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審決分類 |
審判 査定不服 商品(役務)の類否 取り消して登録 W10 |
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管理番号 | 1421508 |
総通号数 | 40 |
発行国 | JP |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2025-04-25 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2024-04-30 |
確定日 | 2025-03-24 |
事件の表示 | 商願2023− 63602拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願商標は、登録すべきものとする。 |
理由 |
1 手続の経緯 本願は、令和5年6月9日の出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。 令和 5年11月10日付け:拒絶理由通知書 令和 5年12月22日 :意見書、手続補正書の提出 令和 6年 1月22日付け:拒絶査定 令和 6年 4月30日 :審判請求書の提出 令和 6年 6月11日 :手続補足書(甲第1号証ないし甲第10号証)の提出 2 本願商標 本願商標は、「ソルボ」の片仮名を標準文字で表してなり、第10類に属する願書記載のとおりの商品を指定商品として登録出願され、その後、指定商品については、上記1の手続補正書により、第10類「整形外科用履物,整形外科用靴中敷,整形外科用靴底,整形外科用の足指セパレーター,足矯正のための靴用中敷き,医療用緩衝パッド,医療用サポーター,扁平足用サポーター,医療用靴下,弾性靴下,医療用指サック,衛生マスク,おしゃぶり,氷まくら,三角きん,支持包帯,手術用キャットガット,吸い飲み,スポイト,乳首,氷のう,氷のうつり,哺乳用具,魔法哺乳器,避妊用具,人工鼓膜用材料,補綴充てん用材料(歯科用のものを除く。),業務用超音波美顔器,業務用美容マッサージ器,家庭用超音波美顔器,家庭用電気マッサージ器,医療用手袋,しびん,病人用差込み便器,耳かき,手術着,医療診察用ガウン,患者診察用のガウン,医療用キャップ,手術用帽子,医療従事者用マスク,シラミ取り用のくし,病院用ベッド」に補正されたものである。 3 引用商標 原査定において、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして、本願の拒絶の理由に引用した国際登録第1295554号商標(以下「引用商標」という。)は、「SOLVO」の欧文字を横書きに書してなり、2015年9月1日にドイツにおいてした商標登録出願に基づきパリ条約第4条による優先権を主張して、2016年(平成28年)2月23日に国際商標登録出願され、第9類「Data processing equipment and computers for medical purposes; computer software used for controlling diagnostic and therapeutic processes in medical technical apparatus.」及び第10類「Medical lasers, medical instruments incorporating lasers; electro-medical devices for generating laser beams, surgical lasers.」を指定商品として、平成28年11月25日に設定登録され、その商標権は、現に有効に存続しているものである。 4 原査定の拒絶の理由の要旨 原査定は、(1)本願商標と引用商標は類似する商標であり、(2)本願の指定商品のうち、第10類「整形外科用履物,整形外科用靴中敷,整形外科用靴底,整形外科用の足指セパレーター,足矯正のための靴用中敷き,医療用緩衝パッド,医療用サポーター,扁平足用サポーター,医療用靴下,弾性靴下」と、引用商標の指定商品のうち、第10類「Medical lasers, medical instruments incorporating lasers; electro-medical devices for generating laser beams, surgical lasers.」は、類似の商品であるから、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当すると認定、判断したものである。 5 当審の判断 (1)本願商標について 本願商標は、「ソルボ」の片仮名を標準文字で表してなるところ、我が国の一般的な国語辞典等に載録された既成語ではなく、我が国において何らかの意味を有する語として親しまれているという事情も見いだせないことから、特定の意味合いが生じない造語と認められるものである。 したがって、本願商標は、その構成文字に相応して「ソルボ」の称呼が生じ、特定の観念は生じないものである。 (2)引用商標について 引用商標は、「SOLVO」の欧文字を横書きに書してなるところ、我が国の一般的な辞書等に載録された既成語ではなく、我が国において何らかの意味を有する語として親しまれているという事情も見いだせないことから、特定の意味合いが生じない造語と認められるものである。 したがって、引用商標は、その構成文字に相応して「ソルボ」の称呼が生じ、特定の観念は生じないものである。 (3)本願商標と引用商標の類否について 本願商標と引用商標の類否について検討するに、両商標の構成は、それぞれ上記(1)及び(2)のとおりであるところ、外観については、本願商標と引用商標は片仮名と欧文字であって文字種を異にするものの、商標の使用においては、商標の構成文字を同一の称呼が生じる範囲内で文字種を相互に変換して表記することが一般的に行われている取引の実情があることに鑑みれば、両者における文字種の相違が、看者に対し、出所識別標識としての外観上の顕著な差異として強い印象を与えるとまではいえないものである。 次に、称呼については、本願商標と引用商標は、「ソルボ」の称呼を共通にするものである。 さらに、観念については、本願商標と引用商標は、特定の観念が生じないものである。 そうすると、本願商標と引用商標とは、外観において全体の構成は異なるものの、構成文字において顕著な差異として強い印象を与えるとまではいえず、観念において比較できず、称呼を同一とするものであるから、外観、観念、称呼等によって取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すれば、両者は、相紛れるおそれのある類似の商標というべきである。 (4)本願商標の指定商品と引用商標の指定商品の類否について ア 商品の類否判断について 商標法第4条第1項第11号に規定する指定商品の類否は、取引の実情に照らし、それらの商品が通常同一営業主により製造又は販売されている等の事情により、それらの商品に同一又は類似の商標を使用するときは同一営業主の製造又は販売に係る商品と誤認混同されるおそれがあるか否かによって判断されるべきである(東京高裁平成16年7月26日判決同15年(行ケ)第456号)。 そこで、これを踏まえて、本願の指定商品中、第10類「整形外科用履物,整形外科用靴中敷,整形外科用靴底,整形外科用の足指セパレーター,足矯正のための靴用中敷き,医療用緩衝パッド,医療用サポーター,扁平足用サポーター,医療用靴下,弾性靴下」(以下「本願抵触商品」という。)と、引用商標の指定商品、第10類「Medical lasers, medical instruments incorporating lasers; electro-medical devices for generating laser beams, surgical lasers.」(参考訳「医療用レーザー機器,レーザーを組み入れた医療器具,レーザービーム発生用電気医療装置,外科用レーザー光発生装置」。以下、これらの指定商品を「引用指定商品」という。)の類否について検討する。 イ 請求人の提出に係る甲第4号証ないし甲第10号証及び当審の職権による調査(別掲)によれば、以下のとおりである。 (ア)生産部門について 本願抵触商品は、主に装具業者等が製造するものであるのに対し、引用指定商品は、主に医療機器メーカーが製造するものである。 (イ)販売部門について 本願抵触商品は、主に整形外科やインターネット等を介して装具業者が一般の需要者に販売されるものであるのに対し、引用指定商品は、専門の販売業者から医療機関に直接販売されるものである。 (ウ)原材料及び品質について 本願抵触商品の原材料は、合成樹脂等であるのに対し、引用指定商品の原材料は、金属、電子部品等である。 (エ)用途及び需要者について 本願抵触商品は、足の痛みなどを訴える一般の需要者が、日常生活において、その痛みなどを軽減するために使用するものであるのに対し、引用指定商品は、医師等の医療従事者が、病院等の医療機関において、患者の専門的な治療のために使用するものである。 (オ)完成品と部品との関係にあるかについて 本願抵触商品と引用指定商品は、完成品と部品との関係にない。 ウ 判断 上記イによれば、本願抵触商品と引用指定商品は、生産部門、販売部門、原材料及び品質、用途及び需要者の範囲において、いずれも一致するとはいえず、完成品と部品との関係にもないものである。 そうすると、本願抵触商品と引用指定商品とは、取引の実情に照らし、それらの商品が通常同一営業主により製造又は販売されている等の事情により、それらの商品に同一又は類似の商標を使用するときは同一営業主の製造又は販売に係る商品と誤認混同されるおそれがあるものということはできないから、非類似の商品とみるのが相当である。 (3)まとめ 以上のとおり、本願商標は、引用商標と類似するものであるが、本願商標の指定商品と引用商標の指定商品は類似しないものであるから、商標法第4条第1項第11号に該当しない。 したがって、本願商標と引用商標とが類似するとした原査定は、取消しを免れない。 その他、本願について拒絶の理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。 |
別掲 |
別掲1 本願抵触商品の分野における取引の実情(下線は当合議体にて付与。) (1)「茂澤メディカルクリニック南千住」のウェブサイトにおいて、「当院の医療用インソールのご案内」の見出しの下、「インソールとは?インソールとは、患者様一人ひとりに合わせて作製された靴の中敷のようなもので、足や膝の痛みとなる疾患に対して治療効果があります。靴の中に入れることで偏っていたバランスを整え、骨の並びを正しい状態に整えることが可能です。・・・当院では、株式会社神戸装具製作所のmysoleを作製することが可能です。Mysoleは、整形外科医監修のもと、義肢装具士、身体運動の専門家である理学療法士が中心となって開発された新しい概念の医療用インソールです。 https://www.mozawa-clinic.com/insole (2)「天6整形外科」のウェブサイトにおいて、「【あなたの痛みはどこから?】