ポートフォリオを新規に作成して保存 |
|
|
既存のポートフォリオに追加保存 |
|
PDFをダウンロード![]() |
審決分類 |
審判 全部申立て 登録を維持 W03041121 |
---|---|
管理番号 | 1421601 |
総通号数 | 40 |
発行国 | JP |
公報種別 | 商標決定公報 |
発行日 | 2025-04-25 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2024-05-31 |
確定日 | 2025-03-12 |
異議申立件数 | 1 |
事件の表示 | 登録第6789998号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 登録第6789998号商標の商標登録を維持する。 |
理由 |
第1 本件商標 本件登録第6789998号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1のとおりの構成からなり、第3類「化粧品,せっけん類,香料,薫料,芳香剤としてのリードディフューザー,芳香剤,自動車用芳香剤,におい袋,香りのするセラミックストーン(芳香剤)」、第4類「ろうそく,香料入りのろうそく」、第11類「ろうそく型ランプ,電子式ろうそく型照明器具」及び第21類「電気式及び非電気式アロマオイルディフューザー(リードディフューザー状のものを除く。),空で売られているリードディフューザー(芳香を拡散するもの),ろうそく立て(貴金属製のものを除く。)」を指定商品として、令和5年6月29日に登録出願、同6年3月4日に登録査定、同月25日に設定登録されたものである。 第2 登録異議申立人が引用する商標 登録異議申立人(以下「申立人」という。)が引用する国際登録第1308193号商標(以下「引用商標」という。)は、別掲2のとおりの構成からなり、2016年(平成28年)3月17日に国際登録出願(優先権主張:2016年(平成28年)2月16日(Australia))、第3類「Aromatic oil; aromatics (essential oils); aromatics for fragrances; aromatics for perfumes; room fragrances; bases for perfumes; room perfume sprays; fragrance preparations; room fresheners (fragrance preparations); essential oils for use in air fresheners.」、第11類「Linear air diffusers; supply air diffusers; oil burners; regulating apparatus being parts of oil burners; deodorising apparatus for dispensing perfumes in motor vehicles; electric dispensers for air fresheners; electric dispensers for room deodorants.」及び第21類「Electric perfume vaporizers, other than parts of vacuum cleaners; perfume burners.」を指定商品として、平成29年10月6日に設定登録され、現に有効に存続している。 第3 登録異議の申立ての理由 申立人は、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当するものであるから、その登録は同法第43条の2第1号により取り消されるべきであるとして、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第20号証を提出した。 1 商標法第4条第1項第15号該当性について (1)申立人及び引用商標の周知著名性について 申立人は、オリジナルの「香り」のデザインや、香りを拡散させるシステムに関する独自のノウハウを利用した、「香り」を活用したマーケティングについての先駆者であって、独自のノウハウに基づき「香り」によるブランディングサービス、「香り」に関わるアロマ関連商品(特に、ディフューザーやエッセンシャルオイル)を取り扱う企業であり、「香り」マーケティング市場を牽引するリーディングカンバニーである(甲3)。 申立人は、グローバルブランド戦略として「香り」を導入する企業を20年以上、約40か国以上の国でサポートしてきた実績がある(甲4)。 また、申立人のクライアントには、様々な著名なグローバル企業が多数含まれており、当該著名企業にとって重要なブランディングのツールとして申立人が創出する「香り」が採用されている。世界のトップブランドに認められ、採用されているという当該事実は、申立人がアロマ関連商品の取引業界で実績、名声を獲得していることを裏付けるものである。 実際に、申立人が香りのブランディングを行ったクライアント、製品、施設の一部の例を示す(甲5〜甲16)。 このように、申立人は、業種を問わず、様々な著名企業、著名ブランドの「香り」によるブランディングサービスを行っており、これを通じて、様々な業界における需要者間で引用商標の周知著名性を獲得している。また、前記の著名企業等にも採用される高品質なアロマに関連する製品の製造販売事業を通じて、一般需要者にも引用商標が周知著名となっている状況にある。 また、フェイスブック等のSNSを通じた情報発信も行っており、このような取り組みによっても我が国における引用商標の周知著名性が向上している(甲17)。 上記より、引用商標は、その指定商品の分野において、広く周知著名性を獲得している。 (2)引用商標が造語よりなるものであるか、又は構成上顕著な特徴を有するものであるか 引用商標中、「A図形」は、申立人が独自に創作したロゴであり、文字部分もまた、全体として辞書に掲載されない造語であり、アロマ製品の取引業界において、商品の説明等において「Air」と「Aroma」の語が同時に使用される例は見当たらないため、「A図形」や「Air/Aroma」の語は、いずれも顕著な特徴を有する。 (3)引用商標がハウスマークであるか 引用商標中、「Air/Aroma」は、申立人の名称のとおり、ハウスマークである。また、ハウスマークとして使用していることを示す資料として、申立人のオーストラリア本社及び日本法人事業所で「Air/Aroma」が掲げられている画像を提出する(甲18、甲19)。 (4)本件商標の指定商品と引用商標の指定商品の関連性 本件商標の指定商品である第3類「化粧品,せっけん類」、第4類「ろうそく,香料入りのろうそく」、第21類「空で売られているリードディフューザー(芳香を拡散するもの)」は、いずれも香料が含まれる商品を包含する商品、あるいは香料に基づく芳香を拡散するための商品である。また、第11類「ろうそく型ランプ,電子式ろうそく型照明器具」、第21類「ろうそく立て(貴金属製のものを除く。)」は、それ自体香料を含むものではないものの、香料を含む商品を使用する際や、あるいは芳香製品と共に使用される照明関連商品である。昨今、経営リスクの回避のため、様々な企業がその主たる事業と関連性に乏しい事業であったとしても、多角経営により展開する傾向が広がっている。このような市場状況を踏まえれば、上記の関連性が乏しいとはいえない商品、すなわち、「芳香(アロマ)関連商品」、「芳香商品ではないが香料を含む化粧品・せっけん類等の商品」、「その他芳香製品と一緒に使用される照明関連商品」が同じ企業によって製造販売されていたとしても、何等不自然ではないものと思料する。 したがって、上記の本件商標と引用商標の指定商品は、企業の多角経営により同一事業者により取扱われる可能性がある密接に関連する商品である。なお、上記以外の本件商標の指定商品は、引用商標の指定商品と類似する商品である。 (5)商品等の需要者共通性 本件商標及び引用商標の指定商品は、いずれも特殊な用途、機能があるわけではなく、その使用において特別な専門的知識を要するものではないため、一般的な需要者を対象とする商品であり、本件商標の指定商品の需要者と、引用商標の指定商品の需要者は共通する。 (6)アロマ製品業界において他事業者が使用する商標に関する事情(その他の取引事情) 我が国において、アロマ製品の製造販売事業を営む事業者の中で、「Aroma」の語をその事業者名に含むものはあるものの、「A」をモチーフにした図形及び「Aroma」の両方を構成中に有する商標を使用しているものは、アロマ製品の取引業界、あるいはその関連商品の取引業界において、申立人のみである(甲20)。 (7)小括 引用商標は、我が国のアロマ製品取引業界において、周知著名性を獲得している。また、ア 引用商標は造語であること、イ 引用商標は、申立人のハウスマークであること、ウ 本件商標の指定商品と引用商標の指定商品は密接な関連性を有すること、エ その需要者も共通すること、オ 「A」をモチーフにした図形及び「Aroma」の語を含む商標の使用者は、アロマ製品、あるいは、その関連商品の取引業界において、長年、申立人のみであること、これらの点を総合的に考慮すれば、本件商標がその指定商品に使用された場合、これに接した需要者は、引用商標の商標権者と経済的又は組織的に何等かの関係がある者の業務に係る商品であると誤認し、その商品の出所について混同するおそれ(広義の混同のおそれ)が十分にある。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。 第3 当審の判断 1 商標法第4条第1項第15号該当性について (1)引用商標の我が国における周知性について 申立人の提出した証拠及び同人の主張によれば、以下のとおりである。 申立人は、企業のブランディング戦略として、「香りマーケティング」を提供し、「香り」を導入する企業を20年以上、約40か国以上の国でサポートしてきた実績があり(甲3〜甲16)、また、SNSを通じた情報発信も行ってきた(甲17)ことにより、「Air/Aroma」は、周知著名性を獲得している旨主張している。 そこで、甲第3号証ないし甲第17号証をみると、その出力日(印刷日)は、いずれも本件商標の登録査定日(令和6年3月4日)より後の日付け(2024年(令和6年)6月5日、同月6日、同年7月9日)であり、いずれの証拠においても、別掲のとおり図形部分及び文字部分から構成される引用商標についての表示は見当たらない。 そして、「Air Aroma 日本」のウェブサイトにおいては、企業向けに香りに関するマーケティングを提供していることはうかがえるものの、引用商標を使用した商品の販売数量、販売期間、売上高、市場シェア等が明らかではない(甲3〜甲16)。 また、「エアアロマジャパン」のFacebookのページにおいては、引用商標を使用した商品についての広告・宣伝の方法、掲載期間等が明らかでないばかりか、フォロワー数も1,830人と決して多いとはいえない。 そうすると、申立人の提出に係る証拠によっては、引用商標が申立人の業務に係る商品について使用する商標として、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、我が国の取引者、需要者の間に広く認識されていたとは認めることができない。 (2)本件商標と引用商標の類似性について ア 本件商標 本件商標は、別掲1のとおり、アルファベット「A」をモチーフにしたかのような図形部分(以下「本件図形部分」という。)