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審決分類 |
審判 査定不服 商4条1項15号出所の混同 取り消して登録 W43 |
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管理番号 | 1419484 |
総通号数 | 38 |
発行国 | JP |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2025-02-28 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2024-04-23 |
確定日 | 2025-02-06 |
事件の表示 | 商願2023− 25514拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願商標は、登録すべきものとする。 |
理由 |
1 手続の経緯 本願は、令和5年3月10日の登録出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。 令和5年8月24日付け:拒絶理由通知書 令和5年10月11日:意見書、手続補正書の提出 令和5年12月22日:刊行物等の提出 令和6年2月27日付け:拒絶査定 令和6年4月23日:審判請求書の提出 2 本願商標 本願商標は、「丸亀製麺 麺職人」の文字を標準文字で表してなり、第43類に属する願書記載のとおりの役務を指定役務として登録出願され、その後、本願の指定役務については、前記1の手続補正書により、第43類「うどんを主とする飲食物の提供(ラーメンの提供を除く。)」に補正されたものである。 3 原査定の拒絶の理由の要点 原査定は、「本願商標は、「丸亀製麺 麺職人」の文字を標準文字により表してなるところ、これは、「大阪府大阪市淀川区西中島4丁目1番1号」所在の「日清食品ホールディングス株式会社」が、商品「麺類」について使用し、本願商標の登録出願前より、取引者及び需要者の間で広く認識されている商標「麺職人」(以下「引用標章」という。)と同一の文字よりなるものである。そうとすると、本願商標をその指定役務に使用した場合は、あたかも当該役務が、「日清食品ホールディングス株式会社」又は同人と組織的若しくは経済的に何らかの関係を有する者の業務に係る役務であるかのごとく、役務の出所について混同を生ずるおそれがあるものと認める。したがって、本願商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。 4 当審の判断 (1)商標法第4条第1項第15号該当性について ア 本願指定役務の分野における引用標章の周知性 原審で示した証拠、原審において同年12月22日受付の刊行物等提出書において提出された証拠(資料1〜資料45。枝番号を含む。)並びに当審における職権調査によれば、以下のとおりである。 (ア)日清食品ホールディングス株式会社は、「日清の小麦麺職人」を2000年9月に発売し、「日清麺職人」を2001年10月に発売して以降、引用標章である「麺職人」の文字を使用した各種カップ入り即席麺(以下「引用商品」という。)を継続的に製造販売していることがうかがえる(資料1〜資料3、資料8、資料9)。 (イ)引用商品は、2023年4月ないし同年8月におけるノンフライカップ麺の販売食数ランキングにおいて一位を獲得した(資料7)が、カップ麺全体の市場における引用商品のシェアは明らかでなく、また、引用商品の継続的な販売数、売上高やシェアも不明である。 (ウ)引用商品について、テレビCM(2002年〜2022年、資料12〜資料22)及びキャンペーン(2010年〜2020年、資料9、資料23〜資料29)による広告が行われたことがうかがえるものの、これらがどの程度の数の需要者の目に触れたのかが明らかでない。 (エ)上記(ア)ないし(ウ)からすれば、引用標章は、日清食品ホールディングス株式会社により、2000年頃からカップ入り即席麺について使用されていることはうかがえるものの、本願の商標登録出願前において、引用標章を使用した商品の客観的な販売実績や広告宣伝の実績、規模などは明らかではなく、具体的な事実に基づいて、引用標章の周知性の程度を推し量ることはできない。 加えて、刊行物等提出書においては、引用商品が「麺職人」と称して紹介されている例は散見されるものの(資料30〜資料35)、その他の証拠及び職権調査によれば、日清食品ホールディングス株式会社のウェブサイト、引用標章が付された商品のパッケージ、引用標章が付された商品が紹介されている新聞記事、雑誌、テレビの広告宣伝、インターネット情報等において、引用標章の大半が日清食品ホールディングス株式会社の社名を表す「日清」や「NISSIN」等の文字が併記される態様にて使用されていることから、これに接する取引者、需要者は、商品を識別する上で「日清」や「NISSIN」等の文字に着目する場合も少なくないといえるものであり、引用標章である「麺職人」の文字部分のみが常に分離して観察され、需要者に強く印象付けられるとはいえない。 