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審決分類 審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 登録しない Z30
管理番号 1021394 
審判番号 審判1999-19532 
総通号数 14 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2001-02-23 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 1999-12-03 
確定日 2000-07-26 
事件の表示 平成10年商標登録願第 23343号拒絶査定に対する審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は、「しろめまい」と「白目米」の文字を二段併記してなり、第30類「コーヒー及びココア,コーヒー豆,茶,調味料,香辛料,食品香料(精油のものを除く。),米,脱穀済みのえん麦,脱穀済みの大麦,食用粉類,食用グルテン,穀物の加工品,ぎょうざ,サンドイッチ,しゅうまい,すし,たこ焼き,肉まんじゅう,ハンバーガー,ピザ,べんとう,ホットドッグ,ミートパイ,ラビオリ,菓子及びパン,即席菓子のもと,アイスクリームのもと,シャーベットのもと,アーモンドペースト,イーストパウダー,こうじ,酵母,ベーキングパウダー,氷,アイスクリーム用凝固剤,家庭用食肉軟化剤,酒かす,ホイップクリーム用安定剤」を指定商品として、平成10年3月20日に登録出願されたものである。その後、指定商品については、平成11年6月29日付け手続補正書をもって「米,米粉,強化米」と補正されたものである。

2 原査定の理由
原査定は、『本願商標は、米の一銘柄である「白日米」の文字とその上部に「しろめまい」の文字を小さく書してなるところ、これを本願指定商品中「米、食用粉類、穀物の加工品」等に使用しても、単に商品の原材料、品質を表示するにすぎないものと認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1号第3項に該当し、前記商品以外の商品に使用するときは商品の品質の誤認を生じさせるおそれがあるから、商標法第4条第1号第16項に該当する。』旨認定、判断して、本願を拒絶したものである。

3 請求人の主張
1.本願商標を構成する「しろめまい/白目米」の文字は、本願拒絶査定が説示した平成11年2月4日付日本経済新聞「朝刊」(甲第1号証)の「白目米」に関する記述に徴すれば、江戸時代に現在の埼玉県幸手市で栽培されていたコメの中に、「白目米」と指称されていたコメが存在していたことは、あえて否定するものではない。
2.しかしながら、本願拒絶査定が、その査定時において、本願商標は商品の品質・原材料を表示するものとして、現実に使用されているか否かということを識別力有無についての判断の基準にしなければならないところ、この点が全く無視された認定であり、到底承服することができないものである。
3.そこで、「白目米」なる語のルーツを、前記日本経済新聞(甲第1号証)から推測すると「白目米」と称する「米」は、概ね1700年(元禄13年)以降に武州幸手地方で始めて栽培され、武州幸手産の「白目米」として幕府に上納されていたものと考えられる。そして、「白目米」の栽培規模は、関東周辺のごとく大規模といえるものではなく、武州幸手地方のごく少数の農家に限られ、その生産高においても極めて少量であったものと思われる。
また、前記新聞記事は、「白目米は、反当たりの収穫量が通常の半分と割高なことから、昭和初期には生産高が激減。その後当社の創業者(相馬愛蔵)が、インドカリー用に栽培を始め生産量が一時回復したが、戦時中の米穀統制などで再び姿を消していた。」とある。
このように「白目米」は、半世紀以上に亘り、生産者(栽培農家)及び取引者・需要者の記憶の中から完全に喪失された。そして、絶滅の危機にあった「白目米」を当社は「カリー誕生70周年」を機に、辛抱強く探し続け、ようやく1995年茨城県つくば市の農業生物資源研究所に、「白目米」と品種の極似する「白芽米」という名で、冷凍保存されていた種もみを譲り受け、福島県内の契約農家で栽培を始め、収穫した米に「白目米」の標章を採択し、使用するに至ったものである(甲第2号証)。
そして、現時点においては、埼玉県幸手市及び日本全国の米の生産者(栽培農家)・取引者(農協)・販売店等において、商品「米」等に「しろめまい」「白目米」の文字を使用している者は、出願人を除き存在しないし、「白目米」のルーツを知る人は皆無となっているのが実情である。
4.かかる事情よりして、「しろめまい/白目米」の文字が、商品(米)の品質(種)を表示する標章として、商品(米)を取扱う業界において、それが特定の商品(米)の品質を表示するものとして、普通に使用されているものといえないばかりでなく、該文字に接する取引者・需要者が直にそれが特定の商品(米)の品質・原材料を表示した文字であるとは到底認識することができないものといわなければならない。
5.してみれば、現時点において本願商標をその補正後の指定商品に使用しても、取引者・需要者は商品の品質・原材料を表示するための文字とは理解せず、むしろ、全体として特定の観念を想起し得ない造語の一種と認識し、自他商品識別機能を果し得るものであり、かつ、本願指定商品を減縮補正した結果、商品の品質の誤認を生じさせるおそれはなくなったもの解する。
6.因に、平成2年6月30日社団法人全国農業改良普及協会発行の「農業技術ハンドブック」(甲第3号証)に徴しても、「白目」又は「白目米」に関する記述は見当らず、その他、出願人が調査した「米」又は「稲」に関する書籍等に徴しても、「白目」又は「白目米」の記述を発見することができなかった。

