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審決分類 |
審判 査定不服 商64条防護標章 取り消して登録 005 |
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管理番号 | 1075379 |
審判番号 | 審判1999-11428 |
総通号数 | 41 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2003-05-30 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 1999-07-08 |
確定日 | 2003-04-16 |
事件の表示 | 平成9年防護標章登録願第21699号拒絶査定に対する審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の標章は、登録第3244984号の防護標章として登録をすべきものとする。 |
理由 |
第1 本願標章 本願標章は、「クラビット」の片仮名文字を横書きしてなり、第5類「薬剤,歯科用材料,医療用腕環,医療用油紙,衛生マスク,オブラート,ガーゼ,カプセル,眼帯,耳帯,失禁用おしめ,人工受精用精液,生理帯,生理用タンポン,生理用ナプキン,生理用パンティ,脱脂綿,乳児用粉乳,乳糖,はえ取り紙,ばんそうこう,包帯,包帯液,防虫紙,胸当てパッド」を指定商品とし、登録第3244984号商標(以下「原登録商標」という。)に係る防護標章登録出願として、平成9年2月28日に登録出願されたものであるが、指定商品については、同11年3月23日付け手続補正書により「歯科用材料,医療用腕環,失禁用おしめ,人工受精用精液,乳児用粉乳,乳糖,はえ取り紙,防虫紙」と補正され、さらに、当審において同11年9月28日付け手続補正書により「歯科用材料,失禁用おしめ,乳児用粉乳,乳糖」と補正されたものである。 そして、原登録商標は、本願標章と同一の構成よりなり、平成6年1月20日に登録出願、第5類「薬剤,包帯」を指定商品として、同9年1月31日に設定登録されたものである。 第2 原査定の理由 原査定は、「本願標章は、他人がこれを本願指定商品に使用しても、その出所について混同を生ずるおそれがある程度に需要者の間に広く認識されているものとは認められない。したがって、本願標章は、商標法第64条の要件を具備しない。」旨認定して、その出願を拒絶したものである。 第3 当審の判断 1 本願標章と原登録商標との関係について 本願標章と原登録商標とが同一のものであること、同じく本願出願人と原登録商標の商標権者が同一人であることは、出願書類及び商標登録原簿の記載に照らし、これを認めることができる。 2 原登録商標の著名性について (1)請求人の提出した甲各号証を総合すると、以下の事実が認められる。 ア 請求人は、研究開発型の医薬品メーカーとして大正4年に創業し、以来その事業活動により、わが国の大手製薬会社としての地位を築き、今日においては、医薬品をはじめとして、化粧品、香料、食品、食品添加物、飼料、飼料添加物、化学品、農薬、試薬等の薬品類の製造・販売、医療用具の製造・販売、薬物の安全性に関する試験及び研究の受託等などの事業を行い、その事業活動の拠点も、国内のみならず海外の主要都市に拡大していることが認められる。 また、請求人の取扱いに係る医療用医薬品は、化学療法剤、循環器系薬剤、消化器系薬剤、呼吸器系薬剤、ビタミン剤、診断用薬剤、ワクチンなど多岐にわたる商品を製造、販売しており、これらに使用される商標も多種にわたる。 イ 原登録商標「クラビット」は、請求人の業務に係る商品「広範囲経口抗菌製剤」について平成5年12月に使用を開始し、その正味売上高は、平成5年度は約91億6千万円、平成6年度には約375億9千万円、平成7年度には約416億5千万円、平成8年度には約465億円、平成9年度には約435億4千万円に達し(甲第11号証)、98年版「医薬企業の実態と中期展望」(国際商業出版株式会社発行)によると、「合成抗菌剤」においては請求人の「クラビット」(93年12月発売)は、市場占有率39.4%を占め、「国際医薬情報」(1998年4月13日号、甲第13号証の1)によると、’96年の市場占有率は46.9%に達し、「クラビット」に係る商品は圧倒的に市場を占有していることが認められる。 