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審決分類 審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) 121
管理番号 1081919 
審判番号 取消2001-30482 
総通号数 45 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2003-09-26 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2001-04-26 
確定日 2003-08-08 
事件の表示 上記当事者間の登録第2167860号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 登録第2167860号商標の指定商品中の「身飾品及びこれに類似する商品」については、その登録は取り消す。 審判費用は、被請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第2167860号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲のとおりの構成よりなり、昭和61年6月10日登録出願、第21類「装身具、ボタン類、かばん類、袋物、宝玉およびその模造品、造花、化粧用具」を指定商品として、平成1年9月29日に設定登録されたものである。

第2 請求人の主張
請求人は、結論同旨の審決を求めると申し立て、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第3号証を提出した。
1 被請求人は、本件商標をその指定商品中「身飾品及びこれに類似する商品」について継続して過去3年以上日本国内において使用をしていない。また、商標登録原簿(写)によれば、本件商標に係る商標権について専用使用権又は通常使用権の設定登録がなされていないものであるから、使用権者の存在及びそれらによる登録商標の使用を推認せしめる根拠もないものである。
したがって、本件商標は、その指定商品中「身飾品及びこれに類似する商品」について、継続して過去3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれもが使用した事実が存しないものである。
2 答弁に対する弁駁
(1)被請求人は、乙第1号証を挙げて本件商標が「リュックサック」、「ショルダーバッグ」、「袋物」及び「キーリング」に使用されている旨、並びに乙第2号証を挙げて本件商標が「ハンドバッグ」に使用されている旨を主張するとともに、「身飾品」に類似する商品は範囲が不明確である旨、及び乙第3号証を挙げて「キーリング」、「ショルダーバッグ」及び「ハンドバッグ」が「身飾品」に類似する商品である旨を主張する。
しかしながら、被請求人が本件商標の使用を主張する商品は、いずれも「身飾品」でもなければ、「身飾品に類似する商品」でもない。
甲第2号証に記載されているように、身飾品とは、一般的に、主として身に飾ることによって、直接的にその人の美しさを増すものと考えられている。
類似商品・役務審査基準(甲第2号証参照)によれば、「身飾品」には、「身飾品(「カフスボタン」を除く。)」と、「カフスボタン」とが含まれており、「身飾品(「カフスボタン」を除く。)」の類似群コードは21A02、「カフスボタン」の類似群コードは21BOIとされている。
類似群コード21A02に属する商品としては、「身飾品(「カフスボタン」を除く。)」以外に、金属製のバックル、衣服用き章(貴金属製のものを除く。)、衣服用バッジ(貴金属製のものを除く。)、衣服用バックル、衣服用ブローチ、帯留、ボンネットピン(貴金属製のものを除く。)、ワッペン及び腕章があり、類似群コード21BOIに属する商品としては、「カフスボタン」以外に、「ボタン類」がある。
一方、かばん類及び袋物は、類似群コードが21COlとされており、「身飾品(「カフスボタン」を除く。)」及び「カフスボタン」の類似群コード(21A02,21BOI)とは異なるものとなっている。
なお、乙第1号証に記載されている「キーリング」は、「リュック」、「ショルダーバッグ」及び「バッグ」の内側に付けられたものであり(乙第1号証112頁)、かばん類の付属品にすぎないため、本件商標は「キーリング」という商品について使用されているということはできない(仮に「キーリング」について使用されているとしても、「キーリング」の類似群コードは13COlである。)。
(2)類似商品・役務審査基準は、同一の類似群コードに属する商品・役務は互いに類似すると推定するもの、逆にいえば異なる類似群コードに属する商品・役務は互いに類似しないと推定するものであり、商標審査基準(甲第3号証)に記載のとおり、商標の審査では、原則として類似商品・役務審査基準によって商品・役務の類否判断がなされている。
かかる類似商品・役務審査基準を覆すには、それ相応の証拠が必要と考えられるにもかかわらず、被請求人は、乙第3号証において「身飾品」、「時計」、「サングラス」及び「バッグ」が連続して掲載されていることだけを理由として、「身飾品」と「かばん類、袋物」「キーリング」とは販売場所、需要者を同じくするものであり、類似する商品であると主張している。
しかし、多数の品目を販売する小売店や通信販売業が多くなってきた昨今では、このような主張は到底認められるものではない。
商品の類否を判断するに際して考慮すべき商標審査基準について検討したとしても、「身飾品」と「かばん類、袋物」(前述したとおり、「キーリング」については判断不要である。)とは、生産部門も、原材料及び品質も、用途も異なり、完成品と部品との関係にもないため、「身飾品」と「かばん類、袋物」とが類似する商品であるとすることは全くもって失当である。
(3)以上のとおり、本件商標は、その指定商品中「身飾品及びこれに類似する商品」について、継続して過去3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれもが使用した事実が存しないから、商標法第50条の規定により取り消されるべきである。

