前の時点において、請求人以外の事業者が参加したことに関する事実は、少なくとも前記2(3)(ア)により明らかであるのみならず、松本市の2001年度予算案の一つに環境対策として、「エコアクション21」に取り組むことに関する事実があることからしても、本願商標中の「ECO Action 21」の文字部分が請求人のみが使用する独自の標章とみることはできない。
(4)以上のとおりであるから、上記に関する請求人の主張は、いずれも理由がない。他に、前記認定を覆すに足る主張、立証は見出せない。
6 むすび
以上によれば、本願商標は、環境省及びその関連団体である財団法人地球環境戦略研究機関 持続性センターが、中小事業者の環境への取組の促進といった公益に関する事業であって営利を目的としないものを表示する標章として著名な「エコアクション21」と類似する商標というべきものである。
したがって、本願商標が商標法第4条第1項第6号に該当するとして、本願を拒絶した原査定は妥当であって、取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 本願商標


(色彩については、原本を参照のこと)


審理終結日 2005-05-30 
結審通知日 2005-05-31 
審決日 2005-06-15 
出願番号 商願2001-12941(T2001-12941) 
審決分類 T 1 8・ 21- Z (Z0217194041)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 鈴木 茂久高山 勝治 
特許庁審判長 野本 登美男
特許庁審判官 茂木 静代
三澤 惠美子
商標の称呼 チキュートカタローエコアクションニジューイチ、チキュートカタローエコアクションニイチ、チキュートカタロー、エコアクションニジューイチ、エコアクションニイチ、エコアクション 
代理人 田島 壽 
代理人 青木 篤 
代理人 原 隆 

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