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審決分類 |
審判 全部申立て 登録を取消(申立全部取消) Z05 審判 全部申立て 登録を取消(申立全部取消) Z05 |
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管理番号 | 1095246 |
異議申立番号 | 異議2002-90835 |
総通号数 | 53 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標決定公報 |
発行日 | 2004-05-28 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2002-11-29 |
確定日 | 2004-03-24 |
異議申立件数 | 1 |
事件の表示 | 登録第4600221号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 登録第4600221号商標の商標登録を取り消す。 |
理由 |
第1 本件商標 本件登録第4600221号商標(以下「本件商標」という。)は、「イムノピア」の片仮名文字を上段に、「IMMUNOPIA」の欧文字を下段に、それぞれ横書きしてなり、平成13年9月28日に登録出願され、第5類「薬剤,歯科用材料,医療用腕環,医療用油紙,衛生マスク,オブラート,ガーゼ,カプセル,眼帯,耳帯,失禁用おしめ,人工受精用精液,生理帯,生理用タンポン,生理用ナプキン,生理用パンティ,脱脂綿,乳児用粉乳,乳糖,はえ取り紙,ばんそうこう,包帯,包帯液,防虫紙,胸当てパッド」を指定商品として、平成14年8月30日に設定登録されたものである。 第2 登録異議の申立ての理由 登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、以下の登録商標(以下「引用商標」という。)を引用して、本件商標は、商標法4条1項11号に違反してされたものであり、本件商標の登録は取り消されるべきであると申し立て、証拠方法として甲第1号証及び同第2号証を提出した。 <引用商標> 登録第4590318号商標は、「イムノピアリ」の片仮名文字を上段に、「IMMUNOPIARI」の欧文字を下段に、それぞれ横書きしてなり、平成13年9月12日に登録出願され、第1類「化学品,植物成長調整剤類,のり及び接着剤(事務用又は家庭用のものを除く。),高級脂肪酸,非鉄金属,非金属鉱物,原料プラスチック,パルプ,工業用粉類,肥料,写真材料,試験紙,人工甘味料,陶磁器用釉薬」及び第5類「薬剤,食餌療法用食品,食餌療法用飲料,歯科用材料,医療用油紙,衛生マスク,オブラート,ガーゼ,カプセル,眼帯,耳帯,生理帯,生理用タンポン,生理用ナプキン,生理用パンティ,脱脂綿,ばんそうこう,包帯,包帯液,胸当てパッド,医療用腕環,失禁用おしめ,人工受精用精液,乳児用粉乳,乳糖,はえ取り紙,防虫紙」を指定商品として、平成14年7月26日に設定登録されたものである。 第3 本件商標に対する取消理由の要旨 本件商標と引用商標は、上記のとおりの構成よりなるところ、その構成文字に相応して、本件商標からは「イムノピア」の称呼が、引用商標からは「イムノピアリ」の称呼が生じるものである。 そこで、本件商標と引用商標の称呼を対比すると、その差異は、通常明確に聴取され難い語尾における「リ」の音の有無にすぎないから、この差異が両称呼の全体に及ぼす影響は小さいものであって、両称呼を一連に称呼するときは、全体の語感が近似したものとなり、彼此聴き誤るおそれのある相紛らわしいものといわなければならない。 また、両商標の構成は、上記のとおり、本件商標は「イムノピア」の文字と「IMMUNOPIA」の文字とを二段に横書きしてなるのに対して、引用商標は「イムノピアリ」の文字と「IMMUNOPIARI」の文字とを二段に横書きしてなるものであって、その文字の綴りについては、後者は前者に「リ」の片仮名文字及び「RI」の欧文字が附記された構成の差にすぎず、加えてそれぞれ同様の書体からなることから、外観上も決して明確に区別し得るものとはいい難く、むしろ近似したものといえる。 そうすると、本件商標と引用商標とは、その観念において類似するとはいえないものの、その称呼において相紛らわしく、外観上も近似する商標であり、かつ、本件商標の指定商品は、引用商標の指定商品と同一又は類似のものである。 したがって、本件商標は、商標法4条1項11号に違反して登録されたものといわざるを得ない。 第4 商標権者の意見の要旨 上記「第3」の取消理由に対して、商標権者は、要旨次のように意見を述べ、参考資料1ないし4を提出した。 1 商標の類否は、同一又は類似の商品に使用された商標が、その外観、観念、称呼等によって取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すべきであり、しかもその取引の実情を明らかにし得る限り、その具体的な取引状況に基づいて判断すべきものであって、簡易迅速を尊ぶ取引社会においても、医薬品の取扱業者及びその需要者は、その商標に対する注意も一般商品に対する一般消費者のそれに比べれば、相当高度の注意力をもつものであることが、取引の通念であるといえるから、商標の類否に当たっては、この点をも考慮されることが必要不可欠である。 