ウ 請求人の取扱いに係る「広範囲経口抗菌製剤」は、一般の需要者を対象とするものではなく、専ら医師を対象とする商品であり、また、「医師若しくは歯科医師が自ら使用し、又はこれらの者の処方せん若しくは指示によって使用することを目的として供給される医療用(医家向)医薬品」であり、このような医薬品は、医薬品等適正広告基準により、医薬関係者以外の一般人を対象とする広告は行うことができない商品とされ、規制されていることが認められる。 エ 原登録商標「クラビット」は、「呼吸器感染症、尿路・性器感染症、婦人科領域感染症、皮膚科領域感染症、外科領域感染症、胆道感染症、耳鼻咽喉科領域感染症、眼科領域感染症、腸管領域感染症、歯科・口腔外科領域感染症」に対して幅広い効能・効果を有し、臨床効果を示している。 (2)「クラビット」商標は、一般人を対象とする広告は行うことができない商品であり、一般の消費者が最終消費者ではないことから、一般消費者間において広く知られていたものとはいい難いが、請求人の取扱いに係る医療用医薬品中の一つである「広範囲経口抗菌製剤」を表示するものとして、平成5年より使用されている商標であり、該商品は、発売当初から売り上げを伸ばし、「合成抗菌剤」を取り扱う分野における需要者間には、広く認識されているものと認め得るところである。 3 出所の混同のおそれについて 他人が原登録商標を本願標章に係る指定商品について使用した場合、需要者が、その商品と原登録商標の商標権者の取扱いに係る指定商品と混同を生ずるおそれがあるか否かについて判断するに、商標法第64条第1項においていう「混同のおそれ」を判断するに当たっては、原登録商標自体とその商標の著名の程度、防護標章登録出願に係る指定商品の属する分野における需要者層、当該商品の取引の実情等に照らし、出所の混同のおそれの有無を総合的に判断すべきものと解される。 これを本願についてみるに、原登録商標は、いわゆるペットマークといわれる商標であり、請求人の取扱いに係る業務全般を表象する標章ではなく、また、原登録商標を使用している商品は、一般の需要者を対象とした商品ではないから、その著名性は、一定の限界があるといわなければならないが、前記のとおり、請求人の取扱いに係る医療用医薬品中の一つである「広範囲経口抗菌製剤」を表示するものとして、「合成抗菌剤」を取り扱う分野における需要者(医師、歯科医師及びその他の医療関係者)においては、広く認識されていたものと認め得るところである。 また、本願標章の指定商品は、「歯科用材料,失禁用おしめ,乳児用粉乳,乳糖」であり、請求人の取り扱いに係る「広範囲経口抗菌製剤」は、各種領域感染症のうち、例えば「歯周組織炎、歯冠周囲炎、顎炎」「膀胱炎、前立腺炎」「乳腺炎、肛門周囲膿傷」等の感染症に対して効能、効果があることからすれば、これらの病気を治療する歯科、泌尿器科、産婦人科等の病院(医院)等においては、その用途、取引系統、販売場所、需要者層等を同じくするものと認め得るところである。 してみれば、本願標章を他人がその指定商品について使用した場合には、これに接する取引者、需要者をして、その商品が請求人しくは請求人と何らかの関係を有する者の取り扱いに係る商品であるかのように、その出所について混同を生じさせるおそれがあるとみるのが相当である。 したがって、本願標章を商標法第64条に規定する要件を具備しないものとして、その出願を拒絶した原査定は妥当ではなく、取り消しを免れない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審決日 | 2003-03-26 |
出願番号 | 商願平9-21699 |
審決分類 |
T
1
8・
8-
WY
(005)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 鈴木 幸一 |
特許庁審判長 |
宮下 正之 |
特許庁審判官 |
平山 啓子 小林 和男 |
商標の称呼 | クラビット |
代理人 | 白濱 國雄 |
代理人 | 大房 孝次 |