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審決分類 審判 査定不服 外観類似 登録しない W06
管理番号 1419487 
総通号数 38 
発行国 JP 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2025-02-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2024-05-16 
確定日 2025-01-09 
事件の表示 商願2023− 81742拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1 手続の経緯
本願は、令和5年1月16日に登録出願された商願2023−3041号に係る商標法第10条第1項の規定による商標登録出願として、同年7月24日に出願されたものであって、その手続の経緯は以下のとおりである。
令和5年 8月10日付け:拒絶理由通知書
令和5年10月31日 :意見書の提出
令和6年 2月 9日付け:拒絶査定
令和6年 5月16日 :審判請求書、手続補正書の提出

2 本願商標
本願商標は、別掲1のとおりの構成よりなり、第6類及び第7類に属する願書記載のとおりの商品を指定商品として登録出願され、その後、本願の指定商品は、当審における上記1の手続補正書により、第6類「金属製ガス貯蔵槽その他の金属製貯蔵槽類,溶接用金属棒,溶接用金属製ワイヤ,鉄及び鋼,非鉄金属及びその合金,ワイヤロープ,金属製高圧ガス用又は液体ガス用容器その他の金属製包装用容器,建築用又は構築用の金属製専用材料,金属製金具」に補正されたものである。

3 原査定の拒絶の理由(要旨)
原査定において、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして、本願の拒絶の理由に引用した登録商標は、以下の(1)及び(2)であり、いずれも現に有効に存続しているものである(以下、引用商標1及び2をまとめて「引用商標」という場合がある。)。
(1)登録第5972054号商標(以下「引用商標1」という。)
商標の構成:別掲2のとおり
指定商品:第6類「建築用又は構築用の金属製専用材料,金属製の滑車・ばね及びバルブ(機械要素に当たるものを除く。),金属製管継ぎ手,金属製フランジ,キー,コッタ,金属製金具,金属製包装用容器,金属製建具,金庫」
登録出願日:平成29年 1月12日
設定登録日:平成29年 8月10日
(2)登録第5973839号商標(以下「引用商標2」という。)
商標の構成:別掲3のとおり
指定商品:第6類「建築用又は構築用の金属製専用材料,金属製の滑車・ばね及びバルブ(機械要素に当たるものを除く。),金属製管継ぎ手,金属製フランジ,キー,コッタ,金属製金具,金属製包装用容器,金属製建具,金庫」
登録出願日:平成29年 1月14日
設定登録日:平成29年 8月18日

