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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 Z20
審判 全部申立て  登録を維持 Z20
管理番号 1069487 
異議申立番号 異議2002-90298 
総通号数 37 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2003-01-31 
種別 異議の決定 
異議申立日 2002-05-10 
確定日 2002-11-25 
異議申立件数
事件の表示 登録第4542809号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第4542809号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件登録第4542809号商標(以下、「本件商標」という。)は、平成13年1月12日に登録出願され、「まいしんぐ」の平仮名文字を標準文字で横書きしてなり、第20類「クッション、座布団、まくら、マットレス」を指定商品として、同14年2月8日に設定登録されたものである。

2 登録異議の申立ての理由(要約)
(1)引用商標
本件商標は 昭和59年9月10日に登録出願され、「MUNSING」の欧文字を横書きしてなり、第17類「被服、布製身回品、寝具類」を指定商品として、平成元年10月31日に設定登録され、その後、同11年10月12日に商標権存続期間の更新登録がなされた登録第2184524号商標(以下、「引用商標A」という。)、同じく、平成11年9月10日に登録出願され、「MUNSING」の欧文字と「マンシング」の片仮名文字とを二段に横書きしてなり、第24類「織物、メリヤス生地、フェルト及び不織布、オイルクロス、ゴム引防水布、ビニルクロス、ラバークロス、レザークロス、ろ過布、布製身の回り品、織物製テーブルナプキン、ふきん、かや、敷布、布団、布団カバー、布団側、まくらカバー、毛布、織物製いすカバー、織物製壁掛け、織物製ブラインド、カーテン、テーブル掛け、どん帳、シャワーカーテン、織物製トイレットシートカバー、布製ラベル、ビリヤードクロス、のぼり及び旗(紙製のものを除く。)」及び第25類「被服、ガーター、靴下止め、ズボンつり、バンド、ベルト、履物、仮装用衣服、運動用特殊衣服、運動用特殊靴」を指定商品として、同12年8月4日に設定登録された登録第4405159号商標(以下、「引用商標B」という。)と類似しその指定商品も同一または類似のものである。
(2)具体的理由
本件商標「まいしんぐ」は平仮名文字を一連に横書きにしてなることから、「マイシング」との称呼が生ずるものである。
一方、引用商標Aは、ローマ字大文字でゴシック体の如きロゴを用い「MUNSING」と書してなり、「マンシング」との称呼が生じ、引用商標Bは、一般的な書体で「MUNSING」とのローマ文字と「マンシング」との片仮名文字を二段書きに構成され、同様に「マンシング」の称呼が生ずるものである。
そこで、本件商標の称呼「マイシング」と2件の引用商標の称呼「マンシング」とを比較するに、両者はともに同数の5音により構成され、第2音以外の「マ・シ・ン・グ」の4音を共通にするものである。両者が異なるところは、第2音において「イ」と「ン」の音の差異を有するところのみであり、ここで「イ」の音は、長音のように捉えられ聴取される弱音であり、「ン」の音は、鼻音の極めて弱い音であって、共に明瞭に聴取し難い音である。
よって、両商標を一気に称呼した場合に、中間音である「イ」と「ン」との差異は、微差に過ぎず、両商標全体の印象に強い影響を与えないものである。また、本件商標および引用商標はともに特定の観念を生じさせない造語商標であることから、特定の位置で-呼吸おいて称呼されたり、特定の観念を意識して特殊なイントネーションで発音される蓋然性は極めて低い。
このように、両商標から生ずる称呼は、互いにその語調、語感が極めて近似したものであり、互いに相紛れるおそれが高いと考えられる。
なお、特許庁における過去の審決においても、上記の考え方が踏襲されている、つまり「イ」と「ン」の音の差異しか有さない商標同士が、互いに彼此混同を生じさせやすい類似の商標であると判断された例を甲第4号証乃至甲第7号証として提出する。
