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審決分類 審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない 101
管理番号 1121479 
審判番号 取消2004-30538 
総通号数 69 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2005-09-30 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2004-04-21 
確定日 2005-07-26 
事件の表示 上記当事者間の登録第2648666号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第2648666号商標(以下「本件商標」という。)は、「DBG」の文字を横書きしてなり、平成4年3月27日登録出願、第1類「化学品(他の類に属するものを除く)薬剤、医療補助品」を指定商品として、平成6年4月28日に設定登録、同16年4月27日に商標権の存続期間の更新登録がされているものである。

第2 請求人の主張の要点
請求人は、「本件商標の指定商品中『化学品(他の分類に属するものを除く)』についての登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とする。」との審決を求めると申し立て、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第4号証(弁駁書に添付の甲第1号証及び甲第2号証は、甲第3号証及び甲第4号証として扱う。)を提出した。
1 請求の理由
本件商標は、その指定商品である第1類「化学品(他の類に属するものを除く)」について、少なくとも過去3年以内に日本国内において、被請求人により使用されている事実を発見することはできなかった。また、被請求人から本件商標について専用使用権の設定又は通常使用権の許諾を受けて、被請求人以外の者が本件商標を第1類「化学品(他の類に属するものを除く)」について過去3年以内に日本国内において使用している事実も見出せなかった。なお、甲第2号証として提出する商標登録原簿によれば、専用使用権及び通常使用権の設定登録はされていない。
したがって、本件商標は、その指定商品中の「化学品(他の類に属するものを除く)」について、商標権者、専用使用権者及び通常使用権者のいずれによっても、継続して3年以上にわたり日本国内において使用されている事実が存しないから、その登録は商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。
2 答弁に対する弁駁
(1)被請求人は、本件商標をその指定商品中の「化学品」について使用している旨主張し、乙第1号証ないし乙第7号証(枝番を含む。以下、枝番全てを引用する場合は、その枝番を省略する。)を提出している。
しかしながら、被請求人が使用していると主張する商品は、乙第4号証及び乙第5号証の製品説明書によると「脱水ベンゾグアナミン樹脂」である。この「脱水ベンゾグアナミン樹脂」は、乙第4号証の第1頁第2行ないし第3行、乙第5号証の第1頁第2行ないし第3行の記載にあるとおり、「熱硬化性樹脂」である。当該「熱硬化性樹脂」は、いわゆる原料プラスチックであり、特許庁特許電子図書館では当該商品には類似群コード34A01が付与されている(甲第3号証及び甲第4号証)。
以上より、被請求人が使用していると主張している商品は、本件商標の指定商品中の「化学品」に含まれる商品でないことは明らかである。
(2)被請求人は、乙第1号証として「再発行請求書」、乙第2号証の1として「出荷指示書」を提出し、これを補完すべく本件審判の請求の登録日後の出荷事実を示す「出荷指示書」を乙第2号証の2及び3を提出しており、更に、請求書(控)を乙第3号証として提出している。
しかしながら、これらの各号証として提出された各書類は、乙第4号証及び乙第5号証に表された被請求人の商品「脱水ベンゾグアナミン樹脂」についての取引の事実を表すにすぎないものである。
したがって、乙第1号証、乙第2号証及び乙第3号証は、いずれも「化学品」について取引があったことを示す証拠足り得ないものである。
(3)仮に、「化学品」に使用したとしても、以下に述べるとおり本件商標を使用しているとはいえない。
商品説明書の表紙には当該商品の商品名称を記載することが一般的であるところ、乙第4号証及び乙第5号証の商品説明書の表紙には「脱水ベンゾグアナミン樹脂」と記載されており、この「脱水ベンゾグアナミン樹脂」が識別標識たる商標であると考えられる。
