【重要】サービス終了について

  • ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服 外観類似 登録しない W141835
管理番号 1421506 
総通号数 40 
発行国 JP 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2025-04-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2024-04-26 
確定日 2025-03-14 
事件の表示 商願2023− 93572拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1 手続の経緯
本願は、令和4年9月15日に出願された商願2022−107041に係る商標法第10条第1項の規定による商標登録出願(分割出願)として令和5年8月23日に出願されたものであって、その手続の経緯は以下のとおりである。
令和5年8月29日付け:拒絶理由通知書
令和5年10月16日:意見書の提出
令和6年1月26日付け:拒絶査定
令和6年4月26日:審判請求書の提出

2 本願商標
本願商標は、別掲1のとおりの構成からなり、第14類「貴金属,キーホルダー,宝石箱,記念カップ,記念たて,身飾品,宝玉及びその原石並びに宝玉の模造品,時計」、第18類「がま口口金,蹄鉄,皮革製包装用容器,愛玩動物用被服類,かばん類,袋物,傘,ステッキ,つえ,つえ金具,つえの柄,皮革」及び第35類「被服・履物・かばん類・身の回り品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,時計及び眼鏡の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,宝玉及びその模造品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」を指定商品及び指定役務として登録出願されたものである。

3 引用商標
原査定において、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして、本願の拒絶の理由に引用した登録第5592609号商標(以下「引用商標」という。)は、別掲2のとおりの構成からなり、平成24年8月31日に登録出願、第35類「織物及び寝具類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,かばん類及び袋物の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,身の回り品(「ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,腕止め」を除く。)の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,家具の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,台所用品・清掃用具及び洗濯用具の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,紙類及び文房具類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,おもちゃ・人形及び娯楽用具の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,宝玉及びその模造品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」を指定役務として、平成25年6月21日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。

