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審決分類 審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない 030
管理番号 1116362 
審判番号 取消2004-30146 
総通号数 66 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2005-06-24 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2004-01-30 
確定日 2005-04-11 
事件の表示 上記当事者間の登録第3331731号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 1 本件商標
本件登録第3331731号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲のとおりの構成よりなり、平成5年5月12日に登録出願、第30類「コーヒー及びココア,茶,調味料,香辛料,食品香料(精油のものを除く。),米,脱穀済みの大麦,食用粉類,食用グルテン,菓子及びパン,アイスクリームのもと,シャーベットのもと,氷」を指定商品として、同9年7月18日に設定登録されたものである。

2 請求人の主張
請求人は、「本件商標の指定商品中『調味料』についての登録を取り消す」との審決を求め、その理由及び被請求人の答弁に対する弁駁を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証及び同第2号証(枝番を含む。)を提出した。
(1)請求の理由
本件商標は、その指定商品「調味料」について継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者及び通常使用権者のいずれもが使用した事実がないから、商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきである。
(2)被請求人の答弁に対する弁駁
(ア)各乙号証の検討及びその認否
乙第1号証及び同第2号証については、その成立を認める。
乙第3号証には、日付・使用商標・使用商品の掲載がない。乙第3号証を否認する。
乙第4号証は、使用商標及び使用商品は明確に掲載されているが、「1993年4月1日発行」とある。乙第4号証を否認する。
乙第5号証は、使用商標及び使用商品が掲載されているが、発行日付が不明である。おそらく1996年(平成8年)ころの発行ではないかと推測される。被請求人においても乙第5号証は「1996年当時」としている。乙第5号証を否認する。
乙第6号証は、使用商標及び使用商品が掲載されているが、「1998.10」との日付が見受けられる。乙第6号証を否認する。
乙第7号証には、使用商品の記載がなく、「1998.10」との日付が見受けられる。乙第7号証を否認する。
乙第8号証は、続く同第9号証ないし同第11号証と組み合わせて本件商標の使用を立証しようとするものであるが、乙第9号証ないし同第11号証が同第8号証を補足するものと推測しても、なお、使用商標及び使用者に疑義が残る。すなわち、乙第8号証に掲載された使用商標の態様が角ゴシック書体の片仮名文字で「マナセット」とあり、本件商標の使用とは認め難いこと、及び乙第8号証の発行者と同第9号証ないし同第11号証の発注者との関係について被請求人は使用権者としての立証を何らしていないことが挙げられる。被請求人は、乙第5号証に関係が明らかである旨主張するが、前記のとおり、乙第5号証は現在使用されているか否か不確定であり、被請求人自身も「1996年当時」とことわっているものである。乙第8号証ないし同第11号証を否認する。
次に、乙第12号証ないし同第21号証については、商標法に規定される「登録商標」の「使用」に該当しないものであると思われる。乙第12号証ないし同第21号証を否認する。
さらに、乙第22号証ないし同第24号証は、使用商標及び使用商品について認めることができない。すなわち、乙第22号証ないし同第24号証に記載された使用商標の態様が通常の明朝体風の書体の片仮名文字で「マナセット」とあるのみで、本件商標の使用とは認め難いこと、被請求人は、乙第4号証ないし同第6号証を参照すれば乙第22号証ないし同第24号証で使用されている商品が判明するとの考えのようであるが、前述のとおり、現在使用中ではない。乙第5号証ないし同第7号証の証拠方法の記載には、いずれも「現在使用中」との記載はない。「現在使用中」との記載があるのは、乙第3号証のみである。このことは、被請求人自らが乙第5号証ないし同第7号証が現在使用中でないことを明らかにしたものと理解される。そうすると、乙第22号証ないし同第24号証に記載されている「商品コード」、「品名・規格」欄に記載された文字と乙第6号証及び同第7号証に記載されている「商品コード」、「商品名」との整合性がそのまま合致するものとは首肯できず、乙第22号証ないし同第24号証と乙第6号証ないし同第7号証を組み合わせて検討するも、本件商標及び使用商品の特定は困難と思われる。乙第22号証ないし同第24号証を否認する。
