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審決分類 |
審判 全部無効 商4条1項16号品質の誤認 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) 005 審判 全部無効 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) 005 |
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管理番号 | 1021074 |
審判番号 | 審判1998-35552 |
総通号数 | 14 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2001-02-23 |
種別 | 無効の審決 |
審判請求日 | 1998-11-12 |
確定日 | 2000-06-28 |
事件の表示 | 上記当事者間の登録第4140257号商標の商標登録無効審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 登録第4140257号の登録を無効とする。 審判費用は被請求人の負担とする。 |
理由 |
1 本件商標 本件登録第4140257号商標(以下、「本件商標」という。)は、「D2シンチ」」の文字を横書きしてなり、第5類「薬剤」を指定商品として平成8年9月26日に登録出願され、同10年4月24日に設定の登録がなされたものである。 2 請求人の主張 (1) 請求人は、結論同旨の審決を求め、要旨次のとおり主張し、証拠方法として、甲第1号証から甲第16号証を提出した。 (2) 請求人は、放射性医薬品の製造・販売を業とし、本願商標の権利者と同業者関係にある。そして、本件商標「D2シンチ」が放射性医薬品の品質・用途等を表す文字にすぎないために、請求人が本件商標に係る標章を放射性医薬品に使用した場合、この行為につき被請求人から本商標権の侵害に当たるとして、差止請求を受ける等のおそれがある。 (3) 本件商標の「D2」の文字部分は、商品の品種・形式などを表示する記号・符号として、取引上種々の商品分野において、普通に使用されているところである。 (5) 本件商標の「シンチ」の文字部分は、「“コンサイス外来語辞典”株式会社三省堂 1990年1月10日発行(甲第9号証)」によれば、「放射性アイソトープを患者に投与し、放射能の分布状態を測定して作った画像」を指称する「シンチグラム」の略語であると記載されている。 (6) 「“核医学”第33巻7号 日本核医学会 平成8年7月20日発行(甲第10号証)」、「“核医学”第33巻8号 日本核医学会 平成8年8月20日発行(甲第11号証)」、「“核医学”第34巻3号 日本核医学会 平成9年3月20日発行(甲第12号証)」、「“核医学”第34巻8号 日本核医学会 平成9年8月20日発行(甲第13号証)」、「“核医学”第34巻11号 日本核医学会 平成9年11月20日発行(甲第14号証)」において「シンチ」が「シンチグラフィ」の略語として使用されている。また、「“JIS工業用語大辞典”財団法人日本規格協会 1995年11月20日発行(甲第15号証)」においては、「体内に存在する放射性物質の分布状態を体外から検出し、描画する方法」を「シンチグラフィ」と、「シンチカメラなどを用いて、写真フィルムなどに記録された生体又は臓器内の放射性の分布図」を「シンチグラム」と説明されている。 (7) 「“臨床検査医学事典”株式会社朝倉書店 1982年10月20日発行(甲第16号証)」において、「シンチグラフィ」は、「疾病の診断や病態生理の把握を目的として放射性同位元素及びその標識化合物を直接人に投与して、その体内動態又は分布状態の記録をシンチスキャナやシンチカメラ又はガンマカメラを用い体外計測により描出記録すること」と説明され、「シンチグラフィにより得られる記録」を「シンチグラム」と称しており、放射性医薬品業界にあって「シンチ」は、「シンチグラム」、「シンチグラフィ」等の略語として普通・一般的に用いられている語である。 (8) 前述のとおり、「D2」及び「シンチ」の文字は、いずれも本件商標の登録査定日である平成10年4月24日以前から自他商品識別標識としての機能を果たし得ないものであり、また、両語が結合されたことにより、全体として新たに自他商品識別機能を具備するに至ったものと解すべき事由もない。 (9) そうとすると、本件商標をその指定商品中、「ドーパミンレセプターの一つのサブタイプであるD2の体外計測するための放射性医薬品」について使用しても、当該商品の品質・用途等を普通に用いられる方法で表示するにすぎないものであり、かつ、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができないものである。 (10)したがって、本件商標は、商標法第3条第1項第3号及び第6号に該当し、前記商品以外の医薬品に使用するときは、商品の品質に誤認を生じさせるおそれがあるから、商標法第4条第1項第16号に該当する。 3 被請求人の答弁 被請求人は、何ら答弁するところがない。 4 当審の判断 よって、判断するに、本件商標の「D2シンチ」の文字を普通に用いられる方法で横書きしてなるところ、「D2」の文字は、請求人提出に係る甲第5号証及び同第7号証によれば、「D2」は「精神分裂病治療薬を用いた臨床的な実験の結果、抗精神病作用を阻害するドパーミンレセプターの一つのサブタイプ」と認められるものであり、商品の品質等を表す語と認められる。また、甲第9号証によれば、「シンチグラム[scintigram]放射性アイソトープを患者に投与し、放射能の分布状態を測定して作った画像、腫瘍(しゅよう)や炎症などの診断に用いる。邦略してシンチ〈現〉」の記載があり、「シンチグラム」を「シンチ」と略して表されることが認められる。 そうとすれば、「D2」の文字が放射性医薬品業界において、商品の品質等を表す語として認識され、使用されていること、また、放射性医薬品業界おいて「シンチ」は、「シンチグラム」の略語として一般的に用いられている語であることからして、「D2シンチ」の文字は、本件商標の登録査定時には、「ドーパミンレセプターの一つのサブタイプであるD2の体外計測するための放射性医薬品」の品質を表すものとして認識されていたものと判断するのが相当である。被請求人は、この点にも何ら答弁するところがない。 してみれば、本件商標は、「D2シンチ」の文字を普通に用いられる方法で書してなるところ、指定商品との関係では、「ドーパミンレセプターの一つのサブタイプであるD2の体外計測するための放射性医薬品」の意味合いを認識させるものであるから、これをその指定商品について使用しても、単に商品の品質、用途を表示するにすぎないものと認める。 したがって、本件商標登録は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に違反してなされたものであるから、同法第46条の規定により、その登録を無効とすべきものとする。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2000-04-06 |
結審通知日 | 2000-04-21 |
審決日 | 2000-05-09 |
出願番号 | 商願平8-108494 |
審決分類 |
T
1
11・
13-
Z
(005)
T 1 11・ 272- Z (005) |
最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 馬場 秀敏 |
特許庁審判長 |
工藤 莞司 |
特許庁審判官 |
大島 護 江崎 静雄 |
登録日 | 1998-04-24 |
登録番号 | 商標登録第4140257号(T4140257) |
商標の称呼 | デイツーシンチ、デイニシンチ、シンチ |
代理人 | 白濱 國雄 |
代理人 | 大房 孝次 |