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審決分類 |
審判 全部無効 商4条1項15号出所の混同 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) Z41 |
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管理番号 | 1109794 |
審判番号 | 無効2003-35398 |
総通号数 | 62 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2005-02-25 |
種別 | 無効の審決 |
審判請求日 | 2003-09-24 |
確定日 | 2004-12-13 |
事件の表示 | 上記当事者間の登録第4627556号商標の商標登録無効審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 登録第4627556号の登録を無効とする。 審判費用は被請求人の負担とする。 |
理由 |
第1 本件商標 本件登録第4627556号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲(1)に表示した構成よりなり、平成13年12月5日に登録出願、第41類「美容の教授,医療の教授,美容・医療の講習会の企画・運営又は開催,美容の研修会の企画・運営又は開催,医療の研修会の企画・運営又は開催」及び第42類「美容,理容,医薬品・化粧品又は食品の試験・検査又は研究,医業,医療情報の提供,健康診断,歯科医業,調剤,栄養の指導,マッサージ,シミ・ソバカス・ホクロ・イボ・イレズミのレーザー治療,針治療,更年期障害の治療」を指定役務として、平成14年12月6日に設定登録されたものである。 第2 請求人の主張 請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第13号証(枝番を含む。)を提出した。 1 請求の理由 (1)商標法第4条第1項第11号について (ア)本件商標は、以下の登録商標(以下「引用商標A」という。)と類似する商標であって、その指定商品も同一又は類似のものである。 <登録第1499425号> 商標、別掲(2)のとおり 指定商品、第16類「雑誌」 (なお、指定商品については、平成3年政令299号による改正前の商標法施行令1条関係別表第26類の「雑誌」であったものが、平成13年11月29日にされた書換登録申請により、同14年5月1日に上記指定商品に書換登録されたものである。) 登録出願、昭和54年8月21日 設定登録、昭和57年2月26日 本件商標は、左側に全体に霞かけした円形を画き、そのほぼ中央部分に円形に重なるように右方向に長く伸びる全体を霞かけした長方形を画き、長方形の右半部の部分に白抜きのローマ字で「J-AMA」の文字を表示した商標である。したがって、本件商標の要部は、全体としての構成とは別個に「J-AMA」の文字部分にもある。 (イ)引用商標Aは、ローマ字で「JAMA」と書し、その下側に「日本語版」の語を配した商標である。「日本語版」の語は指定商品との関係において当該雑誌が日本語で編集されていることを示すに過ぎず要部を構成しない。即ち、引用商標Aの要部は「JAMA」の文字にあるということができる。 (ウ)両者の相違は、Jの文字に続く短いハイフンの有無に過ぎない。この短いハイフンは殆ど無視できる程に短く「J-AMA」は「JAMA」と同一視しうる程に外観酷似する。 また、「J-AMA」は「ジェイエーエムエー」と称呼され「JAMA」と同じ称呼となる。したがって、本件商標は引用商標Aに類似する。 (エ)請求人は、引用商標Aをその指定商品中、「医学,医術,健康全般に亘る専門雑誌」に使用している。 請求人の医学雑誌「JAMA」は、医学関係の最も権威ある雑誌として日本を含む全世界の医学関係者には周知されていて、医療関係者の間では、医学研究の先端研究の知識源であり、教育の情報源ともなっている。 したがって、本件商標の指定役務中、「医療情報の提供,医療の講習会,医療の研修会」は、引用商標Aの指定商品中、「医療関係についての情報・知識を掲載する雑誌」とは類似するということができる。 (オ)よって、本件商標は、引用商標Aに類似し、引用商標Aの指定商品に類似する役務に使用するものである。 (2)商標法第4条第1項第15号について 商標「JAMA」(以下「引用商標B」という。)は、医学関係の雑誌に永年に亘り使用され最も権威ある医学雑誌として日本を含む世界各国の医療機関、医療関係者、医学者及び医療を受けている人々の間に周知されている。 したがって、本件商標がその指定役務中「医療の教授,医療に関する講習会の企画・運営又は開催,医療に関する研修会の企画・運営又は開催,医業,医療情報の提供,健康診断,歯科医業,調剤,栄養の指導」等の役務に使用されるときは、それらの役務は、請求人の提供している役務であるか又は請求人に何らかの関係ある者によって提供されている役務であるかの如き、役務の出所について混同を需要者に与えるおそれがある。 (3)商標法第4条第1項第19号について 引用商標Aは、医学関係の専門雑誌として、アメリカ合衆国の医療関係者間においては勿論のこと、日本を含む世界各国の医療関係者間において周知されている。 本件商標の商標権者である久保田潤一郎は、元杏林大学医学助教授(形成外科)であって、現在、東京都豊島区東池袋において「池袋トータルビューティークリニック」を経営している(甲第13号証)。 したがって、本件商標の商標権者は、請求人の発行する医学雑誌「JAMA」について及びこの「JAMA」が、日本の医療関係者を含む世界各国の医療関係者間で著名な医学雑誌の名称であることを、本件商標出願の当時よく知っていたことは、容易に推認することができる。 よって、本件商標は、他人の著名な商標と類似の商標を、不正の目的を以て使用する意図の下に出願し登録されたものというべきである。 (4)商標「JAMA」の周知著名性について 請求人が使用する医学雑誌の名称「JAMA」は、請求人の本国であるアメリカ合衆国、日本及びその他世界の諸国において医療関係者間に広く認識されている商標である。 (ア)請求人「アメリカン メディカル アソシエーション(American Medical Association)」(以下「AMA」と略称する。)は、1847年イリノイ州の法律によって設立された非営利法人であって、医療に関する技術及び学問の向上並びに公衆の健康の改善に資することを目的としている。この目的に副ってAMAは設立以来各種の医療に関するニュースレターや雑誌を刊行している(甲第3号証ないし甲第9号証)。 (イ)「JAMA」は、1883年以来継続して刊行されており、医療関係の最も権威ある医療雑誌として世界の医療関係者に購読されており、周知されている(甲第10号証)。 (ウ)「JAMA」は、1883年初版刊行以来正式名称としては「The Journal of American Medical Association」(アメリカ医師会雑誌)の名称を用い、これを「JAMA」と略称していたが、1994年7月14日以降は、「JAMA」を正式名称として用いている(甲第9号証)。 (エ)JAMAの記事で一般の健康に関係あるものは、各種のメディアによって一般大衆にもJAMAに掲載された記事として紹介されている(甲第9号証)。 (オ)「JAMA」(US版)の月刊発行部数は340,000部である。この他にJAMAは世界の17カ国(日本、インド、中国、中近東、ハンガリー、ポーランド、チェコ、スロバキア、スロベニア、クロアチア、ギリシャ、トルコ、フランス、スペイン、ポルトガル、メキシコ、ブラジル)において現地語に翻訳された国際版が発行されている。その発行部数は月間の総数が350,000部に達している。 (カ)日本では「JAMA」が購読されるようになったのは、日本が第二次大戦後アメリカ占領軍の支配下にあった1947年アメリカ占領軍の公衆衛生局によって購読が可能とされた時以降のことである。 それ以降「JAMA」(US版)は日本の医療機関、医師によって購読されている。 「JAMA」の日本語版が刊行されるようになったのは、1948年以降のことであるが、1980年以降は毎日新聞社によって引き継がれ現在に至っている。 「JAMA」の日本語版の月刊発行部数は、55,000部である。 日本の医療機関関係者は、開業医5,000名、病院勤務者50,000名、その他の医療関係者200,000名であり、これらのものが「JAMA」(日本語版)を読んでいる(甲第9号証)。 (キ)「JAMA」の掲載記事は、インターネットを通して配信されているので、世界の各地からアクセスすることができる。 「JAMA」(US版)の既発行分アブストラクト及び幾つかの重要な論文は全文が、1995年からインターネットを通して配信されており、1999年からは全文がオンラインでアクセス可能とされている。 日本からも多くアクセスされており、2002年に日本から21,000件のアクセスが記録されている(甲第9号証)。 (ク)日本の大学の81の医学部図書館は「JAMA」(日本語版)を購入しており、そのうち78の図書館が「JAMA」(US版)をも購入している(甲第11号証)。 (ケ)Googleの日本語のページからAmerican Medical Associationのキーワードを用いて検索すると6,380件がヒットする。 その最初のページに「JAMA:The Journal of American Medical Association」の下に、「JAMA:1883年の創刊以来、全ての医師及び医療関係者に最新の治療、医療情報を提供し続けているアメリカで最も権威のある医学・医療雑誌」と記載されている(甲第12号証)。 (コ)上記事実を総合して判断するに、「JAMA」は請求人の刊行する医学雑誌の名称であって、アメリカ、日本を含む医療関係者間に最も権威ある医学雑誌の一として広く認識されていることがわかる。 第3 被請求人の主張 被請求人は、何ら答弁していない。 第4 当審の判断 請求人は、本件商標が商標法第4条第1項第15号に該当すると主張するので、その点について検討する。 1 引用商標B「JAMA」の周知著名性 請求人の提出に係る甲各号証及び請求人の主張によれば、下記の事実が認められる。 (ア)請求人アメリカン メディカル アソシエーションは、1847年に、医療に関する技術及び学問の向上並びに公衆の健康の改善に資することを目的として、アメリカ合衆国イリノイ州の法律によって、設立された非営利法人であって、設立以来各種の医療に関するニュースレターや雑誌を刊行していること(甲第3号証ないし甲第9号証)。 (イ)請求人が発行する医学雑誌である「JAMA」(引用商標B)は、1883年以来継続して刊行されていること(甲第10号証)。 (ウ)JAMAの発表する健康に関するレポート等の記事は、各種のメディアによって一般大衆にも、新聞、雑誌などを通じて紹介、掲載されていること(甲第9号証)。 (エ)医学雑誌「JAMA」(US版)の月刊発行部数は、340,000部であること。この他にJAMAは世界の各国において、現地語に翻訳された国際版が発行されていること。その発行部数は月間の総数が350,000部に達しているものと推認し得ること(甲第9号証及び請求人の主張)。 (オ)日本において「JAMA」(US版)が購読されるようになったのは、1947年以降であり、現在も継続されている。また1948年以降には日本語版「JAMA」が刊行され、日本の医療機関、医師などによって購読されており、1980年以降は毎日新聞社によって引き継がれ現在に至っていること。「JAMA」の日本語版の月刊発行部数は、相当数発行され、日本の医療機関関係者(開業医、病院勤務者、その他の医療関係者)等に愛読されているものと推認されること(甲第9号証及び請求人の主張)。 (カ)インターネットで検索された情報記事によれば、例えば、「神戸大学図書館 JAMA:The Journal of American Medical Association‐日本語版 1966-2003/7-13」、「北里大学医学図書館 JAMA:The Journal of American Medical Association 」、 「弘前大学 JAMA(The American Medical Association」、「大分医科大学附属図書館 JAMA:Journal of American Medical Association」、「滋賀医科大学附属図書館 JAMA:the journal of the American Medical Association[1997-]」等相当数の大学で購買していること(甲第11号証の1ないし甲第11号証の7)、及び「JAMA:1883年の創刊以来、全ての医師及び医療関係者に最新の治療、医療情報を提供し続けているアメリカで最も権威のある医学・医療雑誌」等同様の情報記事が相当数検索されること(甲第12号証)が認められる。 2 上記事実を総合して判断すると、引用商標Bである「JAMA」は、請求人の刊行する医学雑誌であって、アメリカにおいては勿論、我が国においても、医療に係る関係者間において、広く認識されていたことは、本件商標の登録出願時を経て登録査定時に至るまで継続していたものと認め得るものである。 そして、本件商標は、別掲(1)のとおり、円形と長方形との組合せ図形と、その長方形図形内に「J-AMA」(ハイフン「-」を含む。)の文字を配し、その「J-AMA」の文字部分が顕著に表されていて、その構成中のハイフン「-」が他の文字よりもより小さく表示されていることも考慮すると、その「J-AMA」部分が「JAMA」の文字からなるものと把握されるものとみるのが相当である。 してみれば、本件商標には、引用商標Bと同一の綴り文字である「JAMA」の文字が表されていると容易に看取、認識されるものといわざるをえない。 さらに、本件商標の指定役務をみると、その役務には、医学に関わりのある業務が多く含まれていることから、医学雑誌を愛読又は購買する者が多いものと認められる。 そうとすれば、引用商標Bを含む本件商標がその指定役務に使用された場合には、請求人の引用商標Bを連想、想起し、請求人又は請求人と経済的または組織的に何等かの関係がある者の業務に係る役務であるかの如く、役務の出所について混同を生じさせるおそれがあるとみるのが相当である。 3 したがって、本件商標の登録は、他の無効理由について判断するまでもなく、商標法第4条第1項第15号に違反してなされたものであるから、商標法第46条第1項の規定により無効とすべきである。 よって、結論のとおり審決する。 |
別掲 |
別掲 (1)本件商標 (色彩についての詳細は原本を参照されたい。) (2)登録第1499425号商標 <引用商標A> |
審理終結日 | 2004-08-03 |
結審通知日 | 2004-08-04 |
審決日 | 2004-11-02 |
出願番号 | 商願2001-108366(T2001-108366) |
審決分類 |
T
1
11・
271-
Z
(Z41)
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最終処分 | 成立 |
特許庁審判長 |
宮下 正之 |
特許庁審判官 |
小川 有三 富田 領一郎 |
登録日 | 2002-12-06 |
登録番号 | 商標登録第4627556号(T4627556) |
商標の称呼 | ジェイアマ、アマ、エイエムエイ、ジャマ、ジェイエイエムエイ |
代理人 | 磯野 政雄 |
代理人 | 高梨 範夫 |
代理人 | 大村 昇 |
代理人 | 小林 久夫 |
代理人 | 木村 三朗 |
代理人 | 安島 清 |