加えて、引用商標Aの指定商品である「寝具類」と本件商標の指定商品「クッション、座布団、まくら、マットレス」とは互いに類似する商品である(甲第8号証)。また、引用商標Bの指定商品の一部「かや、敷布、布団、布団カバー、布団側、まくらカバー、毛布」と本件商標の指定商品とは、互いに類似する関係にある。
したがって、本件商標は引用商標に対し、商標法第4条第1項第11号の規定に該当する。
(3)商標法第4条第1項第15号について
申立人は、自己の業務に係る商品である「被服、スポーツ用品等」に引用商標を使用しており、当該引用商標は全国的に著名になっている。
本件商標に係る商標権者(被申立人)が、自己の業務に係る商品(申立人の業務に係る商品とは非類似)に本件商標を使用した場合、その商品に接する需要者が、その商品が申立人の商品、兼業に係る商品または子会社等の関連商品であると誤認し、商品の出所について混同を生ずる。
引用商標は、マンシングウェア(MUNSING WEAR)ブランドの略称として、またマンシングウェアブランド商品の胸にデザインされるワンポイントのペンギンマーク「マンシングペンギン」として世界的に著名な商標である。このことは、インターネットサーチエンジンで「マンシング」を検索すれば、428件がヒットし、最初の40件中33件は申立て人のマンシングウェア関連、もしくは申立人のーである株式会社デサントが主催するゴルフのマンシングカップ関連ページであり、引用商標が、いろいろなホームページで紹介されていることから申立人にかかる商品等の略称として十分に認知度を獲得していることが証明できる(甲第9号証)。
さらに、引用商標を示すマンシングペンギンが登録683994号防護標章として登録されていること(甲第10号証)、引用商標を示す「MUNSINGWEAR」が日本有名商標集に掲載されていること(甲第11号証)からも引用商標が著名であることが客観的な事実となる。
引用商標の使用は、元来、米国ミネソタ州の衣料品メーカーであったマンシングウェア社がペンギンマークのゴルフウェアを1955年(昭和30年)から本国で市場化したことに始まる(甲第12号証)。日本での輸入販売は、36年も以前に遡る1966年(昭和39年)より開始され、その2年後の1969年、申立人のーである東洋紡績株式会社がマンシングウェア社より日本国内における独占的な使用許諾を受け、国産品マンシングウェアの販売をスタートさせた(甲第13号証乃至同第14号証)。その頃、昭和40年代は、日本においてゴルフブームに火がついた時代であり、ゴルフウェアとして引用商標は爆発的な人気を呼び、たちまち日本全国において著名商標としての地位を確立した。その後現在に至るまで、引用商標を付したマンシングウェアに対する人気は下落することなく、世界的には50年の、日本においては35年もの長きに亘りゴルフウェア、ポロシャツ等に継続的に大々的に使用され、多くの需要者に愛用されている。
また、引用商標を付した商品アイテムは、ゴルフウェアを主軸とし、ゴルフ関連商品から一般的カジュアルウェア、キーホルダー・ポーチその他袋物等の雑貨類にまで及び非常に広範である(甲第15号証乃至同第17号証)。その需要者層も成人男性に限られず、2000年からは女性向け商品も強化されており(甲第18号証乃至同第20号証)、更に子供服にもその対象が及んでいる(甲第21号証)。また、1998年(平成10年)には、従来商品に加えて「サマーコットンα」「チタンサーモ」といったヒット商品が生まれ(甲第22号証乃至同第23号証)、繊維低迷中の現在においてでさえ、商品アイテム数は年々増加の傾向にある。これらの商品中、繊維関連商品については、申立人の-である東洋紡績株式会社が独占的に製造し、同申立人のーである伊藤忠商事株式会社へ販売委託され、同申立人の-人である株式会社デサントが一括して広告・販売を行うといった3社提携構造をとっている(甲第24号証)。繊維関連以外の商品については、株式会社デサントから引用商標の使用許諾をうけた各メーカーに製造を委託し、株式会社デサントの名のもとで繊維製品とあわせて販売を行っている。このように確立されたシステムのもとで、引用商標は申立人の-である株式会社デサントの重点有力ブランドとしての名声を築いており、需要者からも十分に信頼を獲得してきた商標であるといえる。
