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審決分類 審判 査定不服 外観類似 登録しない W3537
管理番号 1419489 
総通号数 38 
発行国 JP 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2025-02-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2024-06-05 
確定日 2025-01-09 
事件の表示 商願2022− 97750拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1 手続の経緯
本願は、令和4年8月24日の出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
令和4年10月12日付け:拒絶理由通知書
令和4年11月22日 :意見書、手続補正書の提出
令和5年 2月20日付け:拒絶理由通知書
令和5年 4月10日 :意見書の提出
令和6年 3月 5日付け:拒絶査定
令和6年 6月 5日 :審判請求書、手続補正書の提出

2 本願商標
本願商標は、別掲1のとおりの構成よりなり、第9類、第35類、第36類、第37類、第39類、第41類及び第43類に属する願書に記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として登録出願され、その後、本願の指定役務は、原審及び当審における上記1の手続補正書により、最終的に、第35類「自動車の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」及び第37類「自動車の修理又は整備」に補正されたものである。

3 原査定の拒絶の理由(要旨)
原査定において、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして、本願の拒絶の理由に引用した登録第5865996号商標(以下「引用商標」という。)は、「TAG」の欧文字と「タッグ」の片仮名を上下二段に書してなり、平成28年1月15日登録出願、第12類「自動車用窓ガラス,自動車用風防ガラス,その他の自動車用ガラス,自動車並びにその部品及び附属品,二輪自動車並びにその部品及び附属品,陸上の乗物用の動力機械(その部品を除く。),陸上の乗物用の機械要素,自動車用盗難防止装置」及び第37類「自動車のガラスの交換,自動車のガラスの補修又は修理,自動車の窓に対するフィルムの施工,自動車の車体・ガラスの撥水加工・ポリマー加工・ワックスがけ等のコーティング処理,盗難防止用に自動車のガラスに車台番号を刻印する施工」を指定商品及び指定役務として、平成28年7月15日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。

