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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 W32
管理番号 1420588 
総通号数 39 
発行国 JP 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2025-03-28 
種別 異議の決定 
異議申立日 2024-03-28 
確定日 2024-12-26 
異議申立件数
事件の表示 登録第6772418号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第6772418号商標の商標登録を維持する。
理由 第1 本件商標
本件登録第6772418号商標(以下「本件商標」という。)は、「SAKASUKI」の文字を標準文字により表してなり、令和5年8月18日に登録出願、第32類「ビール,クラフトビール,ビールをベースとするカクテル,ビール風味のアルコール分を1%未満含有してなる清涼飲料,清涼飲料,ビール製造用ホップエキス,ビール醸造用冷凍ホップ,ビール製造用麦芽汁,麦芽汁」を指定商品として、同6年1月4日に登録査定され、同月22日に設定登録されたものである。

第2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が登録異議の申立ての理由において引用する商標は、以下の2件の登録商標であり、いずれも現に有効に存続しているものである。
1 登録第5462455号商標の2(以下「引用商標1」という。)は、別掲のとおりの構成からなり、平成23年5月16日に登録出願、同24年1月13日に設定登録された登録第5462455号商標の商標権の分割に係るものであって、同28年1月13日を受付日とする商標権の分割移転の登録がされた結果、第32類「ビール,ミネラルウォーター,炭酸水,果実飲料,シロップ,アルコール分を含まない飲料,飲料製造用調製品」を指定商品とするものである。
2 登録第5462455号商標の1(以下「引用商標2」という。)は、別掲のとおりの構成からなり、平成23年5月16日に登録出願、同24年1月13日に設定登録された登録第5462455号商標の商標権の分割に係るものであって、同28年1月13日を受付日とする商標権の分割移転の登録がされた結果、第30類「茶,代用コーヒー,コーヒー及びココア」を指定商品とするものである。
なお、上記の引用商標1及び引用商標2をまとめていうときは、以下、「引用商標」という。

第3 登録異議の申立ての理由
申立人は、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号及び同項第15号の規定に該当するにもかかわらず登録されたものであるから、同法第43条の2第1項第1号により、その登録を取り消されるべきである旨申し立て、その理由を以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第9号証を提出した。
1 申立人は、2001年6月にトルコ共和国(以下「トルコ」という。)に設立された飲料品製造会社であり、2016年に日本のダイドー(DyDo)グループの一員となって以来、トルコの豊富な若年層人口と消費者の健康志向の高まりを背景として、「Saka(サカ)」ブランドのミネラルウォーターを中心に順調に業績を拡大している。「Saka」は、トルコの国営航空会社の機内でも提供される等、トルコ北西部のサカリヤで採水された軟水でまろやかな味わいが特長の、トルコ国内飲料メーカーの中で最も認知されているミネラルウォーターのブランドであり、申立人の2019年ないし2021年の3年間のトルコにおける各年の売上高は、コロナウイルス感染拡大の影響があったとはいえ、それぞれ、約153億円、144億円及び110億円に及び(甲4)、「Saka」ブランドのミネラルウォーターは、我が国でも、2024年5月から販売が開始されている(甲5)。
申立人の製造販売に係る「Saka」ブランドの飲料水は、本国トルコのみならず、我が国においても取引者、需要者により広く知られた存在である(甲6~甲8)。
2 本件商標の商標法第4条第1項第11号及び/又は同項第15号該当性について
本件商標と引用商標の指定商品は上記の第1、第2の1及び2のとおりであり、本件商標の指定商品の大半が引用商標の指定商品と同一又は類似の関係にある。
次に、本件商標は、標準文字により「SAKASUKI」と構成されているが、本件商標はクラフトビールのブランドとして使用されており、取引の実際においては、若干図案化された欧文字の「SAKA」と「SUKI」が二段に併記された態様で使用されている(甲9)。
上記の本件商標の実際の使用態様を考慮すると、本件商標については「SAKA」の部分も本件商標の要部として独立して把握、認識され得るため、本件商標と引用商標は、欧文字「SAKA」を共通とし、また、欧文字「SAKA」から生ずる称呼「サカ」を共通とする相互に類似する商標と考えるのが極めて妥当である。
よって、本件商標は、引用商標との関係において商標法第4条第1項第11号に該当する。
また、仮に、本件商標と引用商標が類似する関係にあるとはいえない場合でも、本件商標の指定商品である「ビールやビールに関連する商品」について、実際の使用態様においてその外観や称呼が引用商標と極めて近い関係にある。
すなわち「SAKA」を要部とすると把握、認識され得る本件商標に接する我が国の取引者、需要者は、本件商標に係る指定商品があたかも本件商標の登録出願前から我が国の取引者、需要者により広く知られている申立人の「Saka」ブランドの飲料品又はその関連する商品であるかのごとく商品の出所について混同するおそれがあるか、あるいは、申立人と経済的又は組織的に何等かの関係がある者の業務に係る商品であると誤認した結果、商品の出所について混同するおそれがあるといわざるをえない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。