4 当審の判断
(1)商標法第4条第1項第11号の該当性について
ア 本願商標と引用商標との類否について
(ア)本願商標について
本願商標は、別掲1のとおり、「al’aise」の文字の下に、「modulation」の文字(2文字目の「o」と3文字目の「d」は重ねて表されている。)を横書きしてなるところ、上段及び下段の各文字は、重なり合うことなく配置され、その書体及び大きさも異なることから、外観上、分離して看取されるものである。
そして、その構成中の「al’aise」の文字は、一般的な辞書等に掲載のない語であり、「modulation」の文字は、「抑揚。転調。変調。」(出典:「クラウン仏和辞典第4版」三省堂)等を有するフランス語であるものの、我が国においては、馴染みのある語とはいえず、一種の造語として理解されるとみるのが相当である。
また、構成する各文字は、観念上のつながりはなく、必ずしもその構成全体から生じる称呼及び観念をもって取引に資するものとはいえず、これらを分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているとはいい難い。
そうすると、本願商標は、「al’aise」及び「modulation」の各文字が独立して自他商品役務の識別標識としての機能を果たし得るといえるが、上述のとおり、構成する各文字は異なる書体で表されていることに加えて、上段の「al’aise」の文字部分は、下段の「modulation」の文字部分に比して大きく顕著に表されており、当該文字部分が強く支配的な印象を与えるものといえるから、本願商標構成中、顕著に表される「al’aise」の文字部分を要部として抽出し、引用商標と比較して商標そのものの類否を判断することも許されるというべきである。
したがって、本願商標は、その要部である「al’aise」の文字に相応して、「アレーズ」の称呼が生じ、特定の観念は生じない。
(イ)引用商標について
引用商標は、別掲2のとおり、水色で彩色された「Al’aise」の文字を筆記体風に横書きし、その下に、「‐shop‐」の文字を普通に用いられる方法で横書きしてなるところ、上段及び下段の各文字は、重なり合うことなく配置され、その書体及び大きさも異なることから、外観上、分離して看取されるものである。
そして、その構成中の「Al’aise」の文字は、一般的な辞書等に掲載のない語であり、特定の意味を想起させる語として知られていないことからすれば、特定の意味を認識させない一種の造語として理解されるというのが相当である。
また、構成中の「shop」の文字は、「ショップ」の欧文字表記であって、「商店。小売店。」(出典:株式会社小学館「デジタル大辞泉」)の意味を有する平易な語として、我が国において、広く一般に親しまれており、引用商標の指定役務を取り扱う業界においては、役務の出所識別標識としての機能がないか、極めて弱いものといえるから、これらを分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているとはいい難い。
さらに、上述のとおり、引用商標構成中の「Al’aise」及び「‐shop‐」の各文字は、異なる書体で表されていることに加えて、上段の「Al’aise」の文字部分は、下段の「‐shop‐」の文字部分に比して大きく顕著に表されていることも踏まえれば、当該文字部分が強く支配的な印象を与えるものといえるから、引用商標構成中、顕著に表される「Al’aise」の文字部分を要部として抽出し、本願商標と比較して商標そのものの類否を判断することも許されるというべきである。
したがって、引用商標は、その要部である「Al’aise」の文字に相応して、「アレーズ」の称呼が生じ、特定の観念は生じない。
(ウ)本願商標と引用商標との類否について
本願商標と引用商標は、それぞれ上記(ア)及び(イ)のとおりの構成よりなるところ、両商標は、その全体の外観構成において相違するものの、本願商標の要部である「al’aise」の文字と、引用商標の要部である「Al’aise」の文字とを比較すると、両者は「a(A)」の文字が、大文字又は小文字という差異を有するとしても、いずれも語頭から語尾までの「al’aise(Al’aise)」の全てのつづりを共通にするものであるから、外観上近似した印象を与える。
次に、称呼においては、本願商標の要部である「al’aise」の文字と、引用商標の要部である「Al’aise」の文字は、いずれも「アレーズ」の称呼を生じることから、両者は、「アレーズ」の称呼を共通にする。
そして、観念においては、本願商標の要部である「al’aise」と引用商標の要部である「Al’aise」は、いずれも特定の観念を生じないものであるから、観念上、比較することができない。
以上からすると、本願商標の要部である「al’aise」と引用商標の要部である「Al’aise」は、観念において比較することができないとしても、「アレーズ」の称呼を共通にし、外観上近似した印象を与えるものであるから、外観、観念、称呼等によって取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すれば、両者は、相紛れるおそれのある類似の商標というのが相当である。
イ 本願商標の指定商品及び指定役務と引用商標の指定役務の類否について
