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審決分類 審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 登録しない W44
管理番号 1421543 
総通号数 40 
発行国 JP 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2025-04-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2024-10-21 
確定日 2025-03-14 
事件の表示 商願2023−143031拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1 手続の経緯
本願は、令和5年12月25日の出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
令和6年 2月15日付け:拒絶理由通知書
令和6年 7月23日付け:拒絶査定
令和6年10月21日 :審判請求書の提出

2 本願商標
本願商標は、「カスタマイズヒアル」の文字を標準文字で表してなり、第44類「美容,理容,マッサージ,医業,医療情報の提供,健康診断,調剤,健康管理に関する指導及び助言」を指定役務として登録出願されたものである。

3 原査定の拒絶の理由(要旨)
本願商標は、「カスタマイズヒアル」の文字を標準文字で表してなるところ、その構成中の「カスタマイズ」の文字は、「既存の商品などに手を加えて、好みのものに作り変えること。」の意味を有する語として知られているものである。
また、本願の指定役務を取り扱う分野では、「ヒアルロン酸を注入する美容施術」が一般に行われており、そのような施術が「ヒアル」と略されている実情、及び、「ヒアルロン酸の量や回数等を患者に合わせてカウンセリングしながら提供する施術」を「カスタマイズヒアル」と称している実情が見受けられる。
そうすると、本願商標は全体として「カスタマイズできるヒアルロン酸を注入する施術」ほどの意味合いを容易に想起させるものといえ、これをその指定役務に使用しても、それに接する需要者は、「カスタマイズできるヒアルロン酸を注入する施術に関する役務」であること、すなわち、役務の質を表示するものと認識するにすぎないといえることから、本願商標は、役務の質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標というのが相当である。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、また、これを「カスタマイズできるヒアルロン酸を注入する施術に関する役務」以外の役務に使用するときは、役務の質の誤認を生ずるおそれがあるから、商標法第4条第1項第16号に該当する。