を配し、その右側部分に白抜きで「AROMA」の欧文字を右下がりに表してなるところ、同文字に相応して、「アロマ」の称呼を生じ、当該文字は、我が国において親しまれた英単語といえるから、「芳香」程の観念を生じる。 イ 引用商標 引用商標は、別掲2のとおり、アルファベット「A」をモチーフにしたかのような図形部分(以下「引用図形部分」という。)及び「Air/Aroma」の文字部分(以下「引用文字部分」という。)を空間を介して配した構成からなることから、両者は視覚的に分離して看取されるものである。 そして、引用図形部分は、一般に親しまれた特定の事物を表したとはいえないものであり、他方、引用文字部分は、その構成中「/」(スラッシュ)が、一般的には称呼されない文字を区切るための記号であることから、同部分全体からは、「エアーアロマ」の称呼を生じ、「Air」及び「Aroma」の文字は、我が国において親しまれた英単語といえるから、それぞれの語の意味合いから「空気、芳香」程の観念を生じる。 そうすると、引用図形部分と引用文字部分は、空間を介して配され、また、両者に観念上のつながりがあるなど、相互に密接不可分のものとしてみるべき特段の事情も見当たらないから、引用商標は、引用図形部分と引用文字部分とを分離して観察することが、取引上不自然と思われるほど不可分的に結合しているものとはいえず、本件商標と引用商標との類否判断をする際に、引用文字部分を抽出して商標そのものの類否判断をすることが許されるというべきである。 そして、引用文字部分は、上記のとおり「エアーアロマ」の称呼を生じ、「空気、芳香」程の観念を生じるものである。 ウ 本件商標と引用商標の類似性の程度 (ア)外観について 本件商標は、別掲1のとおりの構成からなり、他方、引用商標は、別掲2のとおりの構成からなるものであるところ、本件商標と引用図形部分との比較においては、両者はアルファベット「A」をモチーフにしたかのような図形部分を有する点において共通するといい得るものの、両図形部分における線の太さや省略の程度等において顕著な差異を有するものであり、本件商標と引用文字部分との比較においては、「Air」の文字及び「/」(スラッシュ)の有無等に差異を有するものであり、また、商標全体の比較においても、判然と区別し得るものであるから、両者は外観において相紛れるおそれはないというべきである。 (イ)称呼について 本件商標から生じる「アロマ」の称呼と引用商標から生じる「エアーアロマ」の称呼は、明確に発音される語頭において「エアー」の音の有無に差異を有し、また、両者の称呼は、共に短い音構成からなり、それぞれを一連に称呼するときは、語調、語感が相違し、称呼上、明確に聴別し得るものである。 (ウ)観念について 本件商標からは、「芳香」程の観念が生じ、引用文字部分からは、「空気、芳香」程の観念が生じるから、観念において相紛れるおそれはない。 そうすると、本件商標と引用商標とは、外観において区別し得るものであり、称呼において明瞭に聴別し得るものであって、観念において相紛れるおそれはないものであるから、両商標が、取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すれば、相紛れるおそれのない非類似の商標というべきであり、その類似性の程度は低いものである。 (3)小括 引用商標は、上記(1)のとおり、申立人の業務に係る商品を表示するものとして、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、我が国の需要者の間に広く認識されていたものとは認めることはできない。 また、上記(2)のとおり、本件商標と引用商標とは相紛れるおそれのない非類似の商標であって、別異の商標というべきであるから、その類似性の程度は低いものである。 そうすると、本件商標は、本件商標権者がこれをその指定商品について使用しても、我が国の需要者等をして引用商標を連想又は想起させることはなく、取引者、需要者が、その商品が他人(申立人)あるいは同人と経済的又は組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であると誤認し、その商品の出所について混同を生じさせるおそれはないものである。 その他、本件商標について、出所の混同を生じさせるおそれがあるというべき事情も見いだせない。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。 (4)むすび 以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当するとはいえず、他に同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、その登録を維持すべきものである。 よって、結論のとおり決定する。 |
別掲 |
別掲1(本件商標) ![]() 別掲2(引用商標) ![]() (この書面において著作物の複製をしている場合の御注意) 本複製物は、著作権法の規定に基づき、特許庁が審査・審判等に係る手続に必要と認めた範囲で複製したものです。本複製物を他の目的で著作権者の許可なく複製等すると、著作権侵害となる可能性がありますので、取扱いには御注意ください。 |
異議決定日 | 2025-02-27 |
出願番号 | 2023072472 |
審決分類 |
T
1
651・
271-
Y
(W03041121)
|
最終処分 | 07 維持 |
特許庁審判長 |
高野 和行 |
特許庁審判官 |
清川 恵子 豊瀬 京太郎 |
登録日 | 2024-03-25 |
登録番号 | 6789998 |
権利者 | SHOPSMATER株式会社 |
商標の称呼 | エイアロマ、エイ |
代理人 | 弁理士法人三協国際特許事務所 |
代理人 | 弁理士法人深見特許事務所 |