本願商標の指定商品中の第14類「宝石箱」は、引用商標の指定役務中の第35類「家具の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」と、本願商標の指定商品中の第14類「身飾品」は、引用商標の指定役務中の第35類「身の回り品(「ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,腕止め」を除く。)の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」と、本願商標の指定商品中の第14類「宝玉及びその原石並びに宝玉の模造品」は、引用商標の指定役務中の第35類「宝玉及びその模造品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」と、本願商標の指定商品中の第18類「かばん類,袋物」は、引用商標の指定役務中の第35類「かばん類及び袋物の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」、本願商標の指定商品中の第18類「傘,ステッキ,つえ,つえ金具,つえの柄」は、引用商標の指定役務中の第35類「身の回り品(「ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,腕止め」を除く。)の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」とは、当該便益の提供とその取扱商品という関係にあるため、商品の製造・販売と役務の提供が同一の事業者によって行われるのが一般的であり、役務の提供場所と商品の販売場所が一致し、需要者の範囲を共通にするものであるから、両者は類似するものである。
そして、本願商標の指定役務中の第35類「被服・履物・かばん類・身の回り品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」は、引用商標の指定役務中の第35類「織物及び寝具類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,かばん類及び袋物の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,身の回り品(「ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,腕止め」を除く。)の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」と、本願商標の指定役務中の第35類「宝玉及びその模造品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」は、引用商標の指定役務中の第35類「宝玉及びその模造品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」と同一又は類似の役務である。
ウ 小括
以上によれば、本願商標は、引用商標と類似する商標であって、かつ、その指定商品及び指定役務は引用商標の指定役務と同一又は類似する役務であるから、商標法第4条第1項第11号に該当する。
(2)請求人の主張について
ア 請求人は、本願商標及び引用商標の実際の使用状況によれば、これらはそれぞれ一連一体の商標と認識されるから、非類似の商標である旨主張する。
しかしながら、商標の類否判断に当たり考慮することのできる取引の実情とは、その指定商品全般についての一般的、恒常的なそれを指すものであって、単に該商標が現在使用されている商品についてのみの特殊的、限定的なそれを指すものではない(最高裁昭和47年(行ツ)第33号)旨判示され、指定役務についても同様に理解されるところ、請求人又は引用商標権者が、実際にどのような商標を使用しているかといった事情は、指定商品又は指定役務全般についての一般的、恒常的な実情とはいえないから、これを取引の実情として商標の類否判断に当たり考慮することはできない。
イ 請求人は、本願商標の上段「al’aise」と引用商標の上段「A l’aise」が直ちに意味合いを看取されることができない場合も考慮すると、外観が需要者・取引者に対し与える印象は強く、両商標は、その上段のみを比較したとしても、外観が著しく相違し、これにより互いに別異の出所を表示するものと需要者が認識できるものであることから、本願商標は外観、称呼及び観念のいずれの点においても引用商標とは混同を生じない非類似の商標である旨主張する。
しかしながら、上記(1)のとおり、本願商標の要部である「al’aise」と引用商標の要部である「Al’aise」は、「アレーズ」の称呼を共通にするものであり、また、語頭において大文字と小文字の差異を有するものの、つづりを共通にし、外観上近似した印象を与えるものであるから、外観、観念、称呼等によって取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すれば、両者は、相紛れるおそれのある類似の商標というのが相当である。
ウ 請求人は、過去の登録例を挙げて、本願商標も同様に判断されるべきである旨主張する。
しかしながら、登録出願に係る商標が商標法第4条第1項第11号に該当するか否かは、登録出願に係る商標と他人の登録商標との対比において、個別具体的に判断されるべきものであるところ、本願商標についての判断は、上記(1)のとおりであるから、請求人が挙げる登録例をもって本願商標の上記判断が左右されるものではない。
エ したがって、請求人の上記主張は、いずれも採用することはできない。
(3)まとめ
以上のとおり、本願商標は、商標法第4条第1項第11号に該当するものであるから、これを登録することができない。
よって、結論のとおり審決する。


別掲

別掲1 本願商標


別掲2 引用商標(色彩は原本を参照。)



(行政事件訴訟法第46条に基づく教示)
この審決に対する訴えは、この審決の謄本の送達があった日から30日(附加期間がある場合は、その日数を附加します。)以内に、特許庁長官を被告として、提起することができます。
(この書面において著作物の複製をしている場合の御注意)
本複製物は、著作権法の規定に基づき、特許庁が審査・審判等に係る手続に必要と認めた範囲で複製したものです。本複製物を他の目的で著作権者の許可なく複製等すると、著作権侵害となる可能性がありますので、取扱いには御注意ください。
審理終結日 2024-12-11 
結審通知日 2024-12-17 
審決日 2025-01-17 
出願番号 2023093572 
審決分類 T 1 8・ 261- Z (W141835)
最終処分 02   不成立
特許庁審判長 大島 康浩
特許庁審判官 大塚 正俊
小林 裕子
商標の称呼 アレーズモジュレーション、アレーズモデュレーション、アレーズ、モジュレーション、モデュレーション 
代理人 弁理士法人筒井国際特許事務所 

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