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審決分類 |
審判 一部申立て 登録を維持 W1227 |
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管理番号 | 1421604 |
総通号数 | 40 |
発行国 | JP |
公報種別 | 商標決定公報 |
発行日 | 2025-04-25 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2024-07-05 |
確定日 | 2025-03-03 |
異議申立件数 | 1 |
事件の表示 | 商標登録第6798869号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 商標登録第6798869号商標の商標登録を維持する。 |
理由 |
1 本件商標 本件登録第6798869号商標(以下「本件商標」という。)は、「DMINI」の欧文字を標準文字で表してなり、令和5年10月10日に登録出願、第12類「自動車並びにその部品及び附属品,二輪自動車・自転車並びにそれらの部品及び附属品,陸上の乗物用の動力機械(その部品を除く。),船舶並びにその部品及び附属品(エアクッション艇を除く。),航空機並びにその部品及び附属品,動力伝導装置,緩衝器,ばね,ハイブリッド電気自動車並びにその部品及び付属品,電気自動車並びにその部品及び付属品,自動運転車」及び第27類「自動車用カーペット,自動車用フロアマット」を指定商品として、同6年3月15日に登録査定、同年4月24日に設定登録されたものである。 2 登録異議申立人が引用する商標 登録異議申立人(以下「申立人」という。)が引用する商標は、次の(1)及び(2)とおりであり、いずれの商標権も現に有効に存続しているものである。 以下、これらをまとめて「引用商標」という。 (1)登録第5558201号商標(以下「引用商標1」という。)は、「MINI」の欧文字を書してなり、平成22年1月28日に登録出願、第12類「自動車並びにその部品及び附属品」を指定商品として、同25年2月15日に設定登録されたものである。 (2)国際登録第1238653号商標(以下「引用商標2」という。)は、「MINI」の欧文字を書してなり、2015年(平成27年)年11月18日に国際商標登録出願(事後指定)、第12類「Automobiles, and their parts.」を指定商品として、平成28年12月9日に設定登録されたものである。 3 登録異議の申立ての理由 申立人は、本件商標は、その指定商品中、第12類「自動車並びにその部品及び附属品,ハイブリッド電気自動車並びにその部品及び付属品,電気自動車並びにその部品及び付属品,自動運転車」及び第27類「全指定商品」(以下、これらをまとめて「申立てに係る商品」という。)について、商標法第4条第1項第11号、同項第15号及び同項第7号に違反して登録されたものであるから、その登録は同法第43条の2第1号により取り消されるべきであるとして、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証から甲第38号証(枝番号を含む。)を提出した。 (1)「MINI」の欧文字からなる商標(以下「「MINI」商標」という。)の周知・著名性 引用商標を含む「MINI」商標は、申立人であるバイエリシェ・モトーレンウエルケ・アクチェンゲゼルシヤフト(以下「BMW社」という。)が製造・販売する自動車の主力車種の一つについて使用されているものであり、長年に渡り世界的に使用されてきた結果、自他商品識別力を有するのみならず、周知・著名性を獲得するに到っている。 ア 申立人が実際に使用している商標及び商品 申立人のウェブサイトのスクリーンショット(甲4)、商品カタログ(甲5)及び申立人の製造・販売に係る自動車の正規ディーラーの店舗外観を示したウェブサイトのスクリーンショット(甲6)から明らかなとおり、申立人は「MINI」商標(書体は引用商標に係る書体に限らない。)を、商品に直接付して使用しているほか、ウェブサイト、カタログ、ディーラー店舗等において、「自動車」について使用している。 申立人は「MINI」商標を自動車の車種名として使用しており、申立人が提供する「MINI」という車種(「MINI」ブランド)の自動車には、更に種々のモデルが存在している(甲7等)。 なお、申立人は、翼の図形と「MINI」の文字を結合した構成の商標も使用しているが(甲4の2等)、これとは別に、引用商標を始め「MINI」の文字のみからなる商標も随所に使用しており、「MINI」商標は単独で、識別標識として機能している。 