当院で作成できる医療用インソールについて【私は足から】」の見出しの下、「当院では、足が影響していると思われる、様々な痛みに対して、装具業者と連携しオーダーメイドの医療用インソールの作成を行っています。」 https://tenroku-orthop.com/column/1194/ (3)「はしもと整形外科リハビリクリニック」のウェブサイトにおいて、「義肢装具士と連携して装具・コルセット・インソールを作製」の見出しの下、「外反母趾や扁平足などの足の病気には、インソールを用いて足部アーチの歪みを矯正し、症状を緩和することができます。西宮市のはしもと整形外科リハビリクリニックでは、義肢装具士と連携して、装具・コルセット・インソールの作製を行っています。専任の義肢装具士による装具外来を提供し、足底圧測定機器を用いて体重のかかり具合を正確に評価して、個々の患者様の状態に合わせたメディカルインソールを提供いたします。」の記載がある。 https://hashimoto-ortho-clinic.com/orthosis/ (4)「ときわ台ときわ通りクリニック」のウェブサイトにおいて、「医療用インソール」の見出しの下、「インソールとは、靴を快適に使う目的で使用する中敷きのことです。靴の中に入れることで、足のアーチを支えてからだの傾きを修正し、正しい姿勢に導くことで足や膝の痛みの軽減効果が期待できます。・・・費用の全額をインソール製作会社にお支払い後、患者様ご自身で各保険者に申請していただき、自己負担を除いた分の費用が支給されます。 https://tokiwadai-tc.com/medical-insole/ (5)「SBC東京医療大学附属クリニック」のウェブサイトにおいて、「医療用矯正インソール」の見出しの下、「世界の「足専門医」が使用している医療用矯正インソール「Formthotics」の取り扱いを行っております。中でも当会で取り扱うメディカルモデルは、足の専門評価と熟練されたフィッティングの技術が必要となるため、国家資格者が管轄する取扱認定院でのみ購入することのできる、足の矯正をするための医療用矯正インソールです。」の記載がある。 https://clinic.sbctmu.ac.jp/care/orthopedics/insole/ (6)「Formthotics」のウェブサイトにおいて、インソールを専門に製造、販売している事実が認められる。 http://formthotics.jp/ 別掲2 引用指定商品の分野における取引の実情(下線は当合議体にて付与。) (1)「Dornier MedTech」のウェブサイトにおいて、「About Us」の見出しの下、「ドルニエメドテック(本社:独・ミュンヘン)は、泌尿器科における先端技術と画期的な治療法で広く知られている医療機器メーカーです。」の記載があり、本願抵触商品を製造、販売している事実は認められない。 https://www.dornier.com/japan/about-us/ (2)「DEKA JAPAN」のウェブサイトにおいて、「会社概要」の見出しの下、「DEKA社は創立以来、皮膚科、美容・形成外科をはじめ、泌尿器科、内視鏡外科、耳鼻科、婦人科、スポーツ医学、歯科学など、さまざまな医療分野において、最先端のレーザー技術を提供する企業として世界をリードし続けており、この度、日本市場におけるDEKA社製医療機器の普及を目的に、株式会社DEKA JAPANを設立する運びとなりました。」の記載があり、本願抵触商品を製造、販売している事実は認められない。 https://www.dekajapan.jp/company.html (3)「シネロン・キャンデラ」のウェブサイトにおいて、「ごあいさつ」の見出しの下、「シネロン・キャンデラ株式会社は、医療用レーザーの専門メーカーであるキャンデラコーポレーション(米国)の子会社として1989年9月に設立され、30年以上にわたり日本で事業を展開してきました。」の記載があり、本願抵触商品を製造、販売している事実は認められない。 https://www.candelakk.jp/about/greetings/ (4)「JMEC」のウェブサイトにおいて、「取扱い商品一覧」の見出しの下、「各種レーザー・光治療器をはじめとした医療機器から診療サポート製品まで、確かな目で開発、選定した製品をお届けします。」の記載があり、本願抵触商品を製造、販売している事実は認められない。 https://www.jmec.co.jp/showroom/ (5)「株式会社エムエムアンドニーク」のウェブサイトにおいて、「会社概要」の見出しの下、「私どもエムエムアンドニークは、常に医療現場の視点に立ち、医用レーザーを始めとする医療機器の輸入・販売・修理からクリニック開業のご支援に至るまで、お客様の様々なニーズにお応えできる総合的なサービスの提供にチャレンジしてまいりました。」の記載があり、本願抵触商品を製造、販売している事実は認められない。 https://mm-japan.co.jp/about.html (この書面において著作物の複製をしている場合の御注意) 本複製物は、著作権法の規定に基づき、特許庁が審査・審判等に係る手続に必要と認めた範囲で複製したものです。本複製物を他の目的で著作権者の許可なく複製等すると、著作権侵害となる可能性がありますので、取扱いには御注意ください。 |
審決日 | 2025-03-07 |
出願番号 | 2023063602 |
審決分類 |
T
1
8・
264-
WY
(W10)
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最終処分 | 01 成立 |
特許庁審判長 |
鈴木 雅也 |
特許庁審判官 |
滝口 裕子 小田 昌子 |
商標の称呼 | ソルボ |
代理人 | 弁理士法人はなぶさ特許商標事務所 |