ポートフォリオを新規に作成して保存 |
|
|
既存のポートフォリオに追加保存 |
|
PDFをダウンロード![]() |
審決分類 |
審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 登録しない W11 |
---|---|
管理番号 | 1419488 |
総通号数 | 38 |
発行国 | JP |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2025-02-28 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2024-06-05 |
確定日 | 2024-12-26 |
事件の表示 | 商願2023− 68655拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1 手続の経緯 本願は、令和5年6月21日の出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。 令和5年12月13日付け:拒絶理由通知書 令和6年 2月21日 :意見書の提出 令和6年 3月13日付け:拒絶査定 令和6年 6月 5日 :審判請求書の提出 2 本願商標 本願商標は、「急減圧バルブ」の文字を標準文字で表してなり、第11類「電気炊飯器,業務用加熱調理機械器具,家庭用電熱用品類(美容用又は衛生用のものを除く。)」を指定商品として登録出願されたものである。 3 原査定の拒絶の理由(要旨) 本願商標は、「急減圧バルブ」の文字を標準文字で表してなるところ、その構成中、「急」の文字は「速度・調子が速いさま。」の意味を、「減圧」の文字は「圧力を下げること。また、圧力が下がること。」の意味を、「バルブ」の文字は「弁(管の途中や両端にあって、流体の遮断や流量の調整などのため、開閉できる装置。)に同じ。」の意味を、それぞれ有することから、本願商標全体として、「速く圧力を下げるバルブ(弁)」ほどの意味合いを想起させるものである。 そして、本願に係る指定商品中、圧力を利用した商品(例えば、圧力炊飯器、圧力鍋等)を取り扱う業界において、当該商品の構造として「減圧バルブ(弁)」が組み込まれている実情が認められる。 そうすると、本願商標を本願に係る指定商品中、「急減圧バルブ」を組み込んでなる「圧力を使用した商品(圧力炊飯器、圧力鍋等)」に使用した場合には、これに接する取引者、需要者は、「速く圧力を下げるバルブ(弁)が組み込まれた商品」であること、すなわち、商品の品質を表示したものと理解するにとどまり、自他商品の識別標識としては認識し得ないものであり、また、これを上記商品以外の商品に使用するときは、商品の品質の誤認を生ずるおそれがあるものというのが相当である。 したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当する。 4 当審の判断 (1)商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号該当性について 本願商標は、「急減圧バルブ」の文字を標準文字で表してなるところ、これはその外観から「急減圧」の漢字と「バルブ」の片仮名とを組み合わせたものと容易に看取し得るものである。 そして、その構成中の「急減圧」の文字については、そのうち「急」の文字が「進行や変化が速いこと」(出典:「広辞苑 第七版」株式会社岩波書店)などを意味する語であって、例えば「急発進」「急ブレーキ」のように、他の語と結合して、その動作等の進行や変化が速いことを表現する語を形成することが少なくないものであることからすると、「急減圧」の文字は、「急速な減圧(急速に減圧すること)」ほどの意味合いを容易に理解させるものといえる。 また、「バルブ」の文字は、「弁」(出典:同上)などを意味する語であるところ、原審提示の情報にあるように、本願の指定商品中、例えば「電気炊飯器」や「業務用加熱調理機械器具,家庭用電熱用品類(美容用又は衛生用のものを除く。)」に含まれる「電気式圧力鍋」を取り扱う分野(以下「本願指定商品分野」という。)において、その商品の部品として「減圧用の弁(バルブ)」が使用されていることが少なくないものであり、当該弁(バルブ)を「減圧バルブ」や「減圧弁」と称している実情も見受けられるものである。 加えて、原審提示の情報にあるように、本願指定商品分野においては、商品の機能に係る説明において、「減圧(又は加圧)」に係る事項が記述されていることも少なくないものである。 以上のことからすると、本願商標全体としては、「急速な減圧(急速に減圧すること)用の弁(バルブ)」ほどの意味合いが容易に認識されるものというのが相当であって、これを本願の指定商品に使用したときは、これに接する取引者、需要者は、その商品が「急速な減圧(急速に減圧すること)用の弁(バルブ)が備わっている商品」であるという、その商品の品質を表示したものと理解、認識するというのが相当であるから、本願商標は、商品の品質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標といえる。 また、本願商標を、その指定商品中、上述の商品以外の商品に使用するときは、それがあたかも「急速な減圧(急速に減圧すること)用の弁(バルブ)が備わっている商品」であるかのごとく、商品の品質の誤認を生ずるおそれがあるといえる。 したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当する。 (2)請求人の主張について ア 請求人は、仮に本願商標「急減圧バルブ」に接した一般需要者が「速く圧力を下げるバルブが組み込まれた商品」であることを認識できたとしても、指定商品において、速く圧力を下げるバルブが組み込まれていることにより、それが一体どのような効能をもたらされるのか、どのような特徴を有するといえるのか、直ちに理解できるものではない旨主張する。 また、「急減圧バルブ」の語は、一般に使用されているものでもなく、商品の品質を表示したものと一般に認識される可能性もないから、独占不適応の語でもないことは明らかである旨主張する。 しかしながら、本願商標は、それ自体としては使用例が見受けられないとしても、上記(1)のとおり、本願商標を構成する各語の意味に加え、本願指定商品分野において、その商品の部品として「減圧用の弁(バルブ)」がしばしば使用されている実情、当該弁(バルブ)を「減圧バルブ」や「減圧弁」と称している実情、及び、商品の機能に係る説明において「減圧(又は加圧)」に係る事項がしばしば記述されている実情に照らせば、本願商標をその指定商品に使用するときには、これに接する取引者、需要者によって、「急速な減圧(急速に減圧すること)用の弁(バルブ)が備わっている商品」であることを表示するものとして一般に認識されるものであり、取引に際し必要適切な表示として何人もその使用を欲するものというべきものであるから、特定人によるその独占使用を認めるのは適当でないとともに、自他商品識別力を欠くものというのが相当である。 そして、このことは、たとえ当該「急速な減圧(急速に減圧すること)用の弁(バルブ)」が、個別具体的にどのような効果、効能を有するものであるか、需要者において直ちに理解されないものであるとしても、変わるものではない。 イ 請求人は、本願商標は、これが「急」「減圧」及び「バルブ」の3語から構成されると理解されたとしても、そのうち特に「急」及び「バルブ」の語の意味は多岐にわたるものであるから、「速く圧力を下げるバルブが組み込まれた商品である」ことのみを一義的に想起させるものではない旨主張する。 しかしながら、上記(1)のとおり、本願商標構成中の各語の意味に加え、「急」の文字は、他の語と結合して、その動作等の進行や変化が速いことを表現する語を形成することが少なくないものであること、並びに、本願指定商品分野において、その商品の部品として「減圧用の弁(バルブ)」がしばしば使用されている実情、及び、当該弁(バルブ)を「減圧バルブ」や「減圧弁」と称している実情を踏まえれば、「急」や「バルブ」の文字の意味が多岐にわたるとしても、本願商標をその指定商品に使用するときは、これに接する取引者、需要者は、これより「急速な減圧(急速に減圧すること)用の弁(バルブ)」ほどの意味合いを容易に認識し、その商品が当該弁(バルブ)を備えているものであることを理解するにとどまり、自他商品の識別標識としては認識しないものというのが相当である。 ウ 請求人は、構成中に「バルブ」「弁」の文字や「圧」の増減を表す文字を有する商標に係る登録例を挙げ、本願商標もそれらと同様に登録を認められるべきである旨主張する。 しかしながら、登録出願に係る商標が商標法第3条第1項第3号に該当するものであるか否かの判断は、当該商標登録出願の査定時又は審決時において、当該商標の構成態様と指定商品・指定役務との関係や、その商品又は役務の分野における取引の実情をも踏まえて、個別具体的に判断されるべきものであるところ、請求人の挙げた登録例は、商標の構成態様が本願商標とは異なるものである点において、本願とは、事案を異にするものというべきであり、また、過去の登録例が存在することをもって、上記判断が左右されるものではない。 エ したがって、請求人の上記アないしウの主張は、いずれも採用することができない。 (3)まとめ 以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するものであるから、登録することができない。 よって、結論のとおり審決する。 |
別掲 |
(行政事件訴訟法第46条に基づく教示) この審決に対する訴えは、この審決の謄本の送達があった日から30日(附加期間がある場合は、その日数を附加します。)以内に、特許庁長官を被告として、提起することができます。 (この書面において著作物の複製をしている場合の御注意) 本複製物は、著作権法の規定に基づき、特許庁が審査・審判等に係る手続に必要と認めた範囲で複製したものです。本複製物を他の目的で著作権者の許可なく複製等すると、著作権侵害となる可能性がありますので、取扱いには御注意ください。 |
審理終結日 | 2024-10-15 |
結審通知日 | 2024-10-22 |
審決日 | 2024-11-11 |
出願番号 | 2023068655 |
審決分類 |
T
1
8・
13-
Z
(W11)
|
最終処分 | 02 不成立 |
特許庁審判長 |
高野 和行 |
特許庁審判官 |
清川 恵子 白鳥 幹周 |
商標の称呼 | キューゲンアツバルブ、キューゲンアツ |
代理人 | 酒井 壮士 |
代理人 | 山内 広之 |