イ 使用開始時期・使用期間 「MINI」商標は、1959年にBMC(ブリティッシュ・モーター・カンパニー)が製造・販売を開始した自動車について使用が開始され、その後複数の自動車メーカーを経て、現在は申立人が製造・販売する「自動車」について使用されている(甲7〜甲13)。 「MINI」商標が使用される自動車については、その歴史が多数の雑誌、書籍、ウェブサイト等で紹介されている(甲12、甲13等)。 日本には、1960年に日英自動車を通じて「MINI」ブランドの自動車第一号が輸入され(甲14)、以降、日英自動車やキャピタル企業等がディーラーとなり商品を輸入・販売する一方、並行輸入も行われていた(甲9、甲14、甲15等)。 1973年にオースチン・セブン/モーリス・ミニ・マイナー時代から続いていた日本への正式輸入が一時中断したが、カナダ仕様やヨーロッパ仕様の「MINI1000」などが並行輸入され、1981年には正式輸入が再開、1984年、MINI誕生25周年を記念して限定販売された「MINI25」が、我が国にも120台正式に輸入された(甲9)。 1985年、日本における「MINI」ブランド自動車の輸入ディーラーが日英自動車からオースチン・ローバー・ジャパン(現ローバージャパン)に移り、我が国におけるこれ以降のMINI人気に拍車をかけた(甲9)。 そして、2002年、申立人であるBMW社製の「MINI」が日本で正式発売され、現在に到っている(甲7、甲13等)。 以上から、申立人自身による「MINI」商標の使用期間だけでも既に20年を経過しているが、2024年にはMINI誕生65周年を記念するイベントが開催される(甲12)等、「MINI」商標は60年以上に渡り使用されてきた商標として一般に広く認識されている。 ウ 使用地域 申立人は「MINI」商標を世界的に使用し、日本においても全国で使用している。屋外デジタル看板やインターネットでのコマーシャル、全国ネット放送におけるテレビコマーシャル等で広く広告宣伝を行っているほか、正規ディーラーも全国に分布し、商品販売を行っている(甲16)。 エ 当該商品の譲渡数量 BMW社による「MINI」ブランド自動車の製造・販売以前のいわゆる「クラシックMINI」や「ローバーMINI」と呼ばれるタイプの「MINI」ブランド自動車の世界累計生産台数は538万7862台であった(甲10、甲12)。 また、BMW社による「MINI」ブランド自動車の世界累計販売台数は2021年に510万台以上に達している(甲17)。 日本自動車輸入組合がまとめた統計情報によれば、「MINI」商標を使用した自動車の日本における新車販売台数は、2023年が17,796台、2022年が19,207台、2021年が18,208台、2020年が20,195台、2019年が23,813台、2018年が25,983台、2017年が25,427台、2016年が24,548台となっている。 これらは、外国メーカー車モデル別新車販売台数の順位としては、8年連続で第1位であり、2003年から2015年の間も常に4位以内で、上位に位置している(甲18)。 オ 営業規模 日本においては、申立人の100%出資子会社であるビー・エム・ダブリュー株式会社が全国の正規ディーラーを通じて「MINI」ブランド自動車の販売とアフターセールスを提供しており(甲4の4)、「MINI」ブランド自動車の正規ディーラーは2024年9月現在で100店舗を超え、北海道から沖縄まで全国的に展開している(甲16)。 カ 広報、広告宣伝の実績 申立人は、日本において、インターネット、屋外広告、テレビコマーシャル等を通じて自動車「MINI」の広告宣伝を大々的に行っており(甲19〜甲22)、2023年の広告出稿総額(概算)は、約11億円に上る。 キ 異議の決定・判決による「MINI」商標の周知性の認定 「MINI」商標は、異議2011−900117の異議決定において「自動車」を表示するものとして需要者の間に広く認識されていたことが認められている(甲23)。また、当該決定に対して請求された、商標登録取消決定取消請求事件(平成24年(行ケ)第10143号)においても、同様に、引用商標が「自動車」を表示するものとして需要者の間に広く認識されていたことが認められている(甲24)。 これらの決定、判決が出た後に、引用商標1は商標法第3条第2項の適用を受け設定登録され、その後、引用商標2は、商標法第3条第2項の適用を受けることなく国内登録されている。 ク 英和辞典への掲載 研究社「新英和大辞典」には、「mini」の項目に、商標である旨が記載されるととのに「ミニ(英国製の小型乗用車。1959年Austin社から発売。現在は新型となってBMWが製造)」と説明されている(甲26)。 ケ 「MINI」ブランド自動車に関する書籍の発行、雑誌やインターネットヘの記事掲載 例えば「ワールド・カー・ガイド・DX 5 MINI」(甲9)、「CLASSIC MINI magazine」(甲12)、「BMWミニの世界」(甲13)、「NEW MINI STYLE MAGAZINE」(甲27)、「BMWミニマガジン」(甲28)等、「MINI」ブランドの自動車に関する雑誌や書籍は数多く出版されており(甲29、甲30)、雑誌で「MINI」ブランド自動車の特集が組まれることもある(甲31)。 