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審決分類 |
審判 査定不服 外観類似 取り消して登録 W3542 |
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管理番号 | 1421549 |
総通号数 | 40 |
発行国 | JP |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2025-04-25 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2024-11-25 |
確定日 | 2025-03-25 |
事件の表示 | 商願2023− 80125拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願商標は、登録すべきものとする。 |
理由 |
1 手続の経緯 本願は、令和5年7月19日の出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。 令和6年 2月19日付け:拒絶理由通知書 令和6年 5月 7日 :意見書、手続補正書の提出 令和6年 5月 9日付け:手続補正指示書 令和6年 6月24日 :上申書、手続補正書の提出 令和6年 8月26日付け:拒絶査定 令和6年11月25日 :審判請求書の提出 2 本願商標 本願商標は、別掲1のとおりの構成よりなり、第9類、第35類、第39類、第41類及び第42類に属する願書記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として登録出願されたものである。 そして、本願の指定役務は、原審における上記1の手続補正書により、最終的に第35類「経営の診断又は経営に関する助言,事業の管理,市場調査又は分析,マーケティング,マーケティングに関する情報の提供及び助言,商品の販売に関する情報の提供,商業に関する情報の提供,事業経営に関するコンサルティング,一般事務の代行,会計事務の代行,コンピュータデータベースへの情報編集及び情報構築,電子計算機・タイプライター・テレックス又はこれらに準ずる事務用機器の操作,消費者のための商品及び役務の選択における助言と情報の提供」及び第42類「オンラインによるアプリケーションソフトウェアの提供(SaaS),コンピュータソフトウェアプラットフォームの提供(PaaS),電子計算機用プログラムの提供,デザインの考案,電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守,電子計算機・自動車その他その用途に応じて的確な操作をするためには高度の専門的な知識・技術又は経験を必要とする機械の性能・操作方法等に関する紹介及び説明」と補正されたものである。 3 原査定の拒絶の理由(要旨) 原査定において、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして、本願の拒絶の理由に引用した登録第6328155号商標(以下「引用商標」という。)は、別掲2のとおりの構成よりなり、令和元年11月14日登録出願、第42類に属する商標登録原簿記載のとおりの役務を指定役務として、同2年12月11日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。 4 当審の判断 (1)本願商標について 本願商標は、別掲1のとおり、太い線からなる角の丸い3つの正方形と、小さな5つの正方形からなる図形とを組み合わせた図形を配し、その右側に、いずれも一部欠けたデザインで表されている「PAX」の文字を横書きしてなるものであり、そのうち小さな5つの正方形からなる図形は金色で、それ以外は紺色で表されているものである。 ここで、本願商標構成中の図形部分と文字部分とは、大部分が同じ色彩で、高さもほぼそろえてまとまりよく表されているものであるから、外観上一体的に表されているといえるものである。 また、同文字部分のみが、取引者、需要者に対し役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものと認めるに足りる事情は見いだせない。 そうすると、かかる構成においては、本願商標に接する取引者、需要者は、本願商標全体を一体不可分のものと認識、理解するとみるのが相当である。 そして、本願商標構成中の図形部分は、何を表しているものか判然とせず、これよりは出所識別標識としての称呼、観念が生じるものではない。また、同構成中の「PAX」の文字は、請求人も述べているとおり、辞書類に様々な意味を表す語として掲載されているものであるが、特定の意味合いを認識させる語として我が国の取引者、需要者に使用され、認識されている平易な語とはいい難いものであるから、該文字は造語として認識されるというべきものである。 以上のことからすると、本願商標よりは、その構成中の文字部分に相応した「パックス」又は「ピーエーエックス」の称呼が生じ、特定の観念は生じないものといえる。 (2)引用商標について 引用商標は、別掲2のとおり、交差する2つの楕円からなる図形を配し、その右下に「PAX」の文字を横書きしてなるものであり、いずれも黒色で表されているものである。 ここで、引用商標の構成中の図形部分と文字部分とは、外観上明らかに分離して配置されているものである。 また、同図形部分は、何を表しているものか判然とせず、これよりは出所識別標識としての称呼、観念が生じるものではない。そして、同文字部分を構成する「PAX」の文字も、上記(1)同様、特定の意味合いを直ちに理解させるものとはいえないから、これらに観念上のつながりがあるともいえないものである。 そうすると、簡易迅速を尊ぶ商取引の実情においては、引用商標に接する取引者、需要者が、その構成中の「PAX」の文字部分(以下「引用要部」)に着目し、それのみをもって取引に当たる場合もあるものというのが相当である。 以上のことからすると、引用商標よりは、引用要部に相応した「パックス」又は「ピーエーエックス」の称呼が生じ、また、特定の観念は生じないものといえる。 (3)本願商標と引用商標の類否について 本願商標と引用商標を比較するに、外観においては、全体としても、また、本願商標と引用要部との対比でも、色彩や、図形部分の有無又は形状の相違、文字の図案化の有無などといった点で異なり、明確に区別できるものといえる。 そして、称呼においては、「パックス」又は「ピーエーエックス」を共通にするものであり、また、観念については、いずれも特定の観念は生じないため、比較することができない。 そうすると、本願商標と引用商標とは、称呼を共通にするとしても、観念において比較できないものであり、外観においては明確に区別できるものであるところ、本願商標及び引用商標の指定役務において、取引者、需要者が、専ら商標の称呼のみによって役務を識別し、役務の出所を判別するような実情があるものとは認められず、また、称呼による識別性が、外観及び観念による識別性を上回るとはいえないことから、両商標が与える印象、記憶等を総合してみれば、役務の出所について誤認混同を生じるおそれのない、非類似の商標というのが相当である。 (4)まとめ 以上のとおり、本願商標は、引用商標とは非類似の商標であるから、両商標の指定役務の類否について判断するまでもなく、本願商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しないものである。 したがって、本願商標が、商標法第4条第1項第11号に該当するとして本願を拒絶した原査定は、取消しを免れない。 その他、本願について拒絶の理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。 |
別掲 |
別掲1 本願商標(色彩は原本を参照。) ![]() 別掲2 引用商標 ![]() (この書面において著作物の複製をしている場合の御注意) 本複製物は、著作権法の規定に基づき、特許庁が審査・審判等に係る手続に必要と認めた範囲で複製したものです。本複製物を他の目的で著作権者の許可なく複製等すると、著作権侵害となる可能性がありますので、取扱いには御注意ください。 |
審決日 | 2025-03-12 |
出願番号 | 2023080125 |
審決分類 |
T
1
8・
261-
WY
(W3542)
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最終処分 | 01 成立 |
特許庁審判長 |
高野 和行 |
特許庁審判官 |
清川 恵子 白鳥 幹周 |
商標の称呼 | パックス、ピイエイエックス |
代理人 | 林 栄二 |