4 当審の判断
(1)商標法第4条第1項第11号該当性について
ア 本願商標について
本願商標は、別掲1のとおり、上段に幾何学的模様からなる図形(以下「図形部分」という。)を配し、下段に「TAG」の欧文字(以下「文字部分」という場合がある。)を普通に用いられる域を脱しない書体で横書きに表した構成よりなるものである。
そして、上段に配された図形部分は、これに接する取引者、需要者をして、直ちに特定の文字又は事物を表したものであると認識させるものではなく、特段の称呼及び観念を生じないものである。
また、下段の文字部分は、我が国においては、「荷札。値札。」を意味する「タグ(TAG)」又は「タッグ‐マッチの略。二人が組みになること。」を意味する「タッグ(TAG)」を想起させるものといえるから(出典:株式会社岩波書店「広辞苑 第七版」)、図形部分と文字部分とが一体となって特定の文字又は事物を表すものと認識されるものではない。
さらに、図形部分と文字部分は、間隔を空けて配置され、視覚的に分離して認識、把握されるのみならず、他にこれらを常に一体不可分のものとして把握しなければならない特段の事情を見いだすことのできないものであるから、それぞれが独立して自他役務の識別標識としての機能を果たし得るものとみるのが相当であって、本願商標の構成中、「TAG」の文字部分を要部として抽出し、これを引用商標と比較して、商標そのものの類否を判断することも許されるというべきである。
そうすると、本願商標は、その構成中の要部の一つである「TAG」の文字部分(以下「本願商標の要部」という。)に相応して、「タグ」、「タッグ」又は「ティーエージー」の称呼を生じ、「荷札、値札」又は「タッグマッチ」程の観念を生じるものである。
イ 引用商標について
引用商標は、「TAG」の欧文字と「タッグ」の片仮名を上下二段に表してなるところ、下段の「タッグ」の文字は、上段の「TAG」の読みを表したものと理解するのが自然である。
そして、「TAG」の文字は、「タッグ‐マッチの略。二人が組みになること。」(前掲書)を意味する「タッグ(TAG)」を理解、認識させるものであり、引用商標は、その構成文字に相応して「タッグ」の称呼を生じ、「タッグマッチ」程の観念を生じるものである。
ウ 本願商標と引用商標との類否について
本願商標と引用商標は、それぞれ上記ア及びイのとおりであるところ、両者は、外観において全体の構成において相違するとしても、本願商標の要部である「TAG」の文字と引用商標の「TAG」の文字の比較においては、そのつづりを共通にすることから近似するものであり、さらに、両者は、称呼において「タッグ」の称呼及び観念において「タッグマッチ」程の観念を共通にするものである。
そうすると、本願商標と引用商標とは、本願商標の要部において、称呼及び観念を共通にする場合もあるものであり、外観においても近似するものであるから、これらの外観、称呼及び観念によって、取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すれば、本願商標と引用商標とは、互いに紛れるおそれのある類似の商標というのが相当である。
エ 本願の指定役務と引用商標の指定商品及び指定役務との類否について
本願の指定役務である第35類「自動車の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」及び第37類「自動車の修理又は整備」は、引用商標の指定商品及び指定役務中の第12類「自動車用窓ガラス,自動車用風防ガラス,その他の自動車用ガラス,自動車並びにその部品及び附属品」及び第37類「自動車のガラスの交換,自動車のガラスの補修又は修理,自動車の窓に対するフィルムの施工,自動車の車体・ガラスの撥水加工・ポリマー加工・ワックスがけ等のコーティング処理,盗難防止用に自動車のガラスに車台番号を刻印する施工」と同一又は類似の役務である。
オ 小括
上記アないしエによれば、本願商標は、引用商標と類似する商標であって、かつ、本願の指定役務は、引用商標の指定商品及び指定役務と同一又は類似のものである。
したがって、本願商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。
(2)請求人の主張について
ア 請求人は、上段に大きく表示された「TA」ブロックの特徴的なロゴが目に付くことから、この部分が要部であることは疑いないと述べ、本願商標の要部は、「TA」ブロックであって、文字列「TAG」ではない旨主張する。また、文字列「TAG」の文字自体もデザイン化されており、「TA」ブロックと統一性のあるデザイン性の高い一体的な表現で、本願商標は、単にロゴの下に文字列を並べただけではない、図形部分と文字部分の配置までもが計算し尽くされた、最早アート作品と呼んでも差し支えない洗練された意匠を備えており、これらが一体不可分のデザインとなって看者に強い印象を与えるものである旨主張する。
しかしながら、請求人の商標の採択の意図にかかわらず、また、下段の文字部分である「TAG」との関係を踏まえても、上段に配された図形部分は、これに接する取引者、需要者をして、「TA」の文字を表したものであると認識させることは困難というべき程度にデザイン化が施されているものといえ、これが下段の「TAG」の文字部分と一体となって特定の文字又は事物を表すものと認識されるというべき事情も認められないから、図形部分からは、特段の称呼及び観念を生じないことは、上記(1)アのとおりである。また、図形部分と文字部分は、視覚的に分離して認識、把握されるのみならず、これらを常に一体不可分のものとして把握しなければならない特段の事情を見いだすことのできないものであるから、それぞれが独立して自他役務の識別標識としての機能を果たし得るものとみるのが相当であって、本願商標の構成中、「TAG」の文字部分を要部として抽出し、これを引用商標と比較して、商標そのものの類否を判断することも許されるというべきであることは、上記(1)アのとおりである。
イ 請求人は、本願の補正後の指定役務は、第35類「自動車の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」及び第37類「自動車の修理又は整備」である以上、自動車の一般的な価格を基準として考えるべきであり、自動車が通常の商品としては高額商品に属すること、また自動車は極めて嗜好性が強い商品であり、メーカーや車種に対する需要者のこだわりは大きく、支払われる注意力は、他の商品・役務と比べて高いことから、商標の相違には敏感であり、微差でも容易に認識できると思われるところ、特に本願商標は、極めて特徴的なブロック部分を備えていることから、需要者等がこれを見逃す事態は想定し難い旨主張する。
しかしながら、商標の類否判断に当たり考慮することのできる取引の実情とは、その指定商品全般についての一般的、恒常的なそれを指すものであって、単に該商標が現在使用されている商品についてのみの特殊的、限定的なそれを指すものではない(最高裁昭和47年(行ツ)第33号参照)旨判示されているところ、例えば、補正後の指定役務である第35類「自動車の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」には、自動車のみならず、その部品、附属品、及びその類似商品を取り扱う小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供が含まれるものであり、請求人の主張に係る自動車に限定した取引の実情は、取引における一場面を抽出した特殊的、限定的なものといわざるを得ず、商標の類否判断に考慮すべき一般的、恒常的な実情ということはできないことから、これを取引の実情として、本願の指定役務と引用商標の指定商品及び指定役務の類否判断にあたり考慮することは適当でない。
その上さらに、上記(1)アで述べたとおり、本願商標を構成する図形部分と文字部分は、それぞれが独立して自他役務の識別標識としての機能を有する要部といい得るものであるから、「TAG」の文字部分を要部として抽出し、これを引用商標と比較して、商標そのものの類否を判断することも許されるというのが相当である。
ウ 請求人は、既に、本願商標と類似する商標(商標登録第6360014号、商標登録第6513259号、商標登録第6556103号及び商標登録第6606016号)の登録を認められている上、請求人が本願商標を継続的に使用し、かつ多額の費用を投じて広告宣伝等を積極的に行った結果、本願商標は相当程度の周知性を得ており、このような現実の信用の化体とも相まって、引用商標との間で出所混同が生じたことはなく、今後もないであろうと確信する旨主張する。
しかしながら、商標の類否判断は、対比する商標について個別具体的に判断されるべきものであるところ、請求人の有する登録商標と本願商標とは、商標の具体的構成や指定商品及び指定役務の分野等が異なるものであり、本願商標と引用商標の類否については、上記(1)ウで述べたとおりであって、また仮に、現実の使用において、これまで引用商標との間で出所混同が生じたことはないとしても、これらの請求人の主張をもって、上記判断が左右されるものではない。
エ したがって、請求人の上記アないしウの主張は、いずれも採用することができない。
(3)まとめ
以上のとおり、本願商標は、商標法第4条第1項第11号に該当し、登録することはできない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲

別掲 本願商標


(行政事件訴訟法第46条に基づく教示) この審決に対する訴えは、この審決の謄本の送達があった日から30日(附加期間がある場合は、その日数を附加します。)以内に、特許庁長官を被告として、提起することができます。 (この書面において著作物の複製をしている場合の御注意) 本複製物は、著作権法の規定に基づき、特許庁が審査・審判等に係る手続に必要と認めた範囲で複製したものです。本複製物を他の目的で著作権者の許可なく複製等すると、著作権侵害となる可能性がありますので、取扱いには御注意ください。
審理終結日 2024-11-11 
結審通知日 2024-11-12 
審決日 2024-11-26 
出願番号 2022097750 
審決分類 T 1 8・ 261- Z (W3537)
最終処分 02   不成立
特許庁審判長 大森 友子
特許庁審判官 小俣 克巳
田中 瑠美
商標の称呼 タグ、タッグ、テイエイジイ、テイエイ 
代理人 弁理士法人豊栖特許事務所 

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