また、各種雑誌において、しばしば「MINI」ブランド自動車の動向が報じられている(甲32)。 2023年1月から2024年8月までの雑誌(紙媒体、デジタル含む。)への記事掲載数は136回であり(甲33)、インターネット記事掲載数は8221回である(甲34)。 コ 「カー・オブ・ザ・センチュリー」受賞実績 「MINI」ブランドの下に製造・販売されてきた自動車は、20世紀にもっとも影響力のあった車に与えられた自動車賞「カー・オブ・ザ・センチュリー」で2位を獲得している(甲35)。 サ 映画やテレビヘの登場 「MINI」ブランドの自動車は、「ミニミニ大作戦」(1969年制作、リメイク版2003年制作)や「Mr.ビーン」を始めとする映画やテレビ番組にもしばしば登場し、重要な役割を果たしている(甲36、甲37)。 シ 「MINI」商標の周知・著名性に関するまとめ 以上から、「MINI」商標は、本件商標の登録出願時には、自他商品識別力はもとより、日本のみならず世界各国で、取引者、需要者の間において広く認識され、高い著名性を獲得し、その著名性は現在においても継続していることは明らかである。 (2)第4条第1項第11号該当性 本件商標は「DMINI」の構成よりなるところ、その構成中「D」の文字は、商品の品番、型番、型式等を表した記号又は符号として一般的に用いられているものであり、自他商品識別力がないものであること、また、引用商標を含めた「MINI」商標が申立人の業務に係る商品「自動車」について周知・著名であることからすると、本件商標の指定商品中、申立てに係る商品について本件商標が使用された場合には、これに接した取引者、需要者は、本件商標の構成中「MINI」の文字部分から「MINI」商標を連想、想起するものであるから、本件商標の構成中「MINI」の文字部分が取引者・需要者に対し商品の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものである。 そうとすれば、本件商標が一連に書されている事実を踏まえても、本件商標の構成中「MINI」の文字部分だけを他人の商標と比較して商標そのものの類否を判断することが許されるべきである。 そこで本件商標の構成中「MINI」の文字部分と引用商標とを比較すると、両者は、外観において「MINI」の文字を共通にし、称呼においても「ミニ」の称呼を共通にするものである。さらに観念においては、「自動車のブランドとしての「MINI」」との観念を共通にするものである。 以上より、本件商標と引用商標とは、外観、称呼、観念を共通にする類似のものであり、本件商標の指定商品と引用商標の指定商品も同一又は類似のものである。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号の規定に違反して登録されたものである。 (3)第4条第1項第15号該当性 本件商標から「MINI」の部分のみが抽出され、引用商標と対比されるため、引用商標と外観、称呼、観念を共通にする類似商標であることは前記(2)のとおりである。 仮に本件商標が一連一体の商標として認識されることがあるとしても、「D」が記号又は符号として用いられる欧文字1字であるのに対し、「MINI」商標が周知・著名であることからすると、本件商標に接する取引者・需要者の印象に圧倒的に強く訴えかけるのは「MINI」の文字部分である。 周知・著名商標である「MINI」商標が、「○○MINI(ミニ)」、「MINI(ミニ)○○」のように、他の文字と結合して使用されることがあり、「MINI」商標が、他の文字と結合してなお、「MINI」ブランドの自動車を想起させるものである。 そうすると、本件商標を申立てに係る商品に使用した場合には、あたかも申立人の業務に係る「MINI」ブランド自動車のモデルの一種であるかのように商品の出所について混同を生じさせるおそれが極めて高いことは明白である。 以上から、商標権者が、本件商標を申立てに係る商品に使用した場合、「MINI」商標の著名性に鑑みれば、これに接する取引者・需要者は、周知・著名な「MINI」商標を連想・想起して、当該商品を申立人又は申立人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのように、その商品の出所について混同するおそれがあるといえる。 したがって、本件商標は商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものである。 (4)第4条第1項第7号該当性 「MINI」商標は長年に渡り使用され続けた結果、我が国のみならず世界的に著名となり、多大な業務上の信用を得るに到ったものであり、その存在にもかかわらず本件商標を登録したことは国際信義にもとるものである。 したがって、本件商標は商標法第4条第1項第7号に違反して登録されたものである。 4 当審の判断 (1)引用商標の周知著名性について ア 申立人の提出に係る証拠によれば、次の事実が認められる。 (ア)申立人は、自動車のシート、ハンドル、車体に引用商標を付したり、申立人のウェブサイト、商品カタログ及び販売店舗の看板に引用商標を付したりするなどして、引用商標を自動車に使用している(甲4〜甲6)。 (イ)引用商標を使用した自動車は、1959年にイギリスのブリティッシュ・モーター・コーポレーション(BMC)が製造、販売を開始した自動車であるが(甲8)、申立人は、2001年に引用商標を使用した自動車(以下「申立人商品」という。)の製造、販売を開始し、日本では、2002年から申立人商品の販売が開始された(甲7、甲13)。 (ウ)申立人商品は、日本全国に多数存在する正規ディーラーで販売されており、各ディーラーの看板には、引用商標が付されている(甲16)。 (エ)申立人商品は、2021年9月の時点において、世界累計販売台数が510万台以上に達しており(甲17)、日本における新車販売台数は、2016年から2023年までの間、毎年約1万8千台から約2万6千台の間で推移し、外国メーカー車モデル別新車販売台数として8年連続1位となっている(甲18)。 (オ)申立人は、本件商標の登録出願前から、インターネット、屋外広告及びテレビコマーシャルにより、申立人商品の広告を相当数行っている(甲19〜甲22)。 (カ)株式会社研究社発行「研究社新英和大辞典」には、「mini」の項目において、「商標・・・英国製の小型自動車、・・・現在は新型となってBMWが製造」と説明されている(甲26)。 (キ)株式会社ネコ・パブリッシング発行「ワールド・カー・ガイド・DX 05 ミニ」(甲9)、三樹書房発行「BMWミニの世界」(甲13)などのように、申立人商品に関する書籍が出版されている(甲30)。 (ク)自動車に関する各種の雑誌において、申立人商品に関する記事が引用商標とともに多数掲載されており(甲32の1〜甲32の7、甲33)、また、インターネット上においても、申立人商品に関する記事が引用商標とともに多数掲載されている(甲34の1〜甲34の16)。 イ 判断 前記アで認定した事実によれば、申立人は、引用商標を自動車に使用しており、2001年に引用商標を使用した自動車(申立人商品)の製造、販売を開始し、日本では、2002年から申立人商品の販売が開始され、日本全国に多数存在する正規ディーラーで販売されており、販売台数は相当程度高く、申立人商品の広告が相当数行われ、書籍、雑誌、インターネット上の記事において、申立人商品に関する記事が引用商標とともに多数掲載されていることが認められる。 そうすると、引用商標は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の業務に係る自動車を表示するものとして需要者の間に広く認識されており、その周知著名性の程度は高いと判断するのが相当である。 (2)商標法第4条第1項第11号該当性について ア 本件商標 本件商標は、前記1のとおり、「DMINI」の欧文字を標準文字により表してなるものであり、その構成文字は、同書、同大、等間隔でまとまりよく一体に表されており、これより生じる「デイミニ」の称呼もよどみなく一連に称呼し得るものである。 そして、たとえ、欧文字の1字が商品の品番、型番、形式等を表す記号又は符号として一般に用いられており、かつ、前記(1)イのとおり、「MINI」の文字からなる引用商標が申立人の業務に係る自動車を表示するものとして需要者の間に広く認識されているとしても、本件商標の前記構成及び称呼からすると、殊更、「MINI」の文字部分のみに着目されることはなく、むしろ、その構成全体をもって不可分一体のものとして認識、把握されるとみるのが相当である。 そうすると、本件商標は、その構成全体から「デイミニ」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものと判断するのが相当である。 イ 引用商標 引用商標は、前記2のとおり、「MINI」の欧文字を書してなるものである。 そして、引用商標は、前記(1)イのとおり、申立人の業務に係る自動車を表示するものとして需要者の間に広く認識されているものであるから、「ミニ」の称呼を生じ、「申立人のブランド」としての観念を生じるものである。 ウ 本件商標と引用商標の類否 本件商標と引用商標とを比較すると、両者は、語頭における「D」の文字の有無の差異を有し、5文字又は4文字という比較的短い文字構成においては、その差異が視覚に与える影響は大きく、別異の印象を与えるというべきであるから、外観において、相紛れるおそれはない。 