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審決分類 審判 全部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない 121
管理番号 1088376 
審判番号 取消2002-31080 
総通号数 49 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2004-01-30 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2002-09-13 
確定日 2003-11-14 
事件の表示 上記当事者間の登録第1517958号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 1 本件商標
本件登録第1517958号商標(以下「本件商標」という。)は、昭和53年12月25日に登録出願され、別掲に示すとおりの構成よりなり、第21類「かばん類、袋物、その他本類に属する商品」を指定商品として、昭和57年6月29日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。

2 請求人の主張
請求人は、本件商標の登録を取り消す旨の審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のように述べた。
(1)請求の理由
本件商標は、第21類(昭和34年法)に属する全指定商品「かばん類、袋物、その他本類に属する商品」について継続して3年以上、日本国内において、商標権者、専用使用権者または通常使用権者のいずれによっても使用された事実がないから、商標法第50条第1項の規定により、その登録を取り消されるべきものである。
(2)弁駁の理由
被請求人は、答弁書において、本件商標の使用を主張し、乙第1号証の1ないし乙第4号証並びに検乙第1号証及び検乙第2号証を証拠として提出しているが、当該乙各号証は、何れも本件商標をその指定商品に使用したことを証するものではない。
(ア)乙第1号証の1
被請求人は、本証拠を「カタログ」と称するが、その全体的な体裁から「商品仕様書」と思われる。何れにしても.本証拠は、次の理由により商標法第50条所定の登録商標の使用があったことを証明していない。
(a)本書(原本であるか写しであるかは定かでない。)は、写真・下げ札を貼り付け、品番・価格・サイズ等の商品特定事項を事後的に記入したもので、このような体裁からなる資料は、全体が一体的に印刷された資料と異なり、何時でも恣意的な表示内容にて作成できるものであるから、本件商標の使用事実(本件審判請求の登録前3年以内に本書が存在していた事実)を示す証拠として認めることはできない。
(b)本書がある種の広告媒体や対外的な取引書類と認められ、かつ、この体裁で実在していたものであるとしても、本書の存在自体は、本書が展示され又は頒布されたこと(2条3項7号の使用)の事実を証するものではない。
(c)また、仮に、本書が実際に展示され又は頒布されたものであるとしても、作成日すら明らかでなく展示又は頒布された日(使用時期)も不明である。
(d)左上の「バッグの写真」は、撮影日が明らかでないばかりか、付されている標章の態様は、全く判読できず、本件商標が当該バッグ商品に付された(2条3項1号・2号の使用)事実を示していない。
(e)右上の「ABBEY ROAD」と記された「下げ札(乙第3号証)」は、事後に貼り付けられたもので、品番1730・1731のバッグに本下げ札が取り付けられたこと(2条3項1号・2号の使用)の事実を証するものとは認められない。
(f)被請求人は、「このカタログ商品は、平成13年11月東京展示会においてサンプル販売をし、全国の得意先よりたくさんの受注を受け、生産に入った。」とするが、これらの事実を示す証拠はない。
(イ)乙第1号証の2
本証拠も、前記(乙第1号証の1)の場合と同様の理由により、本件商標の使用があったことを証明するものではない。
(ウ)乙第1号証の3
本証拠も、前記(乙第1号証の1)の場合と同様の理由により、本件商標の使用があったことを証明するものではない。
(エ)乙第2号証の1
本証拠は、請求書、納品書又は物品受領書であるが、何れも商品及び商標の具体性に欠けるばかりか、これら取引書類自体は、頒布又は展示されるものでないので、使用媒体として認めることはできない(2条3項7号の使用には当たらない)。
また、被請求人は、本証拠中の(株)エイ・エッチインターナショナル発行の平成13年3月3日付け請求書(付箋が貼られているもの)により「乙第1号証の3」に表示されている商品(品番3328)が同日取引されたこと(2条3項1号・2号の使用)の事実を裏付けようとするものであるが、「乙第1号証の3」そのものが、前記のとおり恣意的な作成の可能な資料であって、証拠として採用し難いものであるから、本請求書に記載の商品が「乙第1号証の3」に表示された商品と一致することの裏付けにはならない。
(オ)乙第2号証の2
本証拠も、前記(乙第2号証の1)の場合と同様の理由により、本書証で取り引きされた商品が「乙第1号証の1」に表示された商品と一致することの裏付けには全くならず、本件商標がその指定商品に使用されたことを証明するものではない。
(カ)乙第2号証の3
本証拠は、誠美堂印刷(株)発行の「下げ札」に関する請求書及び納品書と思われるが、この「下げ札」が、何時、如何なる商品に付されたものであるかは明らかでないばかりか、これら取引書類自体は、頒布又は展示されるものでないので、使用媒体として認めることはできない(2条3項7号の使用には当たらない)。
また、被請求人は、本証拠中の平成14年1月18日付け請求書(付箋が貼られているもの)により、「乙第1号証の1ないし3」に表示されている商品に「下げ札」が付されたことや販売がされたこと(2条3項1号・2号の使用)の事実を裏付けようとするものであるが、「下げ札」を単に貼り付けたにすぎない「乙第1号証の1ないし3」そのものが、前記のとおり恣意的な貼り付け作成の可能な資料であって、証拠として採用し難いものであるから、「下げ札」が存在するからといって、実際に、「乙第1号証の1ないし3」に表示された商品に、この「下げ札」が付されたものであることの証明にはならない。
(キ)乙第2号証の4
本証拠は、ダーツ発行の「折りネーム(乙第4号証)」に関する請求書及び納品書と思われるが、本証拠も、前記(乙第2号証の3)の場合と同様の理由により、本件商標がその指定商品に使用されたことを証明するものではない。
(ク)乙第3号証・乙第4号証
本証拠は、前記のとおり、単に「下げ札」、「折りネーム」の存在事実を示すにすぎず、これらが何時、如何なる商品に付されたものであるかは不明であるから、本件商標がその指定商品に使用されたことを証明するものではない。
(ケ)検乙第1号証・検乙第2号証
撮影年月日が不明で、本件商標の使用があったことを証明していない。
(3)むすび
以上のとおり、被請求人提出の証拠によっては、本件審判請求の登録前3年以内に日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが本件商標をその指定商品について使用した事実が証明されていないから、本件商標の登録は、商標法第50条第1項の規定により、取り消されるべきである。