第4 当審の判断
1 商標法第4条第1項第11号該当性について
(1)本件商標について
本件商標は、「SAKASUKI」の文字を標準文字で表してなるところ、その構成各文字は、同書、同大、等間隔でまとまりよく一体的に表されているものである。
また、該文字は、辞書等に載録されている成語ではなく、直ちに何らかの意味合いを理解させるものではないから、一種の造語として認識されるものであり、このような特定の語義を有しない欧文字からなる商標を称呼するときは、我が国で広く親しまれている英語風又はローマ字風の読みをもって称呼されるのが一般的といえることよりすれば、該文字からは「サカスキ」の称呼を生じるものとみるのが相当である。また、当該称呼は、よどみなく一連に称呼し得るものである。
そうすると、本件商標に係る構成及び称呼においては、本件商標に接する取引者、需要者が、殊更、その構成中の「SAKA」の文字部分のみに着目するということはなく、構成文字全体をもって把握するとみるのが相当である。
したがって、本件商標からは、「サカスキ」の称呼のみを生じ、特定の観念を生じないものである。
(2)引用商標について
引用商標は、別掲のとおり、濃淡のある青色で塗りつぶされた楕円、水色の楕円、緑色とオレンジ色の曲線、緑色とオレンジ色のグラデーションで塗りつぶされた蝶型図形を表し、これら図形と一部重なるように、ややデザイン化された「SaKa」の欧文字を青色で表してなり、構成全体として、まとまり良く一体的に表されているものである。
そして、引用商標の構成中、「SaKa」の文字部分は、辞書等に載録されている成語ではなく、直ちに何らかの意味合いを理解させるものではないから、一種の造語として認識されるものであり、このような特定の語義を有しない欧文字からなる商標を称呼するときは、我が国で広く親しまれている英語風又はローマ字風の読みをもって称呼されるのが一般的といえることよりすれば、引用商標からは「サカ」の称呼を生じるものとみるのが相当である。
したがって、引用商標は、その構成文字部分に相応して「サカ」の称呼を生じ、特定の観念を生じない。
(3)本件商標と引用商標との類否について
ア 外観について
本件商標と引用商標の構成は、上記(1)及び(2)のとおり、本件商標は、「SAKASUKI」の欧文字のみからなるのに対し、引用商標は、図形とややデザイン化された「SaKa」の欧文字を組み合わせた構成からなるところ、構成全体の外観において、図形部分の有無等、両商標は明らかに区別できるものである。
また、本件商標の「SAKASUKI」の欧文字と、引用商標を構成する「SaKa」の欧文字部分を比較すると、冒頭の4文字を共通にするものの、2文字目と4文字目における大文字と小文字の差異及び5文字目以降の「SUKI」の文字の有無の他、書体の相違、色彩の有無において、両者は明らかに区別できる。
そうすると、本件商標と引用商標は、全体の外観は明らかに区別できるものであり、また、欧文字部分の比較においても明らかに区別できるものであるから、両商標の外観は、相紛れるおそれはない。
イ 称呼について
本件商標から生じる「サカスキ」の称呼と引用商標から生じる「サカ」の称呼は、語頭の「サカ」の音を共通にするとしても、本件商標の語尾における「スキ」の音の有無に差異を有しており、2音と4音という構成音数が短い称呼の比較においては、これらの称呼を一連に称呼すると、語調、語感が明らかに相違することから、明瞭に聴別でき、称呼において相紛れるおそれはない。
ウ 観念について
本件商標及び引用商標は、ともに特定の観念は生じないから、観念において比較することができない。
エ まとめ
上記アないしウのとおり、本件商標と引用商標とは、観念において比較できないとしても、外観及び称呼において相紛れるおそれのないことから、これらを総合的に勘案すれば 、非類似の商標というのが相当である。
(4)申立人の主張について
申立人は、本件商標は取引の実際において、若干図案化された欧文字の「SAKA」と「SUKI」が二段に併記された態様で使用されており(甲9)、本件商標の実際の使用態様を考慮すると、本件商標については「SAKA」の部分も本件商標の要部として独立して把握、認識され得るため、本件商標と引用商標は、欧文字「SAKA」を共通とし、また、欧文字「SAKA」から生ずる称呼「サカ」を共通とする相互に類似する商標である旨主張する。
しかしながら、上記(3)エのとおり、本件商標と引用商標は非類似の商標であると判断するのが相当であることに加え、「登録商標の範囲は、願書に記載した商標に基づいて定めなければならない。」(商標法第27条第1項)と規定されていることからすると、商標の類否については、願書に記載されたそれぞれの商標に基づいて判断すべきと解するのが相当であるから、本件商標の商標権者が「SAKA」と「SUKI」の二段に併記した態様で使用しているとしても、そのことが本件商標と引用商標の類否判断に影響を及ぼすことはない。