第3 被請求人の答弁
被請求人は、本件審判請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする。との審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第3号証を提出した。
1 本件商標は、その指定商品について本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において商標権者又は通常使用権者により使用されている。
(1)乙第1号証は、株式会社ソニー・ファミリークラブ(東京都千代田区九段北4-1-7)が1998年11月2日に発行した書籍「The Best Buy Guide」の表紙、奥付、INDEX、目次および第112頁の写であり、これには本件商標と商品「リュックサック」「ショルダーバッグ」「袋物」が示されており、本件商標が指定商品に使用されていることが明らかである。
乙第2号証は、同じく株式会社ソニー・ファミリークラブが2001年2月15日に発行した書籍「Big Time」の表紙、奥付、第91頁の写であり、本件商標と商品「ハンドバッグ」が示されている。
また、前記乙第1号証の第112頁には商品「キーリング」も示されており、本件商標がそれら商品に使用されていることが立証できるものである。
(2)本件審判請求書の請求の趣旨には本件商標の登録の取り消しを求める商品として「身飾品及びこれに類似する商品」が示されているが、「身飾品」に類似する商品は範囲が不明確である。「身飾品」は主として婦人が身に付けるものであって、その類似商品の範囲は前記乙第1号証に示した「キーリング」はもちろん、「かばん類、袋物」に属する「ショルダーバッグ」「ハンドバッグ」も「身飾品」に類似する商品である。
乙第3号証は、株式会社ソニー・ファミリークラブが1998年3月2日に発行した書籍「フランス型録」の表紙、奥付、第32頁から第34頁、第39頁、第46頁の写であり、第32頁には「パリのエスプリを楽しむ」として「身飾品」「時計」「サングラス」「バッグ」が掲載されている。
このように、「身飾品」と「かばん類、袋物」「キーリング」とは販売場所、需要者を同じくするものであり、類似する商品であり、本件審判の請求は成り立たないことが明らかである。
(3)さらに加えれば、本件商標は乙各号証に示すとおり、フランスを代表する商標として日本国内においても広く知られており、仮に本件審判が成立したとしても、審判請求人を含む他人が本件商標を使用すれば商標法あるいは不正競争防止法によりその使用が差し止められるものであり、また、商標登録出願を行なっても、特許庁による厳正な審査により出願は拒絶され、登録できないものである。
2 以上のとおり、本件商標は「身飾品及びこれに類似する商品」に使用されており、商標法第50条の規定に該当しないものである。

第4 当審の判断
1 被請求人は、本件商標をその指定商品中の「身飾品及びこれに類似する商品」について、本件審判の請求の登録前3年以内に使用している旨主張し、乙第1証ないし乙第3号証を提出しているので、以下検討する。
(1)乙第1号証は、株式会社ソニー・ファミリークラブが1998年11月2日に発行した書籍「The Best Buy Guide」と認められるところ、これには表紙、奥付、目次及び該当頁が添付されており、その112頁の左上にはカラーの商品写真と共に本件商標と社会通念上同一と認め得る商標が表示されているが、その頁に掲載されている商品は、いずれも本件商標の指定商品中の「かばん類、袋物」に含まれる「リュックサック」及び「ショルダーバッグ」と認められるものである。
(2)乙第2号証は、同じく株式会社ソニー・ファミリークラブが2001年2月15日に発行した書籍「Big Time」の表紙、奥付及び該当頁が添付されており、その該当頁の右上にはカラーの商品写真と共に本件商標と社会通念上同一と認め得る商標が表示されているが、そこに掲載されている商品は、本件商標の指定商品中の「かばん類、袋物」に含まれる「ショルダーバッグ」と認められるものである。
(3)乙第3号証は、株式会社ソニー・ファミリークラブが1998年3月2日に発行した書籍「フランス型録」の表紙、奥付、該当頁(写し)と認められるところ、その第32頁から第34頁には、他社のブランド(商標)を付した商品が掲載されていて、本件商標は何ら表示されていない。
また、第39頁及び第46頁の上部には、カラーの商品写真と共に本件商標の使用と認め得る商標が表示されているが、これらの頁に掲載されている商品は、いずれも本件商標の指定商品中の「かばん類、袋物」に含まれる「ショルダーバッグ」又は「リュックサック」と認められるものである。
そしてまた、被請求人は、上記の掲載頁には「身飾品」と類似する商品である「キーリング」に本件商標を使用している旨主張しているが、該「キーリング」(key ring)なる商品は、その掲載頁によって「キーリング付」「キーフック付」又は「キーホルダー付」等と記載されており、その掲載写真又は商品の紹介記事からすると「かばん類、袋物」に含まれる上記「リュックサック」及び「ショルダーバッグ」の専用の附属品と認められるものであり、加えて、「かばん類、袋物」と「身飾品」とは生産部門、原材料及び品質、用途等を異にする非類似の商品と認められるものである。
2 以上のとおり、本件商標は、本件審判請求の登録前3年以内に日本国内において、被請求人(商標権者)により本件審判の請求に係る商品「身飾品及びこれに類似する商品」について使用されていたものとは認められず、かつ、使用をしていないことについて正当な理由があったものとは認められない。
したがって、本件商標は、商標法第50条の規定により、指定商品中「身飾品及びこれに類似する商品」についての登録を取り消すべきものとする。
よって、結論のとおり審決する。
別掲
本件商標



審理終結日 2003-03-14 
結審通知日 2003-03-18 
審決日 2003-03-31 
出願番号 商願昭61-60328 
審決分類 T 1 32・ 1- Z (121)
最終処分 成立  
前審関与審査官 中村 謙三小松 裕 
特許庁審判長 野本 登美男
特許庁審判官 茂木 静代
中嶋 容伸
登録日 1989-09-29 
登録番号 商標登録第2167860号(T2167860) 
商標の称呼 グルーム 
代理人 稲木 次之 
代理人 西出 眞吾 

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