3 被請求人の答弁
被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第4号証(枝番号を含む。)並びに検乙第1号証及び検乙第2号証を提出した。
被請求人は、本件商標を3年以上継続して使用し、現在も使用中である。
本件商標は、次のような製品に使用している。以下、立証する。
乙第1号証の1は、カタログ「アビーロードトートバッグ製品番号No.1730・No.1731」であり、乙第1号証の2は、カタログ「アビーロードトートバッグ製品番号No.1738・1739・No.1740」である。
当該カタログの商品は、平成13年11月東京展示会においてサンプル販売をし、全国のお得意様よりたくさんの受注を受け、生産に入った。
先ず、乙第4号証の折ネームを生産業者(有)サンロータスに生産依頼し、平成14年1月7日(乙第2号証の4)にダーツより納入された。
また、当社は、誠美堂印刷(株)に下げ札(乙第3号証)を発注し、それは、乙第2号証の3にて当社に納品された。
乙第1号証の1のカタログ「アビーロードトートバッグ製品No.1730・No.1731」は、(有)サンロータスにて縫製され、検乙第1号証として平成14年2月13日(乙第2号証の2)に当社に納品され、全国の鞄専門店にて売り出された。
乙第1号証の2のカタログ「アビーロードトートバッグ製品番号No.1738・No.1739・No.1740」についても、同じ過程で生産販売がされた。
乙第1号証の3は、カタログ「アビーロードキャリーバッグ製品番号No.3351・3352・No.3328・No.3329」である。
上記カタログの商品については、乙第1号証の3「アビーロードキャリーバッグ製品番号No.3328」及びその請求書(乙第2号証の1)のとおり、(株)エイ・エッチインターナショナルより平成13年3月3日に当社に入荷している。
当該商品は、現在も継続して販売されており、全国の鞄専門店にて好評販売中で、この「アビーロード」の名前がキャリーケースの商品名として広く認知されている。
以上のように、当社は、「ABBEY ROAD」の本件商標を使用した製品を全国の鞄専門店に販売している。
ただし、検乙第1号証及び検乙第2号証は、現在同一の製品在庫がないため別の製品である。

