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審決分類 審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない W03
管理番号 1420515 
総通号数 39 
発行国 JP 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2025-03-28 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2024-06-04 
確定日 2025-01-27 
事件の表示 上記当事者間の登録第6115020号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第6115020号商標(以下「本件商標」という。)は、「UZU」の文字を標準文字で表してなり、平成30年7月26日に登録出願、第3類「せっけん類,化粧品,歯磨き」及び第11類「美容用又は衛生用の家庭用電熱用品類」を指定商品として、同31年1月18日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。
そして、本件審判の請求の登録日は、令和6年6月19日である。
なお、本件審判において、商標法第50条第2項に規定する「その審判の請求の登録前3年以内」とは、令和3年(2021年)6月19日ないし同6年(2024年)6月18日である(以下「要証期間」という場合がある。)。

第2 請求人の主張
請求人は、本件商標の指定商品中、第3類「全指定商品」についての登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証及び甲第2号証を提出した。
1 請求の理由
本件商標は、その指定商品中、第3類「全指定商品」(以下「請求に係る指定商品」という。)について、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存しないから、その登録は商標法第50条第1項の規定により取消されるべきものである。
2 答弁に対する弁駁
請求人は、下記第3の被請求人の答弁に対し、何ら弁駁していない。

第3 被請求人の答弁
被請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第23号証(枝番号を含む。)を提出した。
1 本件商標は、商標法第2条第3項第8号の規定にいう広告的な使用がされていること
(1)自社ウェブサイトにおける本件商標の広告的使用
ア 本件商標権者(被請求人)は、現在に至るまで要証期間を含む5年以上にわたり、自社のウェブサイトにおいて、本件商標と社会通念上同一の標章を顕著に表し、そのもとで「アイライナー」や「マスカラ」等の「化粧品」を一般消費者に向け販売してきていることから、それらの商品の広告を内容とする情報に本件商標と社会通念上同一の標章を付して電磁的方法により需要者に提供している。また、各商品にも本件商標と社会通念上同一の標章が表されている。
当該ウェブサイトの最下欄には、本件商標権者の英語表記である「FLOWFUSHI,Inc.」が記載されており、「特定商取引法に基づく表記」のページには本件商標権者の名称・住所が記載されており、このウェブサイトが本件商標権者の運営に係るものであることが明らかである(乙1)。
イ 要証期間内においては、たとえば、令和5年(2023年)6月20日時点の本件商標権者のウェブサイトが、インターネット上のウェブサイトのアーカイブ業者であるWayback Machineのウェブサイトにおいて記録されている。
このウェブサイトにおいても、本件商標と社会通念上同一の標章がウェブサイトのトップに表され、そのもとで「アイライナー」や「マスカラ」等の商品が価格を明記して販売のために広告され、ページ末には被請求人の英語表記である「FLOWFUSHI,Inc.」が記載されている(乙2)。
令和5年(2023年)6月20日の「特定商取引法に基づく表記」は記録されていないが、それに近い日の同年3月23日時点のものが記録されており(乙3)、乙第1号証の「特定商取引法に基づく表記」も併せ考えると、このウェブサイトが本件商標権者の運営に係るものであることが明らかである。
(2)商品のプレスリリースにおける本件商標の広告的使用
ア 本件商標権者は、企業のプレスリリース及びニュースリリースを有償で配信・掲載するウェブ上の広告媒体「PR Times」において、本件商標と社会通念上同一の標章の下で販売されている商品「アイライナー」がリニューアルされ令和5年(2023年)4月25日から全国販売が開始される旨のプレスリリースを、同年1月24日に行っている(乙4)。
このプレスリリースは、本件商標権者が「PR Times」に掲載料を支払って行ったものであり、そこに掲載された写真によれば、商品包装に本件商標と社会通念上同一の標章が付されているのが認められる。
このプレスリリースの内容と整合するウェブ上の記事も複数存在しており(乙5、乙6)、上記プレスリリースが実際に行われたことが裏づけられる。