なお、当該商品説明書の表紙に括弧書きにて「DBG樹脂」なる記載があるが、乙第4号証及び乙第5号証に「脱水ベンゾグアナミン樹脂(以下、DBG樹脂)と略す」と記載されているとおり、「DBG樹脂」は説明の便宜上用いられている略称であると解される。
仮に、この「DBG樹脂」が当該商品名称であり、商標であるとしても、本件商標は「DBG」であり、本件商標とは異なることは明らかである。
さらに、乙第4号証及び乙第5号証の第3頁第12行、同第16行及び第26行、第4頁第4行に「DBG」の文字が記載されているものの、これらは当該商品の用途、用法等を説明上「脱水ベンゾグアナミン(Dehydrated BenzoGuanamine)」を「DBG」と省略して表しているにすぎず、「DBG」を識別標識として、すなわち商標として使用しているものではない。
また、乙第5号証の説明資料が顧客に送付されたこと、及びこの送り状に示す送付書類が顧客に送付されたことを示すことを目的として提出された乙第6号証によれば、当該書類の「件名」及び「品名」に「脱水ベンゾグアナミン」と記載されている。当該事実から、需要者においては当該商品は「脱水ベンゾグアナミン樹脂」だけでなく、「樹脂」を省略した「脱水ベンゾグアナミン」とも略称されていることが窺える。
以上より、被請求人が使用している商標は、「脱水ベンゾグアナミン樹脂」あるいは「脱水ベンゾグアナミン」であり、本件商標を使用していないことは明白である。
(4)以上述べたところから、被請求人が提出したいずれの証拠によっても、本件商標が本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において被請求人により本件商標の指定商品中「化学品」について使用されている事実は証明されていない。このため本件商標は、商標法50条第1項の規定により、その登録を取り消されるべきものである。

第3 被請求人の答弁の要点
被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第7号証(枝番号を含む。)を提出した。
1 答弁の理由
(1)本件商標を使用していることの立証を要する期間
本件審判請求は、平成16年4月21日付けに係り、平成16年5月17日に本件審判の請求の登録がされている。したがって、本件商標のいわゆる不使用取消を免れるためには、平成16年5月17日を起算日とし、平成13年5月17日から本件審判の請求の登録日の前日である平成16年5月16日までの3年間に、被請求人、専用使用権者、又は通常使用権者のいずれかが、取消請求に係る指定商品「化学品」について本件商標を使用していることを証明する必要がある。また、被請求人の本件商標の使用は、商標法第50条第3項に規定されたいわゆ駆け込み使用にも該当することなく、使用を証明する必要のある上記3年間は不変である。
(2)「DBG」商標に係る商品の取引
ア.乙第1号証
乙第1号証は、商標「DBG」に係る商品が上記3年の間に実際の取引に供されていたことを証明するものである。
乙第1号証は、いずれも2004年(平成16年)6月1日に発行された「再発行請求書」で、締切日2004年4月30日に係るものの再発行書類である。内容的には、乙第1号証の1は、同一の受注先より受注を受け、受注先と同一の出荷先に出荷した品目「DBG」商品に係るもので、2004年4月1日、4月8日、4月14日出庫、同日納入に係るものである。乙第1号証の2は、乙第1号証の1とは異なる受注先より受注し、出荷先(受注先と同一)に出荷した品目「DBG」商品に係るもので、2004年4月27日出庫、4月28日納入に係るものである。
この乙第1号証は、前記3年の間に、商標「DBG」(「品目」ということで表示されている。)に係る商品が、出庫・納入という営業行為により譲渡され対価が請求されている事情を示しており、「DBG」商標に係る商品が実際の流通取引に供されていたことが明らかである。
イ.乙第2号証
乙第2号証の1は、商標「DBG」に係る商品が、前記3年の間に実際の取引に供されていたことを証明し、乙第2号証の2及び3は、その事実を補完するためのものである。
乙第2号証は、商標「DBG」に係る商品を、出荷日に、納入先宛に出荷することを指示する取引書類である。そして、乙第2号証の1は、前記3年の間に相当する2004年(平成16年)5月6日に商標「DBG」に係る化学品「脱水ベンゾグアナミン」出荷を指示したものである。乙第2号証の2及び3も、乙第2号証の1と同趣旨のもので、同種の出荷指示書商標「DBG」に係る化学品「脱水ベンゾグアナミン」「ダッスイベンゾグアナミン」についてそれぞれ5月20日、5月28日を出荷日として出荷を指示したもので、第2号証の1の出荷指示書の証拠性を補完するものである。