以上のことから、引用標章は、日清食品ホールディングス株式会社の業務に係る商品を表示するものとして、取引者、需要者の間において、広く知られているとは認めることができない。 イ 本願商標と引用標章の類似性の程度 (ア)本願商標 本願商標は、「丸亀製麺 麺職人」の文字を標準文字で表してなるところ、「丸亀製麺」の文字と「麺職人」の文字との間に一文字程度のスペースがあるものの、その構成文字は、同じ書体、同じ大きさをもって、外観上まとまりよく一体的に表されているものである。 そして、本願商標の構成中「丸亀製麺」の文字は、請求人の出所を表示する名称を認識させるものであり、また、「麺」の文字は、「小麦粉。うどん粉。粉を練ったものを細長く切った食品。うどん・そばなどの総称。」(出典:「広辞苑 第七版」岩波書店)の意味を、「職人」の文字は、「手先の技術によって物を製作することを職業とする人。」(前掲書)の意味をそれぞれ有する語であり、全体としては「丸亀製麺の麺を作る職人」程の意味合いを理解させる。 したがって、本願商標は、その構成文字に相応して「マルガメセイメンメンショクニン」の称呼を生じ、「丸亀製麺の麺を作る職人」程の観念を生じる。 (イ)引用標章 引用標章は、「麺職人」の文字よりなるところ、上記(ア)と同様に、その構成文字に相応して「メンショクニン」の称呼を生じ、「麺を作る職人」程の観念を生じる。 (ウ)本願商標と引用標章の比較 本願商標と引用標章を比較すると、外観においては、識別上重要な要素である語頭部分において「丸亀製麺」の文字の有無という明らかな差異があるから、両商標は、外観上、区別し得るものである。 また、称呼においては、称呼上重要な要素である語頭部分において「マルガメセイメン」の音の有無という明らかな差異があるから、両商標は、称呼上、明瞭に聴別し得るものである。 さらに、観念においては、本願商標からは「丸亀製麺の麺を作る職人」の観念が生じるのに対し、引用標章からは「麺を作る職人」の観念が生じるから、互いに相違するものである。 そうすると、本願商標と引用標章は、外観、称呼及び観念において相違し、区別し得るものであるから、両者の外観、称呼、観念等によって取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すれば、両者は相紛れるおそれのない非類似の商標であって、別異の商標というべきものであるから、類似性の程度は低い。 ウ 引用標章の独創性 引用標章は、「麺職人」の文字構成よりなるところ、上記イ(イ)のとおり、「麺を作る職人」の観念を生じる語であって、本願の指定役務との関係においては、独創性が高いものではない。 エ 本願商標の指定商品と引用標章の使用に係る役務の関連性 本願商標に係る補正後の指定役務「うどんを主とする飲食物の提供(ラーメンの提供を除く。)」は、その役務の質(内容)が「うどんを主とする飲食物」であって、「うどん」は「麺類」といえるものであるところ、引用商標に係る商品「即席麺」も「麺類」といえるものであるから、いずれも「麺類」という点において、一定程度の関連性を有するものといえる。 オ 以上のとおり、本願商標の指定役務と引用標章の使用に係る商品との関連性は一定程度認められるものの、引用標章は、日清食品ホールディングス株式会社の業務に係る商品を表示するものとして、取引者、需要者の間に広く認識されている商標ではなく、また、本願商標と引用商標の類似性の程度が低いことに加え、引用標章の独創性は高いものでもないから、本願商標をその指定役務に使用しても、これに接する取引者、需要者をして、引用標章を連想又は想起させるものではなく、その役務が、他人(日清食品ホールディングス株式会社)又は同人と経済的、組織的に何らかの関係がある者の業務に係る役務であるかのごとく、その役務の出所の混同を生じるおそれはない。 したがって、本願商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。 (2)まとめ 以上のとおり、本願商標は、商標法第4条第1項第15号に該当するものではないから、本願商標が同項同号に該当するとして本願を拒絶した原査定は、取消しを免れない。 その他、本願について拒絶の理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。 |
別掲 |
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審決日 | 2025-01-17 |
出願番号 | 2023025514 |
審決分類 |
T
1
8・
271-
WY
(W43)
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最終処分 | 01 成立 |
特許庁審判長 |
大島 康浩 |
特許庁審判官 |
大塚 正俊 小林 裕子 |
商標の称呼 | マルガメセーメンメンショクニン、マルガメセーメン、メンショクニン |
代理人 | 前田 幸嗣 |