4 当審の判断
本件審判において、被請求人より提出された乙第1号証ないし乙第3号証(枝番号を含む。)についてみるに、被請求人は、乙第1号証の1ないし3を「カタログ」と称しているが、その体裁、手書きの部分、サンプル生地の貼付の状態などをみると、これら書面が一般に展示し又は頒布される「カタログ」とは認め難いものであるものの、当該書面に表示されている「トートバッグ」の写真(カラー)及び正確に描かれた商品の線書きの図面、製品番号、サイズ、価格、使用する折りネーム(BRAND)等の記載内容からすれば、これらの書面は、営業担当者用の商品カタログあるいは商品仕様書と認められるものである。
そして、乙第2号証の2に綴られている平成14年2月13日付けの請求書(No.6517)は、乙第1号証の1に掲載されている製品番号「1731」の帆布トートバッグ・5種類(5色)の製品に相当する合計金額216200円の請求書と認められ、この請求書の品名欄には、本件商標と社会通念上同一と認められる「アビーロード」の文字が前記の製品番号、色番号、数量、単価、金額等とともに記載されているものであり、この書類は、大阪市住吉区に住所を有する「有限会社サンロータス」から被請求人「ピースバッグ(株)」に宛てたものであることが認められる。
また、乙第2号証の3に綴られている平成14年1月18日付けの請求書によれば、この請求書の品名欄には、本件商標と社会通念上同一と認められる「ABBEY ROAD」(下札)の文字が、数量(6000枚)、金額(36000)等とともに記載されているものであり、この書類は、大阪市東成区に住所を有する「誠美堂印刷株式会社」から被請求人「ピースバッグ(株)」に宛てたものであることが認められる。
さらに、乙第3号証は、「アビーロード下札」と表示され、その見本が貼付されており、又、乙第4号証は、「アビーロード折りネーム2種類」と表示され、その見本が貼付されているものである。
しかして、これらの証拠を総合すれば、乙第1号証の1ないし3が被請求人のいう一般的な「カタログ」ではないとしても、詳細な図面、その記載内容からすれば、被請求人が事後に恣意的に作成したとする根拠は何もなく、前記の平成14年2月13日付けの請求書及び平成14年1月18日付けの請求書をも併せ考えると、本件商標の指定商品中に含まれる商品「トートバッグ」(大型の実用バッグ)に本件商標と社会通念上同一の商標が付されて取引が実際に行われたことを認め得るものである。
してみれば、本件商標は、本件審判請求の登録(平成14年10月9日)前3年以内に日本国内において、被請求人(商標権者)により本件商標と社会通念上同一の商標と認められる商標を取消請求に係る指定商品に含まれる「トートバッグ」について、使用されていたものと認めることができる。
したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により取り消すべきものではない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲
本件商標

審理終結日 2003-09-12 
結審通知日 2003-09-18 
審決日 2003-10-02 
出願番号 商願昭53-95930 
審決分類 T 1 31・ 1- Y (121)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 佐藤 敏樹 
特許庁審判長 小池 隆
特許庁審判官 柴田 昭夫
鈴木 新五
登録日 1982-06-29 
登録番号 商標登録第1517958号(T1517958) 
商標の称呼 アビーロード 
代理人 野原 利雄 

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