乙第2号証の1より、商標「DBG」に係る化学品「脱水ベンゾグアナミン」商品が前記3年の間に出荷が指示され、取引に供されていたことが証明されている。
ウ.乙第3号証
乙第3号証は、商標「DBG」に係る商品が前記3年の間に、実際の取引に供されていたことを証明するものである。
乙第3号証は、それぞれ、2004年1月9日、2月9日、2月10日、3月5日、4月6日、同じく4月6日に発行された「請求書控」であり、品名即ち商標「DBG」に係る商品を含む出荷物を対象としている。
したがって、この乙第3号証は、前記3年の間に、商標「DBG」に係る商品が納入先に出荷され、しかるべく対価が請求されている事情を説明しており、商標「DBG」が3年の間に使用されていたことがわかる。
エ.乙第4号証ないし乙第6号証
乙第4号証ないし乙第6号証は、化学品「脱水ベンゾグアナミン樹脂」商品に商標「DBG」が用いられてきたことを証するものである。
乙第4号証は、商標「DBG」に係る化学品「脱水ベンゾグアナミン樹脂」商品の説明資料で、その表紙の記載からして、被請求人が化学品「脱水ベンゾグアナミン樹脂」商品に対して、自己の商品名として「DBG」樹脂なる名称を与えており、「DBG」が化学品「脱水ベンゾグアナミン樹脂」商品について、自己の商品を他人の商品と識別するために自己の商品に用いる商標として機能していることが明らかである。
また、乙第4号証表紙における電話番号からして、係る説明資料が、平成2年12月31日以前から使用されていたことが明らかである。すなわち、大阪本社の電話番号「(202)6031」は、平成11年1月1日に大阪市内局番が3桁から4桁に変更される前の平成10年12月31日以前のものであり、東京支社の「(03)798-7091」は、平成3年1月1日に東京都区内局番が3桁から4桁に変更される前の平成2年12月31日以前のものでもあることを示しており、結局、乙第4号証の説明資料は、平成2年12月31日以前から使用されていることが明らかである。
一方、乙第5号証も、商標「DBG」に係る化学品「脱水ベンゾグアナミン樹脂」商品の説明資料であるが、その表紙において、大阪本社の電話番号における市内局番が4桁であるところから、平成11年1月1日以降に使用されているものであることがわかり、さらに、乙第6号証の1(送り状及び送付書類の控)の送り状における日付及び[記]脱水ベンゾグアナミン資料の記載からして、5頁からなる乙第5号証の説明資料が、2003年(平成15年)7月11日現在使用されていたことがわかる。なお、乙第6号証の2は、乙第5号証を含む書類が、顧客に送付され、確かに受領されたことを示す受領書である。
したがって、前記3年の間に、商標「DBG」が用いられてきたのは、化学品「脱水ベンゾグアナミン樹脂」であることが証明される。なお、係る乙第4号証及び乙第5号証の説明資料については、「DBG」商標に係る商品が「化学品」であることを証明するために用いると共に、乙第1号証ないし乙第3号証における「DBG」が「脱水ベンゾグアナミン」であることを補強するものと位置づけられるものと考えるが、係る「説明資料」は広い意味で「脱水ベンゾグアナミン」商品に関する広告に該当し、これに商標「DBG」を付して使用しているので、当然に、乙第4号証及び乙第5号証のみからでも3年の間に「DBG」商標を使用したことの証明が可能であると考える。
(3)3年の間の「DBG」商標の使用
前述したように、乙第1号証ないし乙第3号証の取引書類により、「DBG」商標(品目「DBG」として取引されているところから、商標として使用されていることは明らかである。)に係る商品が、3年の間に、現実に取引に供されていることが明らかである。そして、乙第2号証自身の記載及び乙第4号証ないし乙第6号証により、その「DBG」商標に係る商品が「脱水ベンゾグアナミン(樹脂)」であることが明らかである。
したがって、本件審判の請求の登録前3年の間に、商品「脱水ベンゾグアナミン」商品について、「DBG」商標が使用されていたことは明らかである。
(4)商品「化学品」についての「DBG」商標の使用
乙第4号証及び乙第5号証から明らかなとおり、被請求人が「DBG」商標を使用している商品「脱水ベンゾグアナミン(樹脂)」とは、ベンゾグアナミンを脱水処理して得られる無色透明のガラス状固体又は白色粉末であり、成形材料、化粧板などのほか、塗料の原料としても用いられる商品である。この商品「脱水ベンゾグアナミン(樹脂)」が、商標法上の商品「化学品」の範疇に属することは疑いないものと思料する。