(イ)各乙号証の問題点
(a)まず、乙第8号証及び同第22号証ないし同第24号証で提出された使用商標は、本件商標と社会通念上同一と認められる商標の範囲にあるかの問題点が存在する。
本件商標の態様は、別掲のとおりの構成よりなるものであり、乙号証で提出された本件使用商標の態様は、マナセット(ゴシック体)及びマナセットである。
しかるに、本件商標と本件使用商標との関係は、商標法第50条第2項の「使用する登録商標」に関する規定はもちろんのこと、同規定に関連するパリ条約第5条C(2)にも該当しないものである。
本件商標は、太い「楕円」の輪郭図形、「理念商品」の漢字、「Manna Set」の欧文字及び「マナセット」の片仮名文字から構成されており、本件商標の自他商品識別力及び取引社会における通常の手法を考慮しても、少なくとも「理念商品」及び「マナセット(又はMannaSet)」の文字を含んでいなければ、商標の同一性の範囲内とはいい難いものである。特に「理念商品」の文字は、単独で充分に自体商品識別機能を有し、文字数からしても取引伝票等に「理念商品マナセット」又は「理念商品MannaSet」と記載することに何ら支障はないはずである。「理念商品」の文字の不使用は、商品の識別性に大きな影響を与える構成部分の変更というべきであり、本件使用商標は、本件商標と社会通念上同一と認められない商標である(東京高裁平成14年(行ケ)第334号、東京高裁平成12年(行ケ)第303号及び東京高裁平成15年(行ケ)第123号各判決参照)。
(b)次に、乙第12号証ないし同第21号証で提出された本件商標の使用態様は、本件商標の使用といえるかの問題点について述べる。
確かに、商品の包装用箱に本件商標の標章を付した写真が乙第12号証として提出されている。しかし、被請求人が証拠方法でも述べるように、乙第12号証は、「本件商標が使用された包装用箱」であり、あくまで用途として未使用の包装用の箱の写真である。商標法第2条に規定する「商標」及び「使用」の趣旨から判断すれば、商標の使用とは、「商品の包装に標章を付する行為」であるので、「商品の包装用の箱に標章を付する行為」とは、明らかに相違する。乙第12号証の被写体は、未だ商品の包装とはなっていない。このように、自他商品識別力若しくは出所表示の機能が全く果たせない状態での標章の使用は、本件商標の使用とはいえない。
かつ、本件商標を使用したとする日付もまた、包装用箱製作の注文書、納品書、請求書の日付であり、梱包業者への注文書、請求書の日付にすぎないので、本件商標の使用の事実を示す日付にはなり得ない。
(c)乙第22号証ないし同第24号証で提出された使用商品は、本件商標の指定商品と確認できるかの問題点を検討する。
乙第22号証ないし同第24号証で商品を特定できる記載として「商品コード」及び「品名・規格」の欄があり、乙第22号証及び同第23号証には、「190001」「マナセットA」、乙第24号証には「620082」「マナセットA」の記載がある。これらの商品コード及び品名が如何なる商品を指すかについては、被請求人は本件答弁書において「自然農法産の調味料セット」と主張している。この商品については、乙第4号証、同第5号証、同第6号証及び同第8号証に掲載されており、商品の内容を窺い知ることができる。しかし、被請求人も自認するように、乙第4号証ないし同第6号証は、乙第22号証ないし同第24号証の発行時点でも使用している心証が得られず、また、乙第8号証では商標の同一性が確保されていない。したがって、乙第22号証ないし同第24号証に記載されている「190001」「620082」「マナセットA」なる商品が、疑いなく具体的に特定できる証拠は提出されていないことになる。
そうすると、乙第22号証ないし同第24号証で提出された使用しているとする商品が、本件商標の指定商品の内の「調味料」であるとは確認できない。
付言すれば、乙第4号証には本件商標を付した商品包装写真が掲載されているにもかかわらず、乙第8号証にはそのような本件商標が付された商品の包装の写真が掲載されていない事実は、遅くとも乙第8号証の発行時には本件商標の使用がされていないことの証左であろうと思われる。
(ウ)結論
以上、述べたように、被請求人が提出した各乙号証では、本件商標は商標法第50条の規定に該当し、請求に係る指定商品についての取消しを免れることはできない。

3 被請求人の答弁
被請求人は、結論と同旨の審決を求め、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし同第24号証を提出した。
