ポートフォリオを新規に作成して保存 |
|
|
既存のポートフォリオに追加保存 |
|
PDFをダウンロード |
審決分類 |
審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) 110 |
---|---|
管理番号 | 1108289 |
審判番号 | 取消2003-30904 |
総通号数 | 61 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2005-01-28 |
種別 | 商標取消の審決 |
審判請求日 | 2003-07-10 |
確定日 | 2004-11-19 |
事件の表示 | 上記当事者間の登録第2714919号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 登録第2714919号商標の指定商品中「末梢血管形成術用バルーン,医療用機械器具,及びこれらに類似する商品」については、その登録は取り消す。 審判費用は、被請求人の負担とする。 |
理由 |
第1 本件商標 本件登録第2714919号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲に表示した構成よりなり、昭和60年10月29日に登録出願、第10類「有機物及び細胞の反応・特性を同定する検査用器具 その他本類に属する商品」を指定商品として、平成8年6月28日に設定登録されたものである。 また、本件審判の請求の登録日は平成15年8月6日である。 第2 請求人の主張 請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のように述べ、甲第1号証ないし甲第3号証を提出した。 1 請求の理由 請求人の調査では、取消請求に係る指定商品「末梢血管形成術用バルーン,医療用機械器具,及びこれらに類似する商品」について、被請求人が過去3年以内に、我が国において本件商標を使用している事実は見受けられなかった。 したがって、本件商標の指定商品中、取消請求に係る指定商品についての登録は、商標法50条第1項の規定により取消されるべきである。 2 答弁に対する弁駁 (1)本件商標使用の時期について 被請求人は、本件審判請求の登録日前3年以内に「体外診断用器具及び装置」について本件商標が使用されていることを示す証拠として乙第1号証ないし乙第2号証の3を提出している。 しかし、乙第1号証のカタログにはその発行年月日等の日付が一切記載されていない。なお、同カタログの最終頁には「日本ビオメリュー・バイテック株式会社 本社 カスタマーサポート部 東京都豊島区南大塚3-43-1 大塚HTビル」との記載があるが、「日本ビオメリュー・バイテック株式会社」は1999年(平成11年)に社名を「日本ビオメリュー株式会社」に変更し、本店を平成11年1月5日付けで「東京都港区青山二丁目12番28号青山ビル」へ移転している(甲第1号証及び甲第2号証)。このことから明らかなように、乙第1号証は少なくとも平成11年以前のカタログである。 また、乙第2号証の1ないし乙第2号証の3の写真は、平成15年11月4日に撮影されたものであるが、本件審判の請求の登録日は平成15年8月6日であるから(甲第3号証)、乙第2号証の1ないし乙第2号証の3は本件審判の請求の登録前3年以内の本件商標の使用を証明するものではない。 さらに、商標が付されている商品を商品の購入者が使用すること自体は商標法第2条第3項に規定する商標の使用には該当しないものであるから、日本赤十字医療センター臨床検査室に設置された商品の写真を撮影したところで本件商標が使用されていることを証明することにはならない。 以上のように、被請求人の商標の使用が本件審判の請求の登録前3年以内であることは証明されない。 (2)本件商標と使用商標の同一性について 本件商標は、「ATB」の文字と図形を組み合わせてなるものである。 他方、乙第1号証ないし乙第2号証の3において使用されている商標は、何れも「ATB」の文字のみからなる商標である。今日のように情報媒体が多様化し、情報量が飛躍的に増大した社会においては、図形の持つ情報伝達力が文字の持つ情報伝達力と比肩するに足りる大きさを有するに至っているということができ、図形と文字の結合商標にあっては、文字部分のみをいたずらに重視して図形部分の持つ情報伝達力を軽んずることは、特段の理由のない限り許されないというべきである。してみれば、図形部分の有無は商標の識別性に重大な影響を与えるものであるから、被請求人の使用に係る商標と図形部分を有する本件商標は、その識別性に大きな差異を有するのであり、両者が社会通念上同一の商標であるとは言えない。 従って、被請求人が本件商標と同一の商標を使用したことは証明されない。 第3 被請求人の主張 被請求人は、本件審判の請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求める、と答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第8号証(枝番を含む。)を提出した。 1 被請求人は、本件商標を日本国内において「医療用機械器具」に属する「体外診断用器具及び装置」について本件審判請求日前3年以内に使用している。 2 被請求人は、日本ビオメリュウ株式会社(東京都港区北青山2-18-28青山ビル)を通じて日本国内において「体外診断用器具及び装置」(以下「使用商品」という。)を供給しており、使用商品は、乙第1号証として提出したカタログに示す通り「自動細菌検査装置」を含むものであり、このカタログには本件商標が明示されている。 さらに、使用商品は、現在東京都渋谷区広尾4-1-32所在の日本赤十字医療センター臨床検査室に設置されて使用中であり、その設置した使用商品の写真(平成15年11月4日撮影)には本件商標が明示されている。 (乙第2号証の1ないし乙第2号証の3) 3 乙第3号証の1及び乙第3号証の2は、被請求人と日本ビオメリュウ株式会社間の使用商品についての契約書及びその抄訳文であり、ここには使用商品につき日本ビオメリュウ株式会社が独占販売店であることが示され、日本ビオメリュウ株式会社が使用商品の販売促進について本件商標を使用することが許諾されている。 4 乙第4号証は、通常使用権者である日本ビオメリコウ株式会社と公立学校共済組合九州中央病院(福岡市南区塩原三丁目23番1号、病院長 秋吉 毅)との「機器リースシステム販売契約書」の写であり、この契約書第1条(検査機器の貸借)には使用商品を貸与すること、第3条にその引渡しが規定されており、契約期間は平成14年1月1日より平成16年12月31日までである。 5 乙第5号証は、九州中央病院に設置してある使用商品の写真であり、撮影は平成16年1月20日で、本件商標が示されている。従って、これらの証拠により本件商標が使用商品につき通常使用権者である日本ビオメリュウ株式会社により日本国内において本件審判請求日前3年の間に使用されていることが立証できるものである。 6 乙第6号証は、通常使用権者である日本ビオメリュウ株式会社と株式会社ファルコバイオシステムズ(京都市左京区聖護院蓮華蔵町44番地の3、代表取締役赤津寛治)との使用商品についての「機器リースシステム販売契約書」の写であり、契約期間は平成11年10月1日より平成16年9月30日まで(第5条)で、本件審判請求日を含むものであり、この契約書第1条(検査機器の貸借)には使用商品を貸与することが、第3条には引き渡すことが示されている。 7 乙第7号証は、平成16年1月14日に撮影した株式会社ファルコバイオシステムズに設置された使用商品の写真であり、これには明瞭に本件商標が示されている。 8 乙第8号証は、日本国内における本件商品が設置された施設名と通常使用権者との契約日、貸借期間を示す表であり、現在も多くの施設で本件商標が付された使用商品が使用されていることを示している。 9 以上の通り、本件商標は「医療用機械器具」に属する使用商品に本件審判請求前3年以内に使用されている。 第4 当審の判断 被請求人は、本件商標を指定商品中「体外診断用器具及び装置」について使用しているとして乙号証を提出しているので、提出に係る各乙号証について検討する。 (1)乙第1号証の商品カタログによれば、被請求人の通常使用権者と認め得る(乙第3号証の1及び2)日本ビオメリュウ・バイテック株式会社は、「自動細菌検査装置」に「ATB」の文字を使用していることは認められる。しかしながら、そのカタログには、カタログの発行年月日、使用商品の使用時期を示す日付等は見あたらない。 そして、請求人の提出に係る甲第1号証によれば、日本ビオメリュー・バイテック株式会社は、1999年(平成11年)に社名を日本ビオメリュー株式会社に変更された事実が認められることよりして、該商品カタログは、平成11年以前のものと推認されるものである。 (2)乙第2号証の1ないし3の使用商品が設置された写真は、平成15年11月4日に撮影されたものであり、かつ、設置状況の写真のみであって、使用商品の販売に関する取引書類等の証左はないから、本件審判請求の登録前3年以内に本件商標を使用して「自動細菌検査装置」を販売していたものとは認めがたい。 (3)乙第4号証の日本ビオメリコウ株式会社と公立学校共済組合九州中央病院との「機器リースシステム販売契約書」、乙第6号証の日本ビオメリュウ株式会社と株式会社ファルコバイオシステムズとの「機器リースシステム販売契約書」及び乙第8号証の日本国内における使用商品が設置された施設名と通常使用権者との契約日、貸借期間を示す表は、いずれも、使用商品を貸与する契約と認められるものであって、使用商品を販売している証左とは認め得ないものである。 (4)乙第5号証及び乙第7号証は、使用商品の設置状況の写真であって、使用商品の販売に関する取引書類等の証左はないから、使用商品を販売している証左とは認め得ないものである。 その他、被請求人は、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが本件商標に係る指定商品のいずれかの商品について使用していたものと認めるに足りる証拠を提出しておらず、また、本件商標を使用していないことについて正当な理由があることも明らかにしない。 (5)以上からすると、本件商標は、本件取消請求に係る商品については使用されていなかったものといわざるを得ない。 そうとすれば、被請求人は、本件商標を本件審判請求の登録前3年以内に日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかがその請求に係る指定商品のいずれかについて登録商標の使用をしていることを証明することができなかったものといわなければならない。 したがって、本件商標の指定商品中「末梢血管形成術用バルーン,医療用機械器具,及びこれらに類似する商品」の登録は、商標法第50条第1項の規定により、取り消すべきものとする。 よって、結論のとおり審決する。 |
別掲 |
別掲 本件商標 |
審理終結日 | 2004-06-22 |
結審通知日 | 2004-06-24 |
審決日 | 2004-07-09 |
出願番号 | 商願昭60-109303 |
審決分類 |
T
1
32・
1-
Z
(110)
|
最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 小松 英世 |
特許庁審判長 |
宮下 正之 |
特許庁審判官 |
富田 領一郎 小川 有三 |
登録日 | 1996-06-28 |
登録番号 | 商標登録第2714919号(T2714919) |
商標の称呼 | エイテイビイ |
代理人 | 足立 泉 |
代理人 | 柳生 征男 |
代理人 | 稲木 次之 |
代理人 | 中田 和博 |
代理人 | 青木 博通 |
代理人 | 土生 真之 |
代理人 | 加藤 和彦 |