4 当審の判断
(1)商標法第4条第1項第11号該当性について
ア 本願商標について
本願商標は、別掲1のとおり、「ETO」の欧文字を大きく顕著に表し、その下に黒色の長方形の中に白抜きで、「EFFORT TRUTH ONWARD」の欧文字を表し、その下に、「sanso」の欧文字、左下から右上に向かって太くなる3本の線(3本の線は左の先端が細く尖っている。以下「図形部分」という。)、図形部分の右下に「SINCE 1946」の文字を小さく表し、それぞれの文字部分及び図形部分が重なることなく配した構成よりなるものである。
そして、本願商標の構成は、複数の文字部分や図形部分からなるものの、その構成中の「ETO」の文字部分が、他の文字部分や図形部分と比べて大きく顕著に表されている上、当該文字自体は、辞書等に記載のないものであって、また、その表音に通じる「エト」や「エトー」の文字は、日本語で、「干支、江藤」(出典:株式会社岩波書店「広辞苑 第七版」)等の複数の意味合いを有する語と捉えられるものであるから、一義的に特定の観念が生じるとはいえないものである。
また、「EFFORT TRUTH ONWARD」の文字部分は、各英単語の意味から、全体として「努力 真実 前方へ」(出典:株式会社研究社「新英和中辞典 第7版)程の意味合いを表すものと認められ、「sanso」の文字部分は、その表音に通じる「サンソ」や「サンソー」から、「酸素、山荘」(出典:株式会社岩波書店「広辞苑 第七版」)等、複数の語が想起されるものであり、「SINCE 1946」は「1946年以来」程の意味合いを表す文字であることから、「ETO」の文字とその他の文字部分に観念的な一体性は見いだせないものである。
さらに、本願商標の構成中の図形部分は、これに接する取引者、需要者をして、直ちに特定の文字又は事物を表したものであると認識させるものではなく、他の文字部分と一体となって特定の文字又は事物を表すものと認識されるというべき事情も認められないから、当該図形部分からは、特段の称呼及び観念を生じないものである。
そうすると、本願商標は、その構成中、大きく顕著に表された「ETO」の文字部分が、他の構成要素に比べ、構成全体の中で目を引くものであり、取引者、需要者に対し、自他商品の識別標識として強く支配的な印象を与えるものとみるのが相当であるから、該文字部分を要部として抽出し、他人の商標と比較することが許されるものというべきである。
したがって、本願商標は、その要部である「ETO」の文字部分(以下「本願商標の要部」という。)に相応し、「イーティーオー」、「エト」又は「エトー」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。
イ 引用商標について
引用商標は、別掲2及び別掲3のとおり、左側に、中心部分から放射状に伸びた6本の直線の左右に2つの円弧を表した形状の図形(2つの円弧は、引用商標1は赤色、引用商標2は黒色からなる。以下「引用図形部分」という。)を配し、右側に、「eTO」の欧文字(「e」の文字部分は左に傾斜している。以下「引用文字部分」という。)を横書きに表した構成よりなるところ、引用図形部分と引用文字部分とは、相互に一定の間隔を空けて、重なり合うことなく、独立して表されていることから、視覚上分離して看取し得るものである。
そして、引用図形部分は、我が国では特定の事物や意味を有する図形として知られているものではないことから、特定の意味合いを想起させるとはいい難く、特定の称呼及び観念を生じないものである。
また、引用文字部分の「eTO」の文字は、それ自体が辞書等に載録された既成語ではないものであって、上記アと同様の理由で複数の意味合いを有する語と捉えられるものであるから、一義的に特定の観念が生じるとはいえないものである。
そうすると、引用図形部分と引用文字部分の間には、称呼及び観念上のつながりもなく、両者を分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているとはいえず、引用商標は、その構成中の図形部分と文字部分が、それぞれ独立して出所識別機能を有する要部となり得るものであることから、引用文字部分「eTO」を要部として抽出し、他人の商標と比較して商標そのものの類否を判断することも許されるというべきである。
したがって、引用商標は、その要部の一つである引用文字部分の「eTO」(以下「引用商標の要部」という。)に相応して、「イーティーオー」、「エト」又は「エトー」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。
ウ 本願商標の要部と引用商標の要部との類否について
本願商標と引用商標とを比較するに、観念において、両者はともに特定の観念を生じないから比較し得ず、外観において、その構成全体については差異を有するものの、両商標の要部である「ETO」と「eTO」の文字部分において、語頭が大文字と小文字の差異以外、そのつづりを共通にし、「イーティーオー」、「エト」又は「エトー」の称呼を共通にするものである。
そうすると、これらの外観、称呼及び観念によって、取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すれば、本願商標と引用商標は、全体として互いに相紛れるおそれのある類似の商標というのが相当である。
エ 本願の指定商品と引用商標の指定商品との類否について