4 当審の判断
(1)商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号該当性について
本願商標は、「カスタマイズヒアル」の文字を標準文字で表してなるところ、その構成中「カスタマイズ」の文字は、「既製品を注文に応じて改変すること。」(出典:「広辞苑 第七版」株式会社岩波書店)を意味する語として、一般的に広く使用され、理解されているものである。
また、同構成中「ヒアル」の文字は、原審提示の情報にあるように、本願の指定役務の範ちゅうである「美容を目的とする医業」を提供する分野を中心に、「ヒアルロン酸の注入による施術」を指称する語として、広く使用されている実情が認められる。
そうすると、本願商標は、その指定役務との関係においては、上述の「カスタマイズ」の語と「ヒアル」の語を結合したものと、容易に理解されるものといえ、全体として「注文に応じて改変する、ヒアルロン酸の注入による施術」ほどの意味合いが認識され得るものというのが相当である。
そして、原審提示の情報や、別掲の情報にあるように、本願の指定役務の範ちゅうである「美容を目的とする医業」を提供する分野を中心に、「患者の状態等に応じて施術内容を変えて行う、ヒアルロン酸の注入による施術」が、「カスタマイズヒアル」や「カスタマイズヒアルロン酸」「カスタマイズヒアルロン酸注入」などと称して提供等されている実情が認められる。
以上のことからすると、本願商標をその指定役務に使用したときは、これに接する取引者、需要者は、その役務が「患者の状態等に応じて施術内容を変えて行う、ヒアルロン酸の注入による施術」であるという、その役務の質を表示したものと理解、認識するというのが相当であるから、本願商標は、役務の質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標といえる。
また、本願商標を、その指定役務中、上述の役務以外の役務に使用するときは、それがあたかも「患者の状態等に応じて施術内容を変えて行う、ヒアルロン酸の注入による施術」であるかのごとく、役務の質の誤認を生ずるおそれがあるといえる。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当する。
(2)請求人の主張について
ア 請求人は、本願商標は、全体として一連一体に把握される商標であり、一連として成立する一種の造語と認識すべきものであり、「カスタマイズ」と「ヒアル」とに分断分離して認識すべき合理的事情は無い旨主張する。
しかしながら、本願商標が、一連一体に把握、認識されるものであることについては、請求人主張のとおりとしても、上記(1)のとおり、「カスタマイズ」の語は、我が国において広く一般的に使用され、理解されている語であり、また、「ヒアル」の語は、本願の指定役務の範ちゅうである「美容を目的とする医業」を提供する分野を中心に、「ヒアルロン酸の注入による施術」を指称する語として、広く使用されている実情が認められることからすれば、本願商標をその指定役務に使用するときは、これに接する取引者、需要者において、それが「カスタマイズ」の語と「ヒアル」の語とを結合してなるものと容易に理解され、全体として「注文に応じて改変する、ヒアルロン酸の注入による施術」ほどの意味合いが認識され得るものというのが相当である。
イ 請求人は、美容施術においては、施術前のカウンセリングは、いかなる被施術者に対しても当然に行われるものであり、特定のケースでのみ行う性質のものとは到底考えられないことからすると、原審が説示する「ヒアルロン酸の量や回数等を患者に合わせてカウンセリングしながら提供する施術」とは、もはや一般的に提供されているヒアルロン酸を使用した美容施術全般に適用されるものであることとなるのであって、これらすべての美容施術が一律に「カスタマイズヒアル」と称され、通用しているという解釈は、医療界及び社会的実情から過大に逸脱するものであり、あまりに短絡的な解釈である旨主張する。
しかしながら、上記(1)のとおり、「美容を目的とする医業」を提供する分野を中心に、「患者の状態等に応じて施術内容を変えて行う、ヒアルロン酸の注入による施術」について、「カスタマイズヒアル」や「カスタマイズヒアルロン酸」「カスタマイズヒアルロン酸注入」などと称して提供等している実情に照らせば、本願商標をその指定役務に使用するときには、これに接する取引者、需要者によって、その役務が「患者の状態等に応じて施術内容を変えて行う、ヒアルロン酸の注入による施術」であることを表示するものとして認識されるにとどまり、自他役務の識別標識としては認識されないものというのが相当である。
そして、このことは、請求人主張のとおり、美容を目的とする医業における施術が、患者の状態等に応じて施術内容を変えて行うことがそもそも一般的であるとしても、変わるものではない。
ウ 請求人は、原審の認定判断においては、指定役務全般において「カスタマイズヒアル」の語が通用されている事実が示されていない点において、美容医療に限定した原審の認定は適法性ある理由がない旨主張する。
しかしながら、原審提示の認定判断は、請求人主張のとおり、美容外科医業における実情を中心とするものであるが、本願の指定役務は「医業」を含むものであり、それには当然「美容を目的とする医業」が含まれるものであるから、仮に、例えば「医業」以外の本願の指定役務との関係において、本願商標が自他役務の識別標識としての機能を有するといえる場合があるとしても、本願商標が、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するものであるという結論に変わりはなく、原審の認定判断が不当であるということはできない。
また、例えば本願の指定役務中「美容」と上述の「美容を目的とする医業」は、提供の目的や需要者の範囲を一定程度共通にすると考えられるなど、「美容を目的とする医業」と本願の指定役務中「医業」以外の役務とで、関係する取引者、需要者の層がまったく異なるものであるというものでもない。
エ 請求人は、原審の拒絶理由通知において引用された事例は、各文献間においても帰納的に役務の内容が特定・合致しえないほど整合性を欠くものであるなど、適正・適法な使用例とは到底認められるものではない旨主張する。
また、本願商標が示す美容施術は、請求人が、自己の医療経験に基づいて、その医療的知見から独創した新規の美容施術であって、請求人及び請求人が許諾している者以外において、現実かつ具体的に「カスタマイズヒアル」なる表示が役務内容を表示する適正・適法な標識として使用されている事実は見当らず、同表示が取引上の通用語とされている事例もない旨主張する。
しかしながら、原審提示の情報や別掲の情報は、「美容を目的とする医業」を提供する分野を中心に、「患者の状態等に応じて施術内容を変えて行う、ヒアルロン酸の注入による施術」について、「カスタマイズヒアル」や「カスタマイズヒアルロン酸」「カスタマイズヒアルロン酸注入」などと称されて一般的に提供等されている事実を推認する根拠とするに十分適切といえるものが大半であり、事例によって個別具体的な役務の内容が異なる点があるとしても、大半が本願商標より認識し得る「注文に応じて改変する、ヒアルロン酸の注入による施術」という意味合いの範ちゅうに収まるといえるものであるから、これらの情報をもって、本願商標が商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するものであると判断することが、適切でないということはできない。
また、仮に、請求人主張のとおり、本願商標が、請求人の業務に係る役務を表示する語として請求人が創出した造語であって、また、原審提示の情報や別掲の情報のごく一部に、請求人の黙示の許諾の下に「カスタマイズヒアル」の語を使用している事例が含まれるとしても、本件判断時点において、請求人以外の者が多数、「患者の状態等に応じて施術内容を変えて行う、ヒアルロン酸の注入による施術」について、「カスタマイズヒアル」や「カスタマイズヒアルロン酸」「カスタマイズヒアルロン酸注入」などと称して提供等している実情があるといえることに変わりはないのであるから、本願商標をその指定役務に使用するときには、これに接する取引者、需要者によって、その役務が「患者の状態等に応じて施術内容を変えて行う、ヒアルロン酸の注入による施術」であることを表示するものとして認識されるにとどまり、自他役務の識別標識としては認識されないものというのが相当である。
オ したがって、請求人の上記アないしエの主張は、いずれも採用することができない。
(3)まとめ
以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するものであるから、登録することができない。
よって、結論のとおり審決する。