2 かかる見地に立って、本件商標と引用商標とを比較すると、引用商標の称呼には語尾に「リ」の音を有する点が相違し、この「リ」の音の有無が称呼全体に及ぼす影響は大きく、両称呼をそれぞれ一連に称呼する場合でも、該差異音は明確に聴取され、聴者に与える全体的語感・語調は著しく相違するものであり、両称呼は非類似の称呼と言わなければならい。 次に、両商標の外観は、一見直ちにその差異が明らかである程度に、相違しているということができる。すなわち、語頭部に次いで強く注意を引くと思われる語尾部が、本件商標が「ア」、「A」であるのに対し、引用商標は「リ」、「RI」であり、このように、両商標は外観においては大いに異なり、この外観に接した取引者・需要者は両者を誤認混同する可能性は極めて小さいものといえる。 更に、両商標の観念については、いずれも特定の意味を有しない造語と認められるので、比較すべくもないものである。 よって、本件商標と引用商標とは、その称呼・外観・観念のいずれの点についても、相紛れるおそれのない非類似の商標といえるものである。 第5 当審の判断 1 本件商標と引用商標との類否について 本件商標と引用商標は、上記のとおりの構成よりなるところ、その構成文字に相応して、本件商標からは「イムノピア」の称呼が、引用商標からは「イムノピアリ」の称呼が生じるものである。 そこで、本件商標と引用商標の称呼を対比すると、前者は5音、後者は6音からなり、語頭からの「イ」、「ム」、「ノ」、「ピ」、「ア」の音を共通にし、その差異は、通常明確に聴取され難い語尾における「リ」の音の有無にすぎないものである。そして、この差異が両称呼の全体に及ぼす影響は小さいものであって、両称呼を一連に称呼するときは、全体の語感が近似したものとなり、彼此聴き誤るおそれのある相紛らわしいものといわなければならない。 また、両商標の構成は、上記のとおりであって、本件商標は、「イムノピア」の文字と「IMMUNOPIA」の文字とを二段に横書きしてなるのに対して、引用商標は、「イムノピアリ」の文字と「IMMUNOPIARI」の文字とを二段に横書きしてなるものであって、その文字の綴りについては、後者は前者に「リ」の片仮名文字及び「RI」の欧文字が付記された構成の差にすぎず、加えてそれぞれ同様の書体からなることから、外観上も決して明確に区別し得るものとはいい難く、むしろ近似したものといえる。 そうすると、本件商標と引用商標は、いずれも特定の観念を生じないから観念において類似するとはいえないものの、その称呼において相紛らわしく、外観上も近似する商標であり、かつ、本件商標の指定商品は、引用商標の指定商品と同一又は類似のものである。 2 商標権者の意見について 商標権者は、両者は、称呼・外観上の差異により互いに紛れるおそれのない非類似の商標であると主張するが、両者が類似すると判断されること前記のとおりであり、商標権者の主張は採用することはできない。 また、商標権者は、「医薬品の取扱業者及びその需要者は、その商標に対する注意も一般商品に対する一般消費者のそれに比べれば、相当高度の注意力をもつことが、取引の通念であり、商標の類否に当たっては、この点をも考慮されることが必要不可欠である。」と主張している。 しかしながら、本件商標及び引用商標の指定商品中には、一般家庭で日常使用される常備薬や衛生用品、医療補助品なども含まれており、これらの商品の取引者・需要者には、一般の消費者も含まれるのであって、これらの消費者が商品を購入するにあたって相当高度の注意力をもつとすべき特別な事情は認められないばかりか、本件の類否判断において、一般消費者の普通の注意力を基準に類否判断をすることが妥当ではないとはいえず、前記商標権者の主張は採用することはできない(なお、この点に関しては、「この種の指定商品の商標についても一般需要者の普通に用いる注意力を類否判断の基準とすべきである」旨の判決例(東京高裁 昭和24年3月23日言渡 昭和22年(行ナ)第6号判決)、「本願商標は、その取扱いについても特段の慎重さを要求されないような売薬等の一般的製剤にも使用されうるのであるから、原告の主張は、すでにその前提において失当である。」旨の判決例(東京高裁 昭和45年9月30日言渡 昭和44年(行ケ)第142号判決)も参照されたい。)。 3 結論 したがって、本件商標は、商標法4条1項11号に違反して登録されたものといわざるを得ず、商標法43条の3第2項により、取り消すべきものである。 よって、結論のとおり決定する。 |
異議決定日 | 2004-02-04 |
出願番号 | 商願2001-87729(T2001-87729) |
審決分類 |
T
1
651・
262-
Z
(Z05)
T 1 651・ 261- Z (Z05) |
最終処分 | 取消 |
前審関与審査官 | 高山 勝治 |
特許庁審判長 |
宮下 正之 |
特許庁審判官 |
山本 良廣 宮川 久成 |
登録日 | 2002-08-30 |
登録番号 | 商標登録第4600221号(T4600221) |
権利者 | 第一化学薬品株式会社 |
商標の称呼 | イムノピア、イミュノピア |
代理人 | 大房 孝次 |
代理人 | 白濱 國雄 |