(1)本件商標の使用の事実
被請求人は、家庭用品、自然農法食品の製造並びに販売を主業務とする者であって、調味料を始め乳製品その他の自然農法食材の販売を1992年12月より開始し現在に至っている(乙第3号証)。
本件商標の使用態様は、乙第4号証ないし同第24号証に掲載している態様のとおりである。このうち乙第8号証ないし同第24号証は、本件商標が本件審判請求登録日より前3年以内に日本国内において請求に係る商品について使用されている事実を立証するものであり、これらについて以下に説明する。
(ア)乙第8号証は、被請求人が営業活動において使用している製品案内カタログである。
このカタログ内において、請求に係る商品「調味料」を含む自然農法産の食材セットに、本件商標と社会通念上同一と認められる片仮名「マナセット」を請求に係る商品「調味料」を含む自然農法産の食材セットの識別標識として使用している。この「マナセット」は、乙第4号証ないし同第7号証(1993年、1996年、1998年各発行)に掲載されているように、その当時より継続して販売されている。
(イ)乙第9号証ないし同第11号証は、上記乙第8号証の製品案内カタログの作成日を示す書類(注文書、納品書及び請求書)である。これらの日付はいずれも本件審判請求登録日前3年以内のものである。なお、各書類中の「トロニー株式会社」とは、被請求人の関連会社であって、すなわち本件商標の通常使用権者であり、その関係は乙第5号証中に記載されている。
(ウ)乙第12号証は、上記カタログ中に記載の商品「マナセット」を梱包するための包装用箱である。
同箱の側面には、本件商標と同一の態様からなる商標が被請求人名「トータス株式会社」とともに印刷されている。また別の側面には箱の内容を示す「自然農法産調味料セット」の印刷がされている。
この包装用箱は、乙第4号証(1993年4月1日発行に係る雑誌「トータルメール」)に記載されているとおり、発売開始当時から本件商標と同一の態様からなる商標を包装用箱に付する態様で使用している。
なお、物件保存の簡便さのために上記包装用箱の外様を撮影した。
(エ)乙第13号証ないし同第15号証は、上記包装用箱の作成日を示す書類(注文書、納品書及び請求書)である。これらの日付はいずれも本件審判請求登録日前3年以内のものである。
(オ)乙第16号証ないし同第21号証は、被請求人が上記商品の梱包を委託している業者との取引書類である。
各書類の品名欄には本件商標と社会通念上同一と認められる片仮名「マナセット」の記載があり、梱包数量、梱包金額等が示されている。またこれらの書類の日付は、いずれも本件審判請求登録日前3年以内のものである。
(カ)乙第22号証ないし同第24号証は、上記商品を購入した者へ商品を配送した事実を示す配送伝票の写しである。
各伝票の品名欄には本件商標と社会通念上同一と認められる片仮名「マナセット」の記載があり、愛知、東京、奈良などの需要者へ配送されたことが示されている。またこれらの書類の日付は、いずれも本件審判請求登録日前3年以内のものである。
(2)結論
以上のとおり、本件商標が、被請求人によって本件審判請求登録日前3年以内に請求に係る商品について日本国内において使用されていることは明らかである。
したがって、本件商標の登録は、商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきではない。

4 当審の判断
被請求人の提出に係る証拠によれば、以下の事実が認められる。
被請求人は、平成4年12月に自然農法食材の商品化及び販売を開始し(乙第3号証「会社案内」)、同5年4月ころには、「自然農法味噌」「自然農法醤油」などをセット内容とする「理念商品マナセット」を販売していた。「理念商品マナセット」は、本件商標と社会通念上同一と認められる商標、被請求人の名称などが表示された包装箱に入れられて販売されていた(乙第4号証雑誌「トータル メール」)。
平成10年10月ころには、被請求人の「マナセット」は、AセットないしDセットの4つのセットがあり、それぞれのセットには「味噌、生醤油、自然海塩」のほか、セットにより「自然農法茶」「トイレットペーパー」「マヨネーズ」「菜たねサラダ油」などが含まれていた(乙第6号証「製品案内」)。同14年10月ころには、被請求人は、自然農法産の食材を原料とした調味料やお茶、再生紙を使ったティッシュやトイレットペーパーをセットにした「マナセットD」を含む「マナセット」を4種類販売していた(乙第8号証「製品案内」)。同10年10月ころの「マナセットD」の商品構成と同14年10月ころの「マナセットD」の商品構成は同じであった(乙第6号証及び同第8号証に掲載の「マナセットD」の商品の写真)。上記「製品案内」(乙第8号証)は、「トロニー株式会社」(以下「トロニー社」という。)が平成14年10月に作成したものであった(乙第9号証ないし同第11号証「注文書(控)、納品書、請求書」)。