なお、ベンゾグアナミンに関しては、化学工業日報社発行の化学製品便覧「15404の化学商品」にも掲載されているので、参考として提出する(乙第7号証)。
(5)継続する3年以上の不使用の不存在
上述のように、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年の間(平成13年5月17日ないし平成16年5月16日の間)に、化学品「脱水ベンゾグアナミン」商品について「DBG」商標を使用しているので、継続して3年以上の不使用は存在せず、商標法第50条第1項の規定に該当することなく、本件商標の登録は取り消されるものではない。

第4 当審の判断
乙第6号証によれば、被請求人は、2003年(平成15年)7月11日に、その顧客に対して、6頁からなる「脱水ベンゾグアナミンMSDS」(「MSDS」は、「製品安全データシート」の略)及び5頁からなる「脱水ベンゾグアナミン資料」を送付し、当該顧客は、これを平成15年7月14日に受領した事実が認められる。そして、前記「脱水ベンゾグアナミンMSDS」の記載内容をみると、「化学品安全データシート」というタイトルの下に16項目に分けて記載があり、「1.化学物質等及び会社情報」の項目には「化学品名(製商品名等)脱水ベンゾグアナミン」との記載があり、会社情報として「被請求人会社名、同住所、担当部門、電話番号、緊急連絡先:姫路製造所 環境安全部」などの記載がある。以下、「2.組成,成分情報」の項目には「単一製品・混合物の区分:混合物」、「化学品又は一般名:ベンゾグアナミン・ホルムアルデヒド縮合物」、及び、その化学式又は構造式などの記載があり、「16.その他の情報」の項目には、「記載内容の取り扱いについて:記載内容は作成時点で入手できた資料、データ等に基づいておりますが・・・・また、注意事項は通常の取扱いを対象としたものなので、特殊な取扱いの場合には、使用者の責任において、用途・用法に適した安全対策を実施して下さい。」との記載が認められる。そして、前記「脱水ベンゾグアナミンMSDS」の記載内容からすると、被請求人は、平成15年7月11日当時、「脱水ベンゾグアナミン」という製品名の商品を製造販売していた事実が認められ、また、この商品は、その用途が必ずしも限定されていない化学品であって、本件商標の指定商品中の「化学品(他の類に属するものを除く)」の範疇に含まれるべき商品と認めることができる。
また、乙第2号証の1は、被請求人使用の出荷指示書であって、これには「出荷日2004年05月06日」の記載があり、「品目(テキスト)」の欄に「脱水ベンゾグアナミン」、「備考」の欄に「DBG/PB/25」、「摘要」の欄に「自社輸送 DBG」の記載が認められる。また、乙第3号証は、被請求人作成の請求書(控)であって、その発行日は、それぞれ、2004年1月9日、2月9日、2月10日、3月5日、4月6日、同じく4月6日と記載されており、いずれも「品名」の項目に「DBG」の記載が認められる。そして、乙第2号証の1及び乙第3号証によれば、被請求人は、2004年(平成16年)5月6日とその前数か月の間に、「DGB」の文字からなる商標を使用した商品「脱水ベンゾグアナミン」を販売した事実を認めることができる。
以上のとおり、乙第2号証の1、乙第3号証、乙第6号証によれば、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において商標権者が、本件商標の指定商品中の「化学品(他の類に属するものを除く)」の範疇に含まれる商品「脱水ベンゾグアナミン」について、「DGB」の文字からなる本件商標を使用した事実が認められる。
したがって、本件商標の登録は、その指定商品中「化学品(他の分類に属するものを除く)」について、商標法第50条の規定により取り消すことができない。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2005-05-30 
結審通知日 2005-06-02 
審決日 2005-06-15 
出願番号 商願平4-35666 
審決分類 T 1 32・ 1- Y (101)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 上村 勉 
特許庁審判長 野本 登美男
特許庁審判官 茂木 静代
三澤 惠美子
登録日 1994-04-28 
登録番号 商標登録第2648666号(T2648666) 
商標の称呼 デイビイジイ 
代理人 川瀬 幹夫 
代理人 小谷 悦司 

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