本願の指定商品と引用商標の指定商品とを比較するに、本願の指定商品中「金属製高圧ガス用又は液体ガス用容器その他の金属製包装用容器,建築用又は構築用の金属製専用材料,金属製金具」は、引用商標の指定商品中の「建築用又は構築用の金属製専用材料,金属製金具,金属製包装用容器」と同一又は類似の商品である。
オ 小括
上記アないしエによれば、本願商標は、引用商標と類似の商標であって、かつ、両商標の指定商品は互いに同一又は類似の商品を含むものである。
したがって、本願商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。
(2)請求人の主張について
ア 請求人は、本願商標と引用商標は、外観に顕著な差異を有しており、一見して別異の商標であることを判別できるものである上、本願商標は、各構成部分がまとまりよく一体的なデザインとなっており、いずれかの部分のみが分離抽出されるような構成ではないため、引用商標と同一の称呼のみをもって取引されるものではないと述べ、商標全体の構成を比較すれば、本願商標と引用商標は、一部の称呼の共通性が、外観や観念を総合してみた商標全体の相違を凌ぐものとはいえない旨主張する。
しかしながら、上記(1)ウで述べたとおり、本願商標と引用商標は、その構成全体については差異を有するものの、両商標の要部の外観、称呼及び観念によって、取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すれば、本願商標と引用商標とは、互いに紛れるおそれのある類似の商標というのが相当である。
イ 請求人は、本願商標や引用商標に係る指定商品(例えば、請求人の事業内容は、産業用ガス、工業用関連機器等を取り扱うものであり、引用商標権者の事業内容は、各種技術部品を取り扱うものである)のように、専門的な知見を要する分野における取引の実情については、当該商品の技術内容や品質等を予め吟味した上で取引されるものであり、単に商標の称呼のみをもって商品の出所を識別し、商品を購入することは、到底考え難いと述べ、両商標に接する取引者、需要者は、電話(音)や単純な文字上でのやり取りではなく、相応の知識を有する者が、商品を実際に視認し、注意を払った上で、商品の出所について確認し、購入にいたるというのが至当であるから、専門性の高い技術的な商品を取り扱っている点において、両商標は、その商品の出所について混同を生ずるおそれのない、非類似の商標である旨主張する。
しかしながら、商標の類否判断に当たり考慮することのできる取引の実情とは、その指定商品全般についての一般的、恒常的なそれを指すものであって、単に該商標が現在使用されている商品についてのみの特殊的、限定的なそれを指すものではない(最高裁昭和47年(行ツ)第33号参照)旨判示されているところ、請求人の主張に係る取引の実情は、取引における一場面を抽出した特殊的、限定的なものというべきであり、商標の類否判断に考慮すべき一般的、恒常的な実情ということはできないことから、これを取引の実情として、本願の指定商品と引用商標の指定商品の類否判断にあたり考慮することは適当でない。
ウ 請求人は、姓氏を含む図形との結合商標が、商標全体で一体視して判断すべきとされた事例、本願商標と同じく「ETO」の文字で構成される商標が引用商標と併存登録されている事例、いずれも同じ欧文字で構成される商標同士が、外観上の顕著な差異によって、商標全体で非類似と判断された事例を挙げ、これらの併存登録例があることからしても、本願商標は登録されるべきである旨主張する。
しかしながら、商標の類否判断は、対比する商標について個別具体的に判断されるべきものであるところ、請求人の挙げる登録例と本願商標とは、商標の具体的構成等において本願とは事案を異にするものであり、本願商標と引用商標の類否については上記(1)ウのとおりであるから、これらの登録例をもって、上記判断が左右されるものではない。
エ したがって、請求人の上記アないしウの主張は、いずれも採用することができない。
(3)まとめ
以上のとおり、本願商標は、商標法第4条第1項第11号に該当し、登録することはできない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲

別掲1 本願商標

別掲2 引用商標1(色彩は原本を参照。)


別掲3 引用商標2



(行政事件訴訟法第46条に基づく教示) この審決に対する訴えは、この審決の謄本の送達があった日から30日(附加期間がある場合は、その日数を附加します。)以内に、特許庁長官を被告として、提起することができます。 (この書面において著作物の複製をしている場合の御注意) 本複製物は、著作権法の規定に基づき、特許庁が審査・審判等に係る手続に必要と認めた範囲で複製したものです。本複製物を他の目的で著作権者の許可なく複製等すると、著作権侵害となる可能性がありますので、取扱いには御注意ください。
審理終結日 2024-11-07 
結審通知日 2024-11-12 
審決日 2024-11-26 
出願番号 2023081742 
審決分類 T 1 8・ 261- Z (W06)
最終処分 02   不成立
特許庁審判長 大森 友子
特許庁審判官 田中 瑠美
小俣 克巳
商標の称呼 エトーサンソ、エトー、イイテイオオ、エフォートトゥルースオンワード 
代理人 森 博 

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