イ 本件商標権者は、「PR Times」において、本件商標と社会通念上同一の標章の下で販売されている商品「マスカラ」がリニューアルされ令和5年(2023年)8月28日から全国販売が開始される旨のプレスリリースを、同月23日に行っている(乙7)。このプレスリリースは、本件商標権者が「PR Times」に掲載料を支払って行ったものであり、そこに掲載された商品写真において、商品の近傍に本件商標「UZU」と社会通念上同一の標章が表示されているのが認められる。
このプレスリリースの内容と整合するウェブ上の記事も複数存在しており(乙8〜乙12)、上記プレスリリースが実際に行われたことが裏づけられる。
(3)雑誌及びその関連ウェブサイトにおける本件商標の広告的使用
雑誌「VoCE[ヴォーチェ]」の2023年12月号(令和5年(2023年)10月20日発売)の表紙、第16頁、第26頁、第27頁、第204頁には、本件商標と社会通念上同一の標章が表示された商品「マスカラ」の広告が掲載されている(乙13)。その雑誌広告に先だって行われた令和5年(2023年)8月21日に掲載の同雑誌のウェブ版広告(乙14)には、商品紹介ページも含まれている。
これらの雑誌広告及びウェブ広告は、いわゆるタイアップ広告と言われるもので、雑誌による紹介記事の体を取っているものの、実際は、商品のメーカー(本件商標権者)が雑誌社に対し広告料の支払いと商品現物の提供を行う形で対価の負担をし、雑誌社に記事を掲載してもらっており、これらは本件商標権者が主体的に行っている広告である(乙15)。
乙第15号証の請求書2枚目の請求明細には「Webタイアップ広告」とのみ記載されているが、雑誌広告の方は雑誌の付録商品が広告の対価として本件商標権者により負担されているため、実際には、ウェブ広告と雑誌広告の双方の対価がパッケージでメーカー(本件商標権者)から雑誌社に支払われており、このような形態の雑誌広告掲載は現在では業界慣行となっている。
(4)商品リーフレットの配布による本件商標の広告的使用
令和5年(2023年)2月1日に本件商標権者によって発行された商品リーフレット(乙16、乙17)は、本件商標と社会通念上同一の標章の下で販売されている商品「アイライナー」の販促用のもので、主にイベント開催時やSNSインフルエンサーヘの配布に使われている。このリーフレットは蛇腹折り(三つ折り)のもので、表紙には本件商標と社会通念上同一の標章が表示され、その他の頁には本件商標と社会通念上同一の標章の付された商品写真と商品紹介が記載されている。
(5)小括
上述の乙第1号証ないし乙第17号証によれば、商標法第2条第3項第8号にいう、商品に関する広告に標章を付して頒布し、又はこれを内容とする情報に標章を付して電磁的方法により提供したことが明らかである。
2 商標法第2条第3項第2号の規定にいう譲渡等の使用がされていること
(1)本件商標権者が商品の卸売業者である「株式会社PALTAC」(乙19)に、令和5年(2023年)7月1日から同月29日にかけて、商品を納入販売した際の納品書写し(乙18)に表れた商品「オープニングライナー」は、その販売時期から分かるように、乙第2号証のウェブサイト及び乙第4号証のプレスリリースに掲載の商品「アイライナー」である。
また、納品書に表れた「九州」、「横浜」、「近畿」、「埼玉」、「西関東」、「高槻」という地名の入った納品先から分かるように、この商品は関東から九州までの広い地域に卸売されており、それが各地の一般消費者に小売販売されていたことが推認できる。
本件商標権者が「株式会社PALTAC」に対して発行した令和5年(2023年)8月1日付の請求書写し(乙20)の内容は、乙第18号証と整合している。
本件商標権者の銀行の預金通帳表紙写し(乙21)及び同銀行の入金明細の照会結果(乙22)によると、この請求費用は、令和5年(2023年)8月31日に「株式会社PALTAC」から振り込まれたことが認められ、本件商標権者と同社との間に、納品書(乙18)に係る取引が実在したことが分かる。
なお、請求金額と入金額との間には、770円の差額があるが、これは振込元の「株式会社PALTAC」が銀行振込手数料分を差し引いた金額を振り込んだことによる。
(2)ビジネス用のメッセージングアプリ「SLACK」において、本件商標権者が社内の情報を共有するために運用しているページの印刷資料(乙23)によれば、要証期間内である令和5年(2023年)10月18日に小売店であるビックカメラ新横浜店において、同月20日にアットコスメトーキョーにおいて、同年11月29日に大井町ロフト、ドンキホーテ新宿東口店、サンドラッグケアラ渋谷店において、本件商標と社会通念上同一の標章が大きく表示された状態で、上記の乙各号証に表れた本件商標権者の製造販売に係る商品「化粧品」が、一般消費者に小売販売されるために陳列され、譲渡のための展示がされていたことが認められる。
(3)小括
上述の乙第17号証ないし乙第23号証、そして乙第2号証及び乙第4号証等によれば、商標法第2条第3項第2号にいう、商品又は商品の包装に標章を付したものを譲渡し、引渡し、譲渡若しくは引渡しのために展示したことが明らかである。