また、称呼については、本件商標から生じる「デイミニ」の称呼と引用商標から生じる「ミニ」の称呼とは、語頭における「デイ」の音の有無において差異があり、4音又は2音という短い音構成においては、その差異が証拠全体に与える影響は大きく、全体の音調、音感が明らかに異なるものとなり、明瞭に聴別し得るものであるから、称呼において、相紛れるおそれはない。 さらに、観念については、本件商標からは特定の観念を生じないのに対し、引用商標からは、「申立人のブランド」としての観念を生じるものであるから、観念において相紛れるおそれはない。 そうすると、本件商標と引用商標とは、外観、称呼及び観念のいずれにおいても相紛れるおそれはないから、非類似の商標というべきである。 エ 小括 以上のとおり、本件商標は、引用商標と非類似の商標であるから、たとえ、本件商標の指定商品中、申立てに係る商品と引用商標の指定商品が同一又は類似するものであるとしても、商標法第4条第1項第11号に該当しない。 (3)商標法第4条第1項第15号該当性について 前記(1)イのとおり、引用商標は、申立人の業務に係る自動車を表示するものとして需要者の間に広く認識されており、その周知著名性の程度は高く、また、本件商標の指定商品中、申立てに係る商品と申立人商品とは、いずれも自動車に関する商品であるから、その関連性の程度は高く、需要者を共通にするものである。 しかしながら、前記(2)ウのとおり、本件商標と引用商標とは、外観、称呼及び観念のいずれにおいても相紛れるおそれはない非類似の商標であるから、たとえ、「MINI」の構成文字を共通にするとしても、その類似性の程度は低いといわなければならず、また、「MINI」の文字(語)は「小さい」等を意味する既存の語であるから、当該文字からなる引用商標の独創性の程度は低いといわなければならない。 そうすると、本件商標は、商標権者がこれをその指定商品について使用しても、取引者、需要者をして引用商標を連想又は想起させることはなく、その商品が申立人又は同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかのように、その商品の出所について混同を生ずるおそれはないものというべきである。 その他、本件商標が出所の混同を生じさせるおそれがあるというべき事情は見いだせない。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。 (4)商標法第4条第1項第7号該当性について 申立人は、引用商標は長年に渡り使用され続けた結果、世界的に著名となり、多大な業務上の信用を得るに到ったものであり、その存在にもかかわらず本件商標を登録したことは国際信義にもとると主張する。 しかしながら、たとえ、引用商標が申立人の業務に係る自動車を表示するものとして需要者の間に広く認識されており、その周知著名性の程度は高いとしても、前記(3)のとおり、商標権者が本件商標をその指定商品について使用しても、商品の出所について混同を生ずるおそれはなく、その他に、本件商標を登録することが国際信義にもとるといった事情は見いだせない。 他に、本件商標が公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標というべき事情も見いだせない。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に該当しない。 (5)まとめ 以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第7号、同項第11号及び同項第15号に該当するものではなく、その登録は同項の規定に違反してされたものとはいえない。 他に、本件商標の登録が商標法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせない。 したがって、本件商標の登録は、商標法第43条の3第4項の規定により、維持すべきである。 よって、結論のとおり決定する。 |
別掲 |
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異議決定日 | 2025-02-07 |
出願番号 | 2023112707 |
審決分類 |
T
1
652・
22-
Y
(W1227)
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最終処分 | 07 維持 |
特許庁審判長 |
大橋 良成 |
特許庁審判官 |
渡邉 あおい 山田 啓之 |
登録日 | 2024-04-24 |
登録番号 | 6798869 |
権利者 | 三菱自動車工業株式会社 |
商標の称呼 | デイミニ |
代理人 | 佐久間 洋子 |
代理人 | 田崎 恵美子 |
代理人 | 江崎 光史 |