4.当審の判断
本願商標は、「しろめまい」と「白目米」の文字を二段併記してなるところ、請求人は、現時点においては、「白目米」の文字を使用している者は、請求人を除き存在しないから、特定の商品の品質、原材料を表示したとは理解されず、全体として特定の観念を想起し得ない造語の一種と認識され、自他商品識別機能を果たし得る旨述べているが、「白目米」に関する新聞記事に、
1999年2月23日発行の読売新聞の32頁(埼玉南版)に「江戸時代の”日本一ブランド”幻の「白目米」市販へ 地元幸手の農家=埼玉」の見出しで「来年度から本格栽培」の欄に「江戸時代に「武州幸手」(現、幸手市)で栽培され日本一うまい米とうたわれた「白目(しろめ)米」が、地元でよみがえることになった。・・・・・来年度から市内の農家四軒に協力を依頼し、計約四十アール、およそ十六キロの「白目米」の栽培に乗り出し、刈り取り後は、農協などを通して販売していく予定だという。・・・・・」の掲載が、
1999年5月8日発行の読売新聞の29頁(埼玉2県版)に「街ふれあい」の欄に「白目米復活へ田植え/幸手」の見出しで、「江戸時代に市内で栽培され美味で知られた「白目米」を復活させようと、市が依頼した協力農家で田植えが行われた。・・・・・市農政課は「ブランド米として育てたい」としている。」の掲載が、
また、1999年9月19日発行の毎日新聞の24頁(地方版)に、「幻の米「白目米」の刈り入れ--幸手/埼玉」の見出しで、「かつて幸手市周辺で栽培され、日本一おいしいと言われた「白目米(しろめまい)」の刈り入れが18日、・・・行われた。・・・・・農業改良普及センターは「栽培法や価格設定など課題もあるが、技術の確かな大規模農家の協力で品種改良に努めたい」と話す。市は11月13,14日に開かれる市民祭りで新米を振る舞う予定だ。」の掲載が、
さらに、1999年10月6日発行の朝日新聞の朝刊(埼玉版)に、「江戸の味を試食「おいしい」と笑み幸手白目米復活へ/埼玉」の見出しで、「江戸時代に武州米の代表とされた「白目米」を復活しようと、幸手市の農家が栽培に挑み、今秋、約千八百キロの収穫を得た。・・・・・農業の振興と特産物づくりのため市が奨励し、今年初めて五軒の農家が残っていた種もみで栽培に挑んだ。四日に開かれた試食会には、生産者のほか、県農業試験場や農業改良普及センター、農協の関係者も出席し、「おいしい」「復活させたい」などの声が相次いだ。一方、背が高く倒れやすい栽培の難しさや、収量が少なく米過剰の中で生き残れるか、など課題も指摘された。」の掲載が各々認められる。
しかして、上記の新聞記事によれば、江戸時代に栽培された「白目米」を埼玉県幸手市の農家やその関係者が復活させようと栽培を始め、将来ブランド米として販売していく予定であることが認められる。
そうとすると、「しろめまい」と「白目米」の文字を二段併記してしてなる本願商標は、これに接する取引者、需要者をして、江戸時代に現在の埼玉県幸手市で栽培され、徳川家などが好んで食したといわれている、「米」を容易に理解、認識させるものであるから、これをその指定商品に使用するときは、商品の品質を表示するに止まり、商品の自他識別の標識としての機能を果たし得ないものと認められる。また、現に農家等によって「白目米」を復活させようとしているものであるから、これを登録して一の者に独占させることは妥当でないというべきである。
したがって、本願商標は、全体として商品の品質を普通に用いられる方法により表示した標章のみからなるものといわなければならないから、本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当し、登録することができない。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2000-05-15 
結審通知日 2000-05-26 
審決日 2000-06-06 
出願番号 商願平10-23343 
審決分類 T 1 8・ 13- Z (Z30)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 高山 勝治佐藤 松江 
特許庁審判長 工藤 莞司
特許庁審判官 大島 護
江崎 静雄
商標の称呼 シロメマイ、シロメ、ハクモクマイ、ハクモク 
代理人 白濱 國雄 
代理人 大房 孝次 

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