トロニー社は、平成13年7月、同14年1月及び同15年12月に、日本通運株式会社小牧自動車支店(以下「日本通運」という。)に、「マナセットA」ないし「マナセットD」の梱包を委託した(乙第16号証ないし同第21号証「注文書(控)、請求書」)。
被請求人は、平成13年12月及び同15年7月に「マナセットA」を販売した(乙第22号証及び同第24号証「出荷依頼書、発送伝票」)。
被請求人は、本件商標と社会通念上同一と認められる商標、被請求人の名称などが表示されている「マナセット外箱」を500個、「マナセット内箱S」を500個、「マナセット内箱W」を300個などを平成16年2月に作成した(乙第12号証ないし乙第15号証「包装箱、注文書、納品書、請求書」)。
上記トロニー社は、被請求人の「トータス商品の梱包、発送を一手に引き受ける物流センター」であり(乙第5号証「会社案内」)、乙第16号証、同18号証及び同第20号証のトロニー社の住所が、乙第13号証及び同第15号証の被請求人の配送センターの住所と「大字」の文字を除き一致しており、トロニー社は、設立された平成2年1月から少なくとも同15年12月ころまでは、被請求人の関連会社であって、本件商標の商標権の通常使用権者であったと認められる。
また、「注文書(控)」(乙第9号証)には「商品パンフレットDM用」の「サイズ」及び「四つ折観音」が記載されており、そのサイズ、体裁が「製品案内」(乙第8号証)のサイズ、体裁と符合しており、乙第9号証ないし同第11号証において発注、納品された「商品パンフレットDM用」は、乙第8号証の「製品案内」であったと認めることができる。
上記事実によれば、被請求人は、平成10年10月ころに、自然農法産の食材を原料とした調味料やお茶等をセットにしたAないしDの4種類の「マナセット」を製造、販売していて、これら「マナセットAないしD」のいずれにも「味噌」「醤油」「塩」が含まれていた。
被請求人は、平成13年12月及び同15年7月には「マナセットA」を販売した事実があり、被請求人の関連会社であるトロニー社が、平成13年7月、同14年1月及び同15年12月に、日本通運に「マナセットAないしD」の梱包を委託した事実があることからすると、被請求人は、平成10年10月ころ以降も「マナセットAないしD」を継続して製造、販売してきたものと認められる。
そして、被請求人は、平成5年4月ころには「マナセット」は、4種類のセットで構成されていなかったものの、本件商標と社会通念上同一と認められる商標、被請求人の名称などが表示された包装箱に入れて販売していたところ、同16年2月に納品された包装箱も、多少形態が異なるもののほぼ同様のものであって、その数量も、例えば「マナセット外箱」が500個であったことからすると、納品されたこれらの「マナセット包装箱」は、以降も継続して使用することを予定していたものということができる。そうすると、被請求人は、平成5年4月ころから一貫して同様の包装箱を継続して使用してきたというべきであるから、平成13年12月及び同15年7月に販売された「マナセットA」は、本件商標と社会通念上同一と認められる商標、被請求人の名称などが表示された包装箱を使用して販売されたものというべきである。
以上を総合すれば、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に、日本国内において、その請求に係る指定商品「調味料」に含まれる「味噌」「醤油」「塩」等の商品について本件商標を使用していたものといわなければならない。
したがって、本件商標の指定商品中請求に係る商品についての登録は、商標法第50条の規定により取り消すべき限りでない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 本件商標


審理終結日 2005-01-31 
結審通知日 2005-02-02 
審決日 2005-03-01 
出願番号 商願平5-47087 
審決分類 T 1 32・ 1- Y (030)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 佐藤 久美枝宮川 久成須藤 昌彦 
特許庁審判長 小池 隆
特許庁審判官 柴田 昭夫
鈴木 新五
登録日 1997-07-18 
登録番号 商標登録第3331731号(T3331731) 
商標の称呼 リネンショウヒンマナセット、リネン、マナセット、マナ 
代理人 城村 邦彦 
代理人 吉田 研二 
代理人 田中 秀佳 
代理人 白石 吉之 
代理人 山根 広昭 
代理人 石田 純 
代理人 江原 省吾 
代理人 熊野 剛 

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