また、引用商標を付したマンシング関連商品の売上高および広告宣伝料は、これに類する他社のブランドと比較して突出したものである(甲第25号証乃至同第26号証)。2000年においては、全社スポーツウェア売上高の485億円に対し、マンシングウェア売上高が180億円と37%という非常に高いシェアを誇っている(甲第27号証)。ここ数年の、販売金額(小売上代ベース)および売上額は1998年4月〜2001年3月までは年間約177億円である。この数字に表されるように、常に安定した売上を維持し、多くの需要者に愛されつづけていることが明らかである。
また、引用商標を付したマンシング関連商品の広告活動は、全国的に展開されており、百貨店、量販店等に配布される商品パンフレット等の印刷物はもとより、新聞、テレビ、雑誌等といったメディア媒体における広告宣伝活動も広範に行っている(甲第28号証乃至同第44号証)。その広告宣伝費用は、1998年4月〜1999年3月〜2000年4月〜2001年3月まで年間約7億円である。このように、常に売上額に対して35%以上の広告宣伝費用を投下することで、需要者の購買力を惹起し、かつ同時に引用商標を使用することで著名性を維持し続けているのである。
一方、海外においても当該引用商標は、依然として米国マンシングウェア社のハウスマーク商標として、継続的に使用され、我が国同様その著名性を確立している(甲第45号証)。
以上、詳述したとおり、引用商標は全国的な著名性を有するに至っていることは明らかである。

3 当審の判断
(1)商標法第4条第1項第11号について
本件商標は、「まいしんぐ」の平仮名文字を書してなるものであるところ、「マイシング」の称呼を生ずる造語であると認められる。
他方、引用商標Aは「MUNSING」の欧文字を、また、引用商標Bは「MUNSING」の欧文字及び「マンシング」の片仮名文字を二段に書してなるものであるところ、これらはいずれも「マンシング」の.称呼を生ずる造語と認められる。
そこで、本件商標より生ずる「マイシング」の称呼と引用各商標より生ずる「マンシング」の称呼とを比較するに、両称呼は、共に5音よりなるものであるが、聴者の最も印象に残りやすい語頭部が「マイ」と「マン」と相違し、ともにその部分が強く発音され、かつ、本件商標が、指定商品との関係において「私の寝具」の如き語を意味合いを暗示させることも相まって、これらを一連に称呼した場合にも、全体の語調語感が相違し、称呼上十分聴別し得るものである。
また、本件商標と引用各商標とは、その外観及び観念において類似すべき点は見当たらない。
したがって、本件商標と引用各商標とは、その外観、称呼及び観念のいずれからみても非類似の商標であるといわざるを得ない。
(2)商標法第4条第1項第15号について
本件商標と引用各商標とが商標において類似するものでないこと上記(1)認定のとおりである。
してみれば、申立人が提出した証拠によって、申立人の引用各商標が「ゴルフウエア、ポロシャツ」等に使用するものとして、需要者間に広く知られていることが認められたとしても、本件商標と引用各商標とは商標が相違するものであるから、本件商標をその指定商品に使用したとしても、申立人及び申立人と何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかの如く、その商品の出所について混同を生ずるおそれはないものといわなければならない。
(3)結び
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号及び同第15号に違反して登録されたものではないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、その登録を維持すべきである。
よって、結論のとおり決定する。
異議決定日 2002-11-07 
出願番号 商願2001-1539(T2001-1539) 
審決分類 T 1 651・ 262- Y (Z20)
T 1 651・ 271- Y (Z20)
最終処分 維持  
前審関与審査官 蛭川 一治 
特許庁審判長 三浦 芳夫
特許庁審判官 井岡 賢一
柳原 雪身
登録日 2002-02-08 
登録番号 商標登録第4542809号(T4542809) 
権利者 マルヨシ株式会社
商標の称呼 マイシング、マイ 
代理人 中川 博司 
代理人 中川 博司 
代理人 吉田 吏規夫 
代理人 中川 博司 
代理人 掛樋 悠路 
代理人 三枝 英二 
代理人 三枝 英二 
代理人 掛樋 悠路 
代理人 後藤 憲秋 
代理人 掛樋 悠路 
代理人 三枝 英二 

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