別掲

別掲 「患者の状態等に応じて施術内容を変えて行う、ヒアルロン酸の注入による施術」が、「カスタマイズヒアル」や「カスタマイズヒアルロン酸」「カスタマイズヒアルロン酸注入」などと称され、提供等されていることを示す事実(下線は当審が付した。)
(1)「東京ココセランクリニック」のウェブサイトにおいて、「ヒアルロン酸注入についてのカスタマイズヒアルについて」の見出しの下、「当クリニックでは、患者様の個別のニーズに応じたヒアルロン酸注入治療、カスタマイズヒアルを提供しています。この治療は、患者様一人ひとりの顔の特徴や美容目標に合わせて、ヒアルロン酸の種類や注入量をカスタマイズします。」の記載がある。
https://tokyo-cocotheram.clinic/treatment/customized-hyal-about-hyaluronic-acid-injection/

(2)「SINCERE GARDEN CLINIC」のウェブサイトにおいて、「新着情報」として「高崎市・太田市の美容クリニック│カスタマイズヒアルロン酸で自然に若返り│群馬県の美容クリニック」の見出しの下、「シンシアガーデンクリニックでの「ヒアルロン酸しわ治療」はしわだけを改善するのではなく、お客様のお顔のバランスや筋肉の癖、失われてしまったボリュームを取り戻すために、総合的にお顔をデザインする「カスタマイズヒアルロン酸治療」をご提案しております。」「シンシアのしわ治療 カスタマイズヒアル」「カスタマイズヒアルの注入例」などの記載がある。
https://www.sincere-gc.com/customizehyaluronic

(3)「HOT PEPPER Beauty」のウェブサイト中の「BIANCA CLINIC 銀座」のページにおいて、「施術メニュー」の項目に「【限定プランあり】カスタマイズヒアル(患者様のお顔に合わせ、ヒアルロン酸をカスタマイズ注入)」の記載がある。
https://clinic.beauty.hotpepper.jp/H000482230/treatment-menus/33233/

(4)「品川美容外科 品川スキンクリニック」のウェブサイトにおいて、「菊地医師によるカスタマイズヒアル」の見出しの下、「患者様のご希望に合わせて、最も美しく見える量、デザイン、角度などあらゆる面で全体のバランスを整えながら丁寧にヒアルロン酸を注入致します。」の記載がある。
https://www.shinagawa.com/monitor/monitors/19002

(5)「REJU Beauty Clinic」のウェブサイトにおいて、「キャンペーン」として「【1周年記念】カスタマイズヒアル!アラガンヒアルロン酸50%OFF」の見出しの下、「カスタマイズヒアルでお悩みに応じてご提案もさせていただきますので初めての方でも安心してご来院ください。」「◆REJUのカスタマイズヒアルとは?→お悩みに合わせてカウンセリング時に注入部位のご提案をさせていただきます。」の記載がある。
https://rejubeautyclinic.jp/campaign/1st-anniversary-hyaluronic-acid-50-off/

(6)「CLEAR CLINIC」のウェブサイトにおいて、「DETAIL 症例詳細」の見出しの下、「カスタマイズヒアル」「カスタマイズヒアルロン酸【額・頬・ほうれい線】」「カスタマイズヒアルロン酸 5本」「この方のお悩みは、額のしわ、頬のコケ、ほうれい線になります。ドクターがお顔のバランスを見てヒアルロン酸5本を丁寧に注入しております。」の記載がある。
https://clear-c.jp/cases/カスタマイズヒアル/

(7)「RENATUS CLINIC」のウェブサイトにおいて、「カスタマイズヒアルロン酸注入」の見出しの下、「ヒアルロン酸注射で、レナトゥスクリニックの医師があなたをカスタマイズ(良い形に調整)し、ここまでの変化が出せる!という驚きと感動を提供します。あなたの顔のバランスと好みの顔を聞き、パーツではなく全体のバランスを見て個別に最適化をして部位と量を選択していきます。」「カスタマイズヒアルならレナトゥスクリニックが症例多数で上手いのに価格が安い!」の記載がある。
https://renatusclinic.jp/customization/

(行政事件訴訟法第46条に基づく教示)
この審決に対する訴えは、この審決の謄本の送達があった日から30日(附加期間がある場合は、その日数を附加します。)以内に、特許庁長官を被告として、提起することができます。
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審理終結日 2025-01-14 
結審通知日 2025-01-17 
審決日 2025-01-30 
出願番号 2023143031 
審決分類 T 1 8・ 13- Z (W44)
最終処分 02   不成立
特許庁審判長 高野 和行
特許庁審判官 白鳥 幹周
清川 恵子
商標の称呼 カスタマイズヒアル 
代理人 小松 正典 

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