第4 当審の判断
1 被請求人が提出した証拠及び同人の主張によれば、以下の事実が認められる。
(1)2024年(令和6年)8月6日において、本件商標権者は、同人のウェブサイトに「UZU」の文字の下「UZU」の文字を包装容器に付した「EYE OPENING LINER PASTEL PURPLE」の商品名の商品、マスカラ等を掲載している(乙1)。
(2)Wayback Machineのアーカイブによれば、2023年(令和5年)6月20日に提供されたウェブサイトにおいて「UZU」の文字(別掲、以下「使用商標」という。)の下、使用商標を包装容器に付した「EYE OPENING LINER PASTEL PURPLE アイライナー」(以下「使用商品」という。)等の商品が掲載されており、当該ウェブサイトの最下部には「FLOWFUSHI.Inc.」の表示があるところ(乙2)、当該表示は、本件商標権者の「特定商取引法に基づく表記」のページ(乙1の5)の最下部における欧文字表記と同じことから、本件商標権者の英語表記と認められる。
(3)2023年(令和5年)1月24日付けの「PR TIMES」のプレスリリース(乙4)には、本件商標権者が「UZU EYE OPENING LINER」とする商品を同年3月24日より公式オンラインストア及び一部バラエティショップにおいて先行発売する旨の記事が掲載されている。
また、当該プレスリリースに掲載されている写真は、乙第2号証のウェブサイトに掲載されている写真と同一視できるものである。
2 上記1の認定事項に基づき、以下判断する。
(1)本件商標と使用商標の社会通念上の同一性について
本件商標は、上記第1のとおり「UZU」の文字を標準文字で表したものである。
他方、使用商標は、別掲のとおり、色彩は異なるものの「UZU」の文字をゴシック体様で表したものである。
そうすると、本件商標と使用商標は、色彩が相違するものの書体にのみに変更を加えた同一の文字からなる商標であって、使用商標は本件商標と社会通念上同一の商標と認められる。
(2)使用商品について
使用商標の下に表示されている「EYE OPENING LINER PASTEL PURPLE アイライナー」(使用商品)はその商品名より「アイライナー」であり、当該アイライナーは請求に係る指定商品中の第3類「化粧品」の範ちゅうの商品と認められる。
(3)使用商標の使用者について
使用商標と使用商品が掲載されているウェブサイトの提供者は当該ウェブサイトの最下部の「FLOWFUSHI.Inc.」の表示より本件商標権者と認められるから、使用商標の使用者は本件商標権者である。
(4)商標の使用及び使用時期について
本件商標権者は、使用商標と共に請求に係る指定商品中の第3類「化粧品」の範ちゅうに含まれる「アイライナー」をウェブサイトに掲載して、電磁的方法により提供したものであるところ、当該行為は商品の広告に使用商標を付して、電磁的方法により提供する行為であると認められる。
そして、乙第2号証はWayback Machineのアーカイブに係るウェブサイトであって、当該アーカイブの日付である2023年(令和5年)6月20日に印刷されたものではないものの、同日付の前の同年3月24日に、使用商品とほぼ同じ商品名である「UZU EYE OPENING LINER」とする商品が販売され、その販売を告知するニュースリリースにおいて乙第2号証に表示された写真と同一視できる写真が掲載されたこと、使用商品は要証期間後の2024年(令和6年)8月6日においても本件商標権者のウェブサイトに掲載されていることを踏まえれば、当該アーカイブの日付において当該ウェブサイトが需要者に提供されていたといえるものである。
そして、当該アーカイブの日付である2023年(令和5年)6月20日は要証期間である。
また、当該ウェブサイトは日本語で記載されており、日本国内の使用が明らかである。
(5)小括
以上によれば、本件商標権者は要証期間に日本国内において、請求に係る指定商品中の化粧品に含まれる「アイライナー」が掲載された広告に、本件商標と社会通念上同一の商標を付して電磁的方法により提供したものと認められる。
本件商標権者の上記行為は、商標法第2条第3項第8号の「商品に関する広告に標章を付して電磁的方法により提供する行為」に該当する。
3 まとめ
以上のとおり、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、本件商標権者が本件審判の請求に係る指定商品に含まれる「アイライナー」について、本件商標と同一又は社会通念上同一と認められる商標を使用していたことを証明したというべきである。
したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により、取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。

別掲
別掲 使用商標(色彩は乙2を参照。)


(行政事件訴訟法第46条に基づく教示) この審決に対する訴えは、この審決の謄本の送達があった日から30日(附加期間がある場合は、その日数を附加します。)以内に、この審決に係る相手方当事者を被告として、提起することができます。 (この書面において著作物の複製をしている場合の御注意) 本複製物は、著作権法の規定に基づき、特許庁が審査・審判等に係る手続に必要と認めた範囲で複製したものです。本複製物を他の目的で著作権者の許可なく複製等すると、著作権侵害となる可能性がありますので、取扱いには御注意ください。
審理終結日 2024-12-02 
結審通知日 2024-12-05 
審決日 2024-12-18 
出願番号 2018095676 
審決分類 T 1 32・ 1- Y (W03)
最終処分 02   不成立
特許庁審判長 高野 和行
特許庁審判官 大森 友子
小俣 克巳
登録日 2019-01-18 
登録番号 6115020 
商標の称呼 ウズ、ユウゼットユウ 
代理人 弁理士法人あい特許事務所 
代理人 鮫島 武信 

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