したがって、申立人の上記主張は採用することができない。
(5)小括
本件商標は、上記(3)エのとおり、引用商標と非類似の商標というのが相当であるから、本件商標の指定商品と引用商標の指定商品の類否について判断するまでもなく 、商標法第4条第1項第11号に該当しない。
2 商標法第4条第1項第15号該当性について
(1)引用商標の周知性について
申立人は、2001年6月にトルコに設立された飲料品製造会社であり、2016年に日本のダイドー(DyDo)グループの一員となっており、申立人の2019年ないし2021年の3年間のトルコにおける各年の売上高は、それぞれ、約153億円、144億円及び110億円であること(甲4)、そして、「Saka」ブランドのミネラルウォーターが、我が国で、2024年5月から販売が開始されている(甲5)ことがうかがえる。
しかしながら、申立人主張の2019年ないし2021年の3年間の売上高は、トルコにおけるものであり、かつ、それを裏付ける証拠は見いだせないから、その金額を採用することはできない。
また、申立人が我が国において、「Saka」ブランドのミネラルウォーターの販売を開始したのは、本件商標の登録出願時の僅か3ヶ月程度前の2024年5月のことであり、また、引用商標の使用開始時期も不明である。
そして、引用商標を表示した商品の我が国での売上高、販売量などの販売実績及び広告宣伝の期間、規模、頻度等など、その周知、著名性を数量的に判断し得る具体的な証拠は提出されていないから、引用商標が、一般需要者にどの程度認識されるに至ったかうかがい知ることはできない。
その他、申立人の提出に係る甲各号証を総合してみても、引用商標が、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、我が国の取引者、需要者の間で、申立人の業務に係る商品を表示するものとして広く認識されていたと認めるに足りる事実は見いだせない。
したがって、申立人の主張及び同人が提出した証拠によっては、引用商標の周知性を立証する証拠としては不十分なものといわざるを得ない。
したがって、引用商標は、申立人の業務に係る商品を表示するものとして、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、我が国の需要者の間に広く認識されていたものと認めることはできないものである。
(2)出所の混同のおそれについて
上記(1)のとおり、引用商標は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の業務に係る商品を表示する商標として、我が国の需要者の間において、広く認識されていたものとは認めらないものである。
そして、上記1(3)エのとおり、本件商標は、引用商標と相紛れるおそれのない非類似の商標である。
そうすると、本件商標は、これをその指定商品に使用しても、需要者が引用商標を連想又は想起することはなく、その商品が申立人又は申立人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのように、商品の出所について混同を生じるおそれがある商標とはいえない。
その他、本件商標が商品の出所について混同を生じさせるおそれがあるというべき事情を見いだすこともできない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。
3 むすび
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号及び同項第15号のいずれにも違反してされたものとはいえないから、同法第43条の3第4項の規定により、維持すべきである。
よって、結論のとおり決定する。

別掲

別掲
引用商標1及び引用商標2(色彩は原本参照)



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異議決定日 2024-12-17 
出願番号 2023091885 
審決分類 T 1 651・ 261- Y (W32)
最終処分 07   維持
特許庁審判長 大森 友子
特許庁審判官 鯉沼 里果
小俣 克巳
登録日 2024-01-22 
登録番号 6772418 
権利者 AnyMind Japan株式会社
商標の称呼 サカスキ 
代理人 外川 奈美 
代理人 青木 